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2017年7月24日 (月)

イスラメイ~アディゲ(あるいはチェルケス)の音楽

ゼアミdeワールド67回目の放送、日曜夕方に終りました。26日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今日はイスラメイ中心に3本だけにして、また他の曲は後日探してみます。

コーカサスの3回目です。前回は英Topic Recordsの「反抗の歌:チェチェンと北コーカサス諸国の音楽」(英題はSONGS OF DEFIANCE: Music of Chechnya and the North Caucasus)収録のチェチェンとアディゲの音源をかけました。今回はこの盤と露Melodiyaの「サーカシアの伝統音楽アンソロジー」を中心に、アディゲ(あるいはチェルケス)の音楽を聞いてみたいと思います。

アディゲ~チェルケスと言えば、まず出てくるのがイスラメイという舞曲で、ロシア五人組のバラキレフのピアノ曲で一般に広く知られている曲名です。超絶技巧の難曲として知られています。まずは、メロディアの「サーカシアの伝統音楽アンソロジー」収録のオーソドックスなイスラメイの1965年の録音からかけてみたいと思います。レズギンカと類似の8分の6拍子のリズムがついていることもありますが、イスラメイ特有のノーブルなメロディラインが確かにあります。よくレズギンカで男性の踊りが鷲、女性の踊りが白鳥に喩えられますが、正にコーカサスの高い山を舞い降りてくる鷲のような雄々しく颯爽としたイメージの曲です。

<Ислъамый (Исламей) 3分16秒>
Нальмэс - Исламей (2016)

アディゲの国立民族舞踊団ナルメスの最近の美しい舞台映像です。大体の伝統音楽はどこの国でも昔の方が良いのが常ですが、イスラメイに関してはメロディア盤の1976年録音よりも、最近の演奏の方が良いように思います。

次に、この曲からインスピレーションを受けて書かれたバラキレフ作曲のピアノ曲「イスラメイ」を聴いてみましょう。ボリス・ベレゾフスキーの演奏です。16分の12拍子という拍子ですから、やはり8分の6拍子の系統であることが分かります。

<バラキレフ / イスラメイ ボリス・ベレゾフスキー(P) 7分58秒>
Berezovsky plays Islamey


この曲について、ウィキペディアに以下のような解説がありました。とても参考になるので引用しました。

好戦的な民族主義者であったバラキレフは、ロシアの伝統音楽に影響された作風を採っていたが、カフカス地方に旅行した後で着想されたのが本作である。これについてバラキレフは私信の中で次のように触れている。 「…そこの豊かに繁った自然の荘厳なまでの美しさ、そしてそれと調和した住民たちの美しさ ―― これら全てが一つとなって私に強い印象を与えたのです。……私は土地の声楽に興味をもって以からというもの、チェルケス公と親しくなりました。殿下はしばしば私のところにやって来て、持っている楽器(どこかヴァイオリンに似た楽器です)で民俗音楽を演奏したのです。その中の一つに“イスラメイ”と呼ばれる舞曲がありました。これに私ははなはだしい喜びを覚え、構想中の“タマーラ”を主題とする作品にするつもりで、その旋律をピアノのために編曲し始めたのです。第2主題の旋律は、モスクワでクリミア出身のアルメニア人の俳優から教わりました。こちらの旋律は、彼が断言したところによると、クリミア・タタール人にはよく知られているとの由。」(Reishへの手紙 1892年)

また、以下のようにも解説がありました。

近年の音楽学研究によって、バラキレフが本作に残した旋律が、今なお旧ソ連の民謡に健在であることが明らかとなった。たとえば第1主題は、カバルディノ・バルカル自治共和国の「レズギンカ」の一種である。ただし、バラキレフの作品とは拍子が食い違っている。第2主題は、バラキレフが受けた説明のように、起源はタタール人の恋歌であった。

前回、英Topic Recordsの「チェチェンと北コーカサス諸国の音楽」から、アディゲで一曲だけかけましたTimur Losanovの弾くコーカサス・アコーディオンの、「アディゲの踊り」という曲は、youtubeなどでよく聞く重要な旋律ですので、もう一度聞いておきたいと思います。やはりレズギンカ型の8分の6拍子が聞き取れます。

<Timur Losanov / Adighian Dance 2分2秒>

前回同じ盤からかけられなかったカーファという曲ですが、この曲は代表的なアディゲの舞踊の一つです。長く白い衣装と白い帽子を被った女性が優美に踊っている印象の強い曲です。ソロ歌手のCherim Nakhushevと言う人は男性のようですが、声は女性のように聞こえるほど高い声です。手拍子と一緒に叩かれる短冊のような打楽器がアディゲに特徴的な音です。

<Cherim Nakhushev / Kafa 3分46秒>


既に3回お知らせしましたが、ここで加藤吉樹さんのウード・ソロのライブ情報を入れたいと思います。 カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークで初のライブを行うことになりました。
限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。19日現在、残席が段々減ってきております。
加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ウード、ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブになります。

加藤吉樹 ウード・ソロ

日時 2017年8月2日 水曜日  6時開場 7時開演

場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗) 
   今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階)
   駐車場5台のため、できるだけ徒歩でのご来場をお願いします。

チャージ 2000円 (1アイスコーヒー付き)

ご予約・ご連絡先 
VYG06251@nifty.ne.jp

以上ライブ情報でした。宜しければ是非お越し下さい。


では最後にKiaperishという英Topic Records盤のアディゲ・アンサンブルの演奏を聞きながら今回はお別れです。2006年のモスクワ録音ですが、トルコのアディゲ移民の間でのみ生き残っていた曲が、北コーカサスのアディゲに逆輸入された形で入ってきて、「トルコ系アディゲの音楽」として知られているタイプの舞踊曲です。この類の例は、ロシアでの迫害を逃れ移住した旧オスマン帝国のトルコやヨルダンのチェルケス人の音源に残っていますので、また追々ご紹介する予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Adigh Ensemble / Kiaperish 2分23秒>
Adigh Ensemble - Kiaperish

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コメント

こんにちは。
毎週楽しみに放送を拝聴しております。
今回は「イスラメイ」の聴き比べ(?)がとても興味深かったです。
国民楽派というのでしょうか、各地の庶民の間で歌われる民謡や舞曲から題材をとったクラシック曲は少なからずあるようですが、その肝心の"題材の元となった曲"を聴く機会はあまりありません。
なので今回の聴き比べはありがたいものでした。
民族音楽・伝統音楽とともにクラシック音楽にも精通しておられる近藤様ならではですね。
今後もこういう機会があればと思います。
番組が末永く続きますように…。

投稿: たこ | 2017年8月 2日 (水) 20時32分

たこ様
いつも有難うございます。直の原曲ではありませんが、最も有名なイスラメイの旋律とバラキレフのイスラメイを並べてみました。バラキレフが聞いたカバルダ(カバルディノやカバルディンとも)のイスラメイが残っているのか気になるところです。カバルダの音源は余りありませんが、次回かける予定です。クラシックとのこういう比較のネタは、いつも探しております。

投稿: ほまーゆん | 2017年8月 4日 (金) 07時48分

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