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2018年3月12日 (月)

ケマンチェ聞き比べ アルメニア、アゼルバイジャン、イラン

ゼアミdeワールド99回目の放送、日曜夕方に終りました。14日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。先週はばたばたで結局ブログアップは月曜だけになりましたm(. .)m 今週はもう少しアップ出来ると思いますが。

アルメニア音楽をまとまった形で取り上げるのは一応前回で最後で、民謡的な音楽や若手ドゥドゥク奏者の音源などが最近は結構リリースされていましたが、売り切れて手元に残ってないので、ほとんどかけることは出来ませんでした。
今回はケマンチェの系統の擦弦楽器の聞き比べということで、アルメニア、アゼルバイジャン、イランの音源を並べてみたいと思います。この楽器の名前ですが、ケマンチェ、キャマンチェ、カマンチェ、カマンチャ、ケマンチャなど国によって色々ですが、トルコやマグレブの方などでは末尾のチェが取れて、ケマンとかカマンと言ったりもします。これらの国ではヴァイオリンをそう呼んだりもします。因みにカマンというのは、今治など伊予の方言では「結構です」とか「良いですか?」の意味になるので、ちょっとくすっと笑ってしまう感じがあります(笑)
まず、アルメニアですが、フランスのArionからのLP盤でアンドラニク・アルスタミアンという人のカマンチェ独奏です。この盤は1982年リリースで、CD化はされてなかったと思います。1918年生まれの名手の絶品の演奏をお聞き下さい。
一曲目は、Dunen Gulkenという曲で、訳は「あなたの魂は強い」となると思います。18世紀アルメニアのアシュグ(吟遊詩人)、サヤト・ノヴァの曲です。冒頭から非常にインパクトのある音をヒットしている演奏です。

<A1 Le Kamancheh d`Armenie / Andranik Aroustamian  Dunen Gulken4分16秒>
Sayat Nova - Kamancha || Music of Armenia

Andranik Aroustamianでは見当たらないので、他の奏者ですが。

続いて、アゼルバイジャンのケマンチャは、一昨年の5月の15分枠の頃に、以前大変お世話になった音楽プロデューサーの星川京児さんの追悼でもかけました。キングWRMLシリーズのバヤーティ・シーラーズの音源です。90年代前半のNHKFM「世界の民族音楽」の星川さんの回のオープニング曲でした。演奏者名の表記は、ハビル・アリエフ・ムスタファ・オグリとか、アリエフ・ガビリ・ムストファ・オグリとか、幾つかに分かれます。以前のキングのシリーズでは「カスピ海の旋律」、現在のシリーズでは「アゼルバイジャンの音楽」に収録されております。

<1 ハビル・アリエフ・ムスタファ・オグリ / バヤーティ・シーラーズ 7分5秒>
Habil Aliyev - Bayatı Şiraz

ハビル・アリエフ自身の動画もあります。神業としか思えない名演。

3番目ですが、ペルシア音楽界最高のケマンチェ奏者と言えばこの人、1905年生まれの大御所アスガール・バハーリーです。当番組のオープニング曲は、イランの歌手兼ウード奏者のアブドゥルワハブ・シャヒーディーのNegah Garm Toという曲ですが、この曲の別テイクのように聞けるマーフール旋法の美しく明朗な演奏です。当番組テーマ曲は、フランスの民族音楽の名門レーベル、オコラのCD化第1弾の一曲目でした。今では考えられないようなオールスターキャストですが、中でもケマンチェのアスガール・バハーリーやトンバクのホセイン・テヘラーニは特に光っています。これからおかけする音源は、イランのSedaというレーベルから2枚出ている内の一枚ですが、ややこしいことにペルシア語の曲目クレジットと、実際に録音されている内容がVol.1と2で逆になっています。曲目クレジットではVol.1がアーヴァーズ・アブアターとアーヴァーズ・バヤーテ・エスファハーン、Vol.2がダストガー・マーフールとダストガー・チャハールガーになっています。バヤーテ・エスファハーンのバヤーテとは、グルジェフの曲でも出てきたバヤーティの元になったと思われるペルシア語で、「詩句」を意味する言葉です。曲名ではその後にシーラーズとかエスファハーンと来るので、それぞれの町の詩とか歌というような意味になるようです。
序奏のダルアーマドに始まり、シャヒーディー作のピシュダルアーマド(前奏曲)が続きます。その後は別なダルアーマドからトンバク伴奏付きの速いチャハールメズラブの部分に入ります。マーフールの演奏はまだまだ続きますが、おかけする9分程では、チャハールメズラブまでになります。

<Asghar Bahari / Kamancheh solo-2  Dastgah Mahur 9分位>
Singer:Ali Rostamian Kamanche:Asghar Bahari (2\2)

ここでバハーリーが歌伴で弾いている旋法は、ホマーユンかバヤーテ・エスファハーンだと思います。マーフールの演奏がすぐに見つからないので今日はとりあえずこちらを。

ここでちょっと催しのお知らせを入れます。
3月18日の今治中央公民館での文化祭の洋楽の部に、今治市民弦楽合奏団で出ます。私はファースト・ヴァイオリン担当で、曲目はモーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスと、J.S.バッハの小フーガト短調です。時間は朝9時半からの4番目ですから、10時前後位だと思います。宜しければ是非お越し下さい。
それと、私の店トーク・トークでクリスマスとヴァレンタインの辺りで行いました終活カフェは、好評につき毎偶数月に行うことになりました。次回は4月26日で、セミナーが3時半から、演奏は5時からの30分ほどです。ご予約をゼアミのメール等でお受けしております。アドレスはVYG06251@nifty.ne.jpです。この番組へのご感想もこちらでお受けします。

では最後に再度アンドラニク・アルスタミアンのアルメニアのケマンチェを聞きながら今回はお別れです。A面の2曲目からは、アルメニア民謡、ヒジャーズ旋法のアルメニアの即興と続きますが、その後のヴァラヤティ・デルキャシュというペルシア古典の旋律をおかけします。確かにペルシア音楽の感じが色濃く出ている演奏です。この人の演奏はB面にアゼルバイジャン絡みの曲もありますので、アゼルバイジャンに入ってからも、ケマンチェの聞き比べでまた出すかも知れません。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<A4 12分50秒から Le Kamancheh d`Armenie / Andranik Aroustamian  Valayati Delkash 5分16秒>

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