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2018年11月

2018年11月30日 (金)

Tanavar、Saqiname-i-Bayat、Chargah

先日ないと思っていたユルチエヴァのオコラ盤の音源を見つけましたので、まとめて上げておきます。放送でかけてない曲も、おそらく全て上がっていると思います。youtubeに上がっているということは、この盤もそろそろ廃盤、あるいは既に廃盤ということでしょうか。

彼女の名前と同じモナージャトの次に入っているのは、Tanavarという曲です。いかにも西域的な快活なイメージで、また哀愁のある旋律で、これは日本人受けする曲調なのではと思います。

<2 Monajat Yultchieva / Ouzbekistan ~Tanavar 6分23秒>
Tanâvar


6曲目には同じTanavarという曲がありますが、器楽のみによる演奏で、ユルチエヴァの師匠のシャヴカット・ミルザエヴの父のモハンマド・ジャン・ミルザエヴによって1933年に書かれた舞踊曲だそうです。

<6 Monajat Yultchieva / Ouzbekistan ~Tanavar 4分16秒>
Tanâvar


リズミカルで親しみやすい9曲目のSaqiname-i-Bayatは、これも主要マカームのバヤートですが、ウズベクではブハラのナヴァーに基ずくようです。何よりペルシア語のサーキナーメの名に惹かれる曲です。サーキナーメとは、訳すと「酌人の書」となりますが、ここでの酒とは「イスラム神秘主義的な愛」のことを指します。

<9 Monajat Yultchieva / Ouzbekistan ~Saqiname-i-Bayat 3分41秒>
Saqinâme-î-Bayât


7曲目で演奏されているチャルガーは、フェルガナ・タシケント派のマカーム・チャルガーの第一部に当たり、詩は19世紀のコーカンドの王女ナディラが書いたそうです。

<7 Monajat Yultchieva / Ouzbekistan ~Chargah 9分27秒>
Chârgâh

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2018年11月29日 (木)

モナージャトの80年代録音

今日の映像は、ユルチエヴァの代名詞のような曲「モナージャト」の80年代前半の歌唱のようです。この映像の解説によると、まずソ連時代のウズベクで2つのレーベルから出て、その後で1982年にソ連のメロディアから出たので、都合3種類のモナージャトがあるのでは、とのことでした。メロディア盤のタイトルは、Эй Дилбари Жононим (Ey Dilbari Jononim)とのことです。録音が3つあるとして、近い日付のテイク違い程度なのか、伴奏も違うのかは不明です。何はともあれ、若い頃のユルチエヴァの貴重なモナージャト(あるいはムノージョト)で、その瑞々しい歌声と、生々しい伴奏(何故かギジャクがマイクに近いようです)など、90年代の録音とは一味違います。
昨日の長尺映像ですが、シャヴカット・ミルザエヴは楽団の右から4人目でルバーブを弾いていました。すっかり白髪になっていて、ナレーションが入るまで気が付きませんでした。

Муножот (Munojot) by Munadjat Yulchieva

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2018年11月28日 (水)

ユルチエヴァのライブ映像

シルクロードの音楽のど真ん中と言うことで、まだまだウズベク音楽は続きます。今日の収録では、オコラのウズベク~タジク古典音楽2枚組(廃盤)を取り上げます。ウズベクのsaqinameで検索しても、残念ながらそのものは見つかりませんが、2時間半を越えるライブ映像がありましたので、今日はこちらを上げておきます。オコラのソロ盤や上記2枚組に入っていた曲もあると思います。週末にでもゆっくりご覧下さい。2009年と言えば、オコラの録音などと比べると最近の演奏です。楽団に彼女の師匠のシャヴカット・ミルザエヴがいるかどうか、また確認してみます。(Xurshid Davronが楽団長でしょうか?)

Munojat Yo'lchiyeva konserti 2009 - Xurshid Davron kutubxonasi

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2018年11月27日 (火)

Monajat Yultchieva / Ouzbekistan

ゼアミdeワールド136回目の放送、日曜夕方に終りました。28日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。動画はなかなか見つからず、放送ではわずかしかかけられなかったウッシャークだけありました。

ウズベキスタンの音楽の4回目になります。今回は、現代ウズベクの歌姫モナージャト・ユルチエヴァの、95年に出て2008年に再発されたオコラ盤の続きを聞いていきたいと思います。
伴奏しているのは、長棹リュート系弦楽器のラバーブがユルチエヴァの師匠のシャヴカット・ミルザエヴ、擦弦楽器ギジャクがアフマド・ジャン・ダダーエフ、サントゥールに似た打弦楽器のチャングがティムール・マフムードフ、2弦のドタールがマリカ・ズィアーエヴァとソルターン・アリ・ホダーヴェルディエヴ、横笛ナイがアフマド・ジャン・ソビロフ、枠太鼓のダイェラがファルハド・ダダーエフとマムール・ジャン・ミルダダーエフです。
前々回におかけしました彼女の名前と同じモナージャトの次に入っているのは、Tanavarという曲です。いかにも西域的な快活なイメージで、また哀愁のある旋律で、これは日本人受けする曲調なのではと思います。

<2 Monajat Yultchieva / Ouzbekistan ~Tanavar 6分23秒>

6曲目には同じTanavarという曲がありますが、器楽のみによる演奏で、ユルチエヴァの師匠のシャヴカット・ミルザエヴの父のモハンマド・ジャン・ミルザエヴによって1933年に書かれた舞踊曲だそうです。

<6 Monajat Yultchieva / Ouzbekistan ~Tanavar 4分16秒>

7曲目と8曲目にはチャルガーとウッシャークというウズベクの主要マカーム名を冠するいずれも8分を越える歌唱が入っていますが、どちらかは途中までになると思いますので、リズミカルで親しみやすい9曲目のSaqiname-i-Bayatを先にノーカットでかけておきたいと思います。これも主要マカームのバヤートですが、ウズベクではブハラのナヴァーに基ずくようです。何よりペルシア語のサーキナーメの名に惹かれる曲です。サーキナーメとは、訳すと「酌人の書」となりますが、ここでの酒とは「イスラム神秘主義的な愛」のことを指します。

<9 Monajat Yultchieva / Ouzbekistan ~Saqiname-i-Bayat 3分41秒>

では、7曲目と8曲目のチャルガーとウッシャークを時間まで聞きながら今回はお別れです。ここで演奏されているチャルガーは、フェルガナ・タシケント派のマカーム・チャルガーの第一部に当たり、詩は19世紀のコーカンドの王女ナディラが書いたそうです。7曲目で終わるかも知れませんが、8曲目まで入るようでしたら、間で曲名だけ入れます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<7 Monajat Yultchieva / Ouzbekistan ~Chargah 9分27秒>
<8  Monajat Yultchieva / Ouzbekistan ~Ushshaq 8分18秒>
Муножот Йўлчиева / Munojot Yo'lchiyeva - Ushshoq / Ушшоқ

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2018年11月24日 (土)

アチャラの踊りとハサンベグラ

金曜はできなかったので、土曜ですがアップしておきます。ミニ・グルジア・シリーズのラストですので。1本目の「アチャラの踊り」は、ルスタビの公演のオープニング演目でした。アチャラ地方はグルジア南西部の黒海沿岸にある地方で、男女の華やかな踊りは、あのステージの開幕の興奮を思い出させてくれます。1分前後から出てくる旋律は、大人気のトリオ・マンディリも歌っていました。2本目で、やはり1分辺りからです。

Ensemble Rustavi - dance Acharuli (part two)

Trio Mandili - Ajaruli (CD-album ENGURO is available on http://triomandili.com/buy_disc2.php)

グルジア男声合唱で屈指の名曲として知られるハサンベグラもルスタビのステージで聞けましたが、プログラムで初めて詩の内容を知りました。
「ロシア帝国とオスマン帝国との間に起きたクリミア戦争において、1854年にグリア地方で起きた、とある戦いを題材としている。グリア人はロシア側として戦ったが、敵の中にイスラームに改宗した兄弟分の男ハサンベグがおり、戦いの結果斬首されたハサンベグを「私」が埋めた」
という内容だそうです。その衝撃的な内容に驚きました。グルジア西部黒海沿岸のグリア地方に特徴的な、ヨーデルのような高音パート、クリマンチュリが暴れますが、これは詩の内容の何を意味しているのでしょうか。ロシアの大作曲家ストラヴィンスキーは、おそらくこのハサンベグラを聞いて、「人類の作った最高の音楽」と言ったそうですが、確かに彼の代表作「春の祭典」などを先取りしているようにも思います。

Ensemble Rustavi - KHASANBEGURA

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2018年11月22日 (木)

ディダヴォイ・ナナ

曲名がありませんが、ここでルスタビが歌っているのは、公演の曲目だったディダヴォイ・ナナです。チョングリ伴奏でしっとりと歌われる悲しみを湛えた歌です。グルジア男声合唱の、この弱音表現の美しさも特筆ものでしょう。この映像で、チョングリはフレットレスらしいことが分かりました。平均律から外れた音があるように思います。
「チョングリよ、私とおまえの苦しみを歌おう。お前は何が出来る? 死を前にした私を、お前は助けることはできない。事態は悪く運んだ。なんと不幸なんだ! あらゆる痛みが私を襲う。」

Ensemble Rustavi - Georgian Polyphony on Dozhd (3)

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2018年11月21日 (水)

チャクルロ

ルスタビの公演で、チャクルロは19番目に聞けましたが、この緻密で豪快な男声合唱のポリフォニーには聞き入りました。1977年にNASAのボイジャーによって宇宙に送られた内の一曲だそうです。確かベートーヴェンの第九なども入っていたと思います。歌詞の内容は、敵の襲撃を前にして、死をも恐れず勇敢に戦う、グルジア人の愛国精神が遺憾なく描かれた曲とのことでした。昨年末の放送でビクターJVCの「カヘチア奇蹟のポリフォニー」をかけましたが、その時はチャクルロはかけていませんでした。この盤のチャクルロの解説には以下のようにありました。日本で喩えるなら、謡曲の地謡が比較的近い存在でしょうか。(どちらもユネスコの無形文化遺産です)

この録音が行われたカヘチアのテラビを発祥の地とする歌です。この歌は父親が息子に、サカルトベロ(グルジア語での自称)の男として身につけなくてはならない様々なことがら、いわば「男の道」を教える歌です。サカルトベロには、かつては「やまとごころ」を誇りとした日本人が今や忘れかけている、すがすがしい男気の世界がありますが、歌でこういうことを伝えるというスタイルからも、伝統的文化を継承する上で、歌が重要な役割を果たしていることが分かります。

Ensemble Rustavi - Chakrulo

Ensemble Rustavi - Chakrulo

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2018年11月19日 (月)

ルスタビ・アンサンブル

ゼアミdeワールド135回目の放送、日曜夕方に終りました。21日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。ルスタビの松山公演の日付を、放送では間違えて11月11日と言ってしまっておりました。訂正いたします。正確な発音に近いのは「ルスタヴィ」だと思いますが、最近日本では「ルスタビ」で広まっているので、今回はこの表記にしておきます。今週一週間ブログはグルジアで行きますので、各曲はまた後日探すことにしまして、首都トビリシでの長い映像を一本上げておきます。ゼアミブログには、コーカサスのカテゴリーで、昨年末と何年か前にもたくさん上げておりますので、宜しければご覧下さい。

Ensemble Rustavi - Great performance at Tbilisi Concert Hall


ウズベキスタンの音楽巡りの途中ですが、11月12日にグルジア(ジョージア)のルスタビの松山公演を見に行って来まして非常に素晴らしかったので、去年の末頃の放送でグルジア音楽は一通り回り、ルスタビの音源もかけましたが、先日会場で手に入れた男声合唱中心のルスタビの音源をご紹介したいと思います。かつてアメリカのNonesuchなどから音源がありましたが、この盤はおそらく最近のメンバーによる新録音ではないかと思います。 ステージでは華やかで美しい女性の踊りや、男性の勇壮でアクロバティックな剣の舞に目が奪われましたが、何よりもストラヴィンスキーが「人類の作った最高の音楽」と絶賛した男声合唱は、やはり圧倒的な迫力がありました。生で聞くことが出来て、大変に感激した次第です。終演後に歌い手を目の前で見ると、ものすごく体格が大きくてびっくりしました。まるで栃ノ心が11人いるようで、この身体だから出せる声なのだろうと思いました。バックの伴奏陣の演奏も素晴らしく、アコーディオンとカフカス・ドラムを軸に、弦楽器パンドゥリとチョングリ、縦笛サラムリの演奏など、どれも非常に素晴らしかったです。

まずはいかにもグルジアの男声合唱らしい一曲目のMravalzhamieriからどうぞ。

<1 Mravalzhamieri (Grdzeli Kakhuri) 5分>

2曲目には公演の曲目であるディダヴォイ・ナナが入っております。チョングリ伴奏でしっとりと歌われる悲しみを湛えた歌です。「チョングリよ、私とおまえの苦しみを歌おう。お前は何が出来る? 死を前にした私を、お前は助けることはできない。事態は悪く運んだ。なんと不幸なんだ! あらゆる痛みが私を襲う。」

<2 Didavoi Nana (Ase Chonguri) 3分12秒>

7曲目のChonguroも公演の曲目で、「チョングリよ」と訳されています。4弦のチョングリは3弦のパンドゥリより低音が豊かなので、サラムリとのトリオの際などにはベースを担当しているようです。この歌ではチョングリに対し、「ゆっくり、ゆっくりと、お前の甘い響きが私の心を喜びで満たすように」と呼び掛けています。

<7 Chonguro 4分8秒>

ヨーデルのような裏声パートのクリマンチュリが活躍する西部グリア地方のハッサンベグラも公演で聞けました。ロシアの大作曲家ストラヴィンスキーが「人類の作った最高の音楽」と形容したのは、この曲だったようです。

<24 Khasanbegura 3分10秒>

チャクルロも19番目の演目でしたが、CDではラストに入っています。ジョージア・ポリフォニーの傑作で1977年にNASAのボイジャーによって宇宙に送られた内の一曲だそうです。歌詞の内容は、敵の襲撃を前にして、死をも恐れず勇敢に戦う、グルジア人の愛国精神が遺憾なく描かれた曲とのことです。

<25 Chakrulo 5分15秒>

この盤には、サラムリ、パンドゥリ、チョングリの器楽トリオ演奏も入っておりますが、今回は同種の音源として新世界レコードから出ていた「シルクロード音楽の旅」からムツェム・スリと、もし時間が余れば、公演でも聞けたダブルリードのドゥドゥキと太鼓ドールによるミトゥルリも時間までおかけしたいと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<20 ムツェム・スリ (グルジア) 1分31秒>
<21 ミトゥルリ (グルジア) 3分24秒>

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2018年11月17日 (土)

東西トルキスタンのドタール名人

ゴザル・ムミノヴァの師匠のアブドラヒム・ハミードフの動画、ありました! わずかの綴り違いで出てこなかったようです。これは何年か前にも上げたことがありました。ウイグル側の似た名前のドタール奏者、Abdurehim Heyitも一緒に2本上げておきます。ハミードフの鬼気迫るような超絶技巧、Heyitの歌心溢れる演奏、どちらも凄過ぎます。Heyitの動画は他にも沢山ありますが、ハミードフのものは一本だけのようです。Qoshtariというのは、ムミノヴァも弾いていた特別に技巧的なドタール曲。西(ウズベク)と東(ウイグル)、両トルキスタンのドタールの芸風の違いも、この数本から多少分かるようにも思います。
昨日は早々寝落ち。土曜ですが、アップしておきます。

Abdurahim Hamidov interprétant Qoshtari

Uyghur Dutar Song by Abdurehim Heyit

Uyghur Dutar Song "Kizlar" by Abdurehim Heyit

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2018年11月15日 (木)

Guzal Muminovaの至芸

ゴザル・ムミノヴァの師匠のアブドラヒム・ハミードフの動画を探していましたが、見つかるのは、ウイグル側の似た名前のドタール奏者ばかりでした。その人の演奏も凄いのですが。アブドラヒム・ハミードフもキリル文字で探せばあるかも知れませんが、正確な綴りが不明です。
ゴザル・ムミノヴァの映像は、他にも色々ありましたので、何本か上げておきます。2弦とは思えない複雑な音響は、この右手の複雑なストロークから生まれているようです。2本しかないので、左手の移動も相当に忙しそうです。ウイグル側の奏法とかなり似ているように思いますが、どうなのでしょうか。

Guzal Muminova,Dutor taronalari,part-9

Guzal Muminova,Dutor taronalari,part-11

Guzal Muminova,Dutor taronalari,part-10

Guzal Muminova,Dutor taronalari,part-12

Rokhat

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2018年11月13日 (火)

ユルチエヴァのモナージャト

ゼアミdeワールド134回目の放送、日曜夕方に終りました。14日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。月曜はグルジアのルスタヴィの松山公演を見に行っておりまして、ブログアップはお休みしました。今日の動画ですが、ユルチエヴァのムナージャトだけライブ版で見つかりました。ドタール独奏は、また後日探してみます。

ウズベキスタンの音楽の3回目になります。今回は前回かけられなかった音源からご紹介したいと思います。 まず曲名で気になっていた、サマルカンドとフェルガナという地名を冠したUshshaq-i SamarqandとFerghana suwaraの2曲です。ウズベク中部のサマルカンドと、東部のキルギスと入り組んだ地方にあるフェルガナでは、音楽にどんな違いがあるかのサンプルになるかと思いました。
フェルガナ生まれの現代ウズベクのディーヴァ、モナージャト・ユルチエヴァですが、Ferghana suwaraを歌っているマアムール・ジャン・ウザコフは、ユルチエヴァの師匠のシャヴカット・ミルザエヴの父のムハンマド・ジャン・ミルザエヴが弾くカシュガルのルバーブなどの伴奏で歌うことが多かったようです。私は両方聞いているので、確かに通じるものがあるように感じました。ウッシャークはウズベクの旋法体系のシャシュマカームの一つかと思いますが、スワラと言うのは、おそらく詩の形式ではと思いました。ペルシア語の詩の明るいウッシャーク・サマルカンドと、どこか憂いのあるフェルガナ・スワラ、どちらもウズベクらしい美しさがあります。ウズベク語はテュルク系ですが、この辺りは古代にはイラン系のソグド人が活躍した地でもありますので、アム川とシル川の間のトランスオクシアナ(これはヨーロッパからの呼称で、アラビア語ではマー・ワラー・アンナフル)の辺りは今でもイラン系のタジク語がかなり使われています。
では2曲続けておかけしますが、間でFerghana suwaraの曲名だけ再度入れます。

<11 Ushshaq-i Samarqand/ザイナブ・パールヴァーノヴァの歌と民族楽団 5分3秒>

Ushshaq-i Samarqandは1951から60年頃の録音でした。次はFerghana suwaraで、1958年から62年の間の録音とのことです。

<12 Ferghana suwara/マアムール・ジャン・ウザコフの歌と民族楽団 4分59秒>

では、今回はモナージャト・ユルチエヴァの代表的な一曲「モナージャト」をおかけしておきたいと思います。95年に出て、2008年に再発されたオコラからの彼女のソロ・アルバムについて、音楽之友社から2002年に出た「世界の民族音楽ディスクガイド」に書いた拙稿を読み上げます。

ウズベキスタンの歌姫(1960年生まれ)の記念すべきオコラ盤。これぞウズベクというべき悠々たるテンポでしっとり歌われる彼女の愛称と同じ名のMonajat(祈りの意)は特に絶品。元々器楽演奏されていたスーフィーの祈りの旋律だそうだが、ウズベクのモスクの青が眼前に浮かぶような、チムール時代にトリップしてしまいそうな香り高い感動的な名曲だ。ナイーヴで清々しく、既に風格と上品さを備えたフェルガナ-タシケント派のスター歌手として知られ、世紀に一人の逸材とまで言われている。

<1 Monajat Yultchieva / Ouzbekistan ~Monajat 8分49秒>
''Munojot''


ユルチエヴァの名唱は、他の音源と並べて次回以降も聞いて行きたいと思います。歌が続きますので、最後に器楽演奏を入れたいと思います。スイスVDE-Galloの「中央アジアのドタールの名手たち」に、ウズベクの音源では、「ブハラのドタール」としてアブドラヒム・ハミードフの演奏が2曲入っております。仏Ocoraから出ていた廃盤アイテム「ドタールの芸術」に収録されていた名手で、イランMahoor Institutの「トランスオクシアナのドタール」で超絶技巧を聞かせた女流名人ゴザル・ムミノヴァの師匠です。ブハラのシャシュマカームの古典曲ギリャと、バヤト・カラ・キョズの2曲ですが、後者はカスピ海東北部のホラズムの伝統的都市音楽のレパートリーに属し、アゼルバイジャンから伝わったそうです。時間までこれらの曲を聞きながら今回はお別れです。2曲目は、入らなかったら、またの機会に回します。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 ブハラのドタール ギリャ 5分1秒>
<2 ブハラのドタール バヤト・カラ・キョズ 3分23秒>

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2018年11月 9日 (金)

カンテ・フラメンコのようなカッタ・アーシュラ

133回目の放送でかけた中で、Chanson Classique以外では、「カンテ・フラメンコのような」と形容したJura Khan SultanovのGulzarim Qaniという曲だけ、オコラ盤の元音源のSP盤再生の動画が見つかりました。後半は他の音源のようです。しかし、いきなりA首相のような人が出てきて、びっくりしました(笑) この人がジュラ・ハーン・スルタノフでしょうか? 「私の薔薇園はどこにある?」と訳せるこのフリーリズムの歌唱は、カッタ・アーシュラというジャンルになるようです。Katta AshulaはGreat Singingと英訳がありましたが、どう和訳するといいか、なかなか難しいです。

Jo`raxon Sultonov - Журахон Султонов

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2018年11月 7日 (水)

ゴザル・ムミノヴァのドタール

放送より少し先に進めてウズベクのドタールのソロを見てみます。イランMahoor Institutの「トランスオクシアナのドタール」で超絶技巧を披露していたゴザル・ムミノヴァの独奏です。さすがの凄演を聞かせています。映像で見ると、2弦とは思えない凄さがリアルに分かります。彼女は1977年ウズベキスタンのホラズム州ヒヴァの生まれ。ヒヴァ・ハン国をすぐ様思い出す町です。アラル海に流れ込むアムダリアとシルダリアの間のトランスオクシアナの中でも、トルクメンにまたがるホラズムのドタールは激しいように思います。彼女は仏Ocoraから出ていた「ドタールの芸術」に収録されていたアブドゥルラヒム・ハミードフに師事したそうです。ハミードフのドタール独奏は、11日の放送で流れます。オコラ盤は手元に残ってないので、スイスVDE-Galloの「ドタールの名人たち」の音源ですが。

Guzal Muminova plays Dutar

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2018年11月 5日 (月)

Ouzbekistan - Les Grandes voix du passe (1940-1965)

ゼアミdeワールド133回目の放送、日曜夕方に終りました。7日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今回と前回は、風邪のため、お聞き苦しくて済みません。youtubeは、この盤から一本だけありました。

ウズベキスタンの音楽の2回目になります。廃盤になってしまっていますが、今回はフランスのOcoraから出ていた「ウズベキスタン~往年の偉大なる歌声 Ouzbekistan - Les Grandes voix du passe (1940-1965)」からご紹介したいと思います。1940~65年という古い時期の貴重な記録です。また次回以降にご紹介しますが、現代の名女性歌手ムナージャト・ユルチエヴァの先輩格の人たちの録音です。 
この盤について、ゼアミHPの中央アジア・コーナーに載せてありますので解説を読み上げてみます。

スミソニアンフォークウェイズのCDタイトルにもあるように「東西音楽の十字路」ウズベクは、ペルシア、トルコ、アフガン、北インドの要素はもとより、北方の同じトルコ系部族、更には遊牧系テュルクのカザフやキルギスの「草原の孤独」?的な音調も感じられ、古えの歌手達の歌にはペルシアの声楽などにも似ている反面、日本の大衆邦楽に近いフィーリングもあります。そういう意味で日本人本来の感性に最も近い音楽の一つかもしれません。この盤はかつて余り聞けなかった往年の歌手達の声を収録。(オコラの旧譜名盤「中央アジア~古典音楽の伝統」2枚組と人選にダブリは有りません)

まず一曲目の「預言者への賛美」という曲ですが、低音が豊かで太く柔らかい音色の2弦のドタールが入っているからでしょうか、ウイグル風にも感じられるところがあります。この悠然とした音の流れと燻銀のような渋い歌声が、ウズベクの音楽の最大の特徴でしょう。ドタールは2弦とは思えない速弾きの、途轍もない名人芸も聞かせる楽器ですので、声楽とは別枠でまたご紹介する予定です。アクマール・カーンとバーバー・カーン・スバーノフ(歌とタンブール、ドタール)の演奏です。

<1 Ode au Prophete(1955)/Akmal-khan, Baba-khan Subhanov 7分27秒>

4曲目のGulzarim qaniという曲は、フリーリズムの独唱で歌われていて、私はフラメンコの歌(カンテ・フラメンコ)に近い印象を持ちました。タイトルを訳すと「私の薔薇園はどこにある?」となります。この曲は「Grand Singing」と英訳のあるKatta Ashulaというジャンルに属するようです。1957年の録音です。

<4 Gulzarim qani/Jura-khan Sultanov 4分26秒>

7曲目の1959年のChanson classiqueという曲は、幾分キルギス風にも聞こえる一曲です。ハディイェ・ユスポーヴァの歌唱は、後のモナージャト・ユルチエヴァの名唱に繋がっていくような、しっとりと落ち着いた美しさがあります。Fakhriddin Sadiqovのドタール伴奏も落ち着いた趣があって、歌によく合っています。

<7 Chanson classique/Hadiye Yusupova, Fakhriddin Sadiqov 5分35秒>
Fakhriddin Sâdiqov - Chanson Classique


8曲目のNasri Uzzalでは、タンブールの独特な跳ねるような明るい音色が中央アジア色を濃厚に押し出しています。このナスリ・ウッザルの録音は1964年か65年頃で、ラスル・カーリ・ママダリエフの歌とタンブール、カマルッディン・ハムラクルのおそらくドイラ叩き歌いによる演奏です。二人の掛け合いの歌唱には、パキスタンのカッワーリ歌手のヌスラット・ファテ・アリ・ハーンに似て聞こえる部分もあるように思いました。

タンブールは中国側のウイグルにもありまして、2004年に当時私が住んでいた新松戸の夏祭りのウイグル屋台で日本在住のアブライティ・ムハメドニヤズさんの演奏を聞いたことがありますが、先には手が届かないほど長い棹のほとんどハイポジションだけを使って弾いていたのが、とても印象的でした。

曲名で気になるのが、サマルカンドとフェルガナという地名を冠した11、12曲目のUshshaq-i SamarqandとFerghana suwaraの2曲で、ウズベク中部のサマルカンドと、東部のキルギスと入り組んだ地方にあるフェルガナでは、音楽にどんな違いがあるかのサンプルになるかと思いましたが、今回は時間切れですので、次回に回します。キング盤でかけられなかった2曲ほどと合わせておかけしようかと思います。
では8曲目のNasri Uzzalを聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<8 Nasri Uzzal/Rasul Qari Mamadaliev, Kamaluddin Hamraqul 7分29秒>

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2018年11月 2日 (金)

ウズベクの楽器色々

次はルバーブと思って探していたら、色々な楽器をデモ演奏している映像がありました。ルバーブ、ドタール、タンブール、タール、サントゥール(チャング)、ネイ(ウズベクでは横笛)、ラブ・チャング?(口琴)、ドイラの順に弾いています。ウイグルのものよりは小ぶりなタンブールの弾き方は、メズラブ(撥)を使わない右手人差し指のストロークが、イランのセタールの奏法に少し似ているように思いました。私はやっぱり低音豊かなドタールに一番惹かれますが、皆さんはいかがでしょうか。続いて何本か上げておきますが、こうして見るとやっぱりウズベクは楽器博物館さながらです。
Master of Uzbek traditional musical instruments

ルバーブとドイラの演奏が聞けるこの演奏は、ブハラの楽器屋さんでしょうか。シャシュマカームかと思われる一節が聞けます。後半音が無くなるのが残念です。とても中央アジアらしい明るい音色のルバーブですが、ルバーブと言えば、タジク東部のルバーブのフリーキーな演奏が特に強烈なインパクトがあります。タジクに回るのは年末年始くらいになるかも知れません。
Mirfaiz & Halima Aliev from Bukhara: Rubab and Doyra

これはアフガン・ルバーブの系統だと思いますが、もとがウズベクにあるのか、アフガニスタンから入って来て形が変わったのか、どちらでしょうか? アフガン・ルバーブや北インドのサロッドに繋がる胴のくびれがあります。
Aq Qush, Halek narey chniar dey, rubâb Uzbekistan

チベット・ホルン(ドゥンチェン)に似た音色のカルナイの合奏もありました。結婚式など祭礼の際に盛大に吹き鳴らされる楽器で、太鼓も凄まじいです。
ОХИРИГАЧА КЎРИНГ! Карнай сурнайни ДОДАСИ! Ойбек гурухи Klassni ayamang! Xamma ko'rsin

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2018年11月 1日 (木)

ウズベクのタール弾き語り Sherali Jo'raev

キング盤で出てきた弦楽器は、タール、ルバーブ、ギジャクでしたから、その動画を見ておきたいと思いましたが、余り見当たらないようです。この盤の演奏者ではありませんが、作曲、詩作も手掛けるウズベクの有名な歌手、シェラリ・ジュラーイェフがタールを弾き語っている映像がありました。ブハラのシャシュマカーム(「6つのマカーム」の意)にはユダヤ系の演奏家がいるので、アズナヴール(この人はアルメニア系ですが)似の風貌から、もしかしたら?と思いましたが、この人は違うようです。バックの楽団には、ギジャクの代わりにヴァイオリンを立てて弾いているのが見えます。ドイラ(ダフ?)のリズムはオリエンタル色が濃く感じられます。
ジュラーエフの歌詞は、政治的、社会的、哲学的な面、更には文学の影響もあるそうで、正に彼の歌は現代に生きる伝統音楽なのでしょう。彼の詩の幾つかはウズベク人の日常のヴォキャブラリーになっているそうです。自作詩以外には、ルーミーやジャーミーのようなペルシアの大詩人の詩も歌われます。2本目は2018年の映像で、ウズベク舞踊とのコラボステージ。(最近夜起きかねているので、早朝のアップになりました(笑))

Sherali Jo'raev-Damlarim o'tdi

Sherali Jo'rayev - Atirgulim | Шерали Жураев - Атиргулим (concert version 2018)

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