ツィゴイネルワイゼンとチャールダッシュ
ツィゴイネルワイゼンについて書くと言いながら、まだでした。スペインの作曲家サラサーテが、何故ハンガリーの民族舞曲チャールダッシュに則った曲を書いたのか、長らく謎だったのですが、19世紀にヨーロッパでチャールダッシュが大流行し、ウィーン宮廷から禁止令まで出る程だったというのを知って、納得しました。ブラームスやシューマンなどが、ハンガリーのジプシー音楽を取り入れながら、それぞれの特色を生かした曲を書いていましたが、サラサーテはヴァイオリンのヴィルトゥオーソらしい非常に技巧的な難曲を書きました。彼の他の作品では、サパテアードのようなスペイン音楽に則った曲がほとんどで、その中でツィゴイネルワイゼンは、突然ハンガリー風ですから、やはり異色です。ハンガリーのジプシー音楽では、猛烈な速弾きはあっても、左手のピチカートまで入れては弾いてなかったと思いますから、その超絶技巧はサラサーテの創作と見て良いように思いますが、どうでしょうか。
サラサーテの楽譜に忠実にジプシーの演奏家が弾いている映像があれば是非見てみたいですが、まずはハンガリーに近いルーマニアの女流ヴァイオリニストRusanda Panfiliの妙技でアップしておきます。タイトルにMelodii Lautarestiとありますが、ルーマニアの職能音楽家ラウタルのことだと思います。
Pablo de Sarasate - Zigeunerweisen Gypsy Airs Melodii Lautaresti
| 固定リンク
「スペイン」カテゴリの記事
- Gregorio Paniaguaのその後(2020.11.04)
- Gypsy Music from HungaryとZingariから(2019.07.22)
- ツィゴイネルワイゼンとチャールダッシュ(2017.05.04)
- Historia de los Cataros(2016.01.27)
- パコのモノクロ映像(2014.02.27)
「ハンガリー」カテゴリの記事
- ダブルトーンのブルウ、オルトのドイナ、「葬儀:雄鶏」(2022.05.27)
- トランシルヴァニアの結婚式の儀礼歌(2022.05.26)
- エネスコのツィゴイネルワイゼン(2022.05.04)
- ハンガリーのユダヤ人の民謡(Magyar zsidó népzene)(2022.04.29)
- ドハーニ街シナゴーグのSzol a kakas mar(2022.04.28)
「ヴァイオリン」カテゴリの記事
- 更にエネスコのヴァイオリン・ソナタ第3番(2022.05.24)
- Ami Flammerのヴァイオリン(2022.05.20)
- メニューイン兄妹、イダ・ヘンデル、Savitri Grier(2022.05.19)
- エネスコ自作自演のヴァイオリン・ソナタ第3番(2022.05.18)
- エネスコのヴァイオリン・ソナタ第3番 コパチンスカヤ(2022.05.16)
コメント