ハンガリーのチャールダッシュ
ゼアミdeワールド54回目の放送、日曜夕方に終りました。26日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。 前回ウクライナ西部のハンガリー系音楽としてチャールダッシュが出てきましたが、先日ラヂバリのパーソナリティTさんとやりとりしていて、チャールダッシュと言うのは、「モンティのチャールダッシュ」のみを指す固有名詞のように思われていて非常に驚いたことがありました。90年代に葉加瀬太郎さん他のクライズラー&カンパニー辺りが弾いてからでしょうか、日本で非常にポピュラーになりまして、チャールダッシュと言うとこのイタリアの作曲家モンティの書いた曲のみを指すように思われ勝ちのようにも思います。ですので、いつかチャールダッシュだけでやりたいと思っておりました。ハンガリーに回ってきたら、また改めて大きく取り上げたいと思いますが、今回はウクライナ音楽めぐりの途中でちょっと寄り道します。 チャールダッシュと言うのは、前回少しお話しましたが、19世紀前半のハンガリー独立戦争の頃に募兵活動の中で生まれた男性の踊りヴェルブンクが基礎になってヴェルブンコシュが生まれ、更にそれが居酒屋(チャールダ)で洗練されてチャールダッシュが生まれたとされています。ゆったりとした哀愁漂うラッサンの部分と、急速なフリスカの部分からなる舞曲で、ハンガリーのジプシー楽団が盛んに演奏し妙技を披露、19世紀にはヨーロッパ中で大流行し、ウィーン宮廷は一時チャールダーシュ禁止の法律を公布したほどだったそうです。そんなムーヴメントの中でドイツの大作曲家ブラームスのハンガリー舞曲や、サラサーテのツィゴイネルワイゼンが生まれています。ハンガリーから遠く離れたスペインの作曲家サラサーテが、何故チャールダッシュを書いたのか?と長年疑問に思っていましたが、そういう背景があったことを後で知りました。 まずは、ブラームスのハンガリー舞曲から有名な第5番と第1番を続けてかけてみましょう。カラヤン指揮ベルリン・フィルの定番です。個人的にはメランコリックな旋律美を極めている1番が、特にチェリビダッケ指揮の名演を聞いてから一番のお気に入りでした。 <ブラームス / ハンガリー舞曲 第5番 2分35秒> Maxim Vengerov Brahms:Hungarian Dance No.5 現在のトップヴァイオリニストと言われるマキシム・ヴェンゲーロフの演奏。 <ブラームス / ハンガリー舞曲 第1番 2分52秒> Khatia Buniatishvili, Yuja Wang - Brahms, Hungarian Dance No. 1 最近ホットな二人の女流ピアニストによるピアノ連弾版 第5番の曲自体はケーレル・ベーラのチャールダーシュ "Bartfai emlek" が原曲とされています。私の所属している弦楽合奏団でも5番は既に何度か舞台で弾きましたし、1番も猛練習しましたが、こちらはかなり難しくまだ舞台にはかけられておりません。 ジプシー楽団が演奏してきたチャールダッシュは、それこそ星の数ほどあるようで、ジプシーは通常楽譜に記録しないので、昔のチャールダッシュは忘れられているのかも知れません。ハンガリー舞曲の原曲もおそらく全ては分らないのではと思います。 次に作者不詳のチャールダッシュハ短調をかけてみましょう。こちらも非常に印象的なメランコリックな名旋律だと思います。演奏はハンガリー国立民族アンサンブルで、彼らは1977年頃来日して、その舞台が当時テレビで放映されました。この作者不詳のチャールダッシュは今でも親しまれているようで、youtubeで結構見ることが出来ます。それらはまたZeAmiブログで取り上げたいと思います。 <エチェル村の結婚式~チャールダッシュハ短調 2分44秒> c-moll csárdás モンティのチャールダッシュは、CDでは持ってなかったので、ツィゴイネルワイゼンを次にかけてみましょう。この曲も19世紀ヨーロッパでのチャールダッシュ大流行の中で生まれた一曲です。ロン=ティボー国際コンクールのヴァイオリン部門で日本人として初めて優勝した小林美恵さんのヴァイオリン独奏です。彼女の弾くヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」目当てで入手した盤ですが、ツィゴイネルワイゼンやイザイの曲なども素晴らしい演奏です。 <サラサーテ / ツィゴイネルワイゼン 小林美恵 8分41秒 抜粋> Csárdás - Vittorio Monti (Violin & Piano) ツィゴイネルワイゼンはまた後日にして、放送でかけられなかったモンティのチャールダッシュをどうぞ。 次にライコー・ヤング・ジプシー楽団の演奏で、ハンガリーで一番大きなバラトン湖をテーマにしたイェネー・フバイ作曲の名曲「バラトン湖の波の上で」と言う曲をかけてみましょう。この曲もジプシー楽団がよく取り上げる曲で、チャールダッシュのラッサンの部分に当るような哀愁の名旋律です。ヴァイオリニストとしてのフバイはヴュータンやブラームスから称賛を受け、また彼の室内楽演奏のパートナーであるチェリストのダヴィッド・ポッパーは作曲家としても有名で、チェロの優れた難度の高いエチュードを沢山残していて、私もいくつか取り組んだことがあります。フバイの弟子にはヴァイオリンの巨匠ヨゼフ・シゲティや後に指揮者に転向したユージン・オーマンディがいます。 <チャールダッシュ・ラプソディー~Jeno Hubay / On the wave of the Balaton 6分50秒 抜粋> Jenö Hubay "Hullámzó Balaton" Scènes de la csárda No.5 - "The waves of Lake Balaton" では、最後にブラームスのピアノ四重奏曲第1番のラスト、第4楽章を聞きながら今回はお別れです。ジプシー風のロンドとブラームス自身によって銘打たれたこの情熱的な楽章故に、この曲は渋い室内楽の中では人気があります。ピアノがマルタ・アルゲリッチ、ヴァイオリンがギドン・クレーメル、ヴィオラはユーリ・バシュメト、チェロがミッシャ・マイスキーというオールスター級のメンバーが揃った名盤です。 ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週 <ブラームス / ピアノ四重奏曲第1番 第4楽章 8分10秒 抜粋> Brahms - piano quartet no 1 g-minor op 25 - Fauré Quartett ピアノ四重奏専門の若手実力派、フォーレ四重奏団の演奏で、この曲の全曲。32分位からが第4楽章です。
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