南北インドの打楽器 タブラ、パカワジ、ムリダンガム
ゼアミdeワールド61回目の放送、日曜夕方に終りました。14日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。 先週は南北インド音楽を横笛中心に少し聞きましたので、今回は同じく南北インド古典音楽の太鼓を少し聴き比べてみたいと思います。まず北インドのタブラの方からです。タブラと言えば、日本ではU-zhaanさんが最近大きなスポットを浴びていますが、上の世代なら吉見征樹さんや逆瀬川健治さんが特に有名です。吉見さんの師匠のザキール・フセインと彼の父のアラ・ラカがインドで最も有名なタブラ奏者だと思いますが、逆瀬川さんの師匠のマハプルシュ・ミシュラもカルカッタの名手として有名で、アラ・ラカがシタール奏者のラヴィ・シャンカルとよくコンビを組んでいたように、マハプルシュ・ミシュラはサロッド奏者のアリ・アクバル・カーンやシタール奏者のニキル・バネルジーとよく演奏していました。2013/06/28のZeAmiブログに少し記事を書いておりましたので、読み上げます。 「逆瀬川さんは、やはり20年ほど前にライヴで一度拝見しました。雲の上の名人のようなイメージのマハプルシュ・ミシュラの弟子、というのが強烈に記憶に残っていました。師譲りの切れ味鋭いテクニックと、芳醇な味わい深いタブラです。」 では、そのマハプルシュ・ミシュラの独奏で、最も代表的なターラ(リズム周期)のティーンタール(4+4+4+4の16拍子)の演奏をどうぞ。アリ・アクバル・カーンがこのターラが分かり易くなるようにサロッドでメロディを添えています。ゆったり始まって、どんどん速くなる超絶技巧を披露しています。 <Mahapurush Misra, Ali Akbar Khan / North Indian Drums - Slow Tin-Tal 9分25秒> mahapurush-misra-tablaclip.avi MAHAPURUSH MISRA CD RYTHMES DE L,INDE 番組でかけたのと同じ音源がありました。今は入手困難(不可?)の一枚です。 次にタブラが生まれる前からあった両面太鼓パカワジのソロです。タブラが主に使われる北インド古典音楽(ヒンドゥスターニー音楽)は、カヤールやトゥムリー、ガザルですが、パカワジはもっと古いドゥルパッドという古典音楽に使われる太鼓です。タブラより重々しい音が出る楽器です。13世紀の音楽家アミール・フスローが、パカワジを基にタブラを考案したとされています。彼は北インド古典音楽の創始者であると共に、インド・イスラーム神秘主義の宗教歌謡であるカッワーリーの創始者でもあるようです。パカワジもタブラと同じように、リズムパターンを口で唱えてから独奏されています。 <Masters of Tala - Pakhawaj Solo / Raja Chatrapati Singh - Ganesh Paran/Lakshmital 22分15秒 抜粋> GREAT RHYTHMS-mridangacharya raja chatrapati singh-krishna tal 次に南インド古典音楽に使われる両面太鼓ムリダンガムの独奏です。南インド古典音楽はカルナティック音楽と呼ばれますが、打楽器ではムリダンガムの他に、素焼き壷のガタム、見た目は小型タンバリンのようでありながら非常に低音も豊かで多彩な音が出るカンジーラがありまして、そのトリオ編成で演奏されることが多いです。ムリダンガムは、タブラに負けず劣らず、と言うか、更に数学的で複雑なカルナティック音楽のリズムを司っている太鼓です。カルナティックの代表的なターラである、アーディ・ターラ(8拍子)のソロです。 <Trichy Sankaran / South Indian Drumming -Mrdangam solo in Adi Tala 12分4秒 抜粋> Mridangam Maestro Dr.Trichy Sankaran では最後にMahapurush MisraとAli Akbar Khanが先ほどのタブラ・ソロと同じコニサー・ソサエティに残した名盤の「悪の華」の一節を聞きながら今回はお別れです。フランスの詩人ボードレールの詩集「悪の華」をテーマに北インド古典音楽で伴奏した異色の一枚で、女優のイヴェット・ミミューがボードレールの詩の英訳を朗読しています。 ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週 <Mahapurush Misra & Ali Akbar Khan / 悪の華 -あほうどり 5分20秒 抜粋> YVETTE MIMIEUX & USTAD ALI AKBAR KHAN - Baudelaire's Flowers Of Evil (1968) この盤も現在おそらく入手不可ですから、まるまま上がっていました。
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