テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 後半
ゼアミdeワールド128回目の放送、日曜夕方に終りました。3日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。動画で見つかったのは、1本のみでした。また後日探してみます。 キルギスタンの音楽の5回目です。前回に続いてアメリカの民族音楽の名門レーベル、Smithsonian Folkways(スミソニアン・フォークウェイズ)から出ている「テンギル=トー/キルギスの山岳音楽」ですが、時間が余ったらということで予定していて、かけられなかった曲からおかけします。 女性歌手と笛中心の爽やかな合奏の7曲目Kyiylyp turam (I’m Sad to Say Goodbye)ですが、キルギス人にとっては、往年の高山での遊牧生活を連想させるノスタルジックなイメージがあるようです。山岳部では、婚礼などにおいてよく通る高い声で歌うことが多かったそうです。1978年に43歳の若さで世を去ったKanymgul Dosmanbetova作曲の曲です。 <7 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Kyiylyp turam (I’m Sad to Say Goodbye) 2分33秒> 管楽器の方では、オカリナに似た土笛のチョポ・チョールと、尺八に似た音色の縦笛チョールの目立つ曲もありまして、9曲目のAk Satkyn menen Kulmyrza(アク・サトキンとクルミルザ)ではチョールの渋いソロから始まります。9分を越える曲で、コムズが出てきてから後半は男女かけあいの叙事詩語りに変わります。この悲劇的なダスタン、あるいは短かい叙事詩は、アメリカの南部アパラチアの殺人者のバラードに比せられるのは妥当ではないとの興味深いコメントがありました。解説にはこの長い詩のキルギス語原文と英訳が全て載っています。 <9 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Ak Satkyn menen Kulmyrza 9分9秒> 10曲目はチョポ・チョールの独奏曲で、土笛の暖かい音ですが、オカリナでイメージするようなほのぼのとした印象よりは、ファンタジーという曲名通りの神秘的な音色を聞かせます。キルギスでは子供だけでなく大人もよく演奏し、特に南キルギスでは夜の森を馬に乗って行く際の信号音にもなるそうです。 <10 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Fantasy on the Chopo Choor 2分> 12曲目の「路上で(Jol Jurush)」という曲は、騎馬民族の躍動的なリズムがコムズで巧みに描写されている曲だと思います。コムズの音色と技巧の妙が聞ける器楽曲です。演奏者の一人、ヌルランベク・ニシャーノフが、2つの伝統的なモチーフから一曲に仕立て上げた曲です。 <12 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Jol Jurush 2分27秒> 14曲目の「私は覚えている (Esimde)」は、アタイ・オゴンバエフが1930年代に作曲した曲で、キルギスらしい憂い節になっていると思います。 <14 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Esimde 5分4秒> 16曲目には、女性の短音階のウルが入っていて、これがまた絶品ですので、最後にこのSagynam (I miss you)という曲を聞きながら今回はお別れです。「歌詞は特筆するほどではないが、旋律は美しく、そこには愛とメランコリー、ノスタルジーがある」というヌルランベク・ニシャーノフの解説のイメージ通りだと思います。 ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週 <16 テンギル=トー/キルギスの山岳音楽 ~Sagynam 3分31秒> Sagynam (I Miss You)
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