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2018年9月

2018年9月28日 (金)

チョールのアンブシュア

今日は来週放送でかけようと思っている楽器の予習になりますが、縦笛チョールの奏法を少し見てみました。尺八のような音色、と先日は形容しましたが、アンブシュア(管楽器の口の構え方)は尺八とは異なり、イランのネイやバシコルトスタンのクライなどと同じで、おそらくただの筒状の笛を上の犬歯辺りに当てて舌で息をコントロールするタイプでした。キルギスの伝統楽器の中で、管楽器はコムズや口琴の陰にかくれて地味な存在のように思いますが、チョールとチョポ・チョール共にとても個性的な楽器でした。横笛のSybyzgyも終わりの辺りに出てきますが、読み方が分かりません。しかし、コムズと口琴だけでなく、管楽器まで何でもこなすキルギスの楽士達の芸達者ぶりには驚くばかりです。

Mondomix présente : Tengir-Too

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2018年9月26日 (水)

キルギス口琴アンサンブル ノヴェルティー

ノヴェルティーとは、「目新しいもの、斬新さ」で通用しているようですが、元は「変わり種」のようなニュアンスもあったように思います。ノヴェルティー・グッズの言い回しは、一般にもよく使われるようになってきて、私もたまに耳にすることがあります。
その英訳が付いているテンギル・トーの3拍子の口琴アンサンブル曲Jangylyk (Novelty)は、メンバーの一人Nurlanbek Nyshanovの作曲。最初のオーズ・コムズを弾いている人でしょうか? 今日の2本は、23日の放送でオープニングと一曲目にかけたCD音源と、同曲のライブ音源です。解説通りエクスペリメンタルな曲だと思います。木製口琴のオーズ・コムズは、初めて実物を見たような気がしますが、アイヌのムックリのように紐付きでした。金属製のテミル・コムズと木製のオーズ・コムズの音色の違いと音量の違いもよく分かります。
ノベルティについてぐぐると、以下のようにありました。「変わり種」を連想しながら、輸入LPのノヴェルティ・アイテムを並べていた80年代と比べると、隔世の感があります。「ノベルティ(novelty item)とは、原義では「目新しいもの、斬新さ」を指すが、近年では「企業が自社や商品の宣伝を目的として、それらの名称を入れて無料配布する記念品」を指す。」

TENGIR-TOO — "Jangylyk"

Tengir Too

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2018年9月24日 (月)

テンギル=トー/キルギスの山岳音楽

ゼアミdeワールド127回目の放送、日曜夕方に終りました。26日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。一本目はテンギル=トーのDVDから。口琴、チョポ・チョール、マナス、コムズなど、ほぼ一通り出てきます。他の曲は後日探してみます。
Tengir-Too: Mountain Music of Kyrgyzstan


キルギスタンの音楽の4回目です。今回は世界で最も豊富なカタログを持つアメリカの民族音楽の名門レーベル、Smithsonian Folkways(スミソニアン・フォークウェイズ)から出ている「テンギル=トー/キルギスの山岳音楽(Music of Central Asia Vol. 1: Tengir-Too: Mountain Music from Kyrgyzstan)」からご紹介したいと思います。この盤はSmithsonian FolkwaysからのDVD付の中央アジア音楽シリーズの第一作で、演奏はテンギル=トーという若手中心のグループですが、ゲストでキング盤に90年代の録音があったベテランのヌラック・アブドゥラフマノフも参加しています。2005年リリースですから、キング盤からちょうど10年経って出た盤です。冒頭いきなり口琴の演奏から始まりますが、もちろん口琴だけでなく、コムズやその他伝統楽器が沢山登場します。キング盤の「草原のキュ」ではデモ演奏程度でしたが、コムズと口琴以外の楽器も多彩な音色を聞かせます。

まず1曲目のJangylyk (Novelty)というエクスペリメンタルな曲ですが、倍音とベース音がはっきり聞き取れる3人の口琴奏者のトリオから始まります。金属製のテミル・コムズと木製のオーズ・コムズの音色の違いがよく分かります。冒頭の音は木製のオーズ・コムズだと思います。演奏者の一人のNurlanbek Nyshanovの作曲です。

<1 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Jangylyk (Novelty) 3分14秒>

2曲目のErke kyz (The Spoiled Girl 甘やかされて育った少女?)という曲は、本来コムズだけで演奏される器楽曲キュを、2弦の擦弦楽器クル・クヤク、縦笛のチョール、オカリナに似た土笛のチョポチョールを加えた合奏で、きれいにユニゾン(同音)で合奏していて、その点では解説にあるようにアイリッシュのダンス音楽を連想させるものがあります。

<2 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Erke kyz (The Spoiled Girl) 2分7秒>

3曲目のKuidum chok (I Burn, I Smoulder like Charcoal)は、キルギスの有名な吟遊詩人のアタイ・オゴンバエフ(1900-49)作の自伝的な曲で、オーソドックスなコムズ弾き語りです。Zainidin Imanalievが詩人の若き日の叶わぬ恋話を切々と聞かせます。このCDのジャケットで、上下逆さに構えてコムズを弾き語っているのは、彼です。英訳を訳すなら「私は燃える、私は木炭のようにくすぶる」となるでしょうか。

<3 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Kuidum chok (I Burn, I Smoulder like Charcoal) 3分26秒>
Küidüm chok (I Burn, I Smoulder like Charcoal)


続く4曲目のEpisode from the Manas: Kokotoidun Ashy (Kokotoi’s Memorial Feast) は、Tengir-Tooのメンバーの荘厳な合奏で始まりますが、その後で語り出されるのは、前に出てきました英雄叙事詩マナスの一節です。語り手のRysbek Jumabaevは写真では若そうに見えますが、堂々たる語りを聞かせています。「草原のウル」のマナスは無伴奏でしたが、このテンギル=トーの演奏は、とても語りに合った伴奏を付けていると思います。

<4 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Episode from the Manas 6分26秒>

少し飛びまして8曲目のアッティラ・ハーンという曲は、曲名でびびっと来まして、是非ともフェイドアウト無しでかけておきたいと思いました。5世紀にヨーロッパ東部にまで及ぶ大帝国を打ち立てたテュルク(あるいはモンゴル)系民族の大王、フン族のアッティラの偉業を讃えた曲です。キング盤でお馴染み、ベテランのヌラック・アブドゥラフマノフの自作コムズ独奏曲です。

<8 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Attila Khan 3分27秒>

この盤にはヌラック・アブドゥラフマノフのコムズ独奏がもう一曲入っておりまして、それは17曲目のカンバルカンという曲です。キング盤や英ARC盤のカンバルカン・アンサンブルをすぐに思い出しますが、コムズを作ったのが、この「キルギス音楽の父」カンバルカンとされています。このKaramoldo Orozov(1883-1960)の曲は、カンバルカンを讃えたコムズ独奏のキュです。
この曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<17 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Kambarkan 4分52秒>

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2018年9月21日 (金)

Чопо-чоор チョポ・チョール

口琴は来週もやりますので、他のキルギスの楽器ですが、他には笛なら尺八に似た音色の縦笛チョールと、オカリナに似た土笛のチョポ・チョールがあります。動画は偶然この一本目を見かけましたので、チョポ・チョール(Чопо-чоор)で調べたら、かなりありました。2本目のように、ルーマニアのパンパイプ(あるいはパンフルートまたはナイ)のような表現力もある笛で、びっくりです。

Бекташ элдик куусу

Mariya Naumova. Kyrgyz melody- Esimde; Мария Наумова\ Девушка Оркестр.Произведение "Эсимде"

Чопо чоор кантип жасалат?

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2018年9月20日 (木)

キルギスの口琴 ヰの音

19日の収録では、何故かiPhoneがトラブルを起こして再起動してしまい、充電が一気に減って10%を切りまして、いつもの番組テーマ曲のペルシア音楽をかけられませんでした。代わりにフォークウェイズのキルギスの一曲目の口琴演奏をオープニングにしました。知らずに聞くとびっくりされるかと思いますが、ある意味レアな録音になったようにも思います(笑)
キルギスの口琴は、世界中の口琴の中でも、とりわけメロディアスで美しいように思います。キルギス語が属するトルコ系の言葉のヰ(トルコ語なら上に点の無いi=ウー、ロシア文字ならы)の音のような、柔らかい響きを感じるのは私だけでしょうか? 倍音唱法のホーミーでも、ヰ(ウィ)の音から類推しやすい(あるいは、発生しやすい)ようにも思います。牽強付会でしょうか。

キルギス伝統楽器 口琴

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2018年9月17日 (月)

草原のキュ~ヌラック・アブドゥラフマノフ

ゼアミdeワールド126回目の放送、日曜夕方に終りました。19日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。Нурак Абдырахманов(ヌラック・アブドゥラフマノフ)の3曲はすぐに見つかりました。他は多分無さそうですが、また後日探してみます。

キルギスタンの音楽の3回目です。キングの「草原のウル」の姉妹編の「草原のキュ」からご紹介したいと思います。前々回に解説しましたように、キルギスの伝統音楽は、歌謡のウルと器楽のキュに大別されます。
まずは国民的弦楽器のコムズの独奏ですが、この楽器はオールのような形をした木製でフレットレスの撥弦楽器で、3度や6度の和音がとても美しく響いています。抒情的なウルでもその柔らかい響きが最大限に生かされていたと思います。興味深いのは、3本の弦の内、真ん中の弦が一番高い音に調律されることで、イランのセタールの3番弦のように、一番下の弦のオクターブ上に合わせることもあるようです。調弦例で言えば、レ、レ、ソか、ソ、レ、ラがCDの解説に上がっていました。
奏法には指先で弦をはじく奏法(テリプ・チェルテット)と、手首を使って弦を打ち付ける打楽器的な技法(ウルプ・チェルテット)があって、それらが次々交替する名人芸(コル・オイノトット)では、コムズを頭上や背中の後ろで演奏したり、上下、左右を逆にして演奏したりして、耳だけでなく目も楽しませます。
「キルギス人はコムズと共に生まれ、コムズと共に死ぬ」という諺があるほどに、彼らにとって重要な楽器です。

1曲目はウルの方でも出てきた男性歌手ヌラック・アブドゥラフマノフがコムズの独奏を聞かせています。この人はコムズの名人でもあります。Ak Tamak, Kok Tamakという曲は、お互いに自分の故郷を自慢することに夢中になってピーチクパーチク騒いでいる2羽の鳥をユーモラスに表現しています。

<1 草原のキュ キルギスの器楽 ~Ak Tamak, Kok Tamak 3分15秒>
Нурак Абдырахманов комуз куулору | KG MEDIA Красивая игра на комузе

7曲目がAk Tamak, Kok Tamakです。

3曲目までヌラック・アブドゥラフマノフのコムズの独奏ですが、どれも素晴らしいので続けます。2曲目はUluu Toolorという曲は「偉大な山々」と邦題が付いています。キルギスに高く聳え立つ山々への崇拝、何物にも代えられない山々の美しさやそこに住んでいる動物の生き生きとした世界を描写した曲です。

<2 草原のキュ キルギスの器楽 ~Uluu Toolor 3分41秒>
Улуу тоолор (машыгуу)


3曲目のO Mur Kochuという曲は、「キャラバンの人生」と言う邦題になっています。キルギス民族の過去を振り返り、希望に満ちた将来を表現したペレストロイカ時代の大作とのことです。抒情的なウルのような曲調です。

<3 草原のキュ キルギスの器楽 ~O Mur Kochu 6分16秒>
Өмүр көчү (машыгуу)


7曲目に飛んで、4人のコムズ奏者によるParavozと言う曲の邦題は「蒸気機関車」になっております。これは先ほど出てきました名人芸(コル・オイノトット)の演奏例と言うことになります。蒸気機関車が動き出し、速度を上げて走り抜け、停車するまでをコムズで描写した曲です。名人芸では、隣の演奏者のコムズを弾いたり、楽器を回したり等のパフォーマンスも披露されます。

<7 草原のキュ キルギスの器楽 ~Paravoz 2分57秒>

8曲目から18曲目までは、コムズ以外の楽器の独奏が入っておりますが、まず8曲目の2弦の擦弦楽器クル・クヤクの独奏です。この楽器はカザフやウズベク西部カラカルパクのクル・コブズと同種の弓奏楽器です。この曲の内容は、敵方の娘に恋をしたベク・アルスタンという兵士が、愛を貫こうとするが娘の兄弟から猛反対を受け、最後は不幸な結末に終わるという話を題材にした民謡、とのことです。

<8 草原のキュ キルギスの器楽 ~Bek Arstan 3分27秒>

では最後に、キルギスの口琴、オーズ・コムズの演奏を聞きながら今回はお別れです。口琴の演奏技術が高度に発達したキルギスでは、基本となる低音と倍音の旋律の高音が出せるので、「二つの旋律」とも呼ばれるそうです。演奏しているのは、歌とコムズでも出てきたヌラック・アブドゥラフマノフで、彼の自作自演によるシルクロードという曲です。原題はZhibek Zholuで、これはシルクロードという意味になるのでしょうか? 遠い昔のシルクロードの情緒を髣髴とさせる曲で、果てしなく辛い苦しい道を、希望を持って進んで行くキャラバンの様子を模写した演奏です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<14 草原のキュ キルギスの器楽 ~Zhibek Zholu 2分7秒>

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2018年9月14日 (金)

アフター・ディナーの80年代映像

アフター・ディナーと言っても、どんなグループなのか、ご存知ない方がほとんどではと思いますので、例のキルギス民謡は見当たりませんが、ヴォーカルのハコさんが映っている映像を2本上げておきます。私が京大西部講堂で彼らのライブを見たのは1987年ですから、もう31年も前になりました。確かこの時もそのウルが聞けました。80年代のインディーズ~ニューウェーブの中では、Phewを筆頭にアフター・ディナー、ボガンボスのどんとのいたローザ・ルクセンブルク、須山公美子、原ますみなどのライブに、80年代の東京にいた頃に足しげく通いました。大学のオーケストラではヴァイオリンを弾きながら、あのインディーズの世界にどっぷりだった頃です(笑)。
この頃の音源ですが、youtubeの多さに驚きました。最近の若いリスナーも付いているのでしょうか? アフターディナーの音楽は、感性の鋭さと先鋭的な実験性に富んでいましたが、その中でのしっとりとしたキルギス民謡は意外性もあり、民族風ということでは、須山さんがアコーディオンを弾き語った東欧のトラッドっぽい歌と共に忘れられない歌唱です。ハコさんの歌っていたキルギス民謡は、当時ですから、露MelodiyaのLP位しか参考にした音源はなかったのではと思います。25年余り前にキルギスのLPも一枚は聞きましたが、その中には見つからずでした。

AFTER DINNER 1 .wmv

AFTER DINNER 2 夜明けのシンバルCymbals at Dawn .wmv

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2018年9月13日 (木)

女性の抒情的なコムズ弾き語り

なかなか見つからないキルギスの動画がありまして、その捜索に少々手間取りました。(探しながら昨日は寝落ちしてしまいまして(*_*;) そのキルギスの高山と湖Сары челек(サルィ・チェレク)をバックにした女性のコムズ弾き語りは、一本目です。曲は違っていても、例のアフター・ディナーのハコさんが歌っていた曲に似ています。他にも似た雰囲気の女性のウルを何本か上げておきます。いずれも何年か前にも上げた動画です。こういう短音階のしっとり抒情的なウルが、キルギスの音楽では個人的に一番惹かれますが、皆さんはいかがでしょうか? 放送でも集中的にかけたタイプです。かなりの動画に同じТангулу Тууганбай кызыというタイトルが付いています。カタカナ表記するとタングル・トゥガンバイ・クィズィとなりますでしょうか。「タングルの弟の娘」と翻訳では出ますが、本当にそういう意味でしょうか?

Тангулу Тууганбай кызы

Singing Kyrgyz Woman Entertains with National Instrument the Komuz

Тангүлү - Сезген жоксун | керемет ыр!

Тангулу Тууганбай кызы

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2018年9月10日 (月)

「草原のウル」の2回目

ゼアミdeワールド125回目の放送、日曜夕方に終りました。(最初5分は大雨関連の防災情報になりました) 12日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。youtubeは日本語タイトルで検索しても出てこないので、CDにある原語のローマ字表記で検索しましたが、1本だけでした。キリル文字で検索すればあるかも知れませんが。

キルギスタンの音楽の2回目です。先週に続きまして、キングの「草原のウル」から続けたいと思います。
前回15曲目のサラマト・サディコヴァのコムズ弾き語り「花咲く青春」という曲をかけられずに終わりましたので、この曲から行きます。「娘に恋をした若者が恋人を夜空に輝く星と芳しい花にたとえ、幸せを運んでくる人と讃えている。更に娘の知恵を清い泉に、美しい目を灯の点る灯籠に、その姿を山に広がる花にたとえ、彼女と共に歩み、船に乗り、青春の金の湖から、幸福という金の魚を釣り上げたいと熱く願う歌」という内容で、前回かけたような哀愁味を帯びた曲とは対照的な一曲です。

<15 草原のウル キルギスの歌 ~花咲く青春 3分43秒>

17曲目には、カンバルカン・アンサンブルのもう一人の女性歌手ディルシャト・カンゲルディエヴァのコムズ弾き語りが出て来ますが、再び哀調を帯びたウルになります。「あなたを思ったら」という曲で、キング盤「草原のウル」の伊藤広宣氏の解説には以下のようにあります。「愛する男から遠く離れて一目でも会いたいと願う娘の恋愛歌。もしも男が自分のことを忘れても、自分は彼のことを忘れない。一生自分の心の中に彼は生きて行くという内容。」

<17 草原のウル キルギスの歌 ~あなたを思ったら 3分38秒>
The Kambarkan Folk Ensemble - Seni Oylosom


次の18曲目ではサラマト・サディコヴァを中心に、3人の女性歌手が見事な重唱を聞かせます。こういうコムズ弾き語りのソロではないスタイルは元々は無くて、ソ連時代に始まったようです。「愛と言うためらいがある」という曲で「ある青年に愛を打ち明けた娘が、彼が自分の愛を恥ずかしいから他人に言わないように、また自分の愛に答えて欲しい、と願った歌」と解説にありました。

<18 草原のウル キルギスの歌 ~愛と言うためらいがある 3分5秒>

続く19曲目は、コムズだけでなく、口琴のオーズ・コムズと、オカリナに似たチョポチョールも加わった賑やかな演奏で、「心より」という曲です。「愛するあなたに手紙を書きます。私の話を聞いて下さい。私の心を手紙に込めてあなたに送ります。私の暗い心は、あなたを思って明るくなりました。これからの人生を花咲かせましょう。あなたへ綴る熱い愛の言葉。あなたが遠くに行ってしまって、私の悲しみは募るばかりです、と歌った歌。」と解説にありました。

<19 草原のウル キルギスの歌 ~心より 1分31秒>

前回は8曲目から始めて14曲目までのサラマト・サディコヴァの歌唱でした。ここで1曲目に戻りますが、前半は男性歌手のコムズ弾き語りが中心に入っておりまして、特に1曲目のマナスという無伴奏の独唱は、これまで多かった短調の叙情歌とは対照的に、雄々しく明るい歌です。英雄叙事詩「マナス」は、キルギス人の始祖とされるマナスとその子孫の生涯を、何十万行にも亘って、即興で韻を踏まえて語りあげる叙事詩ということですから、キルギス人のアイデンティティに関わる重要なレパートリーと思われます。歌っているヌラック・アブドゥラマノフはキルギスを代表する最も有名な男性歌手です。キルギス民族の統一と侵略者から祖国を守る英雄マナスの勇猛さを伝える語りが聞けます。

<1 草原のウル キルギスの歌 ~マナス 2分20秒>

英雄叙事詩の豪快な語りでしたが、やはり男性の歌にもやるせない短調の曲がありまして、どちらかと言えば、そういうタイプが目立っているようです。しかし、2曲目に入っているヌラック・アブドゥラマノフのケルベスというコムズ弾き語りの曲は、偉大なアクン(キルギスの即興詩人)トクトグルの、歌の内容とは対照的とも思える明るい歌になっています。人生はとても短く、一瞬にして過ぎて行くという愛惜を歌っていて、なぜ人は永遠に青春の25歳の年齢で止まっていないのか、という内容です。

<2 草原のウル キルギスの歌 ~ケルベス 2分15秒>

3曲目も同じくヌラック・アブドゥラマノフのコムズ弾き語りですが、やるせない短調のタイプの歌に変わります。内容は以下の通りです。「恋人の顔、姿の美しさ、また彼女の優しさをよく夢で見、自分の愛が成就することを望んでいる詩人の切ない恋心を表現した内容。」

<3 草原のウル キルギスの歌 ~思索 2分44秒>

4曲目から4曲はバクトゥベク・シャテノフのコムズ弾き語りが続きますが、4曲目のアイナグルという曲は、これまたやるせなく切ない歌です。「アイナグルという女性に恋した青年の歌。彼は彼女を辺り一面を照らすような宵の明星にたとえ、一目彼女を見た瞬間、彼女に恋し切なくなった。彼女以外何も目に入らない、何も考えられない」という内容の歌です。

この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4 草原のウル キルギスの歌 ~アイナグル 4分44秒>

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2018年9月 5日 (水)

サラマト・サディコヴァのコムズ弾き語り

キルギスのディーヴァ(歌姫)、サラマト・サディコヴァのコムズ弾き語りの生映像を見たいと思っているのですが、意外にもかなり少ないようです。(キリル文字で検索すると2本目が出てきました) しかし、今日の一本目だけでも、歌声の凄さがしっかりと伝わって来ます。コムズの音も歌声も、こんなによく通るものだろうかと驚きました。アリムカンという曲は、キング盤には入ってなかった曲です。英ARCのカンバルカン・アンサンブルの盤には入っていたかも知れませんが、現物が現在ないため未確認です。後半では、コムズの超絶技巧も出てきます。彼女のyoutubeは、アレンジの入った少々演歌っぽいような歌唱の方が目立ちます。
6日木曜は、20時からラヂバリの「ぽれぽれちろりんごーるど」に久々にゲストで出るため、ブログはアップ出来ないと思います。宜しければ是非お聞き下さい。8月2日の加藤さんのウードのライブについて色々聞かれそうです。

Salamat Sadikova - Alymkan - Kyrgyz vocal music

Кыргызская песня "Гүлгүн Жаш" (Саламат Садыкова)

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2018年9月 3日 (月)

キルギスのディーヴァ Salamat Sadikovaの歌声

ゼアミdeワールド124回目の放送、日曜夕方に終りました。5日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。サラマト・サディコヴァの該当曲のYouTube、2本ありました。

今回からキルギスタンの音楽を聞いて行きたいと思います。カザフスタンの南東、新疆ウイグルの北西に隣接している中央アジアの山岳国です。旧ソ連の中央アジアには、カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタンとキルギスタンがありますが、カザフとキルギス、トルクメンは、他の2国と異なり遊牧民の要素を色濃く残しており、カザフやキルギスで聞かれる7音の短音階の旋律は、長く続いた遊牧の生活と無関係ではないように思いますが、どうでしょうか? ウズベクやタジクの音楽のようなシルクロードのエキゾチックさよりも、ロシア民謡に近いような懐かしさを覚える曲が多く聞けます。中央アジアでは異色な、7音の短音階の秘密は、解明はされてないようです。
カザフの時に少しお話しましたが、80年代ニューウェーブのグループ、アフターディナーのハコさんが歌っていたキルギス民謡も、正にそういうタイプでした。国民的弦楽器は、カザフではドンブラでしたが、キルギスではコムズという3弦でフレットレスの弦楽器になります。カザフと同様に曲芸のような超絶技巧も盛んなようですが、7音短音階の歌では、しっとりと叙情的に演奏されます。
キルギスの伝統音楽は、歌謡のウルと器楽のキュに大別されますが、その懐かしいイメージの叙情歌はウルということになります。アフターディナーの歌っていた曲は30年程経っても見つからずですが、似た感じの心に沁み入る曲を何曲か続けておかけしたいと思います。音源はキングの90年代のワールドミュージックライブラリーの「草原のウル」です。2008年に再編された現在のWRMLシリーズの「キルギスの音楽」では、旧シリーズのもう一枚の「草原のキュ」と合わせた2枚組になっておりましたが、新盤の方も現在では残念ながらメーカー切れで、ほぼ廃盤状態になってしまっているようです。

まずは、アフターディナーの曲を思い出させる女性歌手によるコムズ弾き語りです。グループはカンバルカン民族アンサンブルで、女性歌手は「キルギスのディーヴァ」とも讃えられるサラマト・サディコヴァです。曲名は「愛の詩(うた)」で、キング盤の伊藤広宣氏の解説を読み上げます。
「サラマトカン・サドゥコヴァはキルギスで最も人気のある女性歌手の一人。人生には色々困難なことがあるが、愛は永遠のものであってほしいと願う娘の恋心を歌った歌。」

<8 草原のウル キルギスの歌 ~愛の詩 2分46秒>
Salamat Sadïkova: Makhabat ïrï


同じくサラマト・サディコヴァのコムズ弾き語りで、コーカサス辺りで多く見られた鶴をテーマにした「私の鶴よ、帰って来て」です。解説には以下のようにあります。
「今は喧嘩して離れてしまったが、春暖かい所に鶴が舞い戻って来るように、もう一度初恋の相手が自分の許に帰って来て欲しいと願う乙女の恋歌。」

<9 草原のウル キルギスの歌 ~私の鶴よ、帰って来て 3分12秒>

10曲目は対照的に明るい曲調の「赤い花」という曲です。「娘が自分を赤い花にたとえ、好きな青年を夜鶯にたとえて、密やかな愛を育みたいと思い焦がれている。」という内容です。

<10 草原のウル キルギスの歌 ~赤い花 2分58秒>
Salamat Sadikova ‎– Qïzïl Gül (Red Flower) [ Kyrgyz Traditional Music ]


サラマト・サディコヴァの歌唱は素晴らしいので、続けます。11曲目は「乙女の歌」で、「娘が思いを寄せる若者が蝶のようにあっちの花、こっちの花と移るように、女性の所に行かずに自分だけを愛してほしい。」という内容です。

<11 草原のウル キルギスの歌 ~乙女の歌 2分42秒>

12曲目の「思い出してよ、あなた」も似たような内容で、「愛を誓った恋人と別れた娘の思いを歌った歌。別れてしまっても、いつも彼のことを思い出しては寂しがり、夢にまでも彼が現われてくる。」という歌です。

<12 草原のウル キルギスの歌 ~思い出してよ、あなた 3分1秒>

13曲目は極めつけのような「別れ」というタイトルで、「どうしたらよいのか分からない悲しい恋をした娘の歌。彼女は彼のことを思って、自分より美しく聡明な女性と結ばれるようにと願っている。」という内容です。

<13 草原のウル キルギスの歌 ~別れ 3分18秒>

この盤にサラマト・サディコヴァの歌唱は11曲入っておりまして、14曲目の「幸せの賛歌」もキルギスの美しい旋律の恋歌です。「手を取り合って花園へ行こうよ。月明かりの下で語り合おうよ。運命の贈り物でこうして一緒にいられるのだから、と恋人に夢中で話しかける乙女の歌。」こういう内容です。
この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<14 草原のウル キルギスの歌 ~幸せの賛歌 3分37秒>

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