南北インドの横笛 チャウラシア&マハリンガム
ゼアミdeワールド60回目の放送、日曜夕方に終りました。7日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。やはりマハリンガムの音源をかける際に、微弱なタンプーラは鳴っていますが、機材は無音と判断したようで、2秒ほど放送事故の曲が流れました。本当は30秒くらい開いている部分がありまして(この「間」も命なのですが)、10秒ぎりぎりに縮めましたが、鳴ってしまいました。どうかご了承下さい。 今回からコーカサスの予定でしたが、その前に北インドの古典音楽を少し聞いてみたいと思います。なぜかと言いますと、5月21日にラヂバリの先輩パーソナリティのやっちんさんの店、ジャズ・イン84でバンスリとタブラの演奏を聞いたからです。バンスリがラクシミプラサッド・マリク、タブラはリンガラージ・ダースという東インドはオリッサ州出身のお二人でした。関東にいた時以来、約20年ぶりにインド音楽を堪能しました。バンスリはノース・インディアン・フルートと分かりやすく呼ばれることもありますので、今回も「フルート」という名で紹介されていました。横笛ですが、音は尺八に近い詫び寂び感のある音色であることを改めて間近で確認しました。お客さんが少なくて至近距離から見れましたので、両手3本指を巧みに使う様もよく分りまして、昔懐かしいアニメの妖怪人間ベムを思い出してしまいました(笑) 北インドの2連太鼓のタブラはどこでも特に人気があるようで、複雑なリズム体系の片鱗が分かるように披露されていました。旋律楽器の演奏する旋法体系(ラーガ)の重要性は分かっていながらも、私も実は最初にリズム楽器に魅了された方でして、実は24年程前に日本屈指のタブラ名人の吉見征樹さんについて2年ほど習っていたことがあります。 バンスリとタブラの組み合わせの演奏ですが、数枚在庫の中にありましたので、序奏のアーラープを少しかけてから、タブラの入ってくる後半のガットの部分の最初の方をおかけしてみます。バンスリと言えば、まず名が上がる名人がこれからかけますハリプラサド・チャウラシアで、ハリ爺の愛称で日本でも呼ばれていたように記憶しています。タブラ伴奏はヴィジャイ・ガテという人で、ラーガはミヤン・キ・マルハールです。 <Hariprasad Chaurasia / In Concert ~ Raga Miyan Ki Malhar - Alap, Gat 8分位> Pandit Hari Prasad Chaurasia plays Raga Miya Malhar. こちらはライブ音源。タブラは5分30秒くらいから入ります。 南北のインド古典音楽をちゃんと取り上げるのは、予測ですが、コーカサスから中央アジアへ回ってトルコに移動し、バルカン半島を北上して、ルーマニア、ハンガリー、チェコとスロヴァキア、ポーランド、北欧、イギリス、ドイツ、ベネルクス、スイス、フランス、スペイン、北アフリカ、ジプシー繋がりでエジプト南部から西インドのラジャスタンに飛んで、その後になりますので、大体2年前後は先になるかと思います。 ノース・インディアン・フルートのバンスリをかけましたので、対比でサウス・インディアン・フルートのカルナティック・フルート(あるいはクラル)を少し聞いたみたいと思います。バンスリよりずっと短い横笛で、タージ・マハールで知られるムガール王朝などのイスラム系文化の影響の強い北インド古典音楽と異なり、純ヒンドゥー的な南インドの古典音楽の中でもヴィーナやヴァイオリンと並んでよく演奏される楽器です。神懸かり的な演奏とよく形容される鬼才マハリンガムのStil盤のパリ・ライブから、南インド古典の楽曲形式の一つであるヴァルナムの代表曲の一つ、ヴィリボーニという曲をどうぞ。ラーガは代表的な朝のラーガ、バイラヴィです。タンプーラの持続音だけがかすかに聞こえる中に、飄々と現れる笛の音は正に鳥肌ものです。 <T.R.Mahalingam / Integrale du concert de Paris - Varnam Veeriboni 15分37秒 抜粋> T.R.Mahalingam- Flute-viribONi_ninnE-VARNAM-bhairavi 同じヴィリボーニを、南インド往年の人間国宝クラスの名女性歌手M.S.スブラクシュミの歌唱で聞きながら今回はお別れです。ここで出てくる太鼓は、南インドのムリダンガムという楽器で、タブラの前身とも言われる北インドのパカワジに少し似た樽形の両面太鼓です。マハリンガムの演奏では少しずつ見えていた曲が、最初から鮮烈に提示されます。 最初の話に戻りますが、タブラ奏者をやっちんさんの店で呼ぶのは、初ではないようなお話でした。また次回にも期待したいと思います。 ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週 <M.S.スブラクシュミ / サンギータ・カラーニディ ~ヴィリボーニ 7分16秒 抜粋> MS Subbulakshmi Viriboni Bhairavi RaagaVarnam
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