今年も「春の海」から
ゼアミdeワールド90回目の放送、日曜夕方に終りました。10日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今回の放送はFMでは無事流れましたが、サイマルラジオとTuneinのネットラジオ環境では、ネットワークトラブルのため流れませんでした。時々こういうことがありますが、新年の一回目がネットで流れなかったのは残念です。原因を聞いておきます。黒柳さんの父と天満さんのヴァイオリン版は、さすがにyoutubeにはないと思いますので、去年も上げましたが、ルネ・シュメーのヴァイオリンに宮城道雄の自作自演の定番演奏を上げておきます。 宮城道雄:春の海 シュメー Chemet 明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。と新年のご挨拶をしましたが、ラヂオバリバリが30日から5日までお正月休みですので、実は12月27日に収録しております。選曲のために一足早いお正月気分を味わっておりました(笑) 放送されるのは本放送が7日と言うことで、辛うじて松の内です。 お正月と言えば、宮城道雄の「春の海」を思い出す方が多いのでは、と去年も始めましたが、去年かけてない音源を選んでご紹介します。1930年の宮中歌会始の勅題として公示されていた「海辺巌(かいへんのいわお)」に因んで、前年の暮れに作曲した筝と尺八の二重奏曲で、宮城道雄の父の出身地である広島県の鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれています。正月中はどこに行っても耳にする曲ですが、この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組が出ておりまして、その盤からのご紹介です。 まず宮城道雄の自作自演ですが、尺八は広門伶風(ひろかどれいふう)という人で、宮城道雄の肉声と、奈良岡朋子による宮城道雄の随筆からの朗読、更に露木茂の解説が入ります。尺八の広門伶風は、この曲の初演を勤めた吉田晴風の弟子とのことです。 <2-6 春の海(朗読入り) 9分14秒> 宮城道雄の筝とヴァイオリンでの演奏は、喝采を博したルネ・シュメーとの録音の他に、黒柳徹子の父である黒柳守綱との演奏も入っておりまして、この方はN響などでコンサートマスターを勤めた人です。ルネ・シュメーのような時代がかった派手さはないですが、堅実な演奏をされる方です。 <1-5 春の海(箏とヴァイオリンによる) 6分53秒> 変り種として、南米のフォルクローレに使われる縦笛ケーナと琴による演奏も入っております。アルゼンチンのケーナの名手ウニャ・ラモスが1978年に来日した際の録音で、琴は当時宮城合奏団のプリマ奏者だった砂崎知子です。少しフォルクローレ風になっている部分もありますが、元々この曲とフォルクローレの音階は結構近いと思います。 <2-1 春の海(箏とケーナによる) 4分13秒> 春の海 ケーナ演奏 Haru No Umi (The Sea In Spring) やはりウニャ・ラモスでは無いので、他のケーナ奏者の演奏ですが。 ここで、少し宣伝を入れたいと思います。 2月4日に今治中央公民館で第11回今治総合芸能祭がありまして、今年はヴァイオリンで出ます。時間は1時からで3番目です。琴と尺八の葉風会とヴァイオリン、ダンスのコラボで、編成は似ていますが、「春の海」が邦楽の枠内だったのに対して、森岡章作曲の「月に寄する三章」という曲は、昭和40年代の雰囲気が色濃く感じられるナツメロのような、昔のラジオドラマの音楽のような曲調です。2曲目はペルシアの舞曲レングに似た感じにも聞こえます。宜しければ是非お越し下さい。 では、最後にポルンベスクのバラーダ(「望郷のバラード」のタイトルで日本では知られます)の名演で知られる天満敦子のヴァイオリンと、砂崎知子門下の遠藤千晶の2011年10月のライブ録音を聞きながら今回はお別れです。天満さんの1993年発売のアルバム『望郷のバラード』は、クラシックとしては異例の5万枚を超える大ヒットとなり、東欧革命前夜のルーマニアを舞台に、この曲をめぐる謎とヴァイオリニストの恋愛を描いた高樹のぶ子の小説『百年の預言』のヒロインは、天満さんをモデルとしています。 ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週 <2-4 春の海(箏とヴァイオリンによる) 7分38秒>
| 固定リンク
「純邦楽」カテゴリの記事
- 初代篠田実の「紺屋高尾」(2024.09.13)
- 伊丹秀子、国本武春の「紺屋高尾」(2024.09.12)
- 落語版「紺屋高尾」 圓生、歌丸、圓楽、談志(2024.09.11)
- 浪曲「紺屋高尾」(2024.09.09)
- 文弥さん座談会、稀音家浄観、鶴千代師匠(2024.09.06)
「ヴァイオリン」カテゴリの記事
- バルトークの44のヴァイオリン二重奏曲のスロヴァキア民謡(2024.11.28)
- モーツァルト(カデンツァはジプシー音楽他) タラフっぽいLFAT(2024.10.25)
- モンティのチャールダーシュ Transylvanian Mountain Boys(2024.10.24)
- 若い頃のジル・アパップ(2024.10.23)
- ジル・アパップのスケルツォ・タランテラ(2024.10.21)
「ゼアミdeワールド」カテゴリの記事
- Moravian Folk Songs(Supraphon)(2024.12.02)
- チェコスロヴァキア時代のチャールダーシュ(2024.11.25)
- クルチマーロチカとベタル・ヂヴカ(2024.11.18)
- Urpin Folklore Ensemble(2024.11.11)
- スロヴァキアの管楽器フヤラ、コンツォフカ等(2024.11.04)
「筝曲」カテゴリの記事
- ヴァイオリンによる「春の海」(2024.01.10)
- 春の海 宮城道雄自作自演(2024.01.08)
- 沢井忠夫、沢井一恵、山本邦山の「春の海」(2022.01.07)
- 「春の海」自作自演、謡曲「高砂」、民謡、瞽女唄、新内(2021.01.07)
- 都山流尺八の「春の海」(2020.01.09)
コメント
こんにちは。
1月7日にはサイマルラジオが流れてこなかったので焦りましたが、再放送があって助かりました。
年を越しましたが、これからも『ゼアミdeワールド』が末永く続きますよう願いつつ、毎週楽しませていただきます。
いつもありがとうございます。
投稿: たこ | 2018年1月13日 (土) 22時18分
たこ様
いつも有難うございます。「春の海」だけに、7日にネットでも流れて欲しかったです。確か土曜にネットで聞けなかったので、いやな予感はしていました。外部の担当者に繋げばすぐに対応して下さるそうですが、日曜はラヂバリスタッフ自体が通常いらっしゃらないので、フォローされずにたまにこういうことがあります。
2年経って中東とロシア周辺だけですので、世界中回るには少なくとも10年はかかると思います。ライフワークとして頑張りたいと思いますので、宜しくお付き合い頂けたら嬉しい限りです。
投稿: ほまーゆん | 2018年1月15日 (月) 02時19分