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2017年12月

2017年12月29日 (金)

バシアニのスリコ

いよいよ暮れも押し迫ってきました。ブログは多分明日明後日は書けないと思いますので、今日で失礼します。新年は出来たら4日から書ければと思います。グルジア音楽巡りはブログでも今日をラストにします。名残惜しいですが。いつも放送では後ろ髪を引かれながら次の国に移りますが、グルジアは特にそう感じます。最後はやはりこの曲、スリコでしょう。バシアニが歌っている映像もありました。さすがの歌唱です。先日の70分を越えるBasiani - live performanceでも、締めはこの曲でした。余談ですが、確か2004年に東京のロシア語合唱団でスリコを歌ったことがありました。ロシア語で歌っても、しみじみとした実に良い曲でした。いつかグルジア語が分かるようになれば歌ってみたいものです。
それでは、皆様良いお年をお迎え下さい!

Georgian song Suliko by Basiani Ensemble

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2017年12月27日 (水)

バシアニとトリオ・マンディリに共通の曲

アンサンブル・バシアニとトリオ・マンディリに共通する曲を見つけました。トリオ・マンディリの2枚目のEngroではAdjaruliとなっていますが、2本目のyoutubeではAjaruliという綴りになっています。バシアニの1時間10分を越えるライブの中では、この曲を54分頃から演奏しています。共にバグパイプが入り、チョングリが目立つ動きをする明るい曲で、踊りも入って楽しそうです。グルジア民謡になるのだろうと思いますが、歌詞が分からないのがやはりもどかしいです。バシアニは全ては見れていませんが、前半はグルジア正教の歌が多い感じです。後半は肩の力を抜いた民謡が並んでいるようですが、41分辺りにはクリマンチュリが活躍するハッサンベグラと思われる曲が出てきます。この曲は民謡の中でも特に難度が高いのではと思います。
さて、年の瀬が押し迫ってきました。そろそろブログも年末年始モードに入りますので、これで年内最後にはしない積りですが、たまにアップが飛ぶと思いますm(__)m

Basiani - live performance

Trio Mandili - Ajaruli

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2017年12月25日 (月)

Ensemble Basiani

ゼアミdeワールド88回目の放送、日曜夕方に終りました。27日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。放送でかけたバシアニの宗教歌は、45分の映像にかなり含まれています。彼らのハッサンベグラはライブ映像がありました。

グルジア音楽の8回目です。今回でグルジア音楽巡りは最後にしようかと思いますが、手元にあるグルジア音源の最後の一枚、OcoraのBasianiアンサンブルを中心にご紹介します。グルジアと並ぶコーカサスのキリスト教国アルメニアの宗教歌と比較しながらにしようかとも考えましたが、次回以降2回は年末年始のプログラムを考えておりますので、アルメニア音楽は年明け後に回すことにしました。収録は20日にしておりますが、本放送が流れるのはちょうどクリスマス・イブですので、グルジア正教関連の曲をまとめてかけようかと思います。
その前に世俗曲ですが何度か取り上げましたハッサンベグラをバシアニ・アンサンブルも歌っておりますので、そちらからどうぞ。ロシアの大作曲家ストラヴィンスキーが「人類の作った最高の音楽」と絶賛した曲です。バシアニはイタリア風にも聞こえるグループ名ですが、youtubeでも頻繁に目にするグループで、現代では最高のグルジア合唱を聞かせていると思います。

<12 Ensemble Basiani / Khasanbegura 3分2秒>
Ensemble Basiani - Khasanbegura


バシアニの盤は24曲入っていて、前半14曲が世俗的な民謡、後半10曲が宗教歌になっております。その後半をまとめて時間近くまで続けてかけます。東部のカヘチア、西部のグリアの、同じ聖母マリア賛歌のShen Khar Venakhiから始まりますが、最初から聖なる雰囲気が色濃く感じられます。終わり近くなりましたら、また出てきます。

<15 Ensemble Basiani / Shen Khar Venakhi 3分18秒>
<16 Ensemble Basiani / Shen Khar Venakhi 2分47秒>
<17 Ensemble Basiani / Jvarsa Shensa 1分35秒> 十字架
<18 Ensemble Basiani / Shen, Romelman Gananatle 2分42秒>
  <19 Ensemble Basiani / Angelosi Ghaghadebs 1分52秒> 天使は泣いていた
<20 Ensemble Basiani / Ganatldi, Ganatldi 2分13秒> 輝け輝け、新しいエルサレム
<21 Ensemble Basiani / Kvertkhi leses Dzirisagan 1分39秒>

Basiani Ensemble: Georgian Polyphony Singing - Religious Songs


では最後にグルジア音楽シリーズの最初にかけました100年前の録音から、アリロを聴きながら今回はお別れです。グルジア版のハレルヤとして、これまで何度かかけた曲です。録音は1907年ですから110年前になります。グリア地方のMakvaneti合唱団の歌唱で、現代の最高峰と謡われたルスタヴィ合唱団のリーダーのアンゾール・エルコマイシヴィリの祖父に当るジゴ・エルコマイシヴィリが率いていたグループの非常に貴重な録音です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<24 グルジア共和国での最初の録音 Drinking Horns & Gramophones~Alilo 3分14秒>

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2017年12月22日 (金)

Georgian Voices

昨日は知人の終活カウンセラーの方が終活カフェ(セミナーテーマは「介護について」)をうちの店でやって、その後私らの弦楽合奏(こちらではヴァイオリン)とチェロ独奏を皆さんの前で弾きまして、終わってからブログを書くパワーは残りませんでしたm(__)m
ジョージアン・ヴォイスについてのトピックが残っていました。このグループは、色々見れば見る程、現在のグルジア音楽のスーパーグループのように思います。もしかしたらルスタヴィも越えたのでしょうか。この100分近いおそらくグルジア盤と思われるDVDの映像には、超絶の男声合唱から、ギター伴奏の地中海的にも聞こえる歌から、女性入りの名歌サカルトヴェロ・ラマゾ、中央アジアのドタールのようにチョングリを弾くシーンとか、たくさんの興味深い見どころがあります。相撲取りの黒海が出た国ですから、レスリングなどの格闘技も盛んなようで、そのトレーニングらしき箇所もありました。そんなの興味ないなと思ってそこで切らずに(笑)、ぜひゆっくりご覧下さい。

Georgian Voices (DVD) (HD)

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2017年12月20日 (水)

古老の歌うグリアの宗教歌 Utsinares Mas Vadidebt

先日の放送でかけましたグリア地方の宗教歌Utsinares Mas Vadidebtは、他にも色々動画がありました。中でも1本目の古老含む3人が切々と歌っている映像は良いなと思いました。クリマンチュリの華やかさはありませんが、音の流れがグリアの歌そのもの。チョングリ弾き語りの人はベースのように思います。高音パートのクリマンチュリは、口の動きを見ていると右の老人のように見えますが、どうでしょうか。関連動画に同じ老人二人と思われる映像もありました。やっぱり右のおじいさんが高音パートのように思います。3本目は野外でも同じメンバーで歌っています。こんなコーラスを聞けて、猫も牛も喜んでいるようです。明治屋のCMを思い出しました。しかし、3人寄れば出来るグルジアン・ヴォイス。とても魅力的です。日本語でも出来ないものでしょうか? 80年代後半にブルガリアン・ヴォイスが大ブレークする前に、日本の芸能山城組がブルガリアとグルジア共にやっていました。日本語でもレパートリーがあったかどうか忘れまして、確認しようと思ったら、またもやLPが行方不明です(笑)

Shalva chemo - utsinares mas vadidebt

ტრისტან და გური სიხარულიძეების Ice bucket challenge

პორტერტი ტრიო "შალვა ჩემო" - გური, ტრისტან სიხარულიძეები და მერაბ კალანდაძე

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2017年12月18日 (月)

グルジア正教の宗教歌

ゼアミdeワールド87回目の放送、日曜夕方に終りました。20日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。youtubeは見つかった該当(あるいは関連)音源のみです。

グルジア音楽の7回目です。クリスマスが近いので、今回も2007年リリースの英Topic Recordsの2枚組「グルジアの伝統音楽 (2CD) SONGS OF SURVIVAL: Traditional Music of Georgia」から、2枚目のグルジア正教の宗教歌を抜粋して聞いて行きたいと思います。

この盤で非常に気になった一曲からまずかけてみます。最後の方でラテン語のキリエ・エレイソンが出てきまして、グルジア正教にカトリックの聖歌であるはずのキリエがあるのだろうか?と、先日ゼアミブログに書きましたが、後で調べましたら「主よ憐れみ給え」の意味の「キリエ・エレイソン」の文句は、元はギリシア語で、この祈りの文言はグルジア正教などの東方教会にも入っているそうです。ですからキリエに関してはグルジア語ではなく、ギリシア語で歌われています。グレゴリオ聖歌はもちろん、モーツァルトのレクイエムなどにも必ず出てくるキリエですから、このグルジアのキリエと聞き比べると、とても興味深いと思います。歌唱はSioni Cathedral Choirで、首都トビリシでの2002年の録音です。

<23 Sioni Cathedral Choir / Kyrie Eleison 4分11秒>
Kyrie Eleison

youtubeで聞けたのは、この旋律のみで、英Topic Records盤の旋律は見当たらずでした。

続いて、やはり何回か前の放送でかけた後、ゼアミブログで調べていて、カトリックのアレルヤと同じルーツの文言と分かったアリロと言う曲です。これまでにビクター盤などで色々かけて来ました。元はヘブライ語の「賛美せよ」の意味のハレルーで、後ろに「神を」の意味の「ヤー」が付いたハレルヤの文句でよく知られています。ラテン語ではHが取れてアレルヤになっていますが、グルジア語でもHが取れた形になっているようです。2枚目の7曲目に出てくるアリロは、Racha地方のクリスマス・キャロルとのことで、歌唱はDetsishi Ensembleです。

<7 Detsishi Ensemble / Alilo 1分51秒>

何度かこれまでに登場しましたムティエビ合唱団でもアリロが入っていますので、続けてかけます。こちらは西グルジアのImereti地方のクリスマスの歌で、1999年ロンドンでの録音です。曲名はNabakeuri Aliloとなっております。

<8 Mtiebi Choir / Nabakeuri Alilo 2分25秒>

声楽が続きますので、一曲器楽曲を入れます。前回も取り上げましたKesane Quartetですが、グルジア北東部の山岳地帯の旋律をパンドゥリ、チョングリ、アコーディオンで演奏しています。

<6 Kesane Quartet / Mtis Melodiebi 2分12秒>

3曲目は、クリスマスではなくイースターの歌のようですが、前回の後半でかけましたジョージアン・ヴォイスの歌唱でChonaという東グルジアの曲です。イースター・エッグを村の家々に配りながら歌われる歌だそうですが、この歌のルーツは4世紀のグルジアのキリスト教国教化以前に溯るようです。

<3 Georgian Voices / Chona 4分24秒>
Georgian song - Chona

ジョージアン・ヴォイスではなく、ルスタヴィ・アンサンブルの歌唱です。

17曲目にはジョージアン・ヴォイスの歌唱で、西グルジアのグリア地方の宗教歌が入っていますが、通常の教会歌では出てこないクリマンチュリのパートが入っているのがグリア地方らしく特徴的です。

<17 Georgian Voices / Utsinares Mas Vadidebt 2分19秒>
Ensemble IMERI - Ucinares Mas Vadidebt


22曲目に飛びまして、長いドローン(持続音)の上で極めて美しく瞑想的に歌われるUpalo Shegvitskale(神は許したもう)という曲ですが、2曲目の同じ曲とは別の団体、シオニ・カテドラルの混声合唱が歌っています。後で2曲目をかけますが、まずは22曲目をどうぞ。

<22 Mixed Choir of Sioni Cathedral / Upalo Shegvitskale 3分30秒>

では最後に2枚目の2曲目を聴きながら今回はお別れです。同じくUpalo Shegvitskale(神は許したもう)という曲ですが、歌っているのはSt.Panteleimon Chantersというグループで、グランダ・グリカシヴィリという人が女性パートを歌っています。中世の曲が多いグルジア正教の歌の中で、この曲はソビエト後にジェマル・アダマシヴィリによって作曲されています。しかし、瞑想的な曲調はグルジア正教の歌そのもののように思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<2 St.Panteleimon Chanters / Upalo Shegvitskale 3分30秒>
wminda panteleimonis tadzris mgalobelta gundi ufalo shegviwyalen

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2017年12月15日 (金)

Saqartvelo Lamazo(美しいグルジア)

ギター伴奏のエモーショナルなグルジアの歌は、英Topic Records盤のマイケル・チャーチの表現では、Saqartvelo Lamazoはpopular urban song、スリコは19th urban songとなっていました。「都市部の歌」という表現は、ザムタリアにも当てはまったと思います。3声を合わせる伝統はここでも生きていますが、いずれもグルジアの伝統音楽を越えた、もっと普遍的な美しさがあると思います。あの高度なポリフォニーで鍛えた歌い手にとっては余技かも知れませんが、その肩の力を抜いた表現が生む美しさと言えるでしょうか。
Saqartvelo Lamazo(美しいグルジア)は英Topic Records盤で初めて聞きましたが、youtubeは色々ありました。上半身裸の男性達がエモーショナルの極みの歌唱を聞かせる様は、やはりどこか地中海の音楽(クロアチアの沿岸部ダルマチアのクラパ歌謡など)と似通ったものを感じます。今日は独Wergo盤以外のザムタリア(冬)の歌唱が見つかったのが、最大の収穫でした。今が冬だから、なおさらにこの哀感が沁みます。

saqartvelo lamazo-sufraze namgeri

Kereoni zingt Suliko

"ზამთარია"---ცისფერი ტრიო ザムタリア(冬)

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2017年12月14日 (木)

Debi Gogochurebi のチェチヌリ

今週の放送の補足としては、他にジョージアン・ヴォイスとギター伴奏の歌を予定しておりましたが、ジョージアン・ヴォイスは来週も宗教歌を取り上げていますので、来週に回しまして、ギター伴奏の方は金曜にアップします。今日はもう一回トリオ・マンディリ関連です。彼女らが何故チェチェンのマッカ・サガイーポヴァの曲を歌っているのか、どうも気になりますので、関連動画を見ていたらグルジア語で「シスターズゴゴッツ - チェチェン(დები გოგოჭურები - ჩეჩნური)」と題する別グループの演奏が見つかりました。アップは2013年8月ですから、トリオ・マンディリよりこちらの方が先なのではと思いました。マッカさんのPretty Boy(ロシア語でКрасивый парень、チェチェン語ではХаза к1ант)から始まって、トリオ・マンディリのチェチヌリ・ポップリと同じ曲をメドレーで歌っているようです。トリオ・マンディリの演奏は、このカバーでしょうか?パンドゥリ弾き語りに、ダラブッカ(ジャンベ?)をカフカス・ドラムのリズムで叩き、チョングリはベースを担当しているようです。ビデオ解説にはDebi Gogochurebi - Chechnuriとあります。デビ・ゴゴチュレビ(ゴゴチュレビ・シスターズの意味)がグループ名のようです。2本目もチェチェンの曲で、やはり確かマッカさんの歌です。

თათული მგელაძე - ჩეჩნური

თათული მგელაძე - ჩეჩნური

თათული მგელაძე - ჩეჩნური

こちらはおまけ。トリオ・マンディリの最初の大ブレーク曲、アパレカを男性がパンドゥリで弾き語り、横でタチア・ムゲラゼも歌っています。おそらくマンディリではまだブレークする前です。

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2017年12月13日 (水)

グルジアとチェチェンの歌姫

早速ちょっとトリオ・マンディリの話題に戻りますが、チェチヌリ・ポップリと言う曲で、チェチェン・ポップスのマッカ・サガイーポヴァの曲をやっていて云々と言っていましたので、別な映像と並べてみようかと思いました。リード・ヴォーカル(おそらく)のタチア・ムゲラゼがパンドゥリをストリートで弾き語っている演奏の冒頭にも、例のPretty Boy(ロシア語ではКрасивый парень)が出てきます。彼女のパンドゥリの腕前も、相当なものだと思います。マッカさんの曲が、またチェチェンの音楽がグルジアでどういう風に受け止められているのか(パンキシ渓谷のチェチェン難民経由なのか、とか)、またその逆で、グルジアの音楽はチェチェンでどういう位置にあるのか、とても気になるところです。2014年1月アップの動画ですから、まだトリオ・マンディリの大ブレーク前だと思います。しかし、こうして並べると、また実に、南北コーカサスの美人歌姫対決のようにも見えてきます(^-^)

თათული მგელაძე - ჩეჩნური

Makka Sagaipova - Krasiviy paren

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2017年12月11日 (月)

SONGS OF SURVIVAL: Traditional Music of Georgia -1

ゼアミdeワールド86回目の放送、日曜夕方に終りました。13日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今日は動画の見つかった2曲だけアップしました。ギター伴奏の曲は、また後日探してみます。

グルジア音楽の6回目です。今回は、数年前に売り切ってしまってからは廃盤との情報がありました2007年リリースの英Topic Recordsの2枚組「グルジアの伝統音楽 (2CD) SONGS OF SURVIVAL: Traditional Music of Georgia」を何とか再び手に入れましたので、この中からかいつまんでご紹介したいと思います。
多声の男声合唱は勿論、名曲「スリコ」、ヴェテラン女性歌手レラ・タタライゼの歌から、グルジア正教の宗教歌まで、多様なグルジアの歌を多角的に追った内容で、1枚目には.仕事歌、哀歌、祝い歌が入っております。演奏はSoinari Ensemble, Kesane Quartet, Mzetamze Ensemble, Tsinandali Ensemble, Georgian Voices, Lela Tataraidze, New Mtiebi Ensemble etc. となっております。
2枚目は、季節の歌、宗教歌、家族の生活の歌となっておりまして、演奏はSt.Panteleimon Chanters, Georgian Voices, Mtiebi Choir, Jokia Gugava, Kesane Quartet, Detsishi Ensemble, Zedashe Ensemble, Sioni Cathedral Choir, Soinari Ensemble etc. と、沢山のグループが登場します。
この盤には現代イギリスの二人の著名な作曲家が評を寄せておりまして、ギャヴィン・ブライヤーズは、「グルジア人はおそらく世界中で最も音楽的な人々である。ここでは、プロフェッショナルとアマチュアの差は無意味である。 結婚式の歌、子守歌、または不協和音の宗教的な歌であろうと、どこでも驚くほど美しい3パートのヴォーカル・ポリフォニーが見つかる。」このように語っています。
ミニマル・ミュージックの著名な作曲家マイケル・ナイマンは「録音・制作者のマイケル・チャーチは献身的な研究と社会的責任感を兼ね備えている」と賛辞を送っています。

この2枚組には実に色々な音楽が入っていますが、これまでかけてなかったようなタイプの曲を聞いて行きたいと思います。
ゼアミブログの方で一足先にかけましたベテラン女性歌手レラ・タタライゼの自作パンドゥリ弾き語り曲をまず一曲どうぞ。広いヴィブラートをかけた余韻を残す歌い方とリズムは、彼女の出身地であるグルジア東北部のトゥシェティ地方のスタイルを反映しているようです。歌詞内容は「彼女の恋人と結婚することで両親の希望に反することを敢えてしない女性の愚かな歌」と解説にありました。この人の演奏には、どこか中央アジア的な感じがあります。

<14 Lela Tataraidze / Vertskhlis Tasadamts Maktsia 2分47秒>
アップされていますが、本国で動画はブロックされているようです。

次もレラ・タタライゼの曲で「朝もや」というタイトルですが、演奏しているのは彼女の姉妹のエテル・タタライゼ率いるケサネ・カルテットです。トゥシェティ地方の春と景色の美しさにインスパイアされた曲とのことです。この曲もトゥシェティのすぐ近くの、ダゲスタンのアヴァールの歌などにそっくりに聞こえます。

<15 Kesane Quartet / Janghi (Morning Mist) 2分41秒>
Красиво поют! Lela tataraidze Jangi tushuri

先日アップしましたが、この曲にはこのライブ映像がありました。実に味わい深い演奏です。多分トピック盤の音源はやはりブロックされていると思います。

1枚目の14曲目からかけ始めましたが、2曲飛んで今度は18曲目です。南西部アチャラ、東北部トゥシェティの歌に続いて同じく女性アンサンブルのケサネ・カルテットの演奏ですが、ここで演奏されているのは東部ではなく黒海に面した西部グルジアのグリア地方の民謡で、4弦のチョングリ伴奏です。裏声のクリマンチュリの本場ですが、こういうしっとりした趣きもグリアの歌にはあります。メロディラインがいかにもグリアだ、と色々聞いてくると分かって来ます。

<18 Kesane Quartet / Mival Guriashi (I am going to Guria) 2分29秒>
The Rustavi Choir - Mival Guriashi (Going to Guria) 1989

ケサネ・カルテットでは無さそうですが、ルスタヴィ合唱団のアメリカNonesuch盤の音源がありました。この曲は他にも動画がたくさんありました。

19曲目もケサネ・カルテットの演奏ですが、ここではグリア地方の北に位置するグルジア西部ミングレリア地方の民謡で、ヨーロッパ的あるいは地中海的なハーモニーが聞こえてきて、すぐ隣なのにグリアの民謡とは全く対照的なように思います。

<19 Kesane Quartet / Pot-Pourri  2分39秒>

次は25曲目ですが、打って変わって、前々回かけたZamtariaのような、男性ポリフォニー歌手がギター伴奏で優しくファルセットで歌う、どこか地中海的ハーモニーにも聞こえるMepis Qaliという曲です。Theatre University Quartetの演奏です。

<25 Theatre University Quartet / Mepis Qali(The King`s Daughter) 3分31秒>

そして26曲目には、本格的なグルジアの男声合唱を聞かせるグループのジョージアン・ヴォイスが、ここではギター伴奏でスリコを歌っています。間違いなくグルジアで一番有名な歌で、1895年にグルジアの詩人Akaki Tsereteliによって書かれた愛の詩に、Varinka Tsereteliによってこの美しいメロディが付けられてから、ロシア~ソ連を越えて世界中で知られるようになりました。恐怖政治を敷いたスターリンも愛好していたそうです。

<26 Georgian Voices / Suliko 2分10秒>

1枚目のラスト、27曲目もジョージアン・ヴォイスの歌唱でSaqartvelo Lamazo(美しいグルジア)で締めています。この曲もギター伴奏の非常に美しい曲と歌唱です。

<27 Georgian Voices / Saqartvelo Lamazo 3分4秒>

では最後に24曲目に戻りまして、同じくジョージアン・ヴォイスの演奏ですが、今度はオーソドックスなグルジアの男性合唱を聴きながら今回はお別れです。ヨーデルのようなクリマンチュリの入った非常に難度の高いグリア地方の仕事歌のようです。
次回はクリスマスも近づきますので、英Topic Records盤2枚目のグルジア正教の宗教歌を中心に聞いて行きたいと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<24 Georgian Voices / Shemoqmedura 4分39秒>

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2017年12月 8日 (金)

Трио Мандили

トリオ・マンディリをブログで取り上げるのは一応今日までです。名残惜しいですが。2017年リリースのEnguroから、先日の放送で何曲かかけましたが、コーカサス音楽らしい旋律美とレズギンカ系の躍動的なリズムが溢れたSvanuriと、チェチェン音楽に似た感じに聞こえたNislebiもありました。3本目はリードヴォーカル?のTatia Mgeladzeが川の畔でパンドゥリを弾き語っている珍しい映像。グループ名で検索すると上位に出て来る映像です。4本目のモスクワのグルジア料理店での映像は2016年ですが、メンバー(右のパンドゥリ奏者)が変わっているようです。2017年アップのNislebiでは戻っているので、タチア・ムゲラゼ以外は流動的なのでしょうか? 歌詞を何とか知ることが出来ないものかと思っていますので、もし分かったらまた臨時でアップします。(彼女らのCDは公式サイトではまだ手に入るようです)

Trio Mandili - Svanuri - CD-album ENGURO

Trio Mandili - Nislebi - CD-album ENGURO

Trio Mandili - Assa!

Трио Мандили в Оджахури

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2017年12月 7日 (木)

Mokhwel Mshvidobit!

Trio MandiliのファーストアルバムWith LoveのMokhwel Mshvidobit!も何本かありました。1,2本目が2014年辺りだと思います。しかし、いい曲です。歌詞を何とか知りたいものです。パンドゥリのリズムパターンが変わる辺りが何度見てもスリリング。特に1本目は、この角度から弾いているところを見れて非常に興味深いものがあります。

ტრიო ''მანდილი'' - მოხველ მშვიდობით

Trio Mandili - Mokhwel mshvidobit! (You are welcom

Trio Mandili - Mokhvel Mshvidobit

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2017年12月 6日 (水)

Chryzantemebi=菊?

プッチーニの弦楽四重奏のためのクリザンテミ(菊)を思い出してしまうタイトルのTrio MandiliのChryzantemebiですが、何本かありました。やっぱり良い曲で、詩の内容が大変に気になります。彼女らの歌唱から追悼のニュアンスは感じ難くはありますが。プッチーニの曲は彼のパトロンでもあったアオスタ公追悼のために書かれた、彼の数少ない室内楽曲。私が聞いたのはハーゲン・カルテットのDG盤で、初めて聞いて20年以上経ちますが、その哀感がいつまでも忘れられず、いつか弾いてみたいと思っている曲です。ロシア歌謡のフリザンテミは、往時の愛の思い出を、今は荒れてしまった逢瀬の庭に咲く菊を見て追想し涙するという曲で、少し似た雰囲気があります。残念ながらyoutubeは無しのようでした。オコラのSvetlanaのChansons Russes(廃盤)に入っていますので、お持ちの方は聞いてみて下さい。

Trio Mandili - Chryzantemebi (CD-album is available on http://triomandili.com/en/#buy)

Trio Mandili - Qrizantemebi (19.04.2016)

Trio Mandili Qrizantemebi SUBSCRIBE

Puccini "Crisantemi" performed by the Enso String Quartet

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2017年12月 4日 (月)

Trio Mandili

ゼアミdeワールド85回目の放送、日曜夕方に終りました。6日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。Cechnuri Poppuriはyoutube無しでしょうか、検索で出てきたのは違う曲のようですが、珍しいコンサート生映像ですので貼っておきます。今日の3本以外は、また後日探してみます。

グルジア音楽の5回目です。今回はいよいよyoutubeで大ブレークした女性3人組のトリオ・マンディリです。トリオ・マンディリは、2014年頃にyoutubeで火がついたそうですが、私は2年ほど前にフェイスブックの友達の書き込みで初めて知りました。何本か動画を見てみて、彼女らのチャーミングさに成る程と思いましたが、しっかりグルジア音楽の伝統に則っていることにも驚きました。3つの声の合せ方、独特な和声とコード進行とメロディライン、弦楽器パンドゥリやチョングリと打楽器ドリが弾(はじ)き出す躍動的な8分の6拍子のリズムなど、どれもグルジア音楽の特徴そのもので、そこへポップなアレンジが入ったりすると、却ってつまらなくなるように思いました。同じようなことを男性3人でやっているCDもありましたが、やはりキュートな女性トリオにはビジュアルで叶わないなと思いました(笑) しかし、ビジュアルだけでなく、確かな歌唱力とパンドゥリの演奏、共に本格的で大変素晴らしいです。メンバーが何度か変わっているようですが、現在のメンバーはIrina Midelauri, Tatia Mgeladze, Tako Tsiklauriの3人で、大体の曲でリードヴォーカルはタチア・ムゲラゼが取っています。youtubeで歩きながら自撮りしている一番前の女性です。

youtubeで視聴した魅力的な楽曲が2枚のアルバムに入っていますが、その中から、これまで放送でかけたことのある曲を彼女らが取り上げていましたので、まずその2曲からかけてみたいと思います。

2017年のセカンド最新アルバムEnguroに収録されているカルトゥリ・ポップリと題する曲は、首都トビリシ周辺のカルトゥリ地方の有名曲という意味だと思いますが、メドレーの50秒辺りから出てくるShatilis Asuloという曲は、前回ソイナリ・アンサンブルのドゥドゥキ演奏でかけたシャティリス・アスロと同じ曲でした。まだ耳に残っている方もいらっしゃるかと思いますので、こちらをかけてみます。彼女らの溌剌とした歌唱もとても良いです。

<9 Trio Mandili / Enguro - Kartuli Poppuri 2分57秒>
Trio Mandili - Kartuli Poppuri


他に以前かけた曲が含まれている例としまして、チェチェンの時にかけましたマッカ・サガイーポヴァの代表曲の一つPretty Boyが、2015年のアルバムWith Loveのチェチヌリ・ポップリと題するチェチェンの有名曲メドレーの1分50秒辺りに出てきます。北隣に位置するチェチェンの音楽というのも、グルジアで広く知られているということでしょうか。

<9 Trio Mandili / With Love - Cechnuri Poppuri 3分12秒>
Trio Mandili / Трио мандили. Москва 27.04.2016. Концерт.


それでは、2014年にyoutubeでいきなり300万件を越えるアクセスがあって大注目を浴びたグルジア民謡のAparekaを続いてかけてみます。何気なく歩きながら3人で撮ったこの演奏の映像が、彼女らの生活を劇的に変えました。この曲が2015年のファースト・アルバムWith Loveの一曲目を飾っています。

<1 Trio Mandili / With Love - Apareka 2分38秒>
Trio Mandili - Apareka (The CD-album is available on http://triomandili.com/)


2曲目のQrizantemebiという曲もメロディの綺麗な印象的な曲で、意味は英語(chrysanthemum)で推測できるように菊の花のことではと思いましたが、どうでしょうか?(実は「菊」のグルジア語単語は他に見つかりましたが、このタイトルは余りに似ているので、もしかしたらラテン語かロシア語からの外来語かと思いまして) 日本の菊のイメージと似通う、ロシア歌謡のフリザンテマや、プッチーニの弦楽四重奏曲「菊」を思い出させる、美しくしめやかな曲です。

<2 Trio Mandili / With Love - Qrizantemebi 2分55秒>

ファーストアルバムWith Loveから、もう一曲聞いて頂きましょう。Mokhwel Mshvidobit! (You Are Welcome!)という曲は、パンドゥリのリズムパターンが変わる辺りがスリリングで、コーカサス音楽のわくわく感が伝わってきます。

<8 Trio Mandili / With Love - Mokhwel Mshvidobit! (You Are Welcome!) 2分14秒>

2017年リリースのEnguroからも、もう4曲続けて時間まで聞いて頂きましょう。コーカサス音楽らしい旋律美と躍動的なリズムが溢れた4曲ですが、特に最初のSvanuriと言う曲は素晴らしいです。Erti Nakhvitがアルバム1曲目で、続くNislebiはチェチェンの音楽にそっくりに聞こえます。
彼女らの盤ですが、1stアルバムは完売(初回プレス分?)のようですが、DLでも手に入ります。LPも出ているようです。セカンドは最初からDLのみのようです。
Trio Mandili で検索すると、youtubeやitunesで見つかります。

これらの曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<5 Trio Mandili / Enguro - Svanuri 2分46秒>
<6 Trio Mandili / Enguro - Kapia 3分10秒>
 <1 Trio Mandili / Enguro - Erti Nakhvit 1分56秒> この曲だけ時間が足りず、かけられずでした。
<2 Trio Mandili / Enguro - Nislebi 1分51秒>

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2017年12月 1日 (金)

Suliko

Sulikoは間違いなくグルジアで一番有名な歌でしょう。この優美な旋律は、どなたも一度は聞いたことがあるのでは。それはグルジアの男女共通の名でもありまして、その本来の意味は「魂」とのこと。スリコは、1895年にグルジアの詩人Akaki Tsereteliによって書かれた愛の詩のタイトルでもありますが、1895年にVarinka Tsereteliによってこのメロディが作曲されてから、ロシア~ソ連を越えて世界中で知られるようになりました。恐怖政治を敷いたスターリンも愛好していたとか。グルジア出身だからでしょうけれど、彼にそういう心優しい面もあったのかと意外に思えます。懐かしい故郷を思い出させる調べだったのでしょう。1本目が本場のEnsemble "MDZLEVARI"、2本目はアレクサンドロフ・アンサンブル(赤軍合唱団)です。ロシアでも頻繁に歌われる曲です。

old Georgian song-Suliko

Alexandrov Ensemble: Suliko (1960s)

Stalin Favorite Song Suliko

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