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2017年2月27日 (月)

白軍側 ドン・コサックの歌声

ゼアミdeワールド46回目の放送、日曜夕方に終りました。3月1日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

今回はロシアの音楽を語る上で重要なキーの一つになっているコサックの合唱を聞いて行きたいと思います。ポーリュシカ・ポーレの歌唱スタイルが、コサック歌謡を模倣していると以前解説しておりましたので、気になられた方もいらっしゃるかと思います。日本ではコサック・ダンスのステレオ・タイプなイメージで一般には知られていると思いますが、とても素晴らしい男声合唱を伝えている人々です。裏声で歌うパートの女性の声と聞き間違えるほどの高音から、超低音で歌うパートまであって、混声合唱と聞き間違える程です。
コサックとは逃亡農民の集団で、ロシア語ではカザークといいますが、これはトルコ語では「自由の民」の意味になり、カザフとも綴りが同じのようです。器楽の方の話になりますが、カザフの弦楽器ドンブラの影響からロシアのドムラやバラライカが生まれた秘密もこの辺にありそうです。ドン川流域を移動していた集団をドン・コサックと言いますが、他にもクバン・コサックとかネクラーソフ・コサックとか、別集団が色々あります。
これからかけますドン・コサック合唱団は、ロシア革命側の赤軍に対し、敗退した帝政ロシアの白軍側の合唱団になります。革命後4年続いた国内戦で敗退しトルコに逃亡した将校のセルゲイ・ジャーロフ率いるドン・コサック合唱団は、革命後のロシアでは弾圧されたロシア正教の合唱音楽を重要なレパートリーとしながら、他にもコサックの歌や民謡、古いロマンス(語り歌)を見事に歌っていました。1950、60年代の伝説の録音から、「輝け、私の星よ」と言う、おそらく古いロマンスに当ると思われる曲からどうぞ。

<ドン・コサック合唱団 / 輝け、私の星よ 4分45秒>
Гори, гори, моя звезда Из сериала Анна Герман
https://www.youtube.com/watch?v=ydfA16y6y28
ドン・コサックでは見当たらないので、夭折したアンナ・ゲルマンの歌唱で。

この曲の歌詞は、「君は私にとって、胸に秘めた、たった一つの輝ける星。もし私が死んでも、私の墓の上でいつまでも輝き続けておくれ」という内容で、祖国ロシアへの望郷の念もダブって感じさせる哀切な歌です。
次は、ロシア民謡で最もよく知られている歌の一つ「赤いサラファン」です。実はこれも民謡ではなく、19世紀の帝政ロシア時代にワルラーモフという人によって作曲された歌です。やはり混声合唱と聞き紛うようなドン・コサック合唱団の歌唱でどうぞ。

<ドン・コサック合唱団 / 赤いサラファン 3分56秒>

次にロシアに多い「男女の秘め事」を冷やかした古い民謡の一つで、ラズベリーという曲です。コサックの歌のコミカルな面と技巧的な歌唱が余すところなく入った歌です。その内容は「乙女が母に頼まれてラズベリーを摘みに出かけた。ところが森で愛しい若者とばったり出会い、つい楽しい時を過ごしてしまったので、帰りの籠の中にラズベリーは一つもなかった。10ヵ月後の乙女と若者の会話は、『その子の名は?』、『もちろんラズベリーよ。』」 まぁ、こういう歌です(笑)

<ドン・コサック合唱団 / ラズベリー 2分36秒>

次に1920~40年代のドン・コサック合唱団の録音に、何と赤軍側の歌であるはずのポーリュシカ・ポーレがありました。珍しいので、こちらもかけてみます。歌詞は一部変えているように聞こえます。

<ドン・コサック合唱団 / ポーリュシカ・ポーレ 3分7秒>
Хор донских казаков Сергея Жарова 1950 годы 3 - часть

冒頭にポーリュシカ・ポーレ、途中にカリンカなどが出てくる1950年の映像。

次に、現在も活動しているコサックの合唱団の現地録音がフランスのIneditからありましたので、こちらからもかけてみようかと思います。ロストフのヴォルニツァ・アンサンブルと言うグループで、ショーアップされたコサック・ソングではなく、昔ながらの素朴で勇壮なコサック民謡を聞かせてくれます。ドン川流域でコサック民謡を採集・演奏している男女9人からなるグループで、ウクライナ・コサックの歌もありました。
1847年に作詞作曲されたコサックの聖歌で、曲名の英訳がOur peaceful Don is agitated, is troubledとなっていました。女性も凛々しい声で歌っているところがコサックらしさでしょうか。

<Cossack Songs - Our peaceful Don is agitated, is troubled 2分37秒>

もう一曲、クバン・コサックの歌で、英訳がWe, the sons from the famous country of Koubanという曲です。ロシア帝国によるカフカス地方の植民地化において先導的役割を果たしたクバン・コサックらしい勇壮さと美しいハーモニーを聴かせます。クバンとは、ロシア南部、クバーニ川流域から、現在のクラスノダール地方、アディゲ共和国、スターヴロポリ地方、ロストフ州、カラチャイ・チェルケス共和国に当たる地域を指し、冬季五輪が開かれたソチは中心都市の一つです。

<Cossack Songs - We, the sons from the famous country of Kouban 3分3秒>
Кубанский казачий хор - Когда мы были на войне

この曲はなさそうなので、同じクバン・コサックの歌唱でКогда мы были на войнеを。ピャトニツキーの歌唱で後日上げようかとも思っていた曲です。

では最後に、再度1920~40年代のドン・コサック合唱団の録音からロシアのジプシー・ロマンスで最も有名な「黒い瞳」を聞きながら、今回はお別れです。ロシア民謡として知られていますが、実はロシア・ジプシーの歌です。シャリアピンの名唱で広まった歌ですが、ドン・コサックの歌唱はまた一味違っていて、出だしから実に濃厚な黒い瞳(オチ・チョルニア)で、聞き入ってしまいます。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<ドン・コサック合唱団 / 黒い瞳 4分12秒>
Don Cossack Choir - Serge Jaroff - Очи чёрные

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