ハビル・アリエフ、エルカン・マンスロフ、VDEのカシモフ
ゼアミdeワールド103回目の放送、日曜夕方に終りました。日曜は松山に出ていてラヂバリは聞けず、更にiPhoneが絶不調でネットラジオでも聞けず(今日は復旧しました)、私は未確認ですが無事聞けたでしょうか? 11日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。カシモフのVDE録音とマンスーリは上がっていないようです。 アゼルバイジャンの音楽も4回目になりました。前回もし時間が余ったらと思って考えていたシャン・デュ・モンド盤の器楽演奏の方を少しかけておきたいと思います。まず、ハビル・アリエフのケマンチェ独奏で8曲目のディルキャシュという曲ですが、まるで人が歌っているかのような、熟練の極みの哀切な演奏を聞かせています。 <8 Azerbayjan Traditional Music - Habil Aliev / Dilkash 4分15秒> Habil Aliyev: Dilkesh 同じ旋法ですが、こちらは太鼓伴奏付き バーラム・マンスロフの息子のエルカン・マンスロフのタール独奏の音源も2曲入っておりまして、いかにもペルシア風に聞こえるけど、出てくる音が異なるエスファハーンと、明るく美しい旋法のマーフール・エ・ヒンディの2曲ですが、その名からインド風を連想させる後者を聞いてみたいと思います。インド風というのは名前だけのようで、ペルシアやコーカサスのエキゾチックな微分音もありませんが、とにかく美しい旋律が爽やかに流れる旋法です。10分近くありますので、抜粋でおかけします。 <3 Elkhan Mansurov / Mahur-e Hindi 9分38秒 から5分ほど> Elkhan Mansurov - "Mahur-hindi" (1991) 次にスイスのVDE-Galloの「アシュクの音楽と歌」からもアリム・カシモフの1989年の歌声をまとめて聞いておきたいと思います。95年に日本のクラウンからVDEの民族音楽シリーズのライセンス国内盤が出まして、その内の一枚です。この盤は前半のアシュクのイメージが強く、後半でカシモフの歌が20分余り聞けることは余り知られていないかも知れません。イラン北西部タブリーズのアシュクでは、長棹リュート系弦楽器のサズ(アゼルバイジャンではチョグールと呼ばれることが多い)の弾き語りに、枠太鼓ダフとダブルリード管楽器のバラバンやメイの伴奏が付きますが、ムガームではタールとケマンチェ、ダフの伴奏になっているのが最大の違いで、アゼリのアシュクはトルコのアシュクとも繋がるいかにも吟遊詩人的な演奏スタイルです。一方ムガームの方は、古典音楽のスタイルと言って良いのだろうと思います。カシモフがここで取り上げているのは、2,3分の色々な小曲の寄せ集めのように聞こえますが、非常に魅力的な曲が並んでいて、個人的には一番好きな演奏です。4曲続けてお聞き下さい。クラウン盤では原題が出てこないので、カタカナ表記とその訳文になりますが、以下のようになっております。 <12 アリム・カシモフ / カスマーシカステシ(愛するバラバンよ) 3分25秒> <13 アリム・カシモフ / ナーズリ・ヤーリム・カーラー・ギョズ(黒き瞳の我が恋人よ) 2分15秒> <14 アリム・カシモフ / カーラー・ギラ(私は君を目覚めさせるために君の部屋にやって来た) 2分59秒> <15 アリム・カシモフ / カーラー・クズ(若い娘よ、君に話をしよう) 3分35秒> VDE盤の前半に入っているイラン北西部タブリーズのアゼルバイジャン系アシュクの演奏は次回以降に取り上げることにしまして、再度Chant du monde盤から、甲高いハイトーンが印象的なザビオッラー・クリエフの歌唱がもう一曲入っておりますので、この曲を聞きながら今回はお別れです。もう一曲と同じく「カスピ海の旋律」のバヤーテ・シーラーズの名演が素晴らしかったハビル・アリエフのケマンチェ伴奏で、マンスーリという曲です。カシモフの最初におかけしましたムガーム・チャハールガーの系統になるようです。 ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週 <7 Azerbayjan Traditional Music - Zabiollah Kuliev / Mansuri 4分16秒>
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