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2017年7月

2017年7月31日 (月)

ヨルダンとトルコのチェルケス音楽

ゼアミdeワールド68回目の放送、日曜夕方に終りました。2日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。動画はyoutubeにあった音源のみです。

コーカサスの4回目です。長くなりそうですので、この辺で今後の北コーカサス関係の予定をお知らせしておきます。今回ヨルダンとトルコのチェルケス移民の音源をかけて、その次はカバルダやオセチアなどの他の北コーカサス、その後はダゲスタンで一回、間でチェチェンとダゲスタンのポップスを予定しております。
今回はロシアでの迫害を逃れ19世紀に旧オスマン帝国領内のトルコやヨルダンに移住したのチェルケス人の音源です。まずはフランスのAd Vitam Recordsから出ている「ヨルダンのチェルケス人のサーカシア音楽」と言う盤で、何よりもハチャトゥリアンのレズギンカでお馴染みのあの8分の6拍子のリズムが、中東のヨルダンから聞こえる不思議を感じました。イスラメイやカーファなどの伝統的な舞曲のリズムがアコーディオンや打楽器などによって演奏されています。ZeAmiブログで取り上げました弦楽器のポンデルもアコーディオンの影に隠れていますが、入っています。

まず前回もかけましたイスラメイとカーファの音源からかけてみます。本国から遠く離れたヨルダンの地で19世紀のままの状態で保存されたような伝統音楽ですから、現在のアディゲ本国よりもオーソドックスなスタイルが保持されているようにも思います。

<Jordanie / Circassia Musique Tcherkesse Eslameh 2分48秒>
Ensemble Circassien de Jordanie - Eslameh


<Jordanie / Circassia Musique Tcherkesse Qafa 3分24秒>

youtubeでよく聞く、おそらく正調と思われるカーファの演奏も2曲入っておりましたので、続けてかけてみたいと思います。2曲目のPasareh Qafaは、10年前にゼアミブログで北コーカサスを取り上げた際に見たyoutubeでは、ウオルク・カーファ(古いカーファ)と紹介されていたように記憶しています。正に白鳥を連想させる白装束の女性の踊りの優美さも特筆ものでした。

<Jordanie / Circassia Musique Tcherkesse Solo Qafa 2分16秒>

<Jordanie / Circassia Musique Tcherkesse Pasareh Qafa 3分6秒>

続いてトルコのチェルケス系移民の音源ですが、私の知る限りではトルコのレーベルKalan Muzik から2枚出ています。マレム・ゴクハン・シェンと言う人の「チェルケスの旋律」と題する2枚で、やはり驚くほどサーカシア(北コーカサス北西部のアディゲ、チェルケス、カバルダ)の音楽スタイルをそのまま保っていますが、従来のアコーディオン(プシャーシェ)とカフカス・ドラム(ドール)などの伝統楽器に、Vol.2の方ではチェロやヴァイオリンを加えることで、音楽的に厚みが増し、聞き応え満点の力作になっています。北コーカサス音楽特有の「孤高の哀愁美」に溢れた2枚ですが、トルコの音楽界の洗練ぶりを感じさせる凝った音作りになっています。

古い音源の引用から始まる2011年リリースの1枚目のBerkuk's Makameという曲からどうぞ。

<Marem Gokhan Sen / Cerkes Ezgileri 1  Berkuk's Makame 5分4秒>
Xexec - Berkuk's Mekame


2014年リリースの2枚目には素晴らしい曲が多く、時間の都合で色々かけられないのが残念ですが、Yinerikuey Kafeという曲をかけてみます。やはり冒頭に大昔の音源が引用されています。

<Marem Gokhan Sen / Cerkes Ezgileri 2 Yinerikuey Kafe 6分5秒 抜粋>
Marem Gökhan Şen - Yinerıkuey Kafe



既に4回お知らせしましたが、ここで加藤吉樹さんのウード・ソロのライブ情報を入れたいと思います。本放送は30日ですので告知として間に合いますが、再放送はちょうど2日のライブの最中になります。
限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。26日現在、残席がかなり減ってきておりますので、ご予約をお勧めします。
加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ウード、ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブになります。

日時 2017年8月2日 水曜日  6時開場 7時開演

場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗) 
   今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階)
   駐車場5台のため、できるだけ徒歩でのご来場をお願いします。

チャージ 2000円 (1アイスコーヒー付き)

ご予約・ご連絡先 
090-8044-8535
VYG06251@nifty.ne.jp

以上ライブ情報でした。宜しければ是非お越し下さい。


では、最後にマレム・ゴクハン・シェンの「チェルケスの旋律」2の方から、Abidetという曲を聞きながら今回はお別れです。10年前にZeAmiブログでもyoutubeで取り上げたように思いますが、10年経っても忘れられない美しい旋律です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Marem Gokhan Sen / Cerkes Ezgileri 2 Abidet 5分31秒 抜粋>
Marem Gökhan Şen - Abidet

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2017年7月28日 (金)

パンキシ(グルジア)のチェチェン人音楽家

また後日と予告しておりました、番組でかけたTimur LosanovとCherim Nakhushevについては、歌謡化したような映像がほとんどで、どうも今ひとつなので、チェチェンのレズギンカの打楽器編も考えておりました。しかし、その前に非常に魅力的な歌声とバラライカなどの演奏がありましたので、そちらを上げておきます。グルジアのパンキシ( панкиси)での演奏のようです。チェチェンの美少女歌手の歌声が素晴らしく、喉から搾り出すようなチェチェン語の独特な音も確認できます。さびでダイモク(フ)の語が出てくるので、望郷の歌の一種でしょう。おそらく先日マッカ・サガイーポヴァの代表曲をバラライカで弾き語っていた人と思われる女性のバラライカ伴奏です。更にはもっと鮮明なアンサンブル映像までありました。グルジアのTV放送のようです。こちらのタイトルはグルジア語のため、残念ながら詳細不明です。アズナシを思い出させる女性アンサンブルです。

панкиси - нохчийн илли

ძლიერი ქალები პანკისიდან | ქალთა გუნდი ,,აზნაში"

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2017年7月27日 (木)

バラライカとデチグ・ポンダルのレズギンカ

グルジアのパンドゥリと繋がる北コーカサスの弦楽器独奏も、酒瓶のような細長い胴に独特な音色を持っていて、実に素晴らしかったです。チェチェンのポンダルには、メルツとデチグと別な名前があるようです。デチグの方が音量も大きく深い音色が聞こえてきます。バラライカと持ち替えで弾いている映像もありますが、これは2007年のアップで、10年近く前にZeAmiブログに貼った記憶があります。同じ3弦ですから、運指がそっくりのようです。上から親指で押さえたり、縦横無尽な左手の運指で、3弦とは思えないこの豊かな音楽を創り上げています。1本目がバラライカとデチグ・ポンダルによるチェチェンのレズギンカ、2本目はラマン・ノヴカという古いチェチェンの旋律です。

Dechig pondar + Balalajka / balalaika

Some lezginka on the dechig pondar

Laman Novqa on Dechig Pondar

"Laman novqa" is an old chechen melody. I play it just a little bit different from the original

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2017年7月26日 (水)

最近のナルメス (アディゲ国立民族舞踊団)

今日の収録では、ヨルダンとトルコのチェルケス音楽を取り上げました。ちょうど10年前に北コーカサスやヴォルガ中流域の調査から当ブログを始めたことを少し前に書きましたが、10年の内にまた色々動画も増えていました。アディゲの国立舞踊団ナルメスも度々アップしましたが、最近の映像がありました。鷲と白鳥に喩えられる男性と女性の舞踊はもちろん、群舞の美しさも相変わらずです。ヨルダンとトルコのチェルケス盤や何度も番組で取り上げたTopic Recordsの「チェチェンと北コーカサスの音楽」も、この10年間に次々登場しました。10年前にはこのエリアの音源はほとんど皆無だったので、まるでブログでの願いが通じたかのようです。

Нальмэс 1часть

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2017年7月24日 (月)

イスラメイ~アディゲ(あるいはチェルケス)の音楽

ゼアミdeワールド67回目の放送、日曜夕方に終りました。26日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今日はイスラメイ中心に3本だけにして、また他の曲は後日探してみます。

コーカサスの3回目です。前回は英Topic Recordsの「反抗の歌:チェチェンと北コーカサス諸国の音楽」(英題はSONGS OF DEFIANCE: Music of Chechnya and the North Caucasus)収録のチェチェンとアディゲの音源をかけました。今回はこの盤と露Melodiyaの「サーカシアの伝統音楽アンソロジー」を中心に、アディゲ(あるいはチェルケス)の音楽を聞いてみたいと思います。

アディゲ~チェルケスと言えば、まず出てくるのがイスラメイという舞曲で、ロシア五人組のバラキレフのピアノ曲で一般に広く知られている曲名です。超絶技巧の難曲として知られています。まずは、メロディアの「サーカシアの伝統音楽アンソロジー」収録のオーソドックスなイスラメイの1965年の録音からかけてみたいと思います。レズギンカと類似の8分の6拍子のリズムがついていることもありますが、イスラメイ特有のノーブルなメロディラインが確かにあります。よくレズギンカで男性の踊りが鷲、女性の踊りが白鳥に喩えられますが、正にコーカサスの高い山を舞い降りてくる鷲のような雄々しく颯爽としたイメージの曲です。

<Ислъамый (Исламей) 3分16秒>
Нальмэс - Исламей (2016)

アディゲの国立民族舞踊団ナルメスの最近の美しい舞台映像です。大体の伝統音楽はどこの国でも昔の方が良いのが常ですが、イスラメイに関してはメロディア盤の1976年録音よりも、最近の演奏の方が良いように思います。

次に、この曲からインスピレーションを受けて書かれたバラキレフ作曲のピアノ曲「イスラメイ」を聴いてみましょう。ボリス・ベレゾフスキーの演奏です。16分の12拍子という拍子ですから、やはり8分の6拍子の系統であることが分かります。

<バラキレフ / イスラメイ ボリス・ベレゾフスキー(P) 7分58秒>
Berezovsky plays Islamey


この曲について、ウィキペディアに以下のような解説がありました。とても参考になるので引用しました。

好戦的な民族主義者であったバラキレフは、ロシアの伝統音楽に影響された作風を採っていたが、カフカス地方に旅行した後で着想されたのが本作である。これについてバラキレフは私信の中で次のように触れている。 「…そこの豊かに繁った自然の荘厳なまでの美しさ、そしてそれと調和した住民たちの美しさ ―― これら全てが一つとなって私に強い印象を与えたのです。……私は土地の声楽に興味をもって以からというもの、チェルケス公と親しくなりました。殿下はしばしば私のところにやって来て、持っている楽器(どこかヴァイオリンに似た楽器です)で民俗音楽を演奏したのです。その中の一つに“イスラメイ”と呼ばれる舞曲がありました。これに私ははなはだしい喜びを覚え、構想中の“タマーラ”を主題とする作品にするつもりで、その旋律をピアノのために編曲し始めたのです。第2主題の旋律は、モスクワでクリミア出身のアルメニア人の俳優から教わりました。こちらの旋律は、彼が断言したところによると、クリミア・タタール人にはよく知られているとの由。」(Reishへの手紙 1892年)

また、以下のようにも解説がありました。

近年の音楽学研究によって、バラキレフが本作に残した旋律が、今なお旧ソ連の民謡に健在であることが明らかとなった。たとえば第1主題は、カバルディノ・バルカル自治共和国の「レズギンカ」の一種である。ただし、バラキレフの作品とは拍子が食い違っている。第2主題は、バラキレフが受けた説明のように、起源はタタール人の恋歌であった。

前回、英Topic Recordsの「チェチェンと北コーカサス諸国の音楽」から、アディゲで一曲だけかけましたTimur Losanovの弾くコーカサス・アコーディオンの、「アディゲの踊り」という曲は、youtubeなどでよく聞く重要な旋律ですので、もう一度聞いておきたいと思います。やはりレズギンカ型の8分の6拍子が聞き取れます。

<Timur Losanov / Adighian Dance 2分2秒>

前回同じ盤からかけられなかったカーファという曲ですが、この曲は代表的なアディゲの舞踊の一つです。長く白い衣装と白い帽子を被った女性が優美に踊っている印象の強い曲です。ソロ歌手のCherim Nakhushevと言う人は男性のようですが、声は女性のように聞こえるほど高い声です。手拍子と一緒に叩かれる短冊のような打楽器がアディゲに特徴的な音です。

<Cherim Nakhushev / Kafa 3分46秒>


既に3回お知らせしましたが、ここで加藤吉樹さんのウード・ソロのライブ情報を入れたいと思います。 カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークで初のライブを行うことになりました。
限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。19日現在、残席が段々減ってきております。
加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ウード、ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブになります。

加藤吉樹 ウード・ソロ

日時 2017年8月2日 水曜日  6時開場 7時開演

場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗) 
   今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階)
   駐車場5台のため、できるだけ徒歩でのご来場をお願いします。

チャージ 2000円 (1アイスコーヒー付き)

ご予約・ご連絡先 
VYG06251@nifty.ne.jp

以上ライブ情報でした。宜しければ是非お越し下さい。


では最後にKiaperishという英Topic Records盤のアディゲ・アンサンブルの演奏を聞きながら今回はお別れです。2006年のモスクワ録音ですが、トルコのアディゲ移民の間でのみ生き残っていた曲が、北コーカサスのアディゲに逆輸入された形で入ってきて、「トルコ系アディゲの音楽」として知られているタイプの舞踊曲です。この類の例は、ロシアでの迫害を逃れ移住した旧オスマン帝国のトルコやヨルダンのチェルケス人の音源に残っていますので、また追々ご紹介する予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Adigh Ensemble / Kiaperish 2分23秒>
Adigh Ensemble - Kiaperish

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2017年7月21日 (金)

チェチェンのポンデルとレズギンカの踊り

チェチェンのポンデルは、グルジアのパンドゥリと名前からしてそっくりですが、正式名称はmerz ponderと言うようです。パンドゥリより音も小さそうで、響きは薄い感じがありますが、この哀切美がたまりません。南北コーカサス系民族の音楽のメロディラインは、とても似通っていると思いますが、不安定な政情故でしょうか、この哀切さが本当に切なく堪りません。
一転して、踊りと太鼓ではパワーが炸裂していて、旋律の神経質なまでの哀切感ととても対照的です。タイトルに、Кистинский танец(キスティンスキーの踊り)とあって、キスティンスキーと言うのは、グルジアに移住したチェチェン人のことでしょうか? コメントにはLes Tchétchènes de Géorgie qui habitent la vallée Pankissi.(訳すなら「パンキッスィ渓谷に住み着いたグルジアのチェチェン人」でしょうか)とありました。19日のバラライカ弾き語りには、Кистинка (Чеченка) очень красиво поет..とありました。「キスティンカ(チェチェン女性)がとても美しく歌う」と訳せると思います。

merz ponder

Кистинский танец -La danse de Qists

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2017年7月20日 (木)

グルジアのパンドゥリ

バラライカ弾き語りによるチェチェンの歌が出たところで、先回りしてグルジアのパンドゥリの演奏も少し見てみたいと思います。ロシアのバラライカ、チェチェンのポンデル、グルジアのパンドゥリやチョングリは、いかにもカザフのドンブラなどの中央アジアの弦楽器と響きが似ていて、同系列の楽器であることがよく分かります。3弦が多く、おそらく調弦は同じで、運指も似ているように見えます。
グルジアのパンドゥリは歌の伴奏楽器のイメージが強く、独奏は余り見たことがありませんでしたが、超絶技巧を披露している映像が幾つかありました。1,2本目がそれで、タイトルが違っていますが、同じ曲に聞こえます。どちらが正しいのでしょうか。近年話題になったグルジアの女性トリオTrio Mandiliの演奏も一緒に上げておきます。しかし、グルジアやチェチェンなどの南北コーカサス系民族に共通する、凛としながらも寂しげな旋律の美しさには、とても魅了されます。

Irakli Akhalaia - It should all see - Georgian Folk. Instrument Fanduri

Chechen song

Trio Mandili - Malika (CD-album WITH LOVE is available on http://triomandili.com/en/#buy)

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2017年7月19日 (水)

Красивый пареньのバラライカ弾き語り

おそらくチェチェン・ポップスで最も有名な女性歌手であるマッカ・サガイーポヴァの代表曲の一つ、Красивый парень(Pretty Boy)は、2007年にも当ブログで上げているので10年以上前の曲だと思いますが、2本目のようにバラライカ弾き語りでレズギンカ風に演奏される程に親しまれているようです。とても興味深いサンプルとして見ました。Pretty Boyと言うのが単なる美しい少年なのか、女性から見てどういう異性なのかが気になりますが、歌詞内容の意味を知るにはチェチェン語を学ぶしかないのでしょう。ロシア語のКрасивый(クラスィーヴィー)の意味は、「美しい」(男性形)なので、prettyは少し違うようにも思います。紅顔の美少年のような意味合いでしょうか?

Макка Сагаипова Красивый парень

Кистинка (Чеченка) очень красиво поет..

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2017年7月17日 (月)

チェチェンとアディゲの音楽

ゼアミdeワールド66回目の放送、日曜夕方に終りました。19日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。アズナシはトピック盤の音源がyoutubeには見当たらず、アリオン盤は一部出ていますが、そちらとパーソネルが同じと思われるライブ映像を2本上げておきました。どちらも大変素晴らしいですが、若手中心に見えるトピック盤とは歌手が違うようです。(若手も素晴らしいのですが、謎です)

コーカサスの2回目です。今回も北コーカサス各地の音楽を聞いてみたいと思います。前回少し説明しましたが、北西コーカサス諸語をサーカシアまたはチェルケスあるいはアディゲ、チェチェンとイングーシはヴァイナフ、ダゲスタンはダゲスタン諸語と、大きく3つに分かれます。ヴァイナフとダゲスタンは、合わせて北東コーカサス諸語とも言われます。
北西コーカサスの総称に3つの名前があるのは、1500年ごろに成立し、コーカサス戦争や1864年のロシア・チェルケス戦争で滅んだ国、チェルケシアを英語でサーカシア、ロシア語でチェルケス、アディゲ語でアディゲと呼んだことに由来しています。冬期オリンピックが開かれたソチは、チェルケシアの首都でした。
ヴァイナフのグループに属するチェチェンの歌姫マッカ・サガイーポヴァの歌を前回一曲かけました。今回は英Topic Recordsの「反抗の歌:チェチェンと北コーカサス諸国の音楽」(英題はSONGS OF DEFIANCE: Music of Chechnya and the North Caucasus)を中心に聞いて行きたいと思います。

ツイッターなどで予告していましたので、仏Arionの録音でも知られるチェチェンの女性ヴォーカルグループのアズナシの英Topic Records盤の歌声から聞いてみたいと思います。「星は空から落ちてしまった」という曲には、「人生の短さを歌った哲学的な民謡」というコメントが付いていますが、そこにはチェチェンらしい諦念がうかがえて、この一枚を象徴するような悲しくも美しい一曲です。アズナシは、歌い手のカラーに合わせてでしょうか、ソロ歌手が民謡によって変わっていて、それがそれぞれの歌をより引き立てています。アズナシは、戦火の絶えない祖国を離れ、グルジアで活動しているようです。この曲もグルジアの首都トビリシでの2006年録音です。

<Aznach Ensemble / Stiglara 4分43秒>

次にこの盤の一曲目に戻りまして、Nokhtchiin Gimnという曲です。チェチェン語でチェチェンをノフチーと言いますので、訳せば「チェチェンの聖歌」となります。19世紀半ばのロシアとの闘いの中で生まれた歌です。同じくグルジアの首都トビリシでの2006年録音です。

<Aznach Ensemble / Nokhtchiin Gimn 3分12秒>
Ensemble Aznash (Duisi, Pankisi Valley, Georgia)

1分過ぎからNokhtchiin Gimnが出てきます。グルジアの合唱と共通する素晴らしさを一番実感できる歌唱と映像。

Aznash Ensemble


次もチェチェンの民謡で、男性歌手サハブ・メジドフのバラライカ弾き語りを2曲かけてみます。チェチェン特有の弦楽器パンダル(あるいはポンダル)の代わりに、よくバラライカも演奏されますが、おそらく同じ三絃で調弦が似ているのだろうと思います。同じコーカサス系であるグルジアの弦楽器パンドゥリやチョングリなどと共通する独特な奏法が、特に二曲目で聞けます。一曲目はダイモクという曲で、これは祖国の意味になりまして、望郷の思いを歌っています。二曲目は翻訳では「私は彼女を見つけられない、でも彼女を愛している」という内容で、中東の悲恋物語「ライラとマジュヌーン」を連想させる歌です。

<Sahab Mezhidov / Daimohk 2分7秒>
<Sahab Mezhidov / Ya Yish Ekush Dagna Yaznarg 2分35秒>

再びアンサンブル・アズナシの歌で、チェチェン民謡のAs Khastamboと言う曲です。和訳するなら「私は運命に感謝する」となりまして、やはり諦念の滲む歌です。リード・ヴォーカルのタムタ・ハンゴシヴィリのハリのある歌声がとても素晴らしいと思います。この曲ではアコーディオンに代わってバラライカ伴奏になっています。

<Aznach Ensemble / As Khastambo 3分5秒>

チェチェンの歌が続きましたので、同じ盤からアディゲの曲も今回かけておきます。Timur Losanovの弾くコーカサス・アコーディオンで、「アディゲの踊り」という曲です。レズギンカ型の8分の6拍子が聞き取れます。こちらも現地ではなく2006年ロンドンでの録音です。

<Timur Losanov / Adighian Dance 2分2秒>
Концерт Тимура Лосана в Майкопе - 2 часть

なかなかCDのような伝統的なままのyoutubeは見当たらないので、とりあえずアディゲの首都マイコプでのティムール・ロサノフのコンサート映像Vol.2を貼っておきます。色々なアディゲの舞踊が出てきます。


前回もお知らせしましたが、ここで加藤吉樹さんのウード・ソロのライブ情報を入れたいと思います。
カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークで初のライブを行うことになりました。チラシが出来ましたので、現在配布中です。
限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。
加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ウード、ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブになります。

加藤吉樹 ウード・ソロ

日時 2017年8月2日 水曜日  6時開場 7時開演

場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗) 
   今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階)
   駐車場5台のため、できるだけ徒歩でのご来場をお願いします。

チャージ 2000円 (1アイスコーヒー付き)

ご予約・ご連絡先 
VYG06251@nifty.ne.jp

以上ライブ情報でした。宜しければ是非お越し下さい。


では最後にチェチェンのラヴ・ソングBiezamuoを聞きながら今回はお別れです。録音当時20歳くらいと思われるタムタ・ハンゴシヴィリのハリと緊迫感のある歌声がとにかく素晴らしいです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Aznach Ensemble / Biezamuo 2分57秒>

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2017年7月14日 (金)

レズギンカ~アルメニアとダゲスタンの例

youtubeにはハチャトゥリアンの「ガイーヌ」だけでなく、レズギンカの現在形が沢山出ていますし、マッカ・サガイーポヴァのiTunesの最近作も大変に素晴らしかったので、どれにしようかと思いながら昨晩は早々寝落ち(^^;(笑) 8月26日の内子座(ダンスのチェロ伴奏)に向けての練習が始まったので、昨晩の初回を終えてくたびれ果てておりました。
今日はアルメニアの舞踊団がハチャトゥリアンのレズギンカをやっている映像と、ダゲスタンの首都マハチカラのレストランでのレズギンカの2本を上げておきます。コーカサスの最南部に位置するアルメニアでは、レズギンカはおそらく盛んではないはずですが、ハチャトゥリアンがグルジア出身とは言え、アルメニア系という事で、このような舞台もあるのでしょうか。カフカス・ドラムも入っていますが、グルジアや北コーカサスでの演奏ほどの躍動感と鋭さには欠けるように思います。ダゲスタンの方はASA Styleと称する団体?のyoutube映像が夥しい数で上がっていて、さすがレズギンカの本家本元の民族、レズギ人のいる本場ダゲスタンの、「レズギンカの今」の白熱が感じられます。

Aram Khachaturian - Lezginka [Armenian National Dance Ansamble]

ASA STYLE - Лезгинка в Махачкале ( свадьба 2016 )

Лезгинка в Махачкале(マハチカラのレズギンカ)

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2017年7月12日 (水)

チェチェン・ポップスの歌姫マッカ・サガイーポヴァ

65回目の放送で一曲かけたチェチェンの歌姫マッカ・サガイーポヴァの「カフカス」以外の代表曲には、ダイモク(祖国)やКрасивый парень (Krasiviy paren=pretty boy)辺りが入ると思います。特にダイモクでは、8分の6拍子のレズギンカのリズムがはっきり出ていて、その浮き立つリズムが素晴らしいです。彼女の旋回も入りますが、こういう所にチェチェンの舞踊団Lovzarのメンバーでもある彼女らしい一面を覗かせています。Vecherinkaにはカフカス・ドラム(ドール)が入ってレズギンカのリズムが強力に出ています。
今日の収録では、英Topic Recordsの「反抗の歌:チェチェンと北コーカサス諸国の音楽」(英題はSONGS OF DEFIANCE: Music of Chechnya and the North Caucasus)から、他の歌手のダイモクを一曲かけました。来週また別の歌手のダイモクという曲をかける予定です。タイトルは同じですが、3曲とも全て別な曲のようです。
余談ですが、10年前にZeAmiブログを立ち上げたのも、南北コーカサスやヴォルガ中流域の音楽状況等の調査が最初の大きな動機でした。ハザール帝国の版図と重なる云々についても、何度か当ブログで探ってみたように思います。

Makka Sagaipova - Daimohk (Homeland)

Makka Sagaipova - Krasiviy paren

Makka Sagaipova - Vecherinka

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2017年7月10日 (月)

コーカサスの音楽 まずはハチャトゥリアンから

ゼアミdeワールド65回目の放送、日曜夕方に終りました。12日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

今回から旧ソ連各地の音楽巡りに戻りたいと思います。ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、バルト三国と来て、次は黒海とカスピ海の間に位置するコーカサスです。コーカサスと言うと、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンをすぐに思い浮かべる人が多いと思いますが、まず最初にこれから回るのは、ロシア連邦側の北コーカサスです。コーカサスはロシア語ではカフカスと言いますが、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンの3か国は、ザカフカスとも呼ばれます。これはロシア語では「ザ」は英語の定冠詞「ザ」ではなくて、「向こう側」の意味なので、ロシアから見てカフカス山脈の向こう側(南側)の意味になります。
北コーカサスの中では、ソ連崩壊後に戦火の続いたチェチェンが一番有名だろうと思いますが、どうしても政情不安定な場所のイメージが強いと思います。チェチェンは民族の系統で見ると、印欧語とは異なるコーカサス諸語の民族の一つですが、他にもトルコ系の民族や、古代のスキタイとも繋がるような印欧語系のイラン系民族が入り混じって住んでいる所です。
政情不安故に録音はかなり少ないですが、ソ連崩壊前のメロディア盤の録音を初めとして、亡命先のグルジアなどでの録音もいくつかありますので、順にご紹介したいと思います。まずは、グルジア出身のアルメニア人作曲家として有名なハチャトゥリアンの、あまりに有名な「剣の舞」からかけてみたいと思います。躍動感溢れるハチャトゥリアンの自作自演です。

<ハチャトゥリアン/剣の舞 2分23秒>
Sabre Dance - Aram Khachaturian


次にコーカサス一帯に見られる剣を持った踊りのyoutube音源をかけてみます。CDでは見当たりませんが、現地のyoutube映像には沢山あります。おそらくこういうタイプの舞踊を見て、ハチャトゥリアンは「剣の舞」を書いたのだろうと思われます。クルド人が剣を持って戦いの踊りを踊るイメージで書かれたそうですが、音楽的にはグルジアなどの伝統舞曲レズギンカのカラーが強いように思います。これからかけますのは、チェチェンの山岳部の剣を持った踊りです。タイトルにはТанец с кинжаламиとありまして、キンジャラミと言うのはダガー(短剣)を指すのに対して、「剣の舞」の原題のТанец с саблямиのサブリャミというのは、サーベルを指します。

<ЧЕЧЕНСКИЙ ТАНЕЦ С КИНЖАЛАМИ ГОРЦЫ  3分41秒>


もう一本「古いレズギンカの短剣を持った踊り」と題する古い映像がありましたので、こちらもかけてみましょう。лезгинский(レズギンスキー)とは、ダゲスタン共和国南部やアゼルバイジャン北部に居住するレズギ人の方を指すかも知れません。レズギンカの名前のルーツとも言われている民族です。とにかく音楽がとても素晴らしいです。

<Старинный лезгинский танец с кинжалами 2分15秒>


次に同じバレエ音楽ガイーヌ(あるいはガヤネー)の中で、「剣の舞」に次いで有名なレズギンカをかけてみましょう。やはり躍動感の漲るレズギンカは場所によってイスラメイとも呼ばれていて、非常に速い8分の6拍子が特徴的です。4拍子のように聞こえても、よく聞くと一拍が「タンタ、タタタ」と6ビートになっています。偶然ですが、非常に速い8分の6拍子という点では、前々回にご紹介しました南イタリアのタランテラと共通しています。これからかけます音源は、やはりハチャトゥリアンの自作自演で、普通のオーケストラではスネアドラムで代用するところを、本場の民族打楽器カフカス・ドラムが華々しく使われていて、その音色が特筆すべき素晴らしさです。

<ハチャトゥリアン/レズギンカ 2分31秒>
Aram Khachaturian - Lezginka from Gayane


レズギンカの躍動感溢れるリズムは現代のポップスにも脈々と生き続けていて、そのサンプルとしてチェチェン・ポップスの歌姫マッカ・サガイーポヴァのカフカスという曲をかけてみましょう。チェチェン美人のマッカ・サガイーポヴァのCD入手は困難ですが、youtubeは色々ありますので、またZeAmiブログの方で上げたいと思います。この曲は旋律も日本人の心にストレートに訴えかける憂い節になっていて、それがレズギンカの躍動感の中で歌われて、何とも言えない魅力を醸し出しています。

<Makka Sagaipova / Kavkaz 3分47秒>
Makka Sagaipova - Ревнивый Кавказ


北コーカサスですが、ロシア連邦に属する幾つかの共和国がありまして、東から順に言いますと、ダゲスタン、チェチェン、イングーシ、北オセチア、カバルダ・バルカル、カラチャイ・チェルケス、アディゲとなっていて、この中でアディゲ、チェルケス、カバルダの3つの北西コーカサス語族を総称してサーカシアと呼んだり、個別の国名と同じで紛らわしいですが、チェルケスまたはアディゲと呼ばれる場合もあります。オセチアだけがイラン系で、コーカサス系と抱き合わせで国を成しているバルカルとカラチャイはトルコ系民族ですが、ダゲスタンの中にもコーカサス系に混じってトルコ系少数民族が沢山住んでいます。コーカサス系民族には、ザカフカスのグルジアやアブハジアも入ります。このように民族のモザイクと言うのがぴったりな地域です。


前回もお知らせしましたが、ここでライブ情報を入れたいと思います。
カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークで初のライブを行うことになりました。チラシが出来ましたので、現在配布中です。
限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。
加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ウード、ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブになります。

加藤吉樹 ウード・ソロ

日時 2017年8月2日 水曜日  6時開場 7時開演

場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗)
     今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階)
   駐車場5台のため、できるだけ徒歩でのご来場をお願いします。

チャージ 2000円 (1アイスコーヒー付き)

ご予約・ご連絡先
  VYG06251@nifty.ne.jp

以上ライブ情報でした。宜しければ是非お越し下さい。


では最後にハチャトゥリアンの仮面舞踏会のワルツを聞きながら今回はお別れです。フィギュア・スケートの浅田真央選手が演目で使ってから一般に有名になりました。こちらもハチャトゥリアンの自作自演です。因みに冬期オリンピックが開かれたソチは、かつてチェルケス人の首都でした。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<ハチャトゥリアン/仮面舞踏会 ~ワルツ 4分3秒>
Khachaturian - Masquerade Suite - Waltz

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2017年7月 7日 (金)

再びYadan Vichre Sajjan Diyan

カッワーリーの帝王と言われながら97年に急逝したヌスラット・ファテ・アリ・ハーン。亡くなったという一報の衝撃は、忘れられません。確か前橋での催しに即売で出ていた時だったと思います。カッワーリーも2年後くらいにまた大きく取り上げることにしまして、今回はこのYadan Vicchri Sajan Diyanだけにします。1985年前後の映像は結構目立ちますが、やはりこの頃はヌスラットが乗りに乗っていた時期だなと思います。87年に来日した際の映像がNHKで放映され、民族音楽研究の大家の明治大学教授、故・江波戸昭先生が解説されていましたが、この歌唱を聞いた辺りから数年お蔵に入れてあった色々な「民族音楽」を取り出すようになったように思います。本当に思い出深い一曲です。聴衆の盛り上がり方も凄いです。私の知人のイスラム教徒のインド人も、ヌスラットのコンサートに行くと、気がつくと失神してたと聞いたことがあります。シーク教徒ではと思われるターバンをきっちり巻いて髭をはやした人も目立ちますが、カッワーリーの熱気はイスラム教徒でなくても、宗教の壁を越えて伝わるものなのでしょうか。

Yadan Vichre Sajjan Diyan Ayaan

Yadan Vichre Sajjan Diyan Ayan

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2017年7月 6日 (木)

Rimpa sivaのタブラ

スワパン・チョードリーをもう少し上げようかと思って見ていたら、凄い若手女性タブラ奏者Rimpa sivaを発見しました。動画を見るまでは、「女ヌスラット」の異名を取っていたアビダ・パルヴィーンがタブラを叩いているのかと思いました(笑)。父のSwapan sivaとの1時間を越えるデュエットですが、タブラの可能性を極限まで探っているかのようです。彼女は現在31歳で、ファルハバード・ガラナに属し、1999年にフランスのドキュメンタリー「Rimpa Siva: Princess of Tabla」に登場していたとのこと。
5日はクマール・ボースの映像を上げましたが、メイン機を立ち上げなかったので、HPは更新しませんでした。未視聴の方はぜひご覧下さい。

Rimpa siva and pt. Swapan siva tabla duet @ CHETLA MURARI SMRITI SANGEET SAMMILANI

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2017年7月 5日 (水)

クマール・ボースとキシャン・マハラージ

今日はサウスポーのタブラ名人クマール・ボースの妙技をたっぷり見てみたいと思います。2本目はアニンド・チャテルジーとのタブラ・ジュガルバンディ(二重奏)。彼の師匠のキシャン・マハラージの独奏もありましたので一緒に。若い頃のモノクロ映像がありました。ベナレス・ガラナらしさ、感じながら聞いてみました。オコラから出ていたラヴィ・シャンカルの盤の伴奏がクマール・ボースだったことに、今日気付きました。うっかりしました。(確か廃盤だったと思います)

Pandit Kumar Bose, Tabla Solo.

Pt.Anindo Chatterjee and Pt.Kumar bose | The Ultimate Jugalbandi of Maestros

Kishan Maharaj -eXTREME rare video

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2017年7月 3日 (月)

タブラ聞き比べ クマール・ボース、スワパン、ヌスラット

ゼアミdeワールド64回目の放送、日曜夕方に終りました。5日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。ライブ情報のテキストを用意し忘れて、直前にiPhoneのメモに入れて臨みましたが、またもや収録中に誤って削除してしまいまして(左下に削除ボタンがあるのでタッチミスし勝ち)、何度か取り直しして、結果つぎはぎになっていたのが放送でよく分かりました。お聞き苦しくなりまして申し訳ございませんm(__)m

旧ソ連各地の音楽巡りの途中で寄り道したのも、5月21日の今治でのインド音楽ライブがきっかけでしたので、最初のトピックに戻りまして、北インドのタブラを今回一回聞いて次回からコーカサスの方に移りたいと思います。インド音楽はまた2年後くらいにたっぷりやりたいと思います。
92年の宇崎竜童司会のBS放送でラヴィ・シャンカルとクマール・ボースの演奏が放映され、それがタブラ入門のきっかけになったことを前に言いましたが、そのサウスポーの名手クマール・ボースのタブラ・ソロ・アルバムのDynamicから、一番ベーシックな16ビートのターラ、ティーンタールのソロをしばらくかけてみます。2枚組に及ぶタブラ・ソロ・アルバムで、全てティーンタールで演奏されています。リズム周期(ターラ)を分かりやすくするために伴奏している擦弦楽器サーランギの演奏はイクラム・カーンです。

<Kumar Bose / Dynamic ~Tabla Solo   Tintaal Part 1から抜粋 7分位>
Divine Tabla | Pandit Kumar Bose | Music of India


次に前にも名の出ましたカルカッタのタブラ名人スワパン・チョードリーのタブラ・ソロ・アルバムから、やはりティーンタールの演奏を聞き比べということでかけてみます。二人ともカルカッタ生まれですが、流派(ガラナ)は、クマール・ボースがベナレス・ガラナなのに対し、スワパン・チョードリーはラクナウ・ガラナで、CDで聞いても音質、音色などからして違いがよく分かるかと思います。サーランギ伴奏はラメーシュ・ミシュラです。

<Swapan Chaudhuri / Majestic Tabla of Swapan Chaudhuri Teental Slow 7分位>
Pandit Swapan Chaudhuri Legendary Tabla Player


ここでライブ情報を入れたいと思います。
カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークで初のライブを行うことになりました。チラシが出来ましたらまたアップしますが、取り急ぎお知らせ致します。
限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。
加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ウード、ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブ。

タイトル  加藤吉樹 ウード・ソロ

日時 2017年8月2日 水曜日  6時開場 7時開演

場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗)
     今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階)
   駐車場5台のため、徒歩でのご来場をお願いします。

チャージ 2000円 (1アイスコーヒー付き)

ご予約・ご連絡先 
VYG06251@nifty.ne.jp

加藤吉樹 ウードの奥の音
http://yoshikioud.blog115.fc2.com/

Alf Leyla Wa Leyla~アラブ音楽とベリーダンス~
https://www.youtube.com/watch?v=Ac4h0bCDZtY

以上ライブ情報でした。宜しければ是非お越し下さい。

北インド古典音楽でのタブラ演奏を2曲かけましたが、次にインド・イスラームのスーフィー歌謡として有名なカッワーリーでのタブラ演奏を聞いてみましょう。カッワーリーは80年代からのワールドミュージックブームを牽引したジャンルとして知られています。北インド古典音楽とカッワーリーは、共に13世紀のアミール・フスローが創始したことと、彼がパカワジからタブラを考案したことは前に言いましたが、どうやらシタールも彼の考案した楽器の一つらしいです。
これからかけますのは、カッワーリーの帝王と言われながら97年に急逝したヌスラット・ファテ・アリ・ハーンの1987年東京でのビクターJVCの録音です。このYadan Vicchri Sajan Diyanという曲は、87年に来日した際の映像がNHKで放映されまして、民族音楽研究の大家の明治大学教授、故・江波戸昭氏が解説されていました。私はこの放送で初めてヌスラットを知ったので、非常に感動とインパクトを覚えた思い出深い一曲です。ビクター盤の和訳は「別れた恋人を想うと、雨のように涙が目から流れ落ちる」となっていて、スーフィーの詩らしく、恋人とはこの世の女性とも神とも取れます。タブラの叩き方は、北インド古典音楽に比べるとかなりストレートでシンプルですが、とても情熱的でパワフルな演奏になっております。
パキスタンやインドのカッワーリーも多分2年後くらいになると思いますが、またたっぷり取り上げたいと思います。今回はこの曲を聞きながらお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<ヌスラット・ファテ・アリ・ハーン / 法悦のカッワーリー1 ~Yadan Vicchri Sajan Diyan 16分24秒抜粋>
Yadan Vichre Sajjan Diyan Ayaan

85年のイギリスでのライブ。87年の来日より前の素晴らしい演奏の全曲です。会場のホットな様子も映っています。

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