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2018年10月

2018年10月29日 (月)

遊牧の詩~中央アジア、ウズベクの音楽

ゼアミdeワールド132回目の放送、日曜夕方に終りました。31日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。動画はキング盤と同じものはないと思いますので、舞踊中心にはなりますが、一本上げておきます。往年の貴重映像だと思います。

Uzbek traditional dances, Khwarazmi & Bokharai


今回からウズベキスタンの音楽を聞いて行きたいと思います。青空とモスクの色から「青の都」と呼ばれる古都サマルカンドを有するシルクロードの中心的な国で、手持ちの音源も10枚ほどはありますので、カザフ8回、キルギス8回でしたから、ウズベクは最低10回にはなるかなと思います。
地理的な話をしますと、この国の面積は447,400 km2で、日本が377,973 km2ですから、日本より少し大きい位ですが、その中にサマルカンドやブハラなど、ユネスコの世界遺産にも登録されるような中央アジアの名所旧跡がひしめいている国です。因みにキルギスは198,500 km2で、「天山の小国」とは言っても227,976 km2の日本の本州より少し小さい位はあります。「中央アジアのスイス」と呼ばれたりもするキルギスですが、41,290km2のスイスの5倍近い大きな国です。ウズベクの北西部には、カラカルパクという言語ではカザフに近いとされる民族が多く住むウズベキスタン内の自治共和国がありまして、カラカルパクを除くとウズベクの国土は3分の2ほどになるでしょうか。カラカルパクはウズベクとはまた別な音源が一枚ありますが、現在切れておりますので、もし再入荷が間に合えばウズベクの後でご紹介します。
今回はキングのワールドルーツミュージックライブラリーにも組み込まれている「ウズベクの音楽」からご紹介します。録音は1985年のウズベクの楽士達の来日時のもので、世界的な民族音楽学者・小泉文夫さん死去の後、その教え子の一人だった小柴はるみさんの監修でした。旧タイトルは「遊牧の詩~中央アジア、ウズベクの音楽」です。ソ連崩壊後、イランなどからも貴重な音源が続々と登場していますが、これはまだソ連時代の録音ということで、古色を保っている部分もあるかと思います。
ウズベクの音楽は、サマルカンドの栄光の時代の記録の中で、「金の舌の歌手、甘い響きの音楽家達は、ペルシア様式でアラブの旋律をトルコの奏法で、中国の方法に従い、モンゴルの声で、アルタイの拍子を持って演奏した」と形容された程、シルクロード上の東西南北の色々な音楽文化が混合していますが、中でも唐の玄宋皇帝を魅了したといわれる胡旋舞を髣髴とさせる雅な音楽が残っています。楽器は撥弦楽器のタールやルバーブ、擦弦のギジャーク、枠太鼓のドイラがメインで、屋外では音の大きなスルナイや長いラッパのカルナイが登場します。タールと歌のラヒモフ・カマルは人民芸術家の称号を持つ名人です。

1曲目は合奏「シグナル」という曲で、人々を呼び集めるためにコンサートの最初に演奏される曲で、ウズベクの民族楽器が次々とソロで出てきます。

<1 遊牧の詩~中央アジア、ウズベクの音楽 合奏「シグナル」 2分19秒>

2曲目は合奏「バイヨット(娘達の踊り)」という曲で、このメロディは広くウズベクで愛され、恋人を思い恋人のために演奏する旋律で、トゥルグンバイワ女史が「タシケント娘の踊り」として振付けたそうです。1,2曲目辺りは胡旋舞、すなわち舞姫たちの目まぐるしい旋回舞踏を彷彿とさせるように思います。

<2 遊牧の詩~中央アジア、ウズベクの音楽 合奏「バイヨット(娘達の踊り)」 2分32秒>

4曲目の民謡「ナマンガン・タノワレ」は、ナマンガン地方の恋歌で、若者が聡明で美しい恋人への思いを歌うが、二人の仲を世間は許さず、その別離の悲しみや悩みを歌う、という民謡です。

<4 遊牧の詩~中央アジア、ウズベクの音楽 民謡「ナマンガン・タノワレ」 5分30秒 抜粋>

5曲目の合奏「ウズベクの三つの星(三地方の踊り)」は、シルクロード要衝の地、東部のフェルガナ地方、北部の古都ホラサン、西部のブハラの各地方の特徴を踊りや音楽で表現した曲で、フェルガナはエレガントな動きの2拍子、ホラサンでは活発な3拍子に変わり、ブハラは2拍子と3拍子が混ざり、最後にドイラの演奏で三地方のスターが一緒に踊ります。

<5 遊牧の詩~中央アジア、ウズベクの音楽 合奏「ウズベクの三つの星(三地方の踊り)」 4分37秒>

13曲目のカルナイ独奏は音色的に珍しく、同じく真鍮製の長いチベット・ホルン(ドゥンチェン)に似た音色です。祭の日や結婚式で、人々を呼び集めるために吹かれるそうです。

<13 遊牧の詩~中央アジア、ウズベクの音楽 カルナイ独奏 2分48秒>

では最後に8曲目のギジャク独奏「朝の風」を聞きながら今回はお別れです。擦弦のギジャクは、故郷の自然を賛美しています。音色的にパキスタンのサーリンダなどを想起させます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<8 遊牧の詩~中央アジア、ウズベクの音楽 ギジャク独奏「朝の風」 3分3秒>

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2018年10月25日 (木)

Тангулу Тууганбай кызыなど

収録では既にウズベクに入りましたので、いよいよキルギスの音楽を取り上げるのも今週一杯。少なくとも10年前後は次々他の国の音楽の探索が控えていますので、ブログで取り上げるのは最後になるかも知れません。一つの国の音楽を後にする時、毎度ですが、後ろ髪を引かれる思いです(笑) シャケン・ジョロベコヴァの口琴動画は見当たらなかったので、他を考えてみましたが、最後に聞きたいキルギス音楽は、個人的にはやはりしっとりとした女性のコムズ弾き語りのウルです。20代で聞いたアフターディナーの影響は、かくも大きいのかと驚くばかり。よく7音の短音階と言われますが、印象としてはナツメロのような風情があります。コムズの奏法についてですが、三味線でいえば高めの位置の9か10の勘所辺りに左手があることが多く、低いポジションに当っていることが少ないように見えます。これはとても不思議に思うポイントです。これまでに見た中で、Тангулу Тууганбай кызы(トゥガンバイの娘タングル?)の映像が最も好きで、何度も見返してしまいます。ちょっと裏返る声が堪りません。この人の演奏は沢山ありますが、一本だけ2本目に上げておきました。

Улуу-Тоо, туулган кун👍

Тангулу Тууганбай кызы

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2018年10月22日 (月)

踊る岩山羊 Tak-Teke

ゼアミdeワールド131回目の放送、日曜夕方に終りました。24日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。動画は文中に出てくるスヴェイン・ウェスタドがタク・テケを操っている映像です。シャケン・ジョロベコヴァの動画も後日探してみます。

Svein Westad "Tak teke". Свеин Вестад Варган и куклы


キルギスタンの音楽の8回目になります。ゼアミブログで予告しました通り、今回はキルギス・シリーズのラストに、日本口琴協会の「Tak-Teke 踊る岩山羊:中央アジア キルギスの口琴・コムズ・歌」からご紹介します。レーベル名通りで、口琴をクローズアップした盤ですが、口琴とコムズなど他の楽器の共通の曲を何曲か取り上げていました。前回Ker Ozon(「広大な谷」)を例として上げましたが、他にも色々あるそうです。
まずは「夜明けの涼しさ」という曲を口琴(テミル・コムズ)と弦楽器コムズの演奏で続けてお聞き下さい。

<4 Tak-Teke 踊る岩山羊 ~夜明けの涼しさ スュイドュム・トョロョコヴァ 2分>

<9 Tak-Teke 踊る岩山羊 ~夜明けの涼しさ カリマン・ウメトバエヴァ 3分19秒>

キルギスの口琴奏法の特徴は、倍音を強調して、よく知られたメロディを演奏することにあるそうです。音色や音響の変化で曲を構成したり、歌詞を声を出さずに歌いこんだりする東シベリア・サハの口琴音楽や、もっぱらリズム楽器として使用する南インドの口琴とも異なり、どちらかと言えばヨーロッパの口琴音楽に近いそうです。
この盤の白眉は、口琴の名演奏家にのみ知られている「口笛奏法」ともいうべきテクニックを聞かせるシャケン・ジョロベコヴァの演奏ですので、何曲か続けておかけしたいと思いますが、まずアルバムタイトルの「踊る岩山羊」からです。この曲はシャケン・ジョロベコヴァのジガチ・オーズ・コムズの演奏と、スュイドュム・トョロョコヴァのテミル・コムズとサバルベク・アマンクロフのコムズのデュオ演奏の2曲ありますので続けておかけします。因みに、ジガチ・オーズ・コムズの意味ですが、それぞれ木・口・楽器の意味ということですので、オーズ・コムズを「木の口琴」と勘違いしていた私の謎はようやく解けました。

<24 Tak-Teke 踊る岩山羊 ~踊る岩山羊 1分32秒>

<25 Tak-Teke 踊る岩山羊 ~踊る岩山羊 1分5秒>

岩山羊(タク・テケ)とは、コムズやテミル・コムズを演奏しながら、腕の動きを利用する操り人形のことで、キルギスに古くから伝わる伝統とのことです。実物は見たことはありませんが、上下に跳躍したり、時に回転もするタク・テケは、単純な仕掛けでありながら、予期できぬ複雑な動きをし、見ていて飽きないそうです。ジガチ・オーズ・コムズの演奏の方で、カタカタなっていた音が、タク・テケの音です。

シャケン・ジョロベコヴァの口琴演奏を続けます。この盤の13曲目で、彼女の演奏の1曲目になる「山の花」という鉄製口琴テミル・コムズの独奏曲から、そのかすかに高く鳴る口笛のような音が入っています。ノルウェーの口琴奏者スヴェイン・ウエスタドによると、この奏法は1991年のサハでの第2回国際口琴大会で聴衆に大きな驚きをもたらしたそうです。

<13 Tak-Teke 踊る岩山羊 ~山の花 3分24秒>

続く「ビシケクの朝」では、ヴィブラートのかかったそのウィシクィルトマという口笛奏法が冴え渡ります。

<14 Tak-Teke 踊る岩山羊 ~ビシケクの朝 3分3秒>

15曲目は木製口琴ジガチ・オーズ・コムズの演奏と彼女の歌でカッコウです。歌詞は、カッコウになぞらえた女性を待つ若い男の気持ちをシャケン・ジョロベコヴァが詞に作ったそうです。

<15 Tak-Teke 踊る岩山羊 ~カッコウ 1分24秒>

18曲目の「キルギスの星」というシャケン・ジョロベコヴァの自作曲は、キルギスを代表する世界的な文学者チンギス・アイトマートフを讃えた歌で、彼女自身の歌の後で、同じメロディをジガチ・オーズ・コムズで演奏しています。今回は時間の都合でかけられませんが、彼女の歌ったキルギスの叙事詩マナスも収録されています。

<18 Tak-Teke 踊る岩山羊 ~キルギスの星 1分19秒>

21曲目はエニセイ川というシャケン・ジョロベコヴァの自作曲で、シベリア中央部を流れる母なる大河エニセイの流れを表現したジガチ・オーズ・コムズの曲です。キルギス民族の発祥の地は、エニセイ川上流地域と考えられ、キルギスのように西に移動せずに残ったのが現在のハカス民族で、彼らはいわゆるエニセイ・キルギスです。

<21 Tak-Teke 踊る岩山羊 ~エニセイ川 2分56秒>

では最後に20曲目の「ナルィンからの手紙」を聞きながら今回はお別れです。シャケン・ジョロベコヴァのテミル・コムズと歌で、50年代のキルギスのヒット曲だそうです。後半の歌に出てくる通り、メロディは短調ですから、口琴の倍音による演奏は困難なはずですが、驚くべきことに短調に聞こえています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<20 Tak-Teke 踊る岩山羊 ~ナルィンからの手紙 3分42秒>

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2018年10月19日 (金)

「広大な谷」 ケル・オゾン

「広大な谷」を意味するキルギスのケル・オゾン(あるいはケル・エゼン)は、元は擦弦のクル・クヤクの曲らしいのですが、先日はその口琴での演奏例がありました。今日はこの曲のMurattaly Kürönkeev (1864-1949)によるクル・クヤクのヒストリカルな録音と、女性歌手の演奏を上げておきます。歌の方はポップアレンジされた伝統曲ということでしょうが、実に興味深い一例です。前者の解説に、ancient theme from Kyrgyzstan played by one of the great master of the Kyrgyz horse head fiddle, also called "Kül Küyak"とありました。クル・クヤクは馬頭琴の系統の楽器のようです。

17 ker özön - kyrgyz kyl kyyak music

AiSa - "Ker өzөn"

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2018年10月18日 (木)

サラマト・サディコヴァのParizat(Angel) 他

キルギスの歌姫サラマト・サディコヴァの歌唱は、古い時期のものがコムズ弾き語り、最近と思われるものは洋装で楽団などをバックに歌っている場合が多いように見受けられます。最近のステージを見ると、キルギスの演歌のような歌なのかと思いますが、拍子は3拍子が多く、大衆歌謡ではあっても、こういう所に中央アジアらしさが垣間見えるように思いました。当ブログでは、やはり伝統的なコムズ弾き語りに焦点を当てたいと思いますので、放送でかけた音源を探してみました。放送ではSagindim tuulgan jer seniとアフターディナーのハコさんが歌っていた曲に似たSuyuu jazi (Spring of Love)もかけましたが、YouTubeにはなさそうですので、放送ではかけられなかった2曲を入れておきます。どちらも哀愁味溢れる良い曲ですが、3本目は演歌風にも聞こえます。
「赤い花」  Qizil Gul(Red Flower) は、前にも取り上げたと思いますので、まずParizat(Angel)です。エキゾチックな旋律で耳に止まりましたが、こういうメロディはキルギスには珍しいように思いました。キルギス西部はウズベキスタンと入り組んだ土地ですから、音楽も入り組んでいるのかもと思ったりしますが、もしかしたら西の方から来た旋律でしょうか。

Salamat Sadikova - Parizat

Salamat Sadikova - Keremet Batkenim (My Magnificent Batken)

Salamat Sadikova - Jamgir (Rain)

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2018年10月15日 (月)

Salamat Sadikova / The Voice of Kyrgyzstan

ゼアミdeワールド130回目の放送、日曜夕方に終りました。17日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画は、番組のラストで15秒ほどしかかけられなかったKirgiz jeri (Kyrgyz Land)のみ上げておきます。他はまた後日探してみます。

キルギスタンの音楽も7回目になりました。キルギスの音源で、他にリリースを把握しているのは、仏Ineditの「キルギスタンの音楽」、英ARCの「キルギスの音楽 カンバルカン民族アンサンブル」、仏Budaの「キルギスタンの音楽」、仏Ocoraの「トルキスタン キルギスのコムズとカザフのドンブラ」、日本口琴協会の「Tak-Teke 踊る岩山羊:中央アジア キルギスの口琴・コムズ・歌」位ですが、在庫が残っているのは、日本口琴協会の盤のみです。今回はアップルミュージックからイネディの「キルギスタンの音楽」と、現物は手にしたことはありませんがキルギスのディーヴァのソロ・アルバム、Salamat Sadikova / The Voice of Kyrgyzstanからご紹介します。

まずは、前回キング盤の口琴独奏でかけましたKer Ozon(「広大な谷」)を、再度バクトゥベク・シャテノフのコムズ独奏をかけた後で、イネディ盤収録のBakit Chitirbaevによるクル・クヤクの独奏版を続けておかけします。ケル・オゾンとは「広大な谷」という意味で、「澄んだ新鮮な風が、広くて美しいキルギスの谷を吹き抜ける様子を表現している。」と解説がありました。元を辿るとダブルリード管楽器スルナイの曲に溯るようです。同じ曲を口琴と他の楽器でも聞ける例は初めてのように思いました。

<16 草原のキュ キルギスの器楽 ~Ker Ozon 2分12秒>

<1 Music of Kyrgyzstan Bakit Chitirbaev / Ker ozon 2分42秒>

イネディ盤からはまたご紹介するかも知れませんが、長くなりましたので今回でキルギスを終わりにするかも知れません。
どうしてもかけておきたいのは、キルギス・シリーズの最初にキングの「草原のウル」からご紹介しました女性歌手サラマト・サディコヴァの歌唱です。「キルギスのディーヴァ」とも讃えられる人で、優美で繊細な歌声とコムズの爪弾きには堪らない魅力があります。

まずは、キング盤にも入っていた明るい曲調の「赤い花」という曲です。「娘が自分を赤い花にたとえ、好きな青年を夜鶯にたとえて、密やかな愛を育みたいと思い焦がれている。」という内容した。

<3 Salamat Sadikova / The Voice of Kyrgyzstan Qizil Gul(Red Flower) 3:47>

次のParizat(Angel)はエキゾチックな旋律で耳に止まりましたが、こういうメロディはキルギスには珍しいように思いました。キルギス西部はウズベキスタンと入り組んだ土地ですから、音楽も入り組んでいるのかもと思ったりしますが、もしかしたら西の方から来た旋律でしょうか。

<4 Salamat Sadikova / The Voice of Kyrgyzstan Parizat(Angel)  5:31>

1曲飛んで6曲目のSagindim tuulgan jer seni(I miss you,My Birthplace 私は生まれ故郷が恋しい)は、タイトル通ひりひりするようなノスタルジーの感じられるこれもキルギスらしい美しい憂い節です。

<6 Salamat Sadikova / The Voice of Kyrgyzstan Sagindim tuulgan jer seni(I miss you,My Birthplace) 3:36>

12曲目のSuyuu jazi (Spring of Love)は、例のアフターディナーのハコさんが歌っていた曲にかなり似ていました。もしかしたらハコさんがアレンジして歌っていたのかもと思いましたが、どうでしょうか。

<12 Salamat Sadikova / The Voice of Kyrgyzstan Suyuu jazi (Spring of Love) 2:56>

では最後にKirgiz jeri (Kyrgyz Land)を聞きながら今回はお別れです。「キルギスの地」を意味するこの曲は、民族オーケストラをバックにしたノスタルジックな歌唱です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<19 Salamat Sadikova / The Voice of Kyrgyzstan Kirgiz jeri (Kyrgyz Land) 3:35>
Salamat Sadikova ‎– Kïrgïz Jeri (Kyrgyz Land) [ Kyrgyz Traditional Music ]

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2018年10月12日 (金)

中央アジアのテュルク音楽

そろそろキルギスのシリーズも終わりが近づきましたが、来週は日本口琴協会の盤で8回目をすることにしました。その後は、ウズベク、カラカルパク、タジク、カラコルム、ウイグルと回って、トルコ系繋がりでトルコに飛ぶ予定です。西アジア、インド、中央アジアの文化が交錯するアフガニスタンは、タジクとフンザの間とかに今回少し入れるか、考え中です。アフガン全て入れると、また長くなり過ぎる気がしますので。
今日の映像などは、中央アジアのテュルク系音楽の総括として聞ける映像です。シベリアのテュルク系を含む、いい演奏が色々聞こえます。(29分頃にはポーランド民謡「森へ行きましょう」も出てきますが(笑)) トルコ(テュルク)系と言えば、言語的にはシベリアのアルタイ、トゥヴァ、サハ(ヤクート)なども入りますが、シベリアは北アジアに回ってきた時にします。何年か先になると思いますが。
これから一ヶ月の間にチェロとヴァイオリンの催し本番が5回ありますので、ブログアップも飛ぶことがあると思います m(. .)m

Turkish Central Asian Music

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2018年10月 8日 (月)

最近のテンギル・トー

ゼアミdeワールド129回目の放送、日曜夕方に終りました。10日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今回の放送曲の動画は、まず見つからないと思いますので、最初から諦めていました。耳馴染みの曲もある今日の一本は、テンギル・トーの最近のステージのようです。2005年とはメンバーがかなり変わっているようです。11分過ぎからチョールと口琴に始まる合奏、20分頃には口琴アンサンブルが出てきますが、最初と23分辺りに出てくる女性の叙情的なウルがやっぱり最高で、耳が釘付けです(笑)

Çelpez.tv:Kırgız Müzik Grubu:Tengir Too(Tanrı Dağları)Doğanın Sesleri-2-Antalya


キルギスタンの音楽の6回目です。今回は先月16日の放送でかけてなかったキングの「草原のキュ キルギスの器楽」の、笛と口琴をご紹介します。この盤は8曲目から18曲目までは、コムズ以外の楽器の独奏が入っておりまして、10~13曲目は、尺八に似た音色のチョールと、オカリナに似たチョポ・チョールの演奏が入っております。
まずチョールの演奏ですが、ゼアミブログで先に書きましたが、管楽器の口の構え=アンブシュアを映像で確認すると、まずチョールは尺八のような歌口が付いてなくて、おそらくただの筒状のようでした。チョールの先を上の犬歯辺りに当てて、口を半開きにして舌で息をコントロールして吹くようですので、イランのネイやバシコルトスタンのクライと同じ発音原理のように見えました。キング盤の録音は割と音が大人しめですが、オムルベク・サケエフの詫び寂びの吹奏が入っておりますので、3曲続けておかけしたいと思います。

まず10曲目は「牧童のメロディ」と言う曲です。伊藤広宜氏の解説には以下のようにありました。「最初は長い縦笛チョゴイノ・チョールの独奏。雄大なキルギスの自然を描写した曲。小川、風の音、高山の花、雪で覆われた山頂、放牧地、谷などのキルギスの自然の素晴らしさを賛美した牧童のメロディ」

<10 草原のキュ キルギスの器楽 ~Koychulardin Kongur Kuusu 3分7秒>

12曲目に飛んで、「女の哀歌」という曲になります。「親しい人、偉大な人の死への哀歌。葬儀の際、故人の功績を讃える歌を故人の妻や娘と共に歌う哀歌専門の女性がやってくる。本来歌がついているが、ここではメロディの演奏だけで、チョールならではの哀感がよく出ている。」

<12 草原のキュ キルギスの器楽 ~Koshok 1分43秒>

13曲目もチョールの独奏で、曲名は「ムラタルのメロディ」です。「女性に本来備わっている優しさ、美しさ、繊細さ、強さを表現した若い女性賛美の叙情歌。作曲者の名前をそのまま曲名にしたもの。」とのことです。

<13 草原のキュ キルギスの器楽 ~Murataalinin Kayriktar 1分27秒>

飛ばした11曲目は、土笛のチョポ・チョールの独奏で「愉快なメロディ」です。「自然と人生を楽しんでいる若者の心地よい気分を表現した曲。鳥のさえずり、鶴の声、木の葉の音を模倣した愉快な曲。」とのことです。

<11 草原のキュ キルギスの器楽 ~Vyesyolyi Naigrysh 1分34秒>

この盤の口琴の演奏は、14曲目のシルクロードという曲だけ16日にかけておりました。他に4曲入っておりますので、順にご紹介します。
15曲目は「民族の旋律 1」とありまして、ヌラック・アブドゥラフマノフの木製口琴オーズ・コムズ独奏です。「キルギスの自然の美しさ、人々の生活、また祖国の大地への愛を表現したもの。」

<15 草原のキュ キルギスの器楽 ~Eldik Kairiktar 1分36秒>

16曲目は「広大な谷」というタイトルで、バクトゥベク・シャテノフのコムズ独奏です。「澄んだ新鮮な風が、広くて美しいキルギスの谷を吹き抜ける様子を表現している。」

<16 草原のキュ キルギスの器楽 ~Ker Ozon 2分12秒>

17曲目は「民族の旋律 2」というタイトルで、オムルベク・サケエフのオーズ・コムズ独奏です。「キルギスの熱烈で、明解な独創的メロディを表現」

<17 草原のキュ キルギスの器楽 ~Eldik Kairiktar 1分40秒>

ラストの18曲目は「二つの旋律」という曲で、こちらは3人の奏者による口琴トリオです。口琴の演奏技術が高度に発達したキルギスでは、基本となる低音と倍音の旋律の高音が出せるので、「二つの旋律」とも呼ばれるそうで、それがそのまま曲名になっています。
シャテノフ、カンゲルディエヴァ、オロズベコヴァの3人によるオーズ・コムズの演奏で、この曲は3部からなっていて、第1部は女性たちが山のふもとで純真に遊ぶ風景を、第2部は速いテンポで山々の美しさを、第3部は女性の美しさと不思議さを表現。」

<18 草原のキュ キルギスの器楽 ~Kosh Kairik 2分30秒>

では最後に2弦の擦弦楽器クル・クヤクの独奏曲「馬の群れ」を聞きながら今回はお別れです。クル・クヤクは、16日に8曲目のBek Arstanをかけましたが、この楽器はカザフやウズベク西部カラカルパクのクル・コブズと同種の弓奏楽器です。「夏山の遊牧地の馬の群れのゆったりと静かな様子を描いたもの。馬の群れが軽快に駆け、その音が山に響き渡る情景を模写している。」

もし時間が余りましたら、8曲目のBek Arstanをおかけします。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 草原のキュ キルギスの器楽 ~Top Zhilki 3分13秒>

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2018年10月 5日 (金)

コル・オイノトット

128回目の他の曲の動画は見当たらないので、今日はコムズの速弾きでも上げておきましょう。コル・オイノトット(名人芸)では、キング盤の解説にあったように、コムズを頭上や背中の後ろで演奏したり、上下、左右を逆にして演奏したりして、耳だけでなく目も楽しませます。ハーモニックス(フラジオレット)も多用されます。2本目は前半はほぼフラジオのみです。コムズで出来るということは、同じフレットレス3弦の三味線でも可能かもと常々思いますが、三味線の場合は弦が持たないでしょうか。

Traditional Kyrgyz Music

Komuz,Nasiba Kalmamatova "too bulbulu"

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2018年10月 4日 (木)

素顔のテンギル・トー

もう関連動画から見られている方もいらっしゃるかと思いますが、今日の一本にはテンギル・トーのメンバーが次々出てきます。チョポ・チョールの音から始まり、1分過ぎからリーダーで口琴奏者のヌルランベク・ニシャーノフ、3分過ぎからマナス朗誦者のリスベク・ジュマバエフ、5分過ぎからコムズ弾き語りのザイニディン・イマナリエフ、9分過ぎからコムズ奏者のヌラック・アブドゥラフマノフ、14分過ぎからはクル・クヤク奏者のバクト・チティルバエフが出てきます。名手達の普段の素顔や、音楽に対する考えも垣間見え、更にコムズの製作過程まで、見どころが多いです。
ジュマバエフが出てくるシーンで見える大きな湖は、キルギス最大の湖イシク・クルでしょうか? 湖と言うより海のように見えます。風になびいたような不思議な樹木も気になります。イマナリエフは、フォークウェイズ盤のジャケットの人ですが、あの帽子を被った一枚しか見たことがなかったので、彼の普段の表情と音楽に対する考えを見れたのは大きな収穫でした。キング盤だけでなく、オコラの「トルキスタン~キルギスのコムズとカザフのドンブラ」にも出ていた大御所のヌラック・アブドゥラフマノフは、順メンバーでしょうか? いつも放送ではアブドゥラフマニノフと言いそうになります(笑);

Music of Central Asia Vol. 1 - Tengir-Too Mountain Music Of Kyrgyzstan (Part I)

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2018年10月 1日 (月)

テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 後半

ゼアミdeワールド128回目の放送、日曜夕方に終りました。3日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。動画で見つかったのは、1本のみでした。また後日探してみます。

キルギスタンの音楽の5回目です。前回に続いてアメリカの民族音楽の名門レーベル、Smithsonian Folkways(スミソニアン・フォークウェイズ)から出ている「テンギル=トー/キルギスの山岳音楽」ですが、時間が余ったらということで予定していて、かけられなかった曲からおかけします。

女性歌手と笛中心の爽やかな合奏の7曲目Kyiylyp turam (I’m Sad to Say Goodbye)ですが、キルギス人にとっては、往年の高山での遊牧生活を連想させるノスタルジックなイメージがあるようです。山岳部では、婚礼などにおいてよく通る高い声で歌うことが多かったそうです。1978年に43歳の若さで世を去ったKanymgul Dosmanbetova作曲の曲です。

<7 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Kyiylyp turam (I’m Sad to Say Goodbye) 2分33秒>

管楽器の方では、オカリナに似た土笛のチョポ・チョールと、尺八に似た音色の縦笛チョールの目立つ曲もありまして、9曲目のAk Satkyn menen Kulmyrza(アク・サトキンとクルミルザ)ではチョールの渋いソロから始まります。9分を越える曲で、コムズが出てきてから後半は男女かけあいの叙事詩語りに変わります。この悲劇的なダスタン、あるいは短かい叙事詩は、アメリカの南部アパラチアの殺人者のバラードに比せられるのは妥当ではないとの興味深いコメントがありました。解説にはこの長い詩のキルギス語原文と英訳が全て載っています。

<9 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Ak Satkyn menen Kulmyrza 9分9秒>

10曲目はチョポ・チョールの独奏曲で、土笛の暖かい音ですが、オカリナでイメージするようなほのぼのとした印象よりは、ファンタジーという曲名通りの神秘的な音色を聞かせます。キルギスでは子供だけでなく大人もよく演奏し、特に南キルギスでは夜の森を馬に乗って行く際の信号音にもなるそうです。

<10 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Fantasy on the Chopo Choor 2分>

12曲目の「路上で(Jol Jurush)」という曲は、騎馬民族の躍動的なリズムがコムズで巧みに描写されている曲だと思います。コムズの音色と技巧の妙が聞ける器楽曲です。演奏者の一人、ヌルランベク・ニシャーノフが、2つの伝統的なモチーフから一曲に仕立て上げた曲です。

<12 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Jol Jurush 2分27秒>

14曲目の「私は覚えている (Esimde)」は、アタイ・オゴンバエフが1930年代に作曲した曲で、キルギスらしい憂い節になっていると思います。

<14 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Esimde 5分4秒>

16曲目には、女性の短音階のウルが入っていて、これがまた絶品ですので、最後にこのSagynam (I miss you)という曲を聞きながら今回はお別れです。「歌詞は特筆するほどではないが、旋律は美しく、そこには愛とメランコリー、ノスタルジーがある」というヌルランベク・ニシャーノフの解説のイメージ通りだと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<16 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Sagynam 3分31秒>
Sagynam (I Miss You)

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