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2017年5月

2017年5月26日 (金)

リトアニアのペイガン・ソングとスタルティネ

リトアニアのペイガン・ソング、ありました。これは間違いないと思います。キリスト教化以前からの自然崇拝の儀礼歌と見て良いのだろうと思います。異教的(ペイガン)と言うと、おどろおどろしい感じがありますが、日本やケルトの世界にもある多神教の歌のようなものと考えれば、異様なイメージも薄れ、分かりやすいでしょう。こういうヨーロッパの古層を掘り起こしてストラヴィンスキーは音楽史に残る大傑作(「春の祭典」)を書きました。衣装を見るとバイキング風に見えなくもないですが、この辺りに大きな影響を残したバイキング文化の要素も入っているのでしょうか。バイキングはロシア史を見る上でも外せないポイントです。
2本目にはスタルティネというリトアニア民謡のジャンルの歌唱を入れておきます。2声のカノンのスタイルで歌われるポリフォニーの一種で(ここでは3声?)、近い音程で2,3のパートが動くところがとても面白いです。スタルティネには「ホルモン」という訳が出てきましたが、たぶん他の意味もあるのでしょう。

MJRXVII Uždarymo Apeigos "Didysie mūsų!" (Lithuanian Pagan Thunder God Perkūnas Worship)

Joninių sutartinė (Lithuanian Midsummer folk song) Kūkal rože ratilio

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2017年5月24日 (水)

「春の祭典」とベラルーシやリトアニアのペイガニズム

ゼアミdeワールド58回目の放送、水曜夜に終りました。21日には前々回の放送(56回目)が流れてしまいましたが、今回はちゃんと58回目が流れました。<>内がかけた音源です。今回もイネディやメロディアの盤と全く同じ音源のyoutubeはおそらくないのではと思いますので、今日は「春の祭典」のみ上げておきます。民謡はもし見つかったら、また取り上げます。

今回はベラルーシと、北側に隣接するバルト三国の一つ、リトアニアの歌を聞いてみたいと思います。ZeAmiブログの方でベラルーシやリトアニアの伝統音楽を見ていると、結構Pagan Songというタイトルが目立つことに気がつきました。キリスト教化する前のペイガン(異教的)な雰囲気を感じさせる映像がありましたが、そこで出てくる民謡は、正に前回かけたユネスコ盤に入っているようなタイプでした。
ここで思い出したのがストラヴィンスキーの「春の祭典」で、この曲の冒頭に出てくる旋律がリトアニア民謡でしたから、今回はベラルーシからリトアニアにかけて、ペイガンな曲を探してみようかと思いました。そうは言いましても、一曲一曲詳細に吟味するのも難しいので、前回一曲かけましたロシアのメロディア盤2枚組の「ベラルーシの民族音楽アンソロジー」の中から、決まったテーマの部分を続けてかけてみます。今回じっくり聞いてみて、ユネスコ盤と音源が数曲ダブっていることにも気がつきました。ここにどうもペイガンな歌が有りそうだと言うことで、「春の祭典」を想起させる「春の歌」4曲を続けてどうぞ。

<ベラルーシの民族音楽アンソロジー~春の歌 56秒、38秒、1分5秒、50秒>

続いて、ストラヴィンスキーの「春の祭典」の冒頭部分をかけてみます。ストラヴィンスキーの自作自演です。リトアニア民謡をベースにしたファゴットから始まる序奏から、弦楽器を中心に同時に力強く鳴らされる同じ和音の連続とアクセントの変化による音楽に始まる乙女達の踊り「春のきざし」の辺りまでです。80年代にピナ・バウシュのバレエで「春の祭典」を見たことがありますが、どうもペイガンなyoutubeの映像と印象がダブります。

<ストラヴィンスキー / 春の祭典 ストラヴィンスキー指揮ニューヨーク・フィル 2分53秒、3分14秒>
Igor Stravinsky Le Sacre du Printemps Vaslav Nijinsky Version 1913 Ballett Mariinski Theater

自作自演はおそらく上がってないので、ニジンスキー・ヴァージョンのマリインスキー劇場管弦楽団とバレエ団の演奏で。何と言ってもあのニジンスキーですから、これが正調なのでしょう。指揮はもちろんヴァレリー・ゲルギエフ

露Melodiyaの2枚組は、春の歌、三位一体の日曜と聖ヨハネの生誕前夜の歌、収穫の歌、秋の収穫の歌、キャロルと祭りの歌、結婚式と出生の歌、非儀礼の叙情歌、器楽と言う風に分れています。異教的という観点で見れば、当然三位一体とかキャロルのようなキリスト教関連の歌は外れるのだろうと思います。
言語的には、ベラルーシはロシアやウクライナと同じ東スラヴ系ですが リトアニアとその北のラトヴィアはバルト語派で、共にインド・ヨーロッパ語族ではありますが、全く系統の異なるグループです。エストニアだけ、フィンランドと兄弟関係に当るウラル系のフィン・ウゴル語派になります。この辺りでベラルーシとリトアニアだけに共通するような異教的なイメージの曲があり、それがストラヴィンスキーにもインスピレーションを与えたのだとすれば、これはとても興味深い事実だと思います。
次にリトアニアの曲をかけてみます。フランスのIneditから出ている「バルトの歌声」には、ラトヴィア、リトアニア、エストニアの順に伝統音楽が入っていますが、その中からリトアニアの収穫の歌、結婚式の哀歌、ホイッスル、2声のカノンでのスタルティネなどの一部古い録音も聞けますが、キリスト教以前の儀礼歌も入っているようです。異教的だとしても、ベラルーシよりは穏やかな印象の曲が多いように思います。

これらの曲を聞きながら今回はお別れです。多分結婚式の歌の辺りで時間切れになると思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Baltic Voices~Lithuania 4分28秒、2分11秒、36秒、46秒、1分28秒、2分30秒>

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2017年5月22日 (月)

Ciurlionisの音楽

まず、ツイッターにも書きましたが、昨日の本放送は、5/7の放送分が再々度流れてしまっていました(u_u)  登録ミスだったそうです。24日の再放送で21日放送分が流れるようにお願いしておきました。
リトアニアの作曲家チュルリオニスですが、チュルリョーニス(Ciurlionis)という表記が一般的なようです。92年にセゾン美術館で絵が紹介されて一般に知られるようになったように思います。彼の幻想的な絵画と音楽は、とても印象が近く感じられ、オーケストラ曲ではワーグナーの影響もあるかなと思ったりもしますが、ウィキペディアにあるように「書法的にはシューマンやグリーグに近い」というのもとてもうなづけます。その他、「独自の幻想的な画風はカンディンスキーに影響を与え、ストラヴィンスキーもチュルリョーニスの絵画を持っていたことがある。」とか、「晩年に精神を病み、それ以降に作曲や描画において伝統と隔絶した作風をとるようになったことから、アール・ブリュの芸術家に分類されることもある。ロマン・ロランやオリヴィエ・メシアンもその作品に注目した。」など、特にロシアとフランスの先鋭的な芸術家にインパクトを与えていたようです。リトアニア独自の民族性が出ているのかどうか、それはまた見つかりましたらアップしてみます。一つ言えるのは、ロシア・東欧でも西欧でもない中間色のような色彩は、絵画だけでなく音楽にもにじみ出ているように思います。私の興味の強いジャンルからになりますが、彼の弦楽四重奏曲を上げておきます。

Ciurlionis Quartet - String Quartet in C Minor (M.K. Ciurlionis)

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2017年5月19日 (金)

リトアニアの女性の伝統歌

バルト語派については、数年前にもリトアニア、ラトヴィアだけでなく、プロシア語関係についても調べたように思います。しかしストラヴィンスキーの「春の祭典」の冒頭のファゴットの旋律がリトアニア民謡だったことは、今回初めて知りました。これは大きな収穫です。グルジアの男声合唱を「人類の作った最高の音楽」と絶賛したり、彼の旧ソ連内の民族音楽に関する引用やエピソードは他にも色々ありそうです。やはり女性の独唱に古い伝承が残っているのかなと思いますので、今日はそのタイプを上げておきます。タルコフスキーの映画に出てくるような茫洋とした感じが素晴らしいです。92年前後、池袋の店にいた頃に注目を浴びていたリトアニアの作曲家チュルリオニスについても、来週取り上げたいと思います。

Autentiška Dzūkų liaudies daina | South Lithuanian folk song - Ne bet kokia aš mergelė buvau

Oi toli toli (Authentic Lithuanian folk song | Autentiška lietuvių liaudies daina)

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2017年5月17日 (水)

ベラルーシとリトアニアのペイガン・ソング

ストラヴィンスキーの「春の祭典」を思い起こさせる、キリスト教化以前のペイガン(異教的)な雰囲気を感じさせる曲と映像が出たところですので、今日の次回番組収録ではベラルーシとリトアニアのペイガン・ソングをテーマにしました。音源はストラヴィンスキーの自作自演と、メロディアのベラルーシ音楽アンソロジー2枚組、イネディ盤のBaltic Voiceです。今日は先回りしてyoutubeをいくつか見てみようかと思います。
「春の祭典」では、冒頭のファゴットのメロディに、リトアニア民謡がモチーフとして使われていました。 太陽神への生贄として一人の乙女が選ばれて生贄の踊りを踊った末に息絶え、長老たちによって捧げられる、という筋の「春の祭典」には、キリスト教化される以前のロシアの原始宗教の世界が根底にあると言われますが、導入のモチーフがロシアではなく、リトアニアだったかと言う驚きがまずあります。旧ソ連内ではありますが、スラヴ系のロシアやベラルーシと、バルト系のリトアニア。同じインド・ヨーロッパ語族ではあっても全く別グループです。その関係について調べてみたくなりました。

Belarusian pagan song

Belarusian traditional pagan song - Lecieli żurauli

Lithuanian pagan folk song | Jurginių liaudies daina - Geras vakaras

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2017年5月15日 (月)

ベラルーシの伝統音楽

ゼアミdeワールド57回目の放送、日曜夕方に終りました。17日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今回もユネスコ盤の現地録音が中心ですので、youtube捜索は困難、もしくは多分データ自体無いと思いますので、似たイメージの曲をアップしておきます。

今回はベラルーシの音楽を聞いてみたいと思います。
ロシア、ウクライナと東スラヴの一角をなし、昔は「白ロシア」と呼ばれました。昨今はヨーロッパ最後の独裁者の話題が記憶に残り、戦中のパルチザンやチェルノブイリの原発事故など、悲劇的な印象も強い国ですが、地方色豊かな民謡や民話の宝庫として知られています。ベラルーシ語は、言語的にはロシア語とウクライナ語の中間に位置づけられます。
昔から日本ではベロルシアを訳した白ロシアとも呼ばれ、ソ連崩壊から20年以上経った今も、ほぼその名前通りのベラルーシと呼ばれています。国名の由来は、13~16世紀のモンゴルによる支配の、所謂「タタールのくびき」の頃に、モンゴル人が中国から学んだ文化である「方角を色で呼ぶ方法(五行思想)」をルーシ(ロシア)に持ち込んだため、赤ルーシ(南部ルーシすなわち現在のウクライナ西部)、白ルーシ(西部ルーシすなわち現在のベラルーシ)、黒ルーシ(北部ルーシすなわち現在のモスクワ周辺)という名称が生まれ、そのうちの白ルーシ(ベラルーシ)が国名として残った、とされています。ウクライナには小ロシアという一種の蔑称もありました。
ウクライナの北に位置し、東はロシア、西はポーランド、北はバルト三国のリトアニアとラトヴィアに接するこの内陸国で私がまず思い出すのは、第二次大戦中に東進するナチスドイツに相対し、全ベロルシアが一枚のパルチザン部隊となって戦い、国民の4人に1人が命を落としたと言われる、熾烈を極めた対独レジスタンスについてです。タイトルを忘れてしまいましたが、ナチスとの死闘を描いた映画が80年代にありました。
ベラルーシの音源は、ウクライナと同じくフランスのユネスコ・コレクションから一枚ありまして、最近になってロシアのメロディアからソ連時代の1962年~1986年録音の2枚組も登場しました。

GUDA: Belarusian Spring folk song "Oh, you white birch!" (белорусская народная песня)

ストラヴィンスキーの「春の祭典」のような、キリスト教化以前のペイガン(異教的)な雰囲気を感じさせる映像ですが、ここで出てくる民謡は、正にユネスコ盤に入っているようなタイプです。

ユネスコ・コレクションの方には、その第二次大戦中のパルティザンの歌が2曲入っておりますので、まずそれをかけてみます。女性達の合唱は「兵士の帰還の喜び」を歌っていますが、やはりこのトラックがこの盤の白眉のように思います。

<ベラルーシの伝統音楽~第二次大戦中のパルティザンの歌 6分52秒>

ベラルーシのユネスコ・コレクション盤は、南部のポレシエ地方の民謡が集成されていて、この地方はプリピャチ川の流域にあたる森林に覆われた地方で、伝統的な色彩の強い素朴で美しい歌が残っていた所です。ベラルーシ統一以前の古い歌や、コサックの多声歌なども収録されています。この盤の最初を飾っているクリスマス・キャロルと新年の歌を次にかけてみましょう。プリピャチと聞くと、チェルノブイリに近いというイメージがありますが、原発事故以前のこの録音からはその影響は当然感じられず、この長閑さには"伝説・昔話と歌の国"といわれた詩情豊かな国民性が確かに表われているように思います。

<ベラルーシの伝統音楽~クリスマス・キャロルと新年の歌 4分10秒>

バラードと題する歌唱では、コサック歌謡を思わせるポリフォニックな合唱を聞かせています。

<ベラルーシの伝統音楽~バラード 3分58秒>

露Melodiyaの2枚組からも特徴的な重唱を一曲かけておきましょう。ユネスコ盤にも似たタイプのロンドがありますが、近い音程で2つの声を合わせる歌声がとてもインパクト大です。曲名は和訳するなら「谷は深く、霧は広がっている」となると思います。歌唱はAnna KulakovskayaとAnton Makhnachという事ですので、男女の重唱でしょうか。Gomel地方の歌とあります。

<Anthology of folk music. Spirit of folk ~ BELARUS The Valley is wide, the Mist is spreading. 1分55秒>

最後に、スクリプカというヴァイオリンの独奏と、器楽演奏も多い「祭の歌と踊り」5曲をかけてみますが、歌では東スラヴそのものなのに対して、器楽の響きはロシアと言うより、どこかポーランドかスカンジナヴィアの音楽に近いものすら感じさせます。因みに、ロシア語でもヴァイオリンはスクリプカと言います。これらの曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<ベラルーシの伝統音楽~スクリプカの小曲 43秒>
<ベラルーシの伝統音楽~祭の歌と踊り 7分46秒>

Belarus Folk Music

器楽も同じ曲はないと思われますので、とりあえずこちらを。途中3分前辺りから打弦のツィンバロムが弾いている耳馴染みの旋律は、ロシアの「行商人」です。他は大体ベラルーシの音楽だと思います。

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2017年5月12日 (金)

ビンの踊り、糸つむぎ部屋の夜、三つの跳躍の踊り 他

「エチェル村の結婚式」から、放送でかけられなかったビンの踊り、糸つむぎ部屋の夜、三つの跳躍の踊り、を一挙にアップします。この盤は確か廃盤になったように思います。おまけで、「エチェル村の結婚式」の現在形でしょうか? とても興味深いライブ映像2本もどうぞ。ヴァイオリンをやっている者としては、縦に構えてッガッガと裏打ちで弾くリズム・ヴァイオリン(ヴィオラ?)はもちろん、ソリストのユニークなボウイングからも目が離せません。

Ecseri lakodalmas track 4

ビンの踊りは、頭の上にビンを乗せて踊る踊りで、結婚式の料理を作る手伝いに来ている隣近所のおかみさん達が、お鍋の底を叩くリズムに合わせて頭の上のビンを落とさないようにして輪になって踊る余興的な踊りです。甲高い印象的な音を出す笛は、羊飼いの縦笛のフルヤ(Furulya)です。

Ecseri lakodalmas track 5

糸つむぎ部屋での村の青年や娘たちの民謡風な情景を踊りに綴った舞台の音楽で、その素材は、サボーチ・サツマール県を中心にしたハンガリー東北部の民謡を用いています。

Ecseri lakodalmas track 8

三つの跳躍の踊りは、最も一般的な女性の踊りで、ハンカチを振りながら小さく飛び跳ねて地面を打つ靴の音でリズムを作って踊ります。ドナウ川以東の民謡の宝庫と言われる、南部のカローチャとデッチなどの村々で歌われる有名な民謡が素材になっています。

Ecsédi lakodalmas magazin 1


Ecsédi lakodalmas magazin 2

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2017年5月10日 (水)

Ecseri Lakodalmas

「エチェル村の結婚式」(Ecseri Lakodalmas エチェリ・ラコダルマシュ)の実演映像が結構ありまして、しかも50、60年代のかなり古い映像もあります。いかにこの作品がハンガリー民族音楽において重要な曲であるかの証左ということでしょうか。美しい刺繍を施された民族衣装を眺め、ポントゾーとかのブーツをはいた男性の踊りを見るだけでも、実に楽しく懐かしく思います。
水曜の収録では、ベラルーシ音楽を取り上げました。次回もう一回ベラルーシでやるか、合唱繋がりでバルト三国に回るか考え中です。店にはサブノートを持って行っておりまして、HP作成ソフトはまだ入ってないので、本器を立ち上げずサブでブログアップする場合、トップページの更新は出来ませんが、その点はどうぞご了承くださいm(__)m

Ecseri lakodalmas (1952) - Állami Népi Együttes

MÁNE ECSERI LAKODALMAS 1988 14 Ecseri lakodalmas.avi

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2017年5月 8日 (月)

エチェル村の結婚式

ゼアミdeワールド56回目の放送、日曜夕方に終りました。10日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

前々回に作者不詳のチャールダッシュハ短調という曲をかけまして、ZeAmiブログでこの曲のyoutubeを何本か取り上げました。とても印象的なメランコリックな名旋律だったと思います。
ウクライナの次はベラルーシを予定していますが、その前に今回はチャールダッシュハ短調の入っていた「エチェル村の結婚式」(Ecseri Lakodalmas)を特集してみたいと思います。演奏はハンガリー国立民族アンサンブルで、彼らは1977年頃来日して、その舞台が当時テレビで放映されました。私はTVからカセットに録音しまして、今でも手元にあります。いつもこの番組のオープニングにかけているペルシア音楽の、ほぼ同じパーソネルの盤で初めて聞いたのが79年、その前の1977年に初めてハンガリー音楽を聞いたのがこの「エチェル村の結婚式」という事で、どちらも甲乙付けがたい程とても思い出深い一枚です。この録音は1996年にハンガリーHungarotonからCD化されております。今回はハンガリー音楽やアイヌ音楽の専門家として知られる谷本一之さんの名解説を参考にしながら進めたいと思います。77年リリースのビクターのLP解説を参照しております。
まず一曲目のゾルタン・コダーイ作曲のカーロー民族舞曲からどうぞ。解説は曲が終ってから入れます。

<エチェル村の結婚式~カーロー民族舞曲 6分27秒>
The Kálló Double Dance


この曲は1951年にコダーイがこのアンサンブルのために作曲した曲で、ジプシー楽団の演奏スタイルを念頭におきながら、それを一回り大きくしたアンサンブルと混声合唱のために書かれた舞踊曲です。使われている民謡はコダーイが1938年にハンガリー東部のサボーチ・サツマール県のノジュカーロで収集したもので、曲名はこの地方名から来ています。

次は2曲目に入っている「セークの音楽」です。セークというのは、今はルーマニア領になっているエルデーイ地方のコロジュヴァールに近い村ですが、このトランシルヴァニアのエルデーイ地方というのは、三方を山に囲まれて交通が不便なことが手伝って、最も古く伝統的なハンガリーの民族伝統が豊かに受け継がれている所として知られています。原曲はライタ・ラースローが1940年頃に収集し1954年に出版したセーク・コレクションから選ばれていて、この楽団の音楽監督グヤーシュ・ラースローが編曲を手掛けています。

<エチェル村の結婚式~セークの音楽 6分48秒>
Music from Szék


そして続けて出てくるのが、作者不詳のチャールダッシュハ短調でした。冒頭のメランコリックな旋律と、速い部分での火花を散らすようなジプシー・ヴァイオリンの名人芸が聞き所ですが、先の2曲のような素朴な民族音楽と比べると、その洗練具合がよく分るかと思います。再度かけてみます。

<エチェル村の結婚式~チャールダッシュハ短調 2分44秒>
Csárdás in c-moll


この後、ビンの踊り、糸つむぎ部屋の夜、リストのハンガリー狂詩曲2番(96年のCDではイムレ・チェンキのハンガリーのジプシーの踊り)と続きますが、時間の関係で割愛しまして、その次に入っているのが、自身の楽団を率いて世界的に活躍したジプシーの名ヴァイオリニストで、チャールダッシュの前進の後期ヴェルブンコシュ音楽の代表的作曲家だった19世紀初頭のビハリ・ヤーノシュを偲ぶ「ビハリの想い出」と言う曲です。彼は古い大衆歌曲をヴェルブンコシュの旋律として取り入れた大衆的な作曲家でしたが、ウィーン風なロマンティックな旋律の作曲家でもあったそうです。「ビハリの想い出」の中には彼の作品から5曲が取り上げられています。

<エチェル村の結婚式~ビハリの想い出 4分38秒>
In Memory of Bihari


8曲目には「3つの跳躍の踊り」が入っていますが、こちらも時間の関係で割愛しまして、その次にこのアルバムのラストを飾っているのが、アルバムタイトル曲の「エチェル村の結婚式」です。この曲を聞きながら今回はお別れです。ブダペストに近いエチェル村に伝わる結婚式の風習を基に人生を描いたマロシュ・ルドルフ作曲の創作舞踊の音楽です。ヴェルブンコシュやチャールダッシュなどが鏤められて紙芝居のように出てきます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<エチェル村の結婚式~エチェル村の結婚式 12分22秒>
Wedding at Ecser

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2017年5月 4日 (木)

ツィゴイネルワイゼンとチャールダッシュ

ツィゴイネルワイゼンについて書くと言いながら、まだでした。スペインの作曲家サラサーテが、何故ハンガリーの民族舞曲チャールダッシュに則った曲を書いたのか、長らく謎だったのですが、19世紀にヨーロッパでチャールダッシュが大流行し、ウィーン宮廷から禁止令まで出る程だったというのを知って、納得しました。ブラームスやシューマンなどが、ハンガリーのジプシー音楽を取り入れながら、それぞれの特色を生かした曲を書いていましたが、サラサーテはヴァイオリンのヴィルトゥオーソらしい非常に技巧的な難曲を書きました。彼の他の作品では、サパテアードのようなスペイン音楽に則った曲がほとんどで、その中でツィゴイネルワイゼンは、突然ハンガリー風ですから、やはり異色です。ハンガリーのジプシー音楽では、猛烈な速弾きはあっても、左手のピチカートまで入れては弾いてなかったと思いますから、その超絶技巧はサラサーテの創作と見て良いように思いますが、どうでしょうか。
サラサーテの楽譜に忠実にジプシーの演奏家が弾いている映像があれば是非見てみたいですが、まずはハンガリーに近いルーマニアの女流ヴァイオリニストRusanda Panfiliの妙技でアップしておきます。タイトルにMelodii Lautarestiとありますが、ルーマニアの職能音楽家ラウタルのことだと思います。

Pablo de Sarasate - Zigeunerweisen Gypsy Airs Melodii Lautaresti

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2017年5月 2日 (火)

ロシアのヴェスニアンカ?

放送でかけたような女性の地声合唱の民謡原曲を探していたら、ロシア側の合唱のようですが、веснянка(ヴェスニアンカ)の表記が確かにあります。ロシア語で「春」はヴェスナーですから、ヴェスニアンカというウクライナ語も容易に意味が類推できるのですが、ロシアでも春の歌(民謡)のことを、こう呼ぶのでしょうか? 2本目にはрусская народная песня(ルースカヤ・ナロードナヤ・ペスニャ=ロシアの民謡)と、はっきり出ています。2本目は間違いなくロシアの歌だと思います。放送で少しかけたBoheme Musicの音源に似た、非常に素晴らしい歌唱です。マイクなしで鮮烈な歌声を響かせ、こういう風に指揮のように振りが入るのかとか、衣装や歌っている時の凛とした表情などを確認できて、非常に嬉しい映像資料です。しばし、聞き惚れました。

Летела Стрела ☀ Вся Надєжда / весенняя закличка, календарная обрядовая песня веснянка

Черный ворон воду пил ☀ Вся Надєжда / обрядовая свадебная хороводная русская народная песня

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2017年5月 1日 (月)

веснянка ヴェスニアンカ

ゼアミdeワールド55回目の放送、日曜夕方に終りました。3日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今回はさすがにyoutubeはおそらくほとんど無いだろうと思いますので、見つかった曲だけ今週中に上げられればと思います。ヴェスニアンカも、放送でかけたような民謡原曲ではなく、アレンジが入って耳当りが良くなっています。2本ともアップした曲とは別です。

前々回に西ウクライナの音楽を取り上げましたので、今回はウクライナ音楽の4回目として、東部と北部を中心にクローズアップしてみたいと思っておりましたが、日本の倍近い面積の大きな国ですので、地方によって音楽も少なからず違っていて、その中では前々回のルーマニアやハンガリーの音楽に近い西ウクライナのブコヴィナやイヴァノ・フランキフスケ地方辺りの音楽が特に異彩を放っていました。何度か取り上げましたユネスコ・コレクションの「ウクライナの伝統音楽」では、各地方の音楽が混在していまして、それぞれがどの方面に当るか調べてみましたが、西ウクライナだけでも、他にポーランドに近い音楽があったり、かなり地方色が豊かなことが浮き彫りになってきました。

ユネスコ盤では、季節ごとの歌もまとめられていますので、順に取り上げてみたいと思います。ベラルーシやポーランドに近い北西部のリヴネ地方のヴェニスアンカと呼ばれる「春の歌」を4曲続けてかけてみます。

<ウクライナの伝統音楽~春の歌1 38秒>
<ウクライナの伝統音楽~春の歌2 1分12秒>

Веснянка - Ukrainian Dance


Веснянка - Побреду


次は中西部のジトミール地方の合唱で、南スラヴ系にかけてよく聞かれる独特の叫び声がつきます。

<ウクライナの伝統音楽~あの山の上に 58秒>

次はリヴネ地方のヴェスニアンカの合唱です。

<ウクライナの伝統音楽~牧人 1分35秒>

続きまして、「夏の歌」ですが、中西部のフメルニツキ地方の祭り歌の合唱です。

<ウクライナの伝統音楽~柳の近くの小川で 1分52秒>

次は中西部ジトミール地方の合唱で、聖ペテロの祭日(6月24日)の歌です。男も女もリボンや花で飾り立てて歌う求婚の歌でもあります。

<ウクライナの伝統音楽~今日は聖ペテロの日だ 1分21秒>

次は北部のチェルニヒヴ地方の収穫の歌で、畑で仕事をしながら歌われる昔からの形式を残した合唱です。

<ウクライナの伝統音楽~草を刈る人 1分41秒>

次は中西部ジトミール地方の合唱で、こちらも古風な儀礼的な歌の一つです。各節ごとに独特な裏声が入ります。

<ウクライナの伝統音楽~日没 1分15秒>

続きまして、結婚の歌も数曲入っております。まずは北部チェルニヒヴ地方の合唱で、花で飾られた式用の木を捧げての花嫁の行列のメンバーによって、東北ウクライナに典型的なスタイルで歌われています。

<ウクライナの伝統音楽~花飾りのために 1分22秒>

次は中西部フメルニツキ地方の女性合唱で、花嫁の髪をときほぐしながら歌われる儀式歌です。花嫁は生家を離れる悲しみに泣いていると言う内容で、日本の、金襴緞子の帯締めながら花嫁御寮は何故泣くの、と始まる「花嫁人形」をすぐさま思い出させます。

<ウクライナの伝統音楽~どうして嘆き悲しむの 2分16秒>

コサックの歌も入っておりまして、手回しヴァイオリンのハーディーガーディーを弾き語っています。ふくろうが戦場で死んだ一人のコサックについての知らせを彼の妻子に伝えるという歌です。

<ウクライナの伝統音楽~ふくろうよ、もう不吉を告げないで 3分35秒>

次は東北部のハルキフ地方に伝わる無伴奏の合唱による若い女性の嘆き歌で、コサック起源の旋律のようです。ウクライナ草原地帯の典型的な節回しです。

<ウクライナの伝統音楽~夜明けの母さん 1分31秒>

次はリイイ地方の野外での歌と踊りの曲で、ポーランド系のテンポ・ルバート風なポルカ・リズムが特徴的です。

<ウクライナの伝統音楽~広い流れのドナウで 1分18秒>

では、最後にウクライナ盤のヴェスニアンカを聞きながら今回はお別れです。女性のみの「春の歌」ヴェスニアンカをレパートリーの中心にしている、リヴネ地方のおそらく同名の合唱グループですが、これからかけます「オイ・ナ・ゴーリェ・イ・スーヒー・ドゥーブ」という曲はパブートヴァという別なジャンルになるようです。とても印象的な曲です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<ヴェスニアンカ/オイ・ナ・ゴーリェ・イ・スーヒー・ドゥーブ 3分>

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