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2017年11月13日 (月)

グルジアの東部と北西部の歌

ゼアミdeワールド82回目の放送、日曜夕方に終りました。15日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。ビクター盤の映像はやはりありませんでした。代わりにオマー・シャリフに似た男らしい容貌の名歌手ハムレット・ゴナシヴィリ(Hamlet Gonashvili)の名唱を交えて上げておきます。素晴らしい節回しに耳が釘付けです。

先日5日はラヂオバリバリ15周年の交流会がハーバリーでありまして、各パーソナリティが色々な出し物をされましたが、私もバッハの無伴奏チェロ組曲から、お祝いの席に相応しい晴れやかな3曲を弾かせて頂きました。曲は組曲1番のサラバンドとプレリュード、3番のサラバンドの3曲でしたが、3曲目の解説で、ど忘れしていたローゼン師匠の名文句を思い出しましたので、今回まず初めにここで言っておきたいと思います。後半の辺りで、先生が弾きながら遠い目で一言つぶやいたのは、Old day was gone.と言う文句でしたが、それがいつまでも忘れられない名文句として記憶に残っています。最初聞き間違えてAll day was gone.と覚えてしまっていまして(笑)、卑近な譬えですが、まるでヤマトの沖田艦長が帰還直前に久々に地球を見届けてから亡くなる時のような、走馬燈を見るようなイメージなのかと早合点しました。過ぎ去った昔を回想しているところまでは一致していて、確かにそんなイメージのある曲調なので、それを噛みしめながら弾くようにしています。サラバンドは静かな曲調ながら一曲に起承転結が感じられ、単独で弾かれることも比較的多いように思いますが、この3番のサラバンドを弾く際の一般的な心掛けとして、You must be actor.という師匠のコメントも印象に残っています。

さてグルジアに戻ります。前回からユネスコの世界無形遺産にも指定されているグルジアの多声合唱を聞いておりますが、ビクターJVCワールドサウンズシリーズの「サカルトベロ 奇蹟のポリフォニー」はやはり見つからないので、今回はこのシリーズ第3集の「カヘチア 奇蹟のポリフォニー」と、フランスのレーベルIneditの「スヴァネチのポリフォニー」を比較しながら聞いて行きたいと思います。グルジアの合唱はロシア正教聖歌の元になったとも言われ、グルジアは日本の5分の1ほどの面積にも関わらず国の東と西でかなり印象が違っています。
「カヘチア 奇蹟のポリフォニー」は、シリーズ3枚の中では最も美しく滑らかで輝かしい大人の男声合唱を聞ける盤ではないかと思います。カヘチアと言うのはグルジア東部の地方の名前で、この辺りは海に面してないけど、クロアチアのアドリア海沿岸部ダルマチア地方の男声合唱クラパ歌謡にも通じるような、ヒロイックかつダンディで幾分地中海的な感じもある歌を聞けるように思います。

まずは一曲目のディアンベゴという曲です。ティナという美しい娘を持つディアンベゴという男性を称える歌とのことで、持続低音のドローンをバックに朗々と響き渡る独唱が非常に美しいです。カヘチア王国の首都であったテラビにある5つの合唱団の中で最も高い評価を受けていたツィナンダリ合唱団の1989年の録音です。

<カヘチア 奇蹟のポリフォニー~ディアンベゴ 4分>

2曲目のアリロという曲はグルジア正教の祈りの歌で、クリスマス・イヴに村の家々を行列して訪問する際に歌われます。この歌の響きの中で人々は心安らかにクリスマスを迎える、という歌です。

<カヘチア 奇蹟のポリフォニー~アリロ 3分27秒>
Alilo-Georgia


Alilo-Georgian Folk


次は4曲目に飛んで、オロヴェラという曲ですが、前回のマルトゥベでも聞けたような深遠な静謐さを湛えた曲です。豪快なポリフォニーだけでなく、こういう静かで深い表現も聞きものです。独唱とドローン共に、きわめて柔らかく静かに歌われる一種の哀歌ですが、農作業の時に歌う歌のようで、畑を耕しながら自分の悩みや苦しみを土や牛や鋤(すき)に歌いかける内容とのことです。

<カヘチア 奇蹟のポリフォニー~オロヴェラ 4分54秒>
Georgian Folk Song Orovela by Hamlet Gonashvili

Hamlet Gonashvili他の生演奏

Hamlet Gonashvili - Orovela

Hamlet Gonashviliのスタジオ録音

次にフランスIneditの「スヴァネチのポリフォニー」を比較でかけてみます。スヴァネチまたはスワネティは、グルジア北西部に位置し、険しい自然環境のため、独自の言語と文化を継承して来ている地方です。滑らかな東部のカヘチアの歌に比べて、不協和音を多用した曲が多く聞けます。歌っているのはリホ・アンサンブルというグループです。

4世紀のキリスト教導入以前からのグルジア最古の歌とされる2曲目の太陽賛歌リーレと、いかにもグルジアらしい旋律の3曲目の宗教歌Lazhgvazhと続けてかけます。3曲目では擦弦楽器チュニリと素朴な竪琴チャンギの伴奏が入ります。

<Georgia - Vocal Polyphonies from Svaneti / Lile 2分45秒>
<Georgia - Vocal Polyphonies from Svaneti / Lazhgvazh 3分40秒>
4000 year old svaneti song


グルジアと言えば、長寿の国として知られていて、1970年前後に放映された人形劇サンダーバードの、確か明治屋のCMで、乳製品を沢山摂る長寿国としてグルジアのモンタージュが出てきたのを覚えています。長寿の秘訣は美味しい料理とヨーグルト、世界最高とも言われるグルジア・ワイン、そして合唱とも言われます。カヘチアの合唱に戻って、宴会の席で長寿の老人を讃える歌、ベリ・カツィを聞きながら今回はお別れです。次回にするかどうかまだ未定ですが、大人気の女性トリオTrio Mandiliも取り上げたいと思っております。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<カヘチア 奇蹟のポリフォニー~ベリ・カツィ 3分38秒>
Hamlet Gonashvili - Berikaci Var

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