アヴァールの器楽 Shamil Imam等
ゼアミdeワールド78回目の放送、日曜夕方に終りました。18日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。youtubeが見つかったのは、Shamil Imamのみでした。 先週に続いてオランダPanのCD「Songs and Melodies from Dagestan」からご紹介します。後半はコーカサス系のアヴァールの音楽が中心ですが、コーカサス系のラクやテュルク系のクムイクの音楽も若干入っております。ノガイから聞いてくると、アヴァールからがらっと変るような印象も受けます。 8曲目「シャミル・イマーム」は、コーカサス系のアヴァールの歌で、いかにもコーカソイド(白人を指す用語で、コーカサスに由来)の風貌の、つまり西洋的な顔立ちの女性歌手サニジャト・スルタノヴァの歌唱です。ロシアと戦った19世紀の伝説的なアヴァールの戦士シャミル・イマームについての歌で、伴奏はノガイと同じで、擦弦楽器チャガナ、打楽器ナガラ、アコーディオンです。 <Songs and Melodies from Dagestan - Shamil Imam 3分36秒> Shamil imam -Daghestanian Avar music with "pandur" enstrument. 同名曲のパンドゥール独奏は幾つかありましたが、歌では今の所見つかっておりません。同じ曲かどうか、今の所不明です。ダゲスタンのアヴァールで非常に名高いテーマであることは確かなようです。 9曲目「ニッティハッサ・バレイ」という曲は、この盤の中に数曲入っているラク語の歌で、アヴァール語と同じコーカサス諸語ですが、ダゲスタンの中では多数派のアヴァールに比べると少数派の言語です。この言葉について調べていて、初めてパーロチカというロシア文字(あるいはキリル文字)にはないコーカサス諸語に特有の文字の名称を知りました。パーロチカは、ローマ字のアイかエルのように見えますが、通常独立した音価は持たず、前の子音が放出音であることを表すようです。この音があるのは、世界で他にはエチオピアのアムハラ語やナイジェリアのハウサ語、南部アフリカのブッシュマンなどのコイサン語族があるくらいで、珍しい発音と言えると思います。パーロチカは、チェチェン語、イングーシ語では喉頭蓋破裂音を表すそうです。これもコーカサスの言葉特有の音です。 この曲は母についての歌で、テュルク系のノガイだけでなく母への尊敬と思慕の強さはコーカサスの諸民族に共通のようです。 <Songs and Melodies from Dagestan - Nittikhassa baley (Song about Mother) 2分59秒> 10曲目は「二つのアヴァールの旋律」というタイトルの弦楽器パンドゥールの独奏曲です。ZeAmiブログの方では弾き語りでyoutubeを色々見ていた楽器ですが、ここでは素朴な音色のソロが聞けます。演奏は先のラクの曲で伴奏をしていたMutay Khadullaevです。 <Songs and Melodies from Dagestan - Two Avar Melodies 4分25秒> 13曲目には「クムイクの旋律とチェチェンの踊り」という曲が入っておりまして、こちらはクムイクのクムーズで演奏されています。アヴァールのパンドゥールとの聞き比べと言う事で、2曲続けてかけてみます。柔らかいパンドゥールの音と、おそらくスチール弦と思われるクムーズのクリアな音色と躍動的なコーカサスのリズムは好対照のように思います。こちらも演奏は同じくMutay Khadullaevです。アヴァール、クムイク、ラクの曲まで、系統の異なる民族の音楽もダゲスタン内なら何でもこなす弦楽器奏者ですが、このクムイクとチェチェンの曲が最も鮮烈な印象があります。彼はアルバム・タイトル曲のアイラザットとノガイの曲では、擦弦楽器チャガナを弾いていました。 <Songs and Melodies from Dagestan - Kumyk Melody and Chechen Dance 3分32秒> お知らせ 9月14日木曜夜から4回、5時にゼアミ実店舗兼のカフェ、トーク・トークを閉めた後、初の弦楽ナイト(仮称)を開催しました。今治市民弦楽合奏団のメンバー4、5人が集まり、大体は近々の11/12の文化祭に向けての補講になっておりますが、構想としては、弦楽四重奏や管楽器などの人も入っての様々なセッションも出来ればと思っています。 毎木曜日、時間は5時から6時か6:30まで、見学自由、入場無料、閉店後なのでドリンクは各自持ち込み、ゴミは各自持ち帰りと言うことで、お待ちしております。宜しければ見学にお越し下さい。メンバーが集まらない時は私が無伴奏チェロでも弾きます。駐車場は店の右手に数台あります。 場所 今治市北高下町2-1-7 ハイツ近藤2の1階 Cafe トーク・トーク マスター ゼアミ店主 兼 今治市民弦楽合奏団 代表 近藤博隆 因みに演奏曲目ですが、11月12日の今治文化協会の文化祭(音楽祭)では、チャイコフスキーのアンダンテ・カンタービレと、ジブリ映画の「天空の城ラピュタ」の主題歌「君をのせて」の2曲です。 大分先ですが、来年2月4日には第11回今治総合芸能祭がありまして、こちらでは琴と尺八の葉風会との共演で森岡章作曲の「月に寄する三章」という曲を弾きます。作曲された昭和40年代の雰囲気が色濃く感じられる、ロシア民謡とナツメロ、琴の曲の入り混じったような印象の静謐な曲です。唯一快活な2曲目は、ペルシアの舞曲レングに似た感じにも聞こえます。11月、2月とも今治中央公民館での催しで、どちらもヴァイオリンで出ます。宜しければ是非お越し下さい。 ダゲスタンのアルバムに戻りまして、今回は撥弦のパンドゥールとクムーズだけでなく、擦弦のチャガナまでこなすMutay Khadullaevの演奏に焦点を当てております。17曲目のAvar Dance Melodiesでは、ナガラとアコーディオンの伴奏でチャガナのソロを聞かせています。ダゲスタンの南に隣接するアゼルバイジャンのケマンチェ演奏と聞き比べたいような独奏です。 この曲を聞きながら今回はお別れです。次回はこの盤の後半のアヴァールとラクの、歌の方を聞いて行く予定です。 ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週 <Songs and Melodies from Dagestan - Avar Dance Melodies 5分33秒>
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