オスマンル、アゼルバイジャン音楽界、オグズ語群の話
ばたばたしていて少しアップが飛びました。今日は最近の関連動画で興味深かった2本を上げておきます。先日アリム・カシモフでかけましたオスマンルという曲は、他にも若手のパルヴィーズ・カシモフの演奏がありました。色々な楽器が総動員した華やかな演奏です。原曲は、オスマン時代のクルド系軍人のイェニチェリ(歩兵軍団)の軍隊行進曲に遡るかも知れないという曲でした。上に点のない「i」の発音はイではなく、ウに近いと思いますので、オスマンリではなくオスマンルと書くのがある程度発音的に近いと思います。こちらを2本目に上げておきます。
1本目はアゼルバイジャン本国または在外のアゼリ系音楽家が、ポピュラーや古典のジャンルを越えて一曲を演奏しているようですが、色々な歌手や演奏家を一度に見れて、とても興味深いものがあります。ケマンチェのエルシャン・マンスロフのような古典音楽家も出てきます。こうして聞くと、改めてトルコ歌謡に似ている、というよりそっくりだなと思います。
テュルク諸語の主要な語群であるオグズ語群に属するトルコ語、アゼルバイジャン語、トルクメン語などは、それぞれの言葉で話して相互理解がある程度可能だと聞きます。歌が似てくるのも当然でしょうか。オグズ語群は、西オグズ諸語に トルコ語、オスマン語、ガガウズ語、バルカン・トルコ語、アゼルバイジャン語などがあり、東オグズ諸語には、 トルクメン語、ホラサン・トルコ語など、南オグズ諸語に、イランのガシュガーイー語、アフシャール語(ペルシア音楽のアフシャーリー旋法のルーツ)などがあります。トルコから遠く離れた中国の甘粛省や青海省のサラール語も、トルコ語との相互理解がある程度可能だそうです。サラール族の居住地はテュルク人が西進する前にいた場所(モンゴル高原西部辺り)に比較的近く、彼らは全くアジア的な顔立ちですから、テュルク系諸族も西進して混血する前はこんな容姿だったのでしょうか。
Qarabağ Üçün Oxu -2 ("Tut ağacı", "Aman aman ayrılıq")
Pərviz Qasımov - Osmanlı
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