アブハジアの伝統音楽
ゼアミdeワールド80回目の放送、日曜夕方に終りました。1日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。 今回はグルジアの北西部の黒海沿岸に位置するアブハジアと、見つかればチェチェンの兄弟民族イングーシの音源も考えておりましたが、イングーシの方が見つからず、あっても古い録音が1,2曲だけですので、アブハジアの音源をご紹介します。 アブハジアは、コーカサス山脈の南に位置しますが、アブハズ語は言語的にはグルジアよりも、山脈の北側のアディゲ、チェルケス、カバルドなど北西コーカサス諸族に近く、アルメニアと並んで世界最古のキリスト教国として知られるグルジアの中では、イスラム教徒も割と多く、16パーセントほどいるようです。ソ連崩壊後のアブハジア紛争の後も、国際的にはジョージア(或いはグルジア)の一部とされますが、実質的には独立状態にある国です。余談ですが「ジョージア」という現在の正式な呼び名については、昔から「グルジア」と言い慣らして来た者にとっては、アメリカの州の名前か、缶コーヒーのようで非常に違和感がありますので(笑)、今後もグルジアで通します(笑) これまでにチェチェンやサーカシアの音源をご紹介してきましたロシアのレーベルMelodiyaのAnthology of folk musicのシリーズには、旧ソ連各国のソ連時代の貴重音源が網羅されていまして、アブハジアだけで1枚当てられています。今回はその盤を取り上げます。国内仕様盤では副題が「黒海の真珠」となっております。黒海に面した温暖な気候により、ロシア帝国・ソビエト連邦時代には「黒海の真珠」と称され、リゾート地としても栄えた地方で、アブハズ人、アルメニア人、ロシア人などにより構成されています。伝統音楽には、コーカサスらしい幽玄な美しさのポリフォニーを聞かせる男声合唱と、伴奏にはアコーディオンや数種類の笛や太鼓が用いられます。この盤の録音は1970年-1987年のようです。 まずは一曲、冒頭のアフィルティン・アンサンブルの男声合唱による民族舞踊曲をどうぞ。やはりグルジアの男声合唱にそっくりですが、違いがどこかにあるはず。それを見つけるのも一興でしょう。 <Abkhazian Music - Ensemble Song and Dance Afyrtyn / Auraash`a 2分6秒> 次も同じアフィルティン・アンサンブルの男声合唱による婚礼の歌唱です。花嫁が初めて花婿の家を訪れた場面で歌われるようですが、こんな壮麗な歌を歌われたらどんな気分でしょうか。 <Abkhazian Music - Ensemble Song and Dance Afyrtyn / Radeda 2分52秒> Didgori Choir•Radeda•(Abkhazia region) 次は7曲目で、やはり同じ男声合唱によるオブズバクについての歌とあります。この盤は解説が簡略なため詳細が不明ですが、アブハズ人、アディゲ人、チェルケス人、オセット人、ウビフ人などの北コーカサス諸民族には、ナルト叙事詩という古い語り物がありまして、ギリシア神話やイギリスの『アーサー王伝説』との関連も議論されてきましたが、オブズバクと言うのはその登場人物の一人かも知れないと思いましたが、どうでしょうか。常々気になっていますが、日本のアニメのナルトとも関係があったりするのでしょうか? アーサー王の話は、イギリスとコーカサスでは場所が飛び過ぎの気もしますが、この伝説が形成された時代に北フランスに移住した、オセット人の祖先にあたるアラン人が伝えたという説があるようです。 <Abkhazian Music - Ensemble Song and Dance Afyrtyn / Ozbak iashva ( Song about Obzbak) 1st version 2分10秒> Ozbak - Abkhazian folk song - Abkhazian Ensemble 続く8曲目も同じ男声合唱ですが、太鼓(おそらくナガラ)と手拍子で賑やかに伴奏しています。このサマフアというのもナルト叙事詩かもと見ましたが、どうでしょうか。また調べてみてブログで報告したいと思います。今回はかけませんが、16曲めにはグループ名がNartaaという、いかにもナルト叙事詩を思わせる団体がありました。 <Abkhazian Music - Ensemble Song and Dance Afyrtyn / Samakh`khuaa iashva ( Song about Samakhua) 1st version 1分9秒> 9曲目は、先ほどのSong about Obzbakの2nd versionとありまして、歌っているフェルズバ・ファミリーは、女性と子供と思われます。男声以外でも同様のコーカサス特有のすばらしいポリフォニーを聞かせます。 <Abkhazian Music - Ferzba Family / Ozbak iashva (Song about Obzbak) 2nd version 1分37秒> 10曲目には羊飼いの歌となっていますが、笛の独奏で、ここで吹かれている牧笛Acharpyn pipeは、声との二重音声になっていて、同様の笛は、東欧各地やコーカサスの北のバシコルトスタンなど方々で見られます。 <Abkhazian Music - E.Bagatelia / Auasarkhviga (Shepherd`s Song) 1分15秒> 11曲目は女性のアンサンブル、グンダの演奏で、グルジアの大人気女性トリオTrio Mandiliを思わせるようなチャーミングなコーラスを聞かせます。 <Abkhazian Music - Girls` Ensemble Gunda / Azamat 1分55秒> Abkhaz Folk Song "AZAMAT" (Азамат) 少し飛んで15曲目には「ヒブラについてのユーモラスな韻」と題が付いていまして、コーカサスらしい男声合唱と西洋の古楽が融合したようなユニークな音楽になっています。ラストの11分を越える婚礼の歌と並んでこの盤の白眉だと思います。 <Abkhazian Music - Folk VIA Ertsakhu / Alaf iashva Khibla (Humorous Rhymes about Khibla 3分5秒> では最後に、そのラストの11分を越える婚礼の歌を時間までかけて今回はお別れです。男声合唱や独唱、器楽も多彩で、盛り沢山なステージが髣髴とされる曲です。次回からグルジアの色々な音楽を聞いて行く予定です。 ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週 <Abkhazian Music - Abkhazian State Folk Song Ensemble / Apsua chara (Abkhazian Wedding Song 11分21秒 抜粋> Abkhazian Wedding Song 同じ曲ではないようですが、こんなノリがあります。自然に湧いて出るような男声合唱。素晴らしいです。Apsua charaは放送で2分弱しかかけられなかったので、次回全曲かけます。
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