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2018年3月19日 (月)

放送100回目はアゼルバイジャンのタール

ゼアミdeワールド100回目の放送、日曜夕方に終りました。21日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

今回からアゼルバイジャンの音楽です。記念すべき100回目と言うことで、華々しく始めたいと思います。
アゼルバイジャンの伝統音楽に、ムガームと言うジャンルがありまして、その名から容易に推測できるように、アラブのマカームの流れを汲むので、もちろん旋法体系を表しますが、同時にその音楽体系や楽曲自体も指すようです。ムガームの典型的な編成は、ケマンチェとタールが両脇を固め、間で歌い手がダフを叩き歌うというトリオ編成のスタイルになります。歌手の有名所では、2004年のNHKの新シルクロードでタイトル曲を歌っていたアリム・カシモフがいまして、私は残念ながら聞きに行けなかったのですが、2008年には娘ファルガナ・カシモヴァと来日もして素晴らしい歌唱を聞かせました。彼の録音はオコラやイネディなどから沢山出ていまして、それらもいずれご紹介しますが、まずは彼の伴奏を受け持つことの多いタール奏者のマリク・マンスロフのソロ・アルバムから一曲たっぷりお聞き下さい。
タールは、イランでは3コース複弦なので6弦ですが、アゼルバイジャンのタールは弦の数が多いようです。Guitarの綴りの中にもペルシア語で弦を意味するtarが入っているように、セタールと並んでギターやシタールなどの洋の東西の棹の長い同属弦楽器のルーツ(名前のみ?)に当る楽器です。マリク・マンスロフはアリム・カシモフも師事した往年のタール名人バーラム・マンスロフなどから強く影響を受けているようです。まるでロックを聴いているかのような強烈な高揚感を持って始まり、火花の散るようなスリリングな即興演奏を聞かせています。旋法はコルド・シャーナズで、演奏時間は20分ほどですから途中までになるかも知れません。コルドと言うのはペルシア語でクルドのことです。シャーナーズというのもアラブの方では度々出てきたマカームですが、アゼルバイジャンの旋律と同系統になるのかどうかは、調査が必要です。
この録音は元はフランスのレーベルBudaから出ていましたが、後にイランのMahoor Institutからもリリースされています。現在はおそらく廃盤のブダ盤は非常によく売れて手元に残ってないので、イラン盤の方でおかけします。真ん中辺りでは、グレゴリオ聖歌でお馴染みのディエス・イレ(怒りの日)の旋律が登場してびっくりさせますが、西洋音楽も色々知っている人なのかも知れません。

<1 Malik Mansurov / Tar - Music of Azerbaijan 20分1秒 抜粋>
Shahnaz tar solo

彼のシャーナーズの動画がありました!

ヨーヨー・マが主役で2004年に放送されたNHKの新シルクロードで初めてアリム・カシモフの歌を聞いた方も多いかも知れません。彼の鮮烈な歌唱は次回以降におかけすることにしまして、今回はマリク・マンスロフの大先輩のバーラム・マンスロフのタール独奏を比較でかけたいと思います。こちらも現在は廃盤のフランスChant du mondeの「アゼルバイジャンの伝統音楽」に収録された演奏です。彼は1911年生まれで1985年に亡くなっているので、1962年生まれのマリク・マンスロフとは祖父と孫位の年の差になります。同じ苗字なので息子と思われがちですが、どうやらそうではないようです。ここで演奏されているのはシューシタールで、この旋法はペルシアではホマーユン旋法系列の哀感に溢れながらも、艶っぽく官能的なイメージもありますが、この演奏は時折長調的にも聞こえるのが面白いです。この曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9  Bahram Mansurov / Shushtar 7分20秒 抜粋>
"Heyrati" - Alim Gasimov, Bahram Mansurov, Talat Bakikhanov

シューシタリーではありませんが、バーラム・マンスロフの動画も色々あります。ライフルを構えるように高く掲げるスタイルが、アゼルバイジャン流のタール奏法の特徴。左のアリム・カシモフが若い!

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コメント

放送100回目おめでとうございます!
はじめの15分枠から30分枠になって本当によかったと思います。
世界の音楽をたどる旅の、まだまだ一部ですよね。
近藤様は最良の水先案内人です。
ありがとうございます。
これからも引き続き、じっくりとたっぷりと世界の音楽をご紹介ください。
放送を毎週楽しみにしております。

投稿: たこ | 2018年3月24日 (土) 22時48分

たこ様
いつも有難うございます。かいつまんでも、2年経ってまだ世界の音楽の10分の1も回れてないなと思っています。あと2,30年はかかるかなと思います。オセアニア(おそらく最後になると思います)まで生きてる間に辿り着けるでしょうか(笑) できるだけ頑張ります。

投稿: ホマーユン | 2018年3月26日 (月) 15時09分

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