テュルク系 ノガイの音楽
ゼアミdeワールド77回目の放送、日曜夕方に終りました。11日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。ノガイについては、簡単には見つかりそうにないので、また水曜以降に調べてみます。
今回はもう一つのダゲスタンの音源であるオランダPanのCDから聞いて行きたいと思います。
1曲目は、ダブルリードのズルナ、打楽器ナガラ、アコーディオンによる古いアヴァールの旋律という短かい曲に始まりまして、続く2曲目はアルバムタイトルでもあるアイ・ラザット(Ay Lazzat=Oh Pleasure)という曲です。アヴァールとノガイに共通の歌で、今風に訳すなら「いいね」となるでしょうか。西洋的な典型的コーカソイドの顔立ちのアヴァール人女性歌手サニジット・スルタノヴァと、日本人と見紛うようなアジア的な顔立ちのノガイ人女性歌手ズーラ・シャンディエヴァが一緒に歌っています。ダゲスタンには元々両方が住んでいるのが面白いところです。アイ・ラザットは、この民族混成のグループ名にもなっていて、弦楽器も同系統ですがアヴァールのパンドゥールとノガイのクムーズの両方が出てくるようです。
<Songs and Melodies from Dagestan - Old Avar Melody、Ay Lazzat (Oh Pleasure) 42秒、3分25秒>
Folk Song from Dagestan - Ay, Lazzat
3曲目は「父の家」と訳せるノガイの歌で、子供たちに馬の乗り方を教えているほのぼのする3拍子の歌です。擦弦楽器チャガナ、打楽器ナガラ、アコーディオンの伴奏です。
<Songs and Melodies from Dagestan - Ata yurtum (Father's House) 3分22秒>
4曲目は「鶴」というタイトルのノガイの歌で、アヴァールとノガイの違いはありますが、前回ご紹介しましたガムザトフの「鶴」をすぐ様思い出してしまいます。「秋には鶴が無限の草原を離れ、私たちは遠くなる彼らを眺める。さようなら、鶴よ」このような内容の歌です。ガムザトフの詩のような絶唱ではなくても、とてもノスタルジー溢れる一曲です。
<Songs and Melodies from Dagestan - Turnalar (Cranes) 3分14秒>
5曲目は、ノガイの宗教的な歌で、穀物が束に縛られる最初の祝日のための歌です。
<Songs and Melodies from Dagestan - Sabantuy (Spring Celebration) 3分46秒>
6曲目は、母に捧げるノガイの歌で、「母によって我が人生の道が開かれた。私の星は母によって照らされ、昼も夜も母は私の心にいる。」 こんな内容です。
<Songs and Melodies from Dagestan - Anama (To Mother) 3分57秒>
7曲目Khastugan (Born)は、16世紀ノガイの詩人Dosiambet Azov-ulyが書いたスピリチュアルな叙事詩で、常にアカペラで歌われるそうです。16世紀のノガイとヴォルガ河口付近に住むモンゴル系のカルムイクの間の戦闘で、カスピ海の北東側にあったノガイの国が亡ぼされ、南のコーカサスと一部はクリミアとルーマニアにまで追放されるという悲劇の始まりを歌っているようです。
ここまではノガイの歌で、擦弦楽器チャガナ、打楽器ナガラ、アコーディオンの伴奏でした。いずれもズーラ・シャンディエヴァの歌唱で、キルギスの民謡にも通じるようなノスタルジックな曲が多く、全てご紹介しました。ノガイは、かつてキプチャク・ハン国を構成した遊牧民族の末裔であるとされ、言語系統はテュルク系に分類される民族です。
この曲を聞きながら今回はお別れです。次回はこの盤の後半のアヴァールの音楽の方を聞いていきます。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<Songs and Melodies from Dagestan - Khastugan (Born) 3分52秒>
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