Folk Melodies of Daghestan B面とЖуравли
ゼアミdeワールド76回目の放送、日曜夕方に終りました。4日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。露MelodiyaのダゲスタンB面に入っているイラン北西部の音楽に近い感じのクムーズ演奏がなかなか見当たらないので、コーカサス音楽ど真ん中のような演奏ですが、Гьажимурат Абдуллаев(ガジムラート・アブドゥッラーエフ)の演奏を上げておきます。こちらも味わい深い演奏です。агъач-къомуз(アガチ・コムズ)と言うのがクムイク人のクムーズと全く同じものか、演奏地域が異なるのか、その辺りがまだ不明です。 ダゲスタンの音楽の2回目は、ロシアのメロディア盤B面から行きたいと思います。先週はクムイクの弦楽器クムーズの合奏を中心にかけましたが、B面では「山並みに沿って」という曲に始まり、古いアヴァールの旋律が4曲、「兵士の手紙」というタイトルのクムイクの歌、古いダルギンの旋律、レズギンの旋律、ラクの旋律と入っておりまして、前回のラストは1曲目の後のクムーズソロの一曲目で終りました。一曲目は短かい曲なので、今日はもう一度最初から18分通しでかけたいと思います。テュルク系民族クムイクの弦楽器クムーズは、いかにも中央アジア、キルギスタンのコムズなどに繋がる音色でしたが、B面では同じクムーズを使っていてもイラン北西部の音楽にかなり似通った感じから始まります。こちらのクムーズ演奏はRamazan Magomedovという人です。ぐぐってみましたが、ベラルーシのボクサーが出てきただけで、プロフィールは解らずじまいでした。典型的コーカサス音楽のA面とは対照的に、イラン北西部アゼルバイジャン地方辺りの弦楽器独奏を聞いているのかと錯覚してしまう音楽です。太鼓Doholと擦弦楽器Chaganaも出てくる冒頭の華々しさの後は、ソロで地味ではありますが、貴重なロシアのレーベルMelodyaの貴重なアナログ音源ですので、全て通しでかけます。 <Folk Melodies of Daghestan B面 18分4秒> 前回、チェチェンは四国より少し小さく、ダゲスタンは大体九州くらいの広さと言いましたが、後者は間違っておりましたので、訂正します。正確に調べてみましたら、チェチェンは15,300km2、四国は18,800km2、ダゲスタンは50,300km2、九州は36,750km2でしたから、最初の比較は大体合っていますが、ダゲスタンは九州の1.4倍位ありました。北コーカサスの他の国を全て合わせた位の広さがある国でした。 ダゲスタンと言えば、是非ご紹介したい曲があります。一般にはロシア歌謡として知られている「鶴」という曲ですが、ダゲスタンのアヴァール語の詩人ラスル・ガムザトフ(1923-2003)が歌詞を書いていて、その内容は、死者たちの魂が鶴の群れとなって地上の生者たちと交感する様を歌っています。コーカサスらしい叙情性と死生観も感じさせる1969年の名歌で、日本でもダークダックスが歌って広く知られるようになりました。この詩はガムザトフが1965年に来日した際に広島の原爆資料館で受けた強い衝撃をモチーフに書かれています。ロシア民謡の歌手として有名な山之内重美さんの訳詩と歌唱でどうぞ。せりふは岸田今日子さんで、ここでは恋人を戦争に奪われた女性の歌として歌われています。 この曲を聞きながら今回はお別れです。 ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週 <山之内重美 / つる 5分15秒> 【ソ連音楽】Журавли / 鶴【日本語字幕】 ジュラーヴリ(鶴)は、手持ち音源には多分山之内さんの盤だけでしたが、youtubeには色々現地音源が出ています。字幕で原詩の意味がよく分かります。
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