チェチェンとアディゲの音楽
ゼアミdeワールド66回目の放送、日曜夕方に終りました。19日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。アズナシはトピック盤の音源がyoutubeには見当たらず、アリオン盤は一部出ていますが、そちらとパーソネルが同じと思われるライブ映像を2本上げておきました。どちらも大変素晴らしいですが、若手中心に見えるトピック盤とは歌手が違うようです。(若手も素晴らしいのですが、謎です) コーカサスの2回目です。今回も北コーカサス各地の音楽を聞いてみたいと思います。前回少し説明しましたが、北西コーカサス諸語をサーカシアまたはチェルケスあるいはアディゲ、チェチェンとイングーシはヴァイナフ、ダゲスタンはダゲスタン諸語と、大きく3つに分かれます。ヴァイナフとダゲスタンは、合わせて北東コーカサス諸語とも言われます。 北西コーカサスの総称に3つの名前があるのは、1500年ごろに成立し、コーカサス戦争や1864年のロシア・チェルケス戦争で滅んだ国、チェルケシアを英語でサーカシア、ロシア語でチェルケス、アディゲ語でアディゲと呼んだことに由来しています。冬期オリンピックが開かれたソチは、チェルケシアの首都でした。 ヴァイナフのグループに属するチェチェンの歌姫マッカ・サガイーポヴァの歌を前回一曲かけました。今回は英Topic Recordsの「反抗の歌:チェチェンと北コーカサス諸国の音楽」(英題はSONGS OF DEFIANCE: Music of Chechnya and the North Caucasus)を中心に聞いて行きたいと思います。 ツイッターなどで予告していましたので、仏Arionの録音でも知られるチェチェンの女性ヴォーカルグループのアズナシの英Topic Records盤の歌声から聞いてみたいと思います。「星は空から落ちてしまった」という曲には、「人生の短さを歌った哲学的な民謡」というコメントが付いていますが、そこにはチェチェンらしい諦念がうかがえて、この一枚を象徴するような悲しくも美しい一曲です。アズナシは、歌い手のカラーに合わせてでしょうか、ソロ歌手が民謡によって変わっていて、それがそれぞれの歌をより引き立てています。アズナシは、戦火の絶えない祖国を離れ、グルジアで活動しているようです。この曲もグルジアの首都トビリシでの2006年録音です。 <Aznach Ensemble / Stiglara 4分43秒> 次にこの盤の一曲目に戻りまして、Nokhtchiin Gimnという曲です。チェチェン語でチェチェンをノフチーと言いますので、訳せば「チェチェンの聖歌」となります。19世紀半ばのロシアとの闘いの中で生まれた歌です。同じくグルジアの首都トビリシでの2006年録音です。 <Aznach Ensemble / Nokhtchiin Gimn 3分12秒> Ensemble Aznash (Duisi, Pankisi Valley, Georgia) 1分過ぎからNokhtchiin Gimnが出てきます。グルジアの合唱と共通する素晴らしさを一番実感できる歌唱と映像。 Aznash Ensemble 次もチェチェンの民謡で、男性歌手サハブ・メジドフのバラライカ弾き語りを2曲かけてみます。チェチェン特有の弦楽器パンダル(あるいはポンダル)の代わりに、よくバラライカも演奏されますが、おそらく同じ三絃で調弦が似ているのだろうと思います。同じコーカサス系であるグルジアの弦楽器パンドゥリやチョングリなどと共通する独特な奏法が、特に二曲目で聞けます。一曲目はダイモクという曲で、これは祖国の意味になりまして、望郷の思いを歌っています。二曲目は翻訳では「私は彼女を見つけられない、でも彼女を愛している」という内容で、中東の悲恋物語「ライラとマジュヌーン」を連想させる歌です。 <Sahab Mezhidov / Daimohk 2分7秒> <Sahab Mezhidov / Ya Yish Ekush Dagna Yaznarg 2分35秒> 再びアンサンブル・アズナシの歌で、チェチェン民謡のAs Khastamboと言う曲です。和訳するなら「私は運命に感謝する」となりまして、やはり諦念の滲む歌です。リード・ヴォーカルのタムタ・ハンゴシヴィリのハリのある歌声がとても素晴らしいと思います。この曲ではアコーディオンに代わってバラライカ伴奏になっています。 <Aznach Ensemble / As Khastambo 3分5秒> チェチェンの歌が続きましたので、同じ盤からアディゲの曲も今回かけておきます。Timur Losanovの弾くコーカサス・アコーディオンで、「アディゲの踊り」という曲です。レズギンカ型の8分の6拍子が聞き取れます。こちらも現地ではなく2006年ロンドンでの録音です。 <Timur Losanov / Adighian Dance 2分2秒> Концерт Тимура Лосана в Майкопе - 2 часть なかなかCDのような伝統的なままのyoutubeは見当たらないので、とりあえずアディゲの首都マイコプでのティムール・ロサノフのコンサート映像Vol.2を貼っておきます。色々なアディゲの舞踊が出てきます。 前回もお知らせしましたが、ここで加藤吉樹さんのウード・ソロのライブ情報を入れたいと思います。 カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークで初のライブを行うことになりました。チラシが出来ましたので、現在配布中です。 限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。 加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ウード、ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブになります。 加藤吉樹 ウード・ソロ 日時 2017年8月2日 水曜日 6時開場 7時開演 場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗) 今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階) 駐車場5台のため、できるだけ徒歩でのご来場をお願いします。 チャージ 2000円 (1アイスコーヒー付き) ご予約・ご連絡先 VYG06251@nifty.ne.jp 以上ライブ情報でした。宜しければ是非お越し下さい。 では最後にチェチェンのラヴ・ソングBiezamuoを聞きながら今回はお別れです。録音当時20歳くらいと思われるタムタ・ハンゴシヴィリのハリと緊迫感のある歌声がとにかく素晴らしいです。 ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週 <Aznach Ensemble / Biezamuo 2分57秒>
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