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2018年6月25日 (月)

カザフのコビュズ ラウシャン・オラズバエヴァ

ゼアミdeワールド114回目の放送、日曜夕方に終りました。27日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日はラウシャン・オラズバエヴァの2曲だけにしておきます。アックはさすが堂々たる名演。Aral munyについては、あるコメントにlament of lake Aral と訳がありました。やはり思った通りのようです。

カザフスタンの音楽の3回目になります。今回はカザフのもう一つの代表的な楽器である擦弦楽器のコビュズを特集します。この楽器の女性名人に、ラウシャン・オラズバエヴァという人がいまして、イタリアのFelmayからAkkuというCDが出ていました。この人は1973年カザフスタン南西部生まれで、母方の祖母はバフシーだったそうです。バフシーと言えば、つい最近トルクメンの時に出てきた吟遊詩人のことで、東カスピのシャーマン繋がりということでしょうか? コビュズは、シャーマンが操ってきた楽器らしく、玄妙な響きを持っていますが、若手奏者の手に掛かると不思議に親しみやすくも感じられます。
CDは現在では廃盤で入手困難ですが、アップルミュージックにデータがありましたので、今回はそちらからおかけします。まずはタイトル曲の「白鳥」を意味するアックというカザフ民謡からどうぞ。

<10 Raushan Orazbaeva / Akku 5分1秒>
AKKU


前々回時間が余ったら二曲おかけしようと思っておりましたキング盤1枚目のスマグル・ウンベトバーエフの演奏ですが、こちらにも同じアックという曲がありますので、併せて比較でかけてみたいと思います。オラズバエヴァの方は解説が参照できないので詳細不明で残念ですが、キング盤の方には森田稔氏の解説が載っておりますので、引用しておきます。
アックというのは「白鳥」の意味。このキュイには興味深い伝説がある。二人の若者が一人の娘に恋をする。娘はどちらかを選ぶことができず、条件を決める。娘と結婚するためには、若者は湖で泳いでいる白鳥を射たねばならない。二人の弓が一羽の白鳥の心臓に当り、その場で殺してしまう。しかし彼らが一緒に白鳥に近づくと、娘が殺されて横たわっていた。そこで、娘を哀悼して、このキュイが作られた。

<15 スマグル・ウンベトバーエフ / Akku 4分12秒>

スマグル・ウンベトバーエフの演奏で、もう一曲ジョルドィ・コヌィルという曲もおかけしておきます。こちらはイフラスという19世紀末のシャーマンの作曲です。度々出てきていますが、タイトルのコヌィルと言うのは、瞑想の意味で、ウクライナで出てきたドゥーマのような、音楽家の内面的な瞑想を表現しているジャンルとのことです。

<10 カザフの音楽 遊牧の叙事詩~ジョルドィ・コヌィル 4分15秒>

ラウシャン・オラズバエヴァに戻りまして、彼女の演奏にもコヌィルという曲がありましたので、比較でかけておきましょう。

<15 Raushan Orazbaeva / Konyr 3分35秒>

この二人のコビュズ奏者の演奏には、アックと並んでイフラス作曲のカザンという曲も揃って入っていますので、続けてかけてみたいと思います。キング盤には以下のような解説がありました。
カザンは町の名前。このキュイの物語は、面白い伝説と関係がある。カザンの町から来た武装集団がカザフ人に平和を与えなかった。カザフの草原に住む勇士ショラは、大きな軍団を集めて、カザンと戦争をしようとしている。しかし老人達は天気が良くなるまで少し待つように忠告する。ショラは彼らの言う事を聞かず、軍団を連れてカザンの町へ出かける。途中でひどい嵐が来てショラの軍団も、ショラ自身も死んでしまう。このキュイは、この事件を歌っている。
カザンと聞くと、現在のタタールスタンの首都のカザンを真っ先に連想しますが、同じかどうかは不明です。因みに、カザフ語と同じテュルク系のタタール語でカザンとは、文字どおりには「ボイラー」「大鍋」という意味になるようです。タタール語はテュルク諸語のキプチャク語群に属し、バシキール語やカザフ語などに近いとされています。 では、まずRaushan Orazbaevaの演奏を、後でスマグル・ウンベトバーエフの演奏をおかけします。

<2 Raushan Orazbaeva / Kazan 3分30秒>

<12 スマグル・ウンベトバーエフ / Kazan 3分59秒>

Raushan Orazbaevaの盤には、Aral Munyという曲がありまして、こちらはアラル海を連想させる曲名で、これまたタイトルが気になりましたので、選んでみました。現在はかなり干上がって形が変わってしまったアラル海は、カザフ南西部とウズベキスタン西部のカラカルパクスタンにまたがる大きな湖でした。倍音に裏返る部分が高揚感を演出しています。
この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<14 Raushan Orazbaeva / Aral Muny 3分40秒>
Raushan Orazbaeva, "Aral Muny" (A.Raymkulova)

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