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2018年4月23日 (月)

モルゲ・サハルの聞き比べ シャジャリアンとカシモフ

ゼアミdeワールド105回目の放送、日曜夕方に終りました。25日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日はシャジャリアンの歌唱を目立たせたいので、彼のモルゲ・サハルだけ上げておきます。

アゼルバイジャンの音楽の6回目になります。今回はペルシア音楽の名曲モルゲ・サハルの聞き比べを中心に予定しております。まずアゼルバイジャンの大歌手アリム・カシモフがこの曲を取り上げた2枚組とDVDのセットからおかけします。モルゲ・サハルとは、シャジャリアンがバムの地震の追悼ライブのラストに歌っていた感動的なマーフール旋法のタスニーフです。元の歌詞はペルシア語ですが、カシモフはアゼルバイジャン語でアゼルバイジャン風な迸る激情型で歌っております。曲名の英訳はDawn Birdですから、直訳すれば「夜明けの鳥」です。

<2-1 Alim Qasimov / Morqe Sahar - Tabriz Concert   ~Morqe Sahar 7分38秒>

続きまして、原曲のシャジャリアンの歌うモルゲ・サハルを比較で聞いてみたいと思います。2003年末にイラン南東部のバムで起きた大地震の犠牲者を追悼するコンサートのライヴDVDに収録されている演奏です。被災者の救援と、バムの町を再建するためのチャリティー・コンサートでもあったようです。シャジャリアンの提案で、救援物資だけでなく、失われた文化遺産の保存にも尽くすべきとの思いから、コンサートの全ての利益は「バム庭園」というカルチャーセンターを構築するために、バムの都市に捧げられたとのことでした。シャジャリアンの次世代の名歌手と言われる人もこの地震で亡くなったらしく、後継の歌手の一人を失ったシャジャリアン自身の悲しみも歌唱から感じられます。
演奏は、ペルシア古典声楽界の大物歌手シャジャリアンと、2度来日歴もあるタール&セタールの巨匠ホセイン・アリザーデ、数年前に来日した弓奏楽器キャマンチェのカイハン・キャルホール、シャジャリアンの息子のトンバク奏者(随所で歌も担当)ホマーユン・シャジャリアンの4人です。
アンコールで演奏される名高いタスニーフの「モルゲ・サハル」ですが、大分前からyoutubeにアップされています。このタスニーフはダストガー・マーフールの晴れやかで威厳に満ちたメロディがとても素晴らしい曲で、アリザーデ一行の2004年の来日の際、玉川上水のロバ・ハウスでデモ演奏されていました。このマーフール旋法の一曲は、特にイラン人の琴線に触れるタスニーフの一つのようで、犠牲者への思いとオーヴァーラップするのか、涙を流す聴衆が何人も見えます。

<Shajarian / Hamnava ba Bam ~Morghe Sahar 5分15秒>
Shajarian Morgh-e Sahar


アゼルバイジャン版とイランの原曲でモルゲ・サハルを聞いて頂きました。この曲は20世紀前半のイランのタール名人モルタザー・ネイダーヴード(Morteza Neydavoud)が書いた曲ですが、両国に共通のレパートリーになっていたのか、アリム・カシモフが何かのきっかけで取り上げたのかは、不明です。ソ連時代には交流は難しかったと思うので、おそらく後者だと思いますが、どういうきっかけがあったのかが気になります。アゼルバイジャンは中世のアル・ファーラービーに次ぐようなペルシア・アラブ・トルコ共通の中東音楽の哲学者兼音楽理論家のサフィー・ウッディーン・アル・ウルマウィを排出した国で、元々繋がりが深い訳ですから、モルゲ・サハルも現代の交流の一つのサンプルと考えていいのでしょう。

古い時期の録音には、ペルシアとの繋がりの強さがよりはっきり現われていますので、Mahoor Institutの「アゼルバイジャン共和国の偉大な歌手達」Great Singers of The Republic of Azerbaijanから3曲おかけしたいと思います。この2枚組の録音は1915-1960で、最高のムガーム名人と言われたジャッバール・カリャークディ=オグル(1861-1944)初め10人の歌手による35曲が収録されています。05年にアゼルバイジャンで非営利目的で出版された16枚組CDブックをもとに、マーフールが2枚組に再編集したという盤です。
おかけするのは、日本なら江戸時代生まれのジャッバール・カリャークディ=オグルの歌唱です。彼の時代には実際にペルシアの宮廷で歌っていた歌手もいたようです。歴史的録音のためノイズがありますが、タハリール唱法の凄さはよく聞き取れると思います。曲名は順に、ダシュティ、オルタ・マーフール、バヤート・カージャールです。ペルシアのダシュティと共通するノスタルジックなダシュティ、やはりモルゲ・サハルと似た明るい雰囲気のマーフール、ペルシアのカージャール朝時代の詩の吟唱を彷彿とさせるバヤート・カージャールと続きます。

<1 Jabbar Qaryaghdi-oghlu / Dashti 3分2秒>
<5 Jabbar Qaryaghdi-oghlu / Orta Mahur 3分8秒>
<7 Jabbar Qaryaghdi-oghlu / Bayat Qajar 3分23秒>

では最後に再度シャジャリアンの歌唱でボテ・チンというエキゾチックで親しみやすいタスニーフを聞きながら今回はお別れです。訳は「中国の美女」となるようです。シルクロードによる東西の交流を連想させる曲名です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 シャジャリアン ボテ・チン 8分7秒 抜粋>

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