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2018年2月

2018年2月28日 (水)

Imamyar Hasanov Mugham Bayati Shiraz kamancha

グルジェフのバヤーティとグルジェフ・アンサンブルのカマンチャの比較もしたいところですが、偶然見つけたイマミヤール・ハサーノフのキャマンチャの妙技に耳がくぎ付けになりました。今日はこの一本を上げておきます。アゼルバイジャンのキャマンチャ奏者だと思いますが、伴奏はイランのトンバクになっている所を見ると、イラン北西部のアザルバイジャンの奏者でしょうか? しかし、ここで弾かれているバヤーティ・シーラーズは、キングの「カスピ海の旋律」に入っていたムスタファ・アリエフ・オグリの演奏に余りに似ています。後半の若手らしい新しい展開も、ぐいぐいと耳を引き付けて離さないものがありました。
今日の収録で一応アルメニア・シリーズを終えまして、次回99回目はアルメニアのカマンチャ(LP音源)とアゼルバイジャンのキャマンチャ、イランのケマンチェの聞き比べをする予定です。アゼルバイジャンのキャマンチャは、一昨年の15分枠の時に音楽プロデューサーの星川さんの追悼でかけたキングWRMLのバヤーティ・シーラーズの音源です。90年代前半のNHKFM「世界の民族音楽」の星川さんの回のオープニング曲でした。

Imamyar Hasanov Mugham Bayati Shiraz kamancha

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2018年2月26日 (月)

グルジェフのオリジナル曲とグルジェフ・アンサンブル

ゼアミdeワールド97回目の放送、日曜夕方に終りました。28日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。オコラ盤からは、先日最初だけしかかけられなかった絶品のタール独奏Bayati shirazだけすぐ見つかりました。他はまた後日探してみます。バヤーティは、グルジェフ・アンサンブルでは動画は見当たりませんでした。彼らの演奏するカマンチャと言う曲がかなり似て聞こえましたが、別の曲のようです。これもまた比較してみます。

アルメニア音楽の7回目になります。今回はグルジェフのオリジナルのピアノ曲とグルジェフ・アンサンブルの演奏の比較を2曲と、後半はフランスのオコラから1988年に出た「アルメニア中世の宗教歌と器楽」からの数曲を予定しております。
グルジェフ・アンサンブルのECMからの2枚も聞いてみましたが、デ・ハルトマンのオリジナルのピアノ曲と同じ曲がいくつかありましたので、2月4日の放送でアラブの旋法と同じ名前と言うことで一度デ・ハルトマンの演奏でかけましたバヤーティという曲からまず聞き比べてみたいと思います。先にグルジェフの弟子のトマス・デ・ハルトマンのピアノ独奏、後でグルジェフ・アンサンブルの演奏をおかけします。ウードの即興演奏タクシームに始まり、カーヌーン、ナイなどによる中東色溢れる演奏です。

<1-14 Music of Gurdjieff and De Hartmann / Thomas De Hartmann ~Bayaty 3分35秒>
14 - Bayaty


<7 Gurdjieff Folk Instruments Ensemble / Music of G.I.Gurdjieff ~Bayaty 3分54秒>

もう一曲はコーカシアン・ダンスという曲で、和訳すれば「コーカサスの踊り」となりますが、音楽的にはアゼルバイジャンのムガームに似て聞こえます。

<2-10 Music of Gurdjieff and De Hartmann / Thomas De Hartmann ~Caucasian Dance 3分35秒>
10 - Caucasian Dance


<10 Gurdjieff Folk Instruments Ensemble / Music of G.I.Gurdjieff ~Caucasian Dance 3分47秒>
Gurdjieff's music -Caucasian Dance/ Gurdjieff Ensemble/ duduk, kamancha, tar, dhol, santur, oud...


次に、フランスのオコラから1988年に出た「アルメニアの中世の宗教歌と器楽」です。この盤は廃盤ですが、改めて聞き直してみて、ソ連時代の古い音源が色々入っていることを再確認しました。作曲されたのが8世紀から10世紀位という、ヨーロッパの古楽にはほとんどないのではと思うような古い伝承のアルメニア正教会の歌が入っています。ローマ帝国より先にキリスト教を国教にしたアルメニアですが、千年も前の聖歌が現在も変わらず残っているのかどうか分かりませんが、最近の録音は見たことがないので、これは本当に貴重な記録だろうと思います。これまで幾つかかけましたように、ポリフォニックなグルジアの聖歌と違って、持続低音のドローンをバックにしたモノフォニックなアカペラの歌です。
この盤の最初の3曲はこのドローンバックの男性合唱で歌われていますが、あの独特なアルメニア文字を創った聖人メスロプ・マシュトツに由来するという、おそらく最も重要なアルメニア教会の聖歌ではと思います。一曲目がAnganim aratchi Koで和訳は「私はあなたの前に膝まづく」、2,3曲目はVoghormia Intzで和訳は「我を憐れみ給え」となりまして、後者は同名で2曲続きます。同名曲ですが3曲目では増2度音程が目立ったエキゾチックな節になっています。歌唱はEmma Dzadourian conducts Male Choirです。

<1 Armenie 1:Chants Liturgiques du Moyen Age et Musique Instrumentale ~Anganim aratchi Ko 2分8秒>
<2 Armenie 1:Chants Liturgiques du Moyen Age et Musique Instrumentale ~Voghormia Intz 1分51秒>
<3 Armenie 1:Chants Liturgiques du Moyen Age et Musique Instrumentale ~Voghormia Intz 1分56秒>

この盤のアルメニア教会の聖歌はまだまだ続きますが、次回はアルメニア教会の聖地をテーマにしたアラン・ホヴァネスのエチミアジン交響曲を予定しておりますので、次回また併せて抜粋して取り上げることにしまして、このオコラ盤後半の器楽曲からHratchik Nigoghossian (kamantcha), Djivan Kasparian (duduk)の演奏でSayat-Novaと言う曲、時間が余りましたら、Salomon Seyranian (tar)でPayati Chirazをおかけします。ドゥドゥク奏者はカスパリアンとありますが、ジヴァン・ガスパリアンだと思います。彼が西側に知られる前の貴重音源ではと思います。タールによるパヤーティ・シーラーズというのも、哀感溢れるアゼルバイジャンのバヤーティ・シーラーズをすぐさま連想させます。
これらの曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<17 Armenie 1:Chants Liturgiques du Moyen Age et Musique Instrumentale ~Sayat-Nova 3分30秒>

<18 Armenie 1:Chants Liturgiques du Moyen Age et Musique Instrumentale ~Payati Chiraz 6分38秒>
Sogomon Seyranyan(Сейранов) - Bayati shiraz(tar)

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2018年2月23日 (金)

Tsovinar Hovhannisyan-Concerto N3

ツォヴィナール・ホヴァニシアンと言う人は、先日女性のカーヌーン二重奏で上げた人ですが、この人はアルメニアの首都エレヴァンの国立音楽大学の教授だそうです。このカーヌーン協奏曲と思われる曲がこの人の作品かどうか不明ですが、カーヌーンの妙技も披露しつつ(映像ではソリストがほとんど見えませんが)、アルメニア的な弦楽器の美音を堪能できる曲で、かなり気になりました。演奏はSofia Chamber Orchestraで、solists-Professor Tsovinar Hovhannisyan and Narek Kazazyanとありました。ブルガリアのソフィアかどうかも不明です。この映像はサヤト・ノヴァとカーヌーンをキーワードに原語検索して出てきましたので、サヤト・ノヴァの旋律を元にしているのかも知れません。2本目は18世紀の吟遊詩人サヤト・ノヴァの、歌中心の一本です。1時間近くに亘って、サヤト・ノヴァの曲が何人かの独唱者によって演じられているようです。
水曜にブログアップしましたが、トップページ更新は本器を立ち上げてなかったので、出来ておりません。今日もゼアミオフィスに戻るのが遅いので、トップ更新無しでのブログアップになります。

Tsovinar Hovhannisyan-Concerto N3 Tsovinar Hovhannisyan,Narek Kazazyan,Sofia Chamber Orchestra

Sayat Nova King of Ashusghs - Armenian ashughic music

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2018年2月21日 (水)

ハチャトゥリアン姉弟のコミタス

ハチャトゥリアンと同じ名前の姉弟のピアニスト&ヴァイオリニストによるコミタスの曲がありました。ヴァイオリニストのセルゲイ・ハチャトゥリアンとピアニストのルシネ・ハチャトゥリアン。チェロはNarek Hakhnazaryan(ナレク・ハフナザリアン)で、3人とも名前の末尾にイアンが付いている通りアルメニア人。弦楽器によるコミタスの曲の演奏もかなりありましたが、これは祖国の名曲を極上の美音で聞かせているトリオです。3本目は演奏者は違いますが、3曲とも先日カーヌーン演奏でかけたのと同じ曲だと思います。(カーヌーンではなかなか見つからないので)

Sergey Khachatryan, Narek Hakhnazaryan and Lusine Khachatryan play Komitas - Al aylughs

Sergey Khachatryan, Narek Hakhnazaryan & Lusine Khachatryan play Komitas - The Sky Is Cloudy

Komitas quartet Al Ayloughs

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2018年2月19日 (月)

サヤト・ノヴァ、ヴィオラによる鶴、アルメニアン・ダンス他

ゼアミdeワールド96回目の放送、日曜夕方に終りました。21日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。アルメニアン・ダンスの演奏者名を放送では言いそびれておりました。東京佼成ウィンドオーケストラです。カーヌーンの音源は、コミタスの曲同様そのもののyoutubeはなさそうです。また別音源で後日探してみます。

アルメニア音楽の6回目になります。前回エリア・ペーリヴァニアンのカーヌーン演奏でコミタスの曲を聞いて頂きましたが、この盤には18世紀アルメニアの吟遊詩人サヤト・ノヴァの曲も4曲入っておりますので、続けておかけします。コミタスの曲とは対照的にメランコリックな美しさに溢れるアルメニアらしい曲が並んでいます。サヤト・ノヴァと言えば、パラジャーノフ監督が「ざくろの色」でエキゾチックな映像詩に仕立て上げたことを思い出します。
では、まず「愛に捧げる」という曲からどうぞ。

<2 Musique traditionnelle d`Armenie - Elia Pehlivanian / Echkhemed (Ode A L'Amour) 3分55秒>

次はケマンチャと言う曲で、擦弦楽器のケマンチャについての元は歌詞のある曲かも知れません。イランやアゼルバイジャンのケマンチェとは一味違うアルメニアのケマンチャはLP音源で手元にありますので、次回以降かけられるかも知れません。

<5 Musique traditionnelle d`Armenie - Elia Pehlivanian / Kemancha (Le Violon) 2分18秒>

次は仏訳に「鶯の歌」とありますので、隣のイランの文化の影響や繋がりを感じさせるテーマです。

<9 Musique traditionnelle d`Armenie - Elia Pehlivanian / Boulbouli Hid (Le Chant Du Rossignol) 3分13秒>

次は仏訳が「私はあなた」となっていますので、やはり愛の歌でしょうか。

<11 Musique traditionnelle d`Armenie - Elia Pehlivanian / Kani VourDJan (Je Suis A Toi) 2分15秒>

Sayat Nova (El color de la granada) / Subtitulada al español

何とサヤト・ノヴァの生涯を描いたパラジャーノフの映画「ざくろの色」がそのまま上がっていました。あるいは編集前の元の映画「サヤト・ノヴァ」でしょうか。

続きまして、前回カテリーナ・マヌーキアンのヴァイオリン演奏でおかけしましたコミタス作曲の鶴という曲ですが、現代音楽やクラシックで大活躍のアルメニア系女流ヴィオラ奏者キム・カシュカシアンも弾いておりますので、そちらもおかけします。吟遊詩人の嘆きを聴くかのような「鶴(クレイン)」ですが、ここではKrunkというタイトルになっております。未確認ですが、このタイトルはアルメニア語でしょうか?

<5 Kim Kashkashian / Hayren - Krunk 2分28秒>
KROONK by KOMITAS,processed by S.ASLAMAZIAN,SIRARPI SAMVELYAN-viola,ADA MINASYAN-piano

やはりカシュカシアンでは見当たらないので、他のヴィオラ奏者の演奏ですが。

前回の最後にアルメニア正教の歌をDivine Liturgyという盤からかけまして、途中から出てくるエキゾチックで印象的な旋律がユネスコ盤のアルメニア正教音楽にも入っていて、またかけますと予告していましたが、確認しましたらこの盤ではなく他で聞いたようです。今回はそのユネスコ盤から、極めてオーソドックスなアルメニア正教の歌をおかけしてみます。この盤に限らずアルメニア音楽はディアスポラ(離散)先での録音が多く、アルメニア本国の録音は非常に少ないように思います。この盤もイタリア、ヴェニスのアルメニア教会での録音です。この盤を聞くとよく分かりますが、楽器などでは周辺のペルシアやトルコの系統が多いのに対し、宗教音楽では周辺国の影響は全く感じられません。持続低音のドローンをバックにしたモノフォニックな歌は、同じ正教系でもポリフォニックなグルジアの教会歌とは対照的です。

<1 アルメニアの宗教音楽(ユネスコ・コレクション) ~三位一体の光への頌栄 5分45秒>

では最後にアメリカの作曲家アルフレッド・リードが作曲した吹奏楽曲アルメニアン・ダンス パート1を聞きながら今回はお別れです。ジャンル的にはラヂバリでは、ございま鈴木さんのテリトリーですが、この曲はアルメニアの比較音楽学者であるコミタス・ヴァルダペット(これがコミタスのフルネーム)の収集したアルメニア民謡を素材として作曲されていまして、5つのアルメニア民謡が続けて演奏される単一楽章の曲です。それぞれのコミタスの原曲を探してみましたが、手持ちの音源には見当たりませんでした。私は吹奏楽はやらないので知りませんでしたが、この曲は華やかな吹奏楽曲の代表とされているようです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<アルメニアン・ダンス (リード) 東京佼成ウィンドオーケストラ 11分18秒 抜粋>
アルメニアン・ダンス パート1

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2018年2月17日 (土)

アルメニアの弦楽器奏者

昨日アップ出来なかったので、イレギュラーですが土曜に上げておきます。カテリーナ・マヌーキアンの「鶴」以外のアルメニアの曲は、CDにはありましたが、youtubeは見当たらない感じです。この人はクラシックの演奏家として素晴らしく、しばらく聞き惚れました。「鶴」の色々な演奏は、有名な曲だけあって、幾つか見つかりました。編成はヴァイオリン、チェロなどの西洋楽器にドゥドゥクが入るようなパターンもあり、何よりヴァイオリンやチェロなどの演奏力の高さと、アルメニア民謡を様々にアレンジして弾く柔軟性は、目を見張るものがあります。さすがユダヤ系と並んで弦楽器の名手を沢山輩出したアルメニア系だけに層の厚さを感じました。長尺の映像が並んでいますので、是非ゆっくりご覧下さい。放送でかけたコミタスの有名な曲も出てきました。

Music of Armenian Masters...Komitas Vartabed: Armenian Folk Songs

KOMITAS Feeling Concert. Part1

KOMITAS Jazz; Forsh and Sona Azaryan at the Cafesjian Center for the Arts / 08.08.2012

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2018年2月15日 (木)

アルメニアのカーヌーン

今週の探り所としては、アルメニアのカーヌーン、カテリーナ・マヌーキアンのアルメニアの曲の演奏、「鶴」の異なる楽器による演奏を予定していますが、来週にいくつか持ち越しになるかも知れません。グルジェフ・アンサンブルの演奏曲の詳細についても大分見えてきましたが、まずはカーヌーンです。
この楽器の名前のルーツは、古代ギリシアのカノン(「理想的比率」などのニュアンス)にあります。カヌーンと言う表記もよく見かけますが、頭のQの後にアーと伸ばす長母音のアラビア文字(アリフ)が入っているので、真ん中のNの後と同様に伸ばすのが正しいように思います。ウィキペディアにあるように、ペグを用いてオスマン古典音楽の九分の一音を出せることで有名な楽器です。(トルコ通の知人が持っていて、20年余り前に調弦と実演を見せてもらったことがあります)
カーヌーンと言えば、一般にアラブやトルコの楽器として有名ですが、アルメニアの場合は、アラブ音楽のような旋法を表現するというよりも、さざ波のようなトレモロ奏法の繊細さで憂愁の旋律を奏でることが主眼のように思います。それに名人芸を披露する楽器としても活躍しているようです。アルメニアの哀愁の旋律を奏でる場合は、ケマンチェと双璧と言えるでしょう。

Armenian qanon. Professor Tsovinar Hovhannisyan,Lilian Martirosyan-"RAPSODIA",qanon,kanon

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2018年2月12日 (月)

コミタスの音楽 カーヌーン、鶴、Divine Liturgy

ゼアミdeワールド95回目の放送、日曜夕方に終りました。14日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。カーヌーンの音源は、そのもののyoutubeはなさそうです。また別音源で後日探してみます。

アルメニア音楽の5回目になりますが、放送されるのが11日と14日ですので、まずヴァレンタインと言えばこの曲、マイ・ファニー・ヴァレンタインをおかけしたいと思います。ビル・エヴァンス&ジム・ホールとかマイルス・デイヴィス、チェット・ベイカーなどのジャズ演奏で有名ですが、元はリチャード・ロジャース作曲の1937年のミュージカル『ベイブス・イン・アームス』の中の一曲で、今回はそのメリー・マーティンの歌うオリジナル音源をおかけします。4日の今治総合芸能祭に続いて8日に私の店、トーク・トークでバレンタイン版の終活カフェを行いまして、今治市民弦楽合奏団のメンバーで弦楽四重奏版を演奏しました。私はファースト・ヴァイオリン担当でした。前奏部分は初めて聞きましたが、甘美なラヴソングのイメージが更に強まった名唱です。

<メリー・マーティン&リチャード・ロジャース / My Funny Valentine 2分14秒>
My Funny Valentine


アルメニア音楽に戻ります。グルジェフの音楽もピアノ独奏以外に、中東の民族楽器アンサンブルや、チェロとピアノによる演奏など色々ありますが、音源がすぐに見つからなかったので、出てきたらということにしまして、今回はコミタスの音楽をご紹介します。アルメニア正教の司祭にして民族音楽研究者、作曲家でもあるコミタスの音楽は、正教聖歌から民謡調の曲まで、演奏もクラシックから民族音楽のスタイルまで実に様々な演奏があります。1869-1935ですから、グルジェフとほぼ同時代の人になります。
まずは、琴にも似たツィター系弦楽器のカーヌーンの演奏で3曲続けてお聞き下さい。この盤には吟遊詩人サヤト・ノヴァの曲も入っておりますので、また後日おかけします。哀切な曲の多いアルメニア音楽の中では明るく親しみやすい曲調が並んでいます。3曲目のKele Keleは、特によく知られた愛の歌です。演奏はエリア・ペーリヴァニアンという人です。

<1 Musique traditionnelle d`Armenie - Elia Pehlivanian / Al Ailoukhes 1分50秒>

<7 Musique traditionnelle d`Armenie - Elia Pehlivanian / Gakavik 1分8秒>

<10 Musique traditionnelle d`Armenie - Elia Pehlivanian / Kele Kele 1分50秒>

続きまして、アルメニアと日本のハーフのカナダの女性ヴァイオリニスト、カテリーナ・マヌーキアンの演奏で、コミタス作曲の鶴という曲です。北コーカサスのダゲスタンにもガムザトフの歌に鶴のテーマが出てきましたが、やはりコーカサスでは南北問わずよく見かけるように思います。この盤の解説を読み上げてみます。

コミタスはアルメニアの作曲家で民族音楽研究家、また聖職者でもあった重要な音楽家であった。地道な採譜作業、教会音楽の研究、さらにこうして集めた成果を諸外国に紹介するなど、その業績は計り知れないとされている。「民衆に学べ」をモットーとしたコミタスは、パリに没しているが、亡骸はアルメニアの首都エレヴァンに移送され、芸術家の殿堂に埋葬されたほどである。吟遊詩人の嘆きを聴くかのような「鶴(クレイン)」は、元々は声楽曲だが、後にヴァイオリンとピアノのために編曲されている。

<10 Catherine Manoukian / Elegies & Rhapsodies - Crane(鶴) 4分35秒>
The Crane - Catherine Manuakian violine


次はアルメニア正教の歌ですが、アメリカの現代音楽のレーベルNew Albionから出ていたDivine Liturgy(神の典礼)から、Nvirumという14分余りの曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。英訳がOffertoryですので、西ヨーロッパのキリスト教音楽の奉献頌のような曲だと思います。聖ガヤネー男声合唱の演奏で、ガヤネーと言うのは、「剣の舞」やレズギンカで有名なハチャトゥリアンのバレエ音楽「ガイーヌ」の原語発音です。6分過ぎから出てくるエキゾチックで印象的な旋律はユネスコ盤のアルメニア正教音楽にも入っていましたので、また後日おかけする予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Komitas / Divine Liturgy - Choir of St.Gayane / Nvirum (Offertory) 14分8秒>
Komitas - Divine Liturgy

アルバムの3曲、まるまま上がっていました。

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2018年2月 9日 (金)

神聖舞踏とトンバク

映画「注目すべき人々との出会い」のラスト辺りに出てくる神聖舞踏で聞こえる太鼓は、イランのトンバクで、このリズムは映画を見てから随分真似して叩いたものです。両手の9指を柔軟に操るトンバク奏法の要、リーズも、この中ではそれ程難しくはないです。しかし、本当にグルジェフが探索の末に出会った音楽にトンバクが使われていたのでしょうか。気になりながらも真相を解明出来ないないまま、そろそろ20年になります。メヴレヴィーの旋回舞踏を模したような舞踏の動画もかなり出てきますが、これも同じくグルジェフが終に出会った舞踊の一つでしょうか。
今週は8日のバレンタイン終活カフェと4日の今治総合芸能祭の打ち上げもありまして、ブログアップもなかなか出来ませんでした。

神聖舞踏

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2018年2月 7日 (水)

Gurdjieff Ensemble

レバノン出身のLevon Eskenianが2008年に結成したGurdjieff Folk Instruments Ensemble(あるいは単にGurdjieff Ensemble)の2枚の盤は、何とチェック漏れで入れておりませんでした。Duduk, Blul, Kamancha, Oud, Kanun, Santur, Tar/Saz, Dap/Daf, Dhol, and Tombak.のような、アルメニア中心に中東各地の楽器をふんだんに使ってグルジェフやコミタス(11日の放送で特集)の曲を取り上げています。ピアノ曲との聞き比べまでは行っておりませんが、オリジナルと注意深く聞き比べることで面白さ倍増だと思います。ユニバーサルのクラシック扱いになっているので、漏れたようです。Armenian, Greek, Assyrian, Arabic, Kurdish, Caucasian spiritual and folk musicの入り混じったグルジェフの音楽の面白さを、スピリチュアルでモノトーンなピアノとは違って、カラフルで楽曲のルーツに遡るような視点から楽しめるように思いますが、2本目はよく知られたアルメニアの曲のように思いました。

G.I.Gurdjieff's music-No 11/ Gurdjieff Ensemble/ tar, santur, oud, dap, tombak

G.I.Gurdjieff's music - No 40 "Gurdjieff Folk Instruments Ensemble"/duduk,kamancha

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2018年2月 5日 (月)

グルジェフの音楽

ゼアミdeワールド94回目の放送、日曜夕方に終りました。7日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。クレムスキの3集とデ・ハルトマンの音源は全て上がっていました。どちらもCDは現在入手不可だと思います。キース・ジャレット盤は現役だと思いますから、おそらくyoutubeは無しだと思います。先週は4日の今治総合芸能祭の本番に向けてブログアップも出来ずでした。

アルメニア音楽の4回目になります。アルメニア音楽として取り上げるべきかどうかとも思いましたが、神秘思想家グルジェフの音楽はどこかで取り上げたいと思っておりました。グルジェフがピアノを1本指で、または口笛で旋律を示し、弟子の作曲家トマス・デ・ハルトマンが編曲し曲に仕上げたというその静謐で物悲しい音楽には、アルメニアの正教聖歌を中心に、様々な文化の坩堝であるコーカサスから中東の雰囲気がはっきり現われているエキゾチックな曲が数多くあります。作風の違いからいくつかに大別され、「アジアの歌と踊り」(エスニック系の作品集)、「聖歌」(キリスト教系の作品集)、「ダルヴィッシュの儀式」(スーフィ系の作品集)などに分れるようです。
ゲオルギー・イヴァノヴィッチ・グルジェフ (1866?-1949) は、ギリシア系の父とアルメニア系の母のもとに当時ロシア領であったアルメニアに生まれ、人間の生の意味にかかわる根源的な問題への答えを求めてその前半生の約20年を東洋の辺境をめぐる探求の旅に費やし、その後はロシア、フランス、アメリカにて活動を展開しました。東洋の辺境を巡った前半生については、ピーター・ブルック監督が1979年に映画『注目すべき人々との出会い』を制作し、トルコのネイ奏者クドゥシ・エルグネルやアカ・ギュンドゥズ・クトバイなど、後のワールドミュージックブームを牽引した演奏家も出演していました。
グルジェフは、著作・音楽・舞踏という三つの芸術形式により、人間と宇宙に関する普遍的な理解を後代に伝え、直接学んだ人たちの中には、建築家のフランク・ロイド・ライトや小説家のキャサリン・マンスフィールドなど錚々たる名前が上がっています。
その影響下にある文化人は数知れず、匿名希望も多いそうですが、その中でジャズ・ピアニストのキース・ジャレットはグルジェフへの敬愛を隠さず、ECMから「祈り~グルジェフの世界」(Sacred Hymns)をリリースしています。グルジェフのピアノ曲の録音は、他には弟子のトマス・デ・ハルトマン自身の3枚組を初め、セシル・ライルや映画『注目すべき人々との出会い』の音楽監督のアラン・クレムスキなどのCDがリリースされています。

まずは、キース・ジャレットの演奏で、「7の法則」やエニアグラムと並んでグルジェフの思想で有名な「3の法則」を曲にしたと思われる一曲からどうぞ。

<12 キース・ジャレット / 祈り~グルジェフの世界 ~聖なる肯定、聖なる否定、聖なる和解 4分12秒>

もう一曲、「キリスト復活の物語」と言う曲も、キース・ジャレットでどうぞ。

<11 キース・ジャレット / 祈り~グルジェフの世界 ~キリスト復活の物語 1分39秒>

「キリスト復活の物語」と同じ曲が、アラン・クレムスキ盤ではHymnとなっています。映画「注目すべき人々との出会い」の音楽担当らしい幻想的な音色を聞かせます。彼のグルジェフ・シリーズを3と6集だけ持っていますが、12枚出ていたことを今回初めて知りました。

<1 Gurdjieff,De Hartmann-3 / Alain Kremski ~Hymn 2分24秒>
Gurdjieff - De Hartmann Vol 03: Recit de la resurrection du Christ, Alain Kremski


続いて、先ほどキース・ジャレットで聞いて頂いた「3の法則」を曲にしたような同じ曲が、クレムスキの演奏ではSaint Affirmationというタイトルで出てきます。比較でかけたいと思います。

<2 Gurdjieff,De Hartmann-3 / Alain Kremski ~Saint Affirmation 4分23秒>

この曲はどの演奏にも入っている最重要曲のようですので、グルジェフの弟子のデ・ハルトマンの演奏でも聞いてみたいと思います。彼の3枚組では1枚目の1曲目に入っています。

<1-1 Music of Gurdjieff and De Hartmann / Thomas De Hartmann ~Holy Affirming, Holy Denying, Holy Reconciling 4分14秒>
01 - Holy Affirming, Holy Denying, Holy Reconciling


「3の法則」など、グルジェフの思想については、ここではお話しする時間もありませんので、ご興味のある方はウィキペディアをご覧ください。結構詳しく出ていました。

デ・ハルトマンの演奏には、キース・ジャレットやアラン・クレムスキの演奏では聞けなかった中東各地のメロディを取り入れた曲も豊富に入っておりますので、それらの中から中東の旋法そのもののタイトルのバヤーティと言う曲を同じくデ・ハルトマンの演奏でおかけします。余談ですが、映画「注目すべき人々との出会い」のラストに出てくる神聖舞踏の太鼓は、イランのトンバクで、この番組テーマ曲の最初に出てくる太鼓と同じです。

時間が余りましたら、イエス・キリストや洗礼者ヨハネが属していたという説もあるユダヤ教の一派、エッセネ派の聖歌と題する曲がありますので、後でかけます。死海文書が発見されたのは1947年ですので、1949年にグルジェフが亡くなる2年前と言うことで、最晩年の曲かも知れません。

これらの曲を聞きながら今回はお別れです。
 
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1-14 Music of Gurdjieff and De Hartmann / Thomas De Hartmann ~Bayaty 3分35秒>
<1-11 Music of Gurdjieff and De Hartmann / Thomas De Hartmann ~Essene Hymn 5分10秒 抜粋>

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2018年2月 1日 (木)

Hosseyn Alizadeh and Mohammad Motamedi, Sari Galin

アリザーデ&ガスパリアンのエンドレス・ヴィジョンがリリースされたのは2004年ですが、この映像は2014年。10年経ってアーヴァーズ重唱のハムアーヴァーヤーンもメンバーが入れ替わり、男性歌手に1978年生まれの若手歌手モハンマド・モタメディを迎えています。彼の録音は数年前に名門レーベルのオコラから登場。シャジャリアンに似た輝かしい声質のアーヴァーズ歌手の本格派です。影響を受けた歌手としてTaherzadeh、Taj Esfahani、Adib KhansariのようなイランMahoor Institutから録音の出ているような往年の大巨匠の名前が上がっていました。楽しみな逸材を迎えて、アルメニアの名歌サリ・ゲリンを演奏するアリザーデさんの新ユニット。イランの楽器だけですので、この中にはアルメニア人はいないのではと思います。この歌はアゼルバイジャンのものとする説もありますが、どちらが正しいのでしょうか。Vahdat Auditorium , March 2014, Ham Navayan Ensembleと解説が出ていて、よく見るとハム・ナヴァーヤーンと変わっています。

Hosseyn Alizadeh and Mohammad Motamedi, Sari Galin

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