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2017年6月

2017年6月30日 (金)

チュニジアのリク(タール)

アラブのリク(タール)の独奏映像も色々ありましたが、チュニジアの音楽学校で打楽器を教えているHatem Ammousという人のビデオが、大型枠太鼓ベンディールや片面太鼓ダラブッカも比較で交互に叩いていて面白く見れました。リクの小さいシンバルの扱い方が繊細極まりなく、シンバルを鳴らさない叩き方も交えて、あの複雑なリズムを叩き分けていて驚きを覚えます。3本目もチュニジアのLassaâd Hosniという打楽器教授のデモ演奏で、こちらも素晴らしいです。
昨日は早々寝落ちしてしまって、タランテラのクラシックでの使用例などを考えていましたが出来なかったので、アラクネ・メディタレネアの中の哀愁の名旋律Klamaを上げておきます。先日放送でかけたピッツィカの前の曲です。南イタリアのこういうメロディは、どこかギリシアのハジダキスなどの歌に通じるものを感じます。

frame drum Video Podcast - Special Edition - Part 4

frame drum Video Podcast - Special Edition - Part 3

Riq bendir darbouka

Klama

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2017年6月28日 (水)

南イタリアのタランテラ

イタリアは、北が「ヨーロッパ」で、南はアラブっぽいところがあると、たまに聞きますが、伝統舞曲のタランテラの激しいリズムや枠太鼓タンブレッロ(あるいはタンブリン)を聞くと、本当にチュニジアの音楽に似た部分が聞こえるように思います。20年ほど前にフランスのAl Sur(活動停止してしまったレーベルです)から出ていたArakne Mediterraneaは、その後イギリスのARCから多分そのままの内容で再発されております。確か2枚あったアル・スール盤の印象は鮮烈で、前回の放送でかけましたが、今でもよく覚えていました。女性歌手の歌う哀愁の旋律も秀逸でした。このグループ、youtubeは結構有りましたから、今でも盛んに活動しているようです。旋回の入るところも、北アフリカと共通していると言えるかも知れません。

Arakne Mediterranea Pizzica Finale NDT 2011 - Calimera (LE).mpg

Kali nifta

Μεσογειακοί Διάλογοι - Arakne Mediterranea - 1

昨日ですが、HPは変更せずに、8月2日の加藤吉樹さんのウード・ソロのライブ情報だけ入れました。カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークでの開催です。もう一度、以下に書いておきます。

<ライブ情報>
カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークで初のライブを行うことになりました。チラシが出来ましたらまたアップしますが、取り急ぎお知らせ致します。
限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。
加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ウード、ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブ。

タイトル  加藤吉樹 ウード・ソロ

日時 2017年8月2日 水曜日  6時開場 7時開演

場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗) 
   今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階)
   駐車場5台のため、徒歩でのご来場をお願いします。

チャージ 2000円 (1アイスコーヒー付き)

ご予約・ご連絡先 
VYG06251@nifty.ne.jp

加藤吉樹 ウードの奥の音
http://yoshikioud.blog115.fc2.com/

Alf Leyla Wa Leyla~アラブ音楽とベリーダンス~
https://www.youtube.com/watch?v=Ac4h0bCDZtY

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2017年6月27日 (火)

ライブ情報~加藤吉樹 ウード・ソロ

カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークで初のライブを行うことになりました。チラシが出来ましたらまたアップしますが、取り急ぎお知らせ致します。

限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。 加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブ。

加藤吉樹 ウード・ソロ

日時 2017年8月2日 水曜日  6時開場 7時開演

場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗) 

今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階) 駐車場5台のため、徒歩でのご来場をお願いします。

チャージ \2000 (1アイスコーヒー付き)

ご予約・ご連絡先  VYG06251@nifty.ne.jp

加藤吉樹 ウードの奥の音 http://yoshikioud.blog115.fc2.com/

Alf Leyla Wa Leyla~アラブ音楽とベリーダンス~ https://www.youtube.com/watch?v=Ac4h0bCDZtY

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2017年6月26日 (月)

世界のフレームドラム タンブレッロ、レク、パンデイロ、ダフ他

ゼアミdeワールド63回目の放送、日曜夕方に終りました。28日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今回はCD音源が余りない場合が多いので、youtube音源も色々ご紹介しました。番組でかけたyoutubeが多いので(ブラジルの最初の2本は番組では未紹介)、CD音源の南イタリアとチュニジアは、水曜以降に探してみます。

リスナーでZeAmi実店舗カフェのトーク・トークにも来て頂いたことのあるHさんからフレームドラムをリクエスト頂きまして、前回は南インドのフレームドラムであるカンジーラを中心に聞きましたが、この類の太鼓は世界中にありますので、他の国の楽器を少し聞いてみたいと思います。タンバリンなどのフレームドラム(枠太鼓)の起源を遡ると古代エジプトに行き着くようですが、そのヘブライ語名はトフと言いまして、これは中東で現在も使われるダフと名前でも直接繋がっています。まずは南イタリアの舞曲タランテラに使われるタンバリンから聞いてみたいと思います。ジルジオ・ディ・レッチェのArakne Mediterranea(アラクネ・メディテラネア)、副題「サレントのタランテラ」からピッツィカという曲です。

<Arakne Mediterranea / Giorgio Di Lecce - Pizzica 4分13秒>

タランテッラは、イタリア南部の「長靴のかかと」辺りの舞曲で、タランタ、ピッツィカ、シェルマの3つのタイプがありまして、先ほどの盤では分けて演奏しています。イタリアの対岸のチュニジアやアラブ諸国には、リク(あるいはレク、タール)がありますので、元々アラブの楽器だったものが、イタリアに渡ったのだろうと思います。他にも南イタリアで超絶技巧で低音豊かな演奏の入った盤もありましたが、大分前に売り切れましたので、お聞かせできなくて残念です。レーベルは確かAl Surでしたが、youtubeにそのCARLO RIZZOの演奏を含む、ADEL SHAMS EL DINのアラブのリク、RAVI PRASADの南インドのカンジーラ、PAUL MINDYのブラジルのパンデイロの共演映像がありましたので、その音源をかけてみます。

<TRANS(E)TAMBOURINS CARLO RIZZO PAUL MINDY RAVI PRASAD ADEL SHAMS EL DIN 1分33秒>


カルロ・リッツォのタンブレッロのソロもありましたので、次にどうぞ。

<Tamburello by Carlo Rizzo 1分30秒>


次にアラブのリク(あるいはレク、タール)も少し聞いてみたいと思います。チュニジアのアンサンブル・スラーフ・マナーの演奏で、スラーフ・エッディン・マナーのナイ、ジャメル・アビッドのカーヌーン、リダ・シェマクのウード、ナビル・ザミートのヴァイオリン、ズバイル・メッサイのタールという編成で、タールと言うのが、紛らわしいのですがマグレブの方では弦楽器ではなくて、トルコ起源のタンブリン系枠太鼓の呼称になっています。まずエジプトの音楽を取り上げた際にもかけましたが、リヤド・アル・スンバティ作曲の不朽の名曲「ルンガ・ファラハファザ」をかけてみたいと思います。

<アンサンブル・スラーフ・マナー / ヴァリエテ・ミュージック・アラブ ルンガ・ファラハファザ 3分28秒>

この曲の中で軽快にリズムを刻んでいたタールのソロを次にどうぞ。アラブのリズム体系をイーカーと言いますが、ここではサマイ・サキール(10/8)、マクスーム(4/4)、マスムーディ(8/4)などとイーカーを変えて演奏しています。

<アンサンブル・スラーフ・マナー / ヴァリエテ・ミュージック・アラブ タール・ソロ 2分23秒>

Frame drumと言うのは、楽器の中でも世界最古と言われる片面太鼓の総称ですが、世界中にどんな楽器があるか少し並べてみますと、イランのDayereh、アラブのBendir、イランやアラブのDaf、モーリシャスのRavanne、アイルランドのBodhran、ウクライナやロシアのBuben、ウズベキスタンのDoyra、ブラジルのPandeiroなどが特に知られています。今回は一度に取り上げられませんが、またそれぞれの国の音楽に廻ってきたら気にかけてみたいと思います。
今回はブラジルのパンデイロをメインにこの後聞いてみようと思います。

去年の8月にブラジル特集をやりましたが、その際に日本のサンバ歌手ゲーリー杉田さんの音源をかけました。彼が今治でライブをされた時に、パンデイロの妙技を披露されて、低音がすごく豊かなことに驚きました。サンバチームの中にはソロで入っている楽器ですが、余り拡大して聞く機会もなく、ゲーリーさんのCDにもそれだけでは入ってなかったので、youtubeから音源を拾ってみました。それらを少し聞いてみましょう。

<Pandeiro Popular Brasileiro - Video Aula>


<pandeiro solo 1分30秒>


<pandeiro demonstration 2分45秒>


アイルランドのトラッドに使われるボドランのソロもyoutubeにはありました。バチを柔軟に使って色々な音を出しています。

<Bodhran Demonstration 1分>


イランやクルドなどで叩かれるダフのソロを聞きながら今回はお別れです。ダフは大きな枠太鼓で、シンプルな構造ながら、迫力のある低音に富んでいて、実に多彩な音色を聞かせる楽器です。
今回はCD音源が余りない場合が多いので、youtube音源も色々ご紹介しました。ZeAmiブログでは、これらのyoutubeも見れるようになっておりますので、是非併せてご覧下さい。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Iranian woman daf solo 1分30秒>

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2017年6月22日 (木)

パルガット・マニ・アイエルのムリダンガム

色々と南インドの打楽器を見ましたが、個人的に一番好きなのはどれかと言いますと、実はムリダンガムです。1980年前後の故・小泉文夫氏のNHKFM「世界の民族音楽」のエンディングにムリダンガム・ソロがかかっていたように記憶していますが、北インドのタブラよりも古めかしく重々しい迫力のある音がして、更には南インド古典音楽らしい複雑なリズム構造が確かに感じられ、そういうところに魅了されました。タブラとは一味違う強力なドライブ感があります。
この楽器の名手の中でも、往年の巨匠たちと共演してきて録音の多いのは、パルガット・マニ・アイエルではと思います。1912年生まれ、1981死去で、かなり前の人ですから、youtubeで彼の生映像が見られるのは余りないようです。2本目は若手奏者の演奏ですが、ムリダンガムの基礎的な叩き方が少し分かるので、一緒に上げておきます。

Palghat T. S. Mani Iyer plays a solo on the mridangam

Mridangam Master

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2017年6月21日 (水)

ハリシャンカルのカンジーラ

マハリンガムの伴奏もしていましたが、キングのWORLD ROOTS MUSIC LIBRARY「超絶のリズム」でも知られるカンジーラ名人のハリシャンカル(1958-2002)のソロで凄い映像を探していました。カライクディ・マニのムリダンガムとのデュオが特に凄まじかったです。コメントにout of the worldとありますが、正にそんなインパクトがあります。白人のように見えるアルビノだったからでしょうか、残念ながら44歳くらいの若さで亡くなっていました。2本目は「超絶のリズム」と同じ頃の映像でしょうか。タブラのザキール・フセインと共演しています。

Karaikudi Mani and G Harishankar - Mridangam and Ganjira Drum Solos

Khanjira maestro G. Harishankar & Zakhir Hussain

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2017年6月19日 (月)

南インドの打楽器

ゼアミdeワールド62回目の放送、日曜夕方に終りました。21日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。オコラ盤と同じ音源はおそらくないと思いますので、類似の映像を上げておきます。

今回からコーカサスの予定でしたが、リスナーでZeAmiのお客様でもあるHさんからリクエストがありましたので、後2,3回インド関連の音楽で続けたいと思います。前回のインドの打楽器編が面白かったと伺いました。タブラに関しては既にかなりポピュラーな楽器ですので、その他の打楽器をとのご希望で、特に枠太鼓(フレームドラム、タンバリンの類)に最近強い関心があるそうですので、その辺りの音源を捜してみました。
まずインドでは、南インドでよくトリオで演奏される楽器の一つカンジーラです。先週かけました両面太鼓のムリダンガムと素焼き壷のガタムとのトリオになりますが、その小ささからは信じられないような低音と、多彩な表現が可能な太鼓です。大型の枠太鼓なら、中東一帯で叩かれるダフも有名ですが、小さな膜面なのに低音が出る楽器と言う事になりますと、カンジーラの他にアラブのレクや、南イタリアのタンバリンやブラジルのパンデイロがあります。まずはオコラの南インド古典音楽アンソロジー4枚組からカンジーラのソロをどうぞ。演奏はナガラージャンという人です。

<Anthology of South Indian Classical Music - Kanjira with Solkattu / V.Nagarajan 4分40秒>

Remo + Selvaganesh: Kanjira Basics

カンジーラと言えば、セルヴァガネーシュが今一番有名だと思います。

続いて、同じようにリズムパターンを唱えてからのソロですが、素焼き壷の打楽器ガタムの独奏をどうぞ。演奏はガタムの名手ヴィナヤクラムです。

<Anthology of South Indian Classical Music - Ghatam with Solkattu / T.H.Vinayakram 5分34秒>

Amazing Indian Percussion-1(Solo ghatam) watch the ending!


南インド古典音楽アンソロジー4枚組には、南インドの口琴モールシンの演奏も入っておりますので、併せてかけてみます。モールシン名人のスバシュチャンドランによる短いソロ2曲です。

<Anthology of South Indian Classical Music - Moorsing with Solkattu & Solo of Moorsing / T.H.Subashchandran 1分12秒、1分4秒>

PALANI K.V.ARUMUGAM-MORSING SOLO


続いてこれらの南インドの打楽器が合わさって合奏が行われておりまして、14分近い全曲を次におかけします。両面太鼓のムリダンガムが中心になっております。演奏はGuruvayoor Doraiのムリダンガムと、ナガラージャンのカンジーラ、ヴィナヤクラムのガタム、スバシュチャンドランのコンナコル(リズムの口唱)で、この順にまずソロのリレーで出てきます。

<Anthology of South Indian Classical Music - Tala Vadyam 13分40秒 抜粋>

Karaikudi Mani and Harishankar 1/2

ガタムは入っていませんが、カライクディ・マニのムリダンガムと、キングのWORLD ROOTS MUSIC LIBRARY「超絶のリズム」(現在のシリーズでは「インド古典パーカッション」)での演奏でも知られるハリシャンカルのカンジーラの超絶のデュオで。

今回はこの曲で締めたいと思います。次回は、南イタリア(長靴のかかとに当たる地方)やアラブのフレームドラムなども取り上げる予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

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2017年6月16日 (金)

ニキル・バネルジー&アニンド・チャテルジー

マハプルシュ・ミシュラの動画を更に探している内に、カルカッタのシタールの巨匠ニキル・バネルジーと、タブラ名人アニンド・チャテルジーの、レクチャー付の素晴らしい一本を見つけました。演奏も素晴らしいし、シタール、タブラそれぞれの解説とデモ演奏まであって、最高です。
アニンド・チャテルジーと言えば、吉見さんの後でU-zhaanさんが師事したタブラ奏者で、80~90年代にワールドミュージックシーンを賑わせたインド音楽専門レーベルのChhanda Dharaの常連奏者でした。このレーベルの盤のタブラ伴奏は、アラ・ラカ、ザキール・フセイン、アニンド・チャテルジー、スワパン・チョードリーの4人がほとんどを占めていたようにも思います。吉見さんのタブラレッスンでも度々彼の名が出て、「オーニンド」と呼ばれていたのをよく覚えています。この美しい指裁き、もしかしたら5人の中で一番好きかも知れません。(92年頃タブラに目が向いたきっかけは実はラヴィ・シャンカルと共演していたクマール・ボースの妙技でしたが)
2本目には、私が個人的に一番好きな北インドのラーガ、キルワーニによるバネルジーの演奏がありましたので、一緒に上げておきます。艶っぽく哀愁味のある極めて美しいラーガです。こちらもタブラはオーニンドです。バネルジーが1986年に54歳の若さで心臓発作のため亡くなったことを、今日知りました。一本目はその2年前の映像です。

Pandit Nikhil Banerjee BBC 1984

[Video] Raag Kirwani by Pandit Nikhil Banerjee with Pandit Anindo Chatterjee (Tabla) at Eastern Eye

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2017年6月15日 (木)

アリ・アクバル・カーン&スワパン・チョウドリー

やはりサロッドの帝王とも言えるアリ・アクバル・カーンとマハプルシュ・ミシュラとの共演の生映像は見当たりませんが、カルカッタの名手スワパン・チョウドリーの伴奏はありました。より至近距離から至芸を見られる貴重な映像だと思います。数年前に遂に亡くなった時は、正に巨星墜つと思ったものです。シタールのラヴィ・シャンカルと60年代からのインド音楽人気を支えた巨人でした。これほどのサロッド名手は、もう出ないのではとさえ思います。

Ustad Ali Akbar Khan & Sri Swapan Chaudhary

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2017年6月14日 (水)

ミシュラとスワパン、ザキール

今日の収録では、リスナーさんからご希望がありましたので、南北インドの打楽器中心にもう少し続けることにしまして、南インドの枠太鼓カンジーラなどをかけました。ですので、ブログでは今週は北インドの方をもう少し見ることにしたいと思います。
マハプルシュ・ミシュラがシタールの巨匠ニキル・バネルジーと共演している生映像がありました。ミシュラの動画は、もしかしたらほとんどないのかも知れません。大変に切れ味鋭い演奏をしているのがよく分かります。サロッドの巨匠アリ・アクバル・カーンとの共演映像もあったらと思いましたが、これは今の所見つかっておりません。スワパン・チョードリーとザキール・フセインのタブラ伴奏の映像がありましたので、3名人のタブラの芸風の違いを見比べるためにも貼ってみます。サロッドの大巨匠アリ・アクバル・カーンの至芸も見ものです。

[Video] Pandit Nikhil Banerjee with Pandit Mahapurush Mishra

Swapan's Reflections

Baba Jedi & Zakir Hussain Concert for Yahveh act 1

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2017年6月12日 (月)

南北インドの打楽器 タブラ、パカワジ、ムリダンガム

ゼアミdeワールド61回目の放送、日曜夕方に終りました。14日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

先週は南北インド音楽を横笛中心に少し聞きましたので、今回は同じく南北インド古典音楽の太鼓を少し聴き比べてみたいと思います。まず北インドのタブラの方からです。タブラと言えば、日本ではU-zhaanさんが最近大きなスポットを浴びていますが、上の世代なら吉見征樹さんや逆瀬川健治さんが特に有名です。吉見さんの師匠のザキール・フセインと彼の父のアラ・ラカがインドで最も有名なタブラ奏者だと思いますが、逆瀬川さんの師匠のマハプルシュ・ミシュラもカルカッタの名手として有名で、アラ・ラカがシタール奏者のラヴィ・シャンカルとよくコンビを組んでいたように、マハプルシュ・ミシュラはサロッド奏者のアリ・アクバル・カーンやシタール奏者のニキル・バネルジーとよく演奏していました。2013/06/28のZeAmiブログに少し記事を書いておりましたので、読み上げます。
「逆瀬川さんは、やはり20年ほど前にライヴで一度拝見しました。雲の上の名人のようなイメージのマハプルシュ・ミシュラの弟子、というのが強烈に記憶に残っていました。師譲りの切れ味鋭いテクニックと、芳醇な味わい深いタブラです。」
では、そのマハプルシュ・ミシュラの独奏で、最も代表的なターラ(リズム周期)のティーンタール(4+4+4+4の16拍子)の演奏をどうぞ。アリ・アクバル・カーンがこのターラが分かり易くなるようにサロッドでメロディを添えています。ゆったり始まって、どんどん速くなる超絶技巧を披露しています。

<Mahapurush Misra, Ali Akbar Khan / North Indian Drums - Slow Tin-Tal 9分25秒>
mahapurush-misra-tablaclip.avi


MAHAPURUSH MISRA CD RYTHMES DE L,INDE

番組でかけたのと同じ音源がありました。今は入手困難(不可?)の一枚です。

次にタブラが生まれる前からあった両面太鼓パカワジのソロです。タブラが主に使われる北インド古典音楽(ヒンドゥスターニー音楽)は、カヤールやトゥムリー、ガザルですが、パカワジはもっと古いドゥルパッドという古典音楽に使われる太鼓です。タブラより重々しい音が出る楽器です。13世紀の音楽家アミール・フスローが、パカワジを基にタブラを考案したとされています。彼は北インド古典音楽の創始者であると共に、インド・イスラーム神秘主義の宗教歌謡であるカッワーリーの創始者でもあるようです。パカワジもタブラと同じように、リズムパターンを口で唱えてから独奏されています。

<Masters of Tala - Pakhawaj Solo / Raja Chatrapati Singh - Ganesh Paran/Lakshmital  22分15秒 抜粋>
GREAT RHYTHMS-mridangacharya raja chatrapati singh-krishna tal


次に南インド古典音楽に使われる両面太鼓ムリダンガムの独奏です。南インド古典音楽はカルナティック音楽と呼ばれますが、打楽器ではムリダンガムの他に、素焼き壷のガタム、見た目は小型タンバリンのようでありながら非常に低音も豊かで多彩な音が出るカンジーラがありまして、そのトリオ編成で演奏されることが多いです。ムリダンガムは、タブラに負けず劣らず、と言うか、更に数学的で複雑なカルナティック音楽のリズムを司っている太鼓です。カルナティックの代表的なターラである、アーディ・ターラ(8拍子)のソロです。

<Trichy Sankaran / South Indian Drumming -Mrdangam solo in Adi Tala 12分4秒 抜粋>
Mridangam Maestro Dr.Trichy Sankaran


では最後にMahapurush MisraとAli Akbar Khanが先ほどのタブラ・ソロと同じコニサー・ソサエティに残した名盤の「悪の華」の一節を聞きながら今回はお別れです。フランスの詩人ボードレールの詩集「悪の華」をテーマに北インド古典音楽で伴奏した異色の一枚で、女優のイヴェット・ミミューがボードレールの詩の英訳を朗読しています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Mahapurush Misra & Ali Akbar Khan / 悪の華 -あほうどり 5分20秒 抜粋>
YVETTE MIMIEUX & USTAD ALI AKBAR KHAN - Baudelaire's Flowers Of Evil (1968)

この盤も現在おそらく入手不可ですから、まるまま上がっていました。

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2017年6月 9日 (金)

マハリンガムのライブ映像

カルナティック・フルートの鬼才マハリンガムのこの貴重なライブ映像は、数年前にも上げたことがありました。所々マハリンガムらしい自由気ままなステージにも見えますが、それがまたマハリンガムらしさ。すぐその音楽の清冽さに耳が引き寄せられます。彼の後ろには、カルナティック・フルート名手として知られる弟子のN.ラマニの姿が見えます。ラマニは、イギリスのNimbusからCDがありました。ムリダンガム奏者の後ろでカンジーラを叩いているのは、名手ハリシャンカル。白人のように見えますが、アルビノらしいです。口琴のモールシンもヴァイオリンの左に入って、ターラを強調しています。
冒頭の曲はラーガ・バイラヴィに聞こえ、ヴィリボーニに少し似た感じですが、コメントにThe first song is O Jagadamba. it is Ananda Bhairavi. It's a composition of Shyama Shastriとありました。南インド三大楽聖の一人、シャーマ・シャーストリ作曲のようです。
杉浦康平氏の評に「16歳のとき神秘体験に遭遇し、ただならぬ霊感をえた。以後、彼の笛には、音楽を超えた霊的な響きが宿るのである。」とありましたが、神秘体験と言うのが何だったのか、非常に気になります。(何方かご存知の方、コメント宜しくお願い致します)
Sri T.R. Mahalingam - Flute
Smt Dwaram Mangathayaru - Violin
Sri Mannargudi Easwaran - Mridangam
Sri Harishankar - Kanjira
Sri Pudukottai Mahadevan - Morsing

Sri T.R. Mahalingam Concert Pt. 1

Sri T.R. Mahalingam Concert Pt. 2

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2017年6月 7日 (水)

T.N.クリシュナンのヴィリボーニ

放送ではマハリンガムとM.S.スブラクシュミの演奏でかけたバイラヴィ旋法のヴァルナム「ヴィリボーニ」ですが、有名な曲ですからyoutubeも何本かありました。南インド・ヴァイオリンの最高峰と言われるT.N.クリシュナンが、若手女流ヴァイオリニストのチャルマティ・ラグラマンを従えて演奏している映像がありました。厳しく美しいカルナティック音楽の世界に惹き込まれます。

Bhairavi Ata Tala Varnam - Prof. TN Krishnan, Charumathi Raghuraman

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2017年6月 5日 (月)

南北インドの横笛 チャウラシア&マハリンガム

ゼアミdeワールド60回目の放送、日曜夕方に終りました。7日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。やはりマハリンガムの音源をかける際に、微弱なタンプーラは鳴っていますが、機材は無音と判断したようで、2秒ほど放送事故の曲が流れました。本当は30秒くらい開いている部分がありまして(この「間」も命なのですが)、10秒ぎりぎりに縮めましたが、鳴ってしまいました。どうかご了承下さい。

今回からコーカサスの予定でしたが、その前に北インドの古典音楽を少し聞いてみたいと思います。なぜかと言いますと、5月21日にラヂバリの先輩パーソナリティのやっちんさんの店、ジャズ・イン84でバンスリとタブラの演奏を聞いたからです。バンスリがラクシミプラサッド・マリク、タブラはリンガラージ・ダースという東インドはオリッサ州出身のお二人でした。関東にいた時以来、約20年ぶりにインド音楽を堪能しました。バンスリはノース・インディアン・フルートと分かりやすく呼ばれることもありますので、今回も「フルート」という名で紹介されていました。横笛ですが、音は尺八に近い詫び寂び感のある音色であることを改めて間近で確認しました。お客さんが少なくて至近距離から見れましたので、両手3本指を巧みに使う様もよく分りまして、昔懐かしいアニメの妖怪人間ベムを思い出してしまいました(笑)
  北インドの2連太鼓のタブラはどこでも特に人気があるようで、複雑なリズム体系の片鱗が分かるように披露されていました。旋律楽器の演奏する旋法体系(ラーガ)の重要性は分かっていながらも、私も実は最初にリズム楽器に魅了された方でして、実は24年程前に日本屈指のタブラ名人の吉見征樹さんについて2年ほど習っていたことがあります。
バンスリとタブラの組み合わせの演奏ですが、数枚在庫の中にありましたので、序奏のアーラープを少しかけてから、タブラの入ってくる後半のガットの部分の最初の方をおかけしてみます。バンスリと言えば、まず名が上がる名人がこれからかけますハリプラサド・チャウラシアで、ハリ爺の愛称で日本でも呼ばれていたように記憶しています。タブラ伴奏はヴィジャイ・ガテという人で、ラーガはミヤン・キ・マルハールです。

<Hariprasad Chaurasia / In Concert ~ Raga Miyan Ki Malhar - Alap, Gat 8分位>
Pandit Hari Prasad Chaurasia plays Raga Miya Malhar.

こちらはライブ音源。タブラは5分30秒くらいから入ります。

南北のインド古典音楽をちゃんと取り上げるのは、予測ですが、コーカサスから中央アジアへ回ってトルコに移動し、バルカン半島を北上して、ルーマニア、ハンガリー、チェコとスロヴァキア、ポーランド、北欧、イギリス、ドイツ、ベネルクス、スイス、フランス、スペイン、北アフリカ、ジプシー繋がりでエジプト南部から西インドのラジャスタンに飛んで、その後になりますので、大体2年前後は先になるかと思います。

ノース・インディアン・フルートのバンスリをかけましたので、対比でサウス・インディアン・フルートのカルナティック・フルート(あるいはクラル)を少し聞いたみたいと思います。バンスリよりずっと短い横笛で、タージ・マハールで知られるムガール王朝などのイスラム系文化の影響の強い北インド古典音楽と異なり、純ヒンドゥー的な南インドの古典音楽の中でもヴィーナやヴァイオリンと並んでよく演奏される楽器です。神懸かり的な演奏とよく形容される鬼才マハリンガムのStil盤のパリ・ライブから、南インド古典の楽曲形式の一つであるヴァルナムの代表曲の一つ、ヴィリボーニという曲をどうぞ。ラーガは代表的な朝のラーガ、バイラヴィです。タンプーラの持続音だけがかすかに聞こえる中に、飄々と現れる笛の音は正に鳥肌ものです。

<T.R.Mahalingam / Integrale du concert de Paris - Varnam Veeriboni 15分37秒 抜粋>
T.R.Mahalingam- Flute-viribONi_ninnE-VARNAM-bhairavi


同じヴィリボーニを、南インド往年の人間国宝クラスの名女性歌手M.S.スブラクシュミの歌唱で聞きながら今回はお別れです。ここで出てくる太鼓は、南インドのムリダンガムという楽器で、タブラの前身とも言われる北インドのパカワジに少し似た樽形の両面太鼓です。マハリンガムの演奏では少しずつ見えていた曲が、最初から鮮烈に提示されます。

最初の話に戻りますが、タブラ奏者をやっちんさんの店で呼ぶのは、初ではないようなお話でした。また次回にも期待したいと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<M.S.スブラクシュミ / サンギータ・カラーニディ ~ヴィリボーニ 7分16秒 抜粋>
MS Subbulakshmi Viriboni Bhairavi RaagaVarnam

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2017年6月 2日 (金)

リトアニアのなまはげ?

神の使いとも取れる異形のお面を被る祭りは、秋田のなまはげやハローウィーンに限らず世界中にあるように思います。リトアニア語の方言を話すサモギティア地方にも、そんな映像がありました。これもキリスト教化以前のペイガン(異教)の風習と見て良いのでしょう。サモギティアの場合、お祓いをする神の使いと言うより、ハローウィーンのように妖怪の類と見た方が良いのかも知れませんが。2本目はサモギティアではないのかも知れませんが、両方ともスタルティネ(2、3声のカノンのスタイルで歌われるポリフォニーの一種)の様式で歌われているので、一緒に上げておきました。お面だけでなく、音楽的にも面白いです。

Ei šnei! (Žemaitiška Užgavėnių sutartinė | Samogitian folk song)

Čiuž čiužela (Užgavėnių sutartinė | Mardi Gras folk song)

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2017年6月 1日 (木)

バルト語派の死語の民謡

バルト語派には10以上の言語があったようですが、現在も話されているのは、リトアニア語とラトヴィア語のみと言われ、他のプロシア語などは全て死語になっているようです。しかし、その内の一つ、スドヴィア語による民謡と題するyoutubeがありました。ヤトヴァーグ語、またはヤトヴィンガ語とも呼ばれ、「13世紀にリトアニアに支配・同化されるとともに、その言語も17世紀頃に死語となった。」とウィキペディアにありました。日常的には使われなくなっても、リトアニア人が古語を操るように歌っているのでしょうか? 弾き語っている楽器は、フィンランドのカンテレに似た音のコクレのようです。とても興味深いサンプルです。
死語ではありませんが、リトアニア語の方言と言われるサモギティア語の民謡歌唱などもありました。2本目は、女性が歌うサモギティアの民謡です。イネディ盤の音源も、もしかしたらこれらバルト語派のマイナー言語の歌も入っていたのかも知れませんが、そこまでは細分化されて紹介されてなかったと思います。こういう方面でもyoutubeの資料的価値は、凄いものがあります。

Sudovian folk song with Baltic zither/psaltery | Sudūviška/Suvalkietiška liaudies daina su kanklėmis

Curonian-Samogitian folk song | Šiaurės Žemaičių liaudies daina - Šilta šin vasarele

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