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2017年11月20日 (月)

Georgie - Chants de travail / Chants religieux

ゼアミdeワールド83回目の放送、日曜夕方に終りました。22日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今回は50年前の録音の古い廃盤音源で、動画はやはり皆無でしたから、同じ曲あるいは同じ地方の演奏者でアップしておきました。(オロヴェラとアリロは先日取り上げましたので省略しました)

グルジア音楽の3回目です。今回はリリースが1989年と言うフランスOcoraの古い盤で「グルジアの仕事歌と宗教歌」と、ドイツWergoの「ソイナリ~グルジアの今日の民族音楽」からご紹介したいと思います。ヴェルゴの方は辛うじて現役盤かと思いますが、オコラの方は既に廃盤の音源で、こちらは録音が1967年頃ですから、グルジア各地のより古い伝承が聞けるように思います。(Chants de travailの部分は、「労働歌」という訳もたまに見かけましたが、当時グルジアが属していたソ連の場合、全く違った意味合いになりますので、「仕事の歌」としております)
まずは、オコラの「グルジアの仕事歌と宗教歌」から、前回農作業の際の仕事歌としてカヘチアの男声合唱版でかけたオロヴェラという曲をかけてみます。こちらは同じくカヘチアの女性の独唱で、録音は1967年です。深い瞑想的な哀歌の類という点では共通していますが、男声ポリフォニーとはかなり異なる旋律です。日本の民謡にも元歌というのが残っている場合があって、一般によく知られたメロディとかなり違っていたりもしますが、それと同じようなパターンなのかも知れません。

<2 Georgie - Chants de travail / Chants religieux    Orovela 2分50秒>

裏声パート、クリマンチュリが自由奔放に出てくるハッサンベグラは、前々回に100年前の録音でかけまして、ゼアミブログの方ではルスタヴィ合唱団などの動画を上げて、かなり人気があったようです。このオコラ盤のラスト26曲目に入っているDedoplis Maqrouliと言う曲も、同じタイプの華やかな曲ですので、そちらをかけてみます。クリマンチュリの本場、黒海に面するグルジア南西部グリア地方の婚礼の聖歌の一種で、旧約聖書の詩篇(44編10節?)の「女王は素晴らしい金を纏っている」という詩句に基づいています。クリマンチュリの自由闊達な歌唱入りで詩篇を表現するとは、驚きです。

<26 Georgie - Chants de travail / Chants religieux    Dedoplis Maqrouli 2分7秒>

前回カヘチアの男声合唱でかけましたアリロというグルジア正教のクリスマスの歌も、カヘチア他、違う地方の歌が3曲オコラ盤には入っておりますので、続けてかけます。アリロとは、ラテン語ならアレルヤに当るようです。やはりいずれも1967年録音です。クリスマス・イヴに村の家々を行列して訪問する際に歌われ、この歌の響きの中で人々は心安らかにクリスマスを迎える、という歌です。

<18 Georgie - Chants de travail / Chants religieux    Alilo of Letjkhoumi Male Polyphonic Chorus 2分47秒>
<19 Georgie - Chants de travail / Chants religieux    Alilo of Mingelie. Vocal Quartet 1分18秒>
<20 Georgie - Chants de travail / Chants religieux    Alilo of Kakhetie.Male Polyphonic Chorus 2分9秒>

クリスマスの歌が出たところで、鐘の音も入っておりますので、併せてかけてみます。タイトルはGoudani Sanctuary Bellとなっております。

<22 Georgie - Chants de travail / Chants religieux    Goudani Sanctuary Bell 35秒>

グリア地方のイースター(復活祭)の合唱と、旧約聖書のイザヤ書に基づいていると思しき曲もありましたので、続けてかけてみます。やはりグリアでは最もグルジアらしいイメージの歌声が聞けるように思います。

<15 Georgie - Chants de travail / Chants religieux    Forthy Resurrection 1分2秒>
<17 Georgie - Chants de travail / Chants religieux    Isaiah`s Joy 1分26秒>

4世紀のキリスト教導入以前からのグルジア最古の歌とされる太陽賛歌リーレは、前回イネディの「スヴァネチのポリフォニー」の録音をかけましたが、オコラ盤にもスヴァネチの録音で入っておりますので、かけてみましょう。オコラとイネディでは、同じスヴァネチでも30年ほど録音時期が違うと思います。

<10 Georgie - Chants de travail / Chants religieux    Lile-Hymn of the Sun or Supreme Divinity 2分23秒>
Lile


同じスヴァネチの歌で、ザリ(鐘)という葬式の嘆き歌がありまして、その録音が太陽賛歌リーレに続いて入っておりますので、そちらをかけます。その音楽的起源は有史以前に溯るとも言われています。

<12 Georgie - Chants de travail / Chants religieux    Zari - Lamentation of Balskvemo 3分29秒>
Polyphonies vocales de Svanétie (Géorgie)

ザリは入ってないようですが、貴重なスヴァネチの男声合唱の生映像で、後半弦楽器が入る部分は、12日の放送でかけた宗教歌Lazhgvazhです。

オコラ盤「グルジアの仕事歌と宗教歌」のみで今回は終りましたが、このように古い伝承歌の宝庫のような一枚で、廃盤になっているのが惜しまれます。ムスリムが多く、現在はグルジア内の自治共和国になっている南西部のアジャリアの仕事歌ナドゥリの音源は、この盤の中では比較的長尺で入っておりまして、段々エキサイトして速くなるところなどは、スーフィーの宗教歌ジクルに似た感じにも聞こえます。クリマンチュリと思われる高音パートが派手に出てきます。時間までその一曲Kali Viqav Aznaouri(私は乙女だった)を聴きながら、今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<7 Georgie - Chants de travail / Chants religieux    Kali Viqav Aznaouri (I was a damsel) 6分12秒 抜粋>

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