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2019年1月

2019年1月30日 (水)

Хосият Ортиковаの歌声

1月23日のブログで、マスターネ・エルガショヴァの動画が見当たらないので代わりに上げた女性歌手の名前が分かりました。(hasugeさん、いつも有難うございます) Хосият Ортикова(ホスィヤート・オルティコヴァ)と言うタジクの有名な歌手でした。そもそもマスターネ・エルガショヴァもタジクが拠点のようです。ホスィヤート・オルティコヴァは、先日の1986年のタール弾き語り(今日の2本目)の頃より、これまた随分と大人っぽいご婦人になられていました。こういうポップな要素を取り入れた演奏が増えているのでしょうか。言葉はどう聞いてもペルシア語的ですが、歌の節はパキスタンのカッワーリやガザルなどにもとても近く感じます。
伴奏にはドタール、タンブール、チャング(カーヌーン?)などのウズベク~タジクの伝統楽器の他に、西洋楽器のフルートの使用、ヴァイオリンは立てて演奏しているのが、とても気になりました。

Хосият Ортикова | Навои зиндаги | Кисми 1|

Хосияти Зарафшонӣ - Ташнаи оби Зарафшонам ҳануз 1986

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2019年1月28日 (月)

サマルカンドのウッシャーク他

ゼアミdeワールド145回目の放送、日曜夕方に終りました。30日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。放送では時間切れでかけられなかったShavkat Mirzaev / Jononも入れておきました。

ウズベキスタンの音楽も10回目になりました。そろそろウズベクは終えようかとも思いましたが、まだまだ注目の音源が残っていますので、後1,2回はやると思います。まずは、前に予告しておりましたUshshaq-i Samarqandの聞き比べですが、134回目の放送でかけましたオコラの「ウズベキスタン~往年の偉大なる歌声【1940~65年】」の演奏からおかけします。この曲はシャシュマカームの代表曲の一つと思われますが、こういう曲をじっくり味わうことで、ウズベク音楽がわかってくるように思います。5分余りの演奏です。

<11 ザイナブ・パールヴァーノヴァの歌と民族楽団 / Ushshaq-i Samarqand 5分3秒>
Ushshaq–e Samarqand

同じ音源は見当たらず、マスターネ・エルガショヴァの歌唱がありましたので、代わりに上げておきます。このジャケットのイラン盤の歌唱は彼女だったかと、先ほど気が付きました。

次にブハラのユダヤ・アンサンブル・シャシュマカームの演奏でUshshaq-I Samarkandです。どこか古風な前の演奏と比べると、輪郭がくっきりはっきり聞こえるように思います。

<10 ブハラのユダヤ・アンサンブル・シャシュマカーム / Ushshaq-I Samarkand 5分29秒>
Ushshaq-i Samarkand


ウズベク・シリーズの最初の方でかけましたモナージャト・ユルチエヴァの歌うモナージャトという曲ですが、オコラ盤の後で独Network Medienから出た「ウズベキスタンの古典音楽~ムナージャト・ユルチエヴァ&アンサンブル・シャヴカト・ミルザエヴ」では、同じ曲がKelmadyというタイトルになっています。英訳はHe has not come(彼は来てない)となりまして、これは「祈り」と訳せるモナージャトの本来の曲名なのかも知れません。スーフィーの儀礼にルーツがあり、盤の最初に置かれることが多いということは、雰囲気づくりのためにコンサートの最初に歌われることも多いのではと思います。ウズベク・シリーズも終わりが近づきましたので、この格別に美しく重要な曲の別バージョンということで、おかけしたいと思います。モナージャト・ユルチエヴァの師匠Shavkat Mirzaevとの共演盤です。

<1 Monajat Yultchieva / Kelmady 8分44秒>
Monâjât Yulchieva (Муножот Йўлчиева) - Monâjât / Kelmady


では最後にモナージャト・ユルチエヴァの師匠Shavkat Mirzaevのラバーブ演奏を、スイスVDE-Galloの「ウズベキスタンの古典器楽音楽」から時間まで聞きながら今回はお別れです。Yangy Tanovar (New Tanovar, Danse)とJonon (Beauty)、Nim Chuponi (Half-Shepherd)と、3曲も彼の独奏が入っていて、ニム・チュパニは前回の放送でMastaneh Ergashovaの歌唱でかけた曲ですので、この曲から始めます。この盤にはサトのTurgun AlimatovやドタールのAbdurahin Hamidovなど、オコラ盤で聞いた名手の録音も色々あります。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<14 Shavkat Mirzaev / Nim Chuponi 3分50秒>
Nim Chupôni (Half-Shepherd)

<4 Shavkat Mirzaev / Yangy Tanovar 3分19秒>
Yangy Tanôvar (New Tanôvar, Danse)
<8 Shavkat Mirzaev / Jonon 3分2秒>
Jônôn (Beauty)

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2019年1月25日 (金)

Мастона Эргашева(マスターネ・エルガショヴァ)の今

Мастона Эргашеваは、そのまま読めば、マストーナ・エルガシェヴァになると思いますが、この綴りであることが判明しました。(hasugeさん有難うございました) 最近の彼女は、90年代初頭のブダ盤の頃より上品なご婦人になられているように思いました。四半世紀以上も経っているとは思えない若々しさにびっくりです。何よりその素晴らしい歌声もそのままで嬉しい限りです。2本目で話されているのは、ウズベク語やロシア語ではなく、極めてペルシア語似に聞こえるので、間違いなくタジク語でしょう。

Мастона Эргашева 2018

Мастона Эргашева - Базм (Кисми 1) | Mastona Ergasheva - Bazm (Part 1)

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2019年1月23日 (水)

Mastaneh Ergashovaが見当たらないので

何とMastaneh Ergashovaは幾ら調べてもキリル文字表記が分からないので、見つかった動画は1本のままでした。ジュラベク・ナビエフは、キリル文字のЖурабек Набиевで検索すればライブ映像や波形の動画が結構上がっていました。キリル文字に似たウズベク文字(あるいはタジク文字?)で検索すれば更にあるのかも知れませんが、そこまではなかなか大変です。ですので、いずれも代わりの映像になりますが、マスターネ・エルガショヴァに似た感じのタール弾き語り女性歌手を上げておきました。タイトルをカタカナ表記にすると「ハスィヤーティ・ザラフショニ タシュナイ・オビ・ザラフショナム ハーフズ」となると思いますが、この女性歌手の名ではないと思われ、更に終わりのハーフズ(コーラン暗唱者)以外は意味が不明でした。音的にペルシア語的に聞こえるので、タジク語でしょうか。
2本目は「ジュラベク・ナビエフのシャシュマカーム」とロシア語で表記があります。出てくるイラン的な美術品共々興味深い映像です。

Хосияти Зарафшонӣ - Ташнаи оби Зарафшонам ҳануз 1986

Шашмаком - Чурабек Набиев

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2019年1月21日 (月)

Budaのシャシュマカーム

ゼアミdeワールド144回目の放送、日曜夕方に終りました。23日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。Mastaneh Ergashovaの見つかった動画は、何と一本だけでした。Jurabeg NabievもЖурабек Набиевで検索すれば結構あるようですので、また後日探してみます。

ウズベキスタンの音楽の9回目になります。今回はオコラの2枚組「中央アジア 古典音楽の伝統」にも入っていたシャシュマカームの二人の名歌手、女性歌手のマスターネー・エルガショヴァと男性歌手ジュラベグ・ナヴィエフの歌唱を、フランスのBudaから出ていた「タジキスタン~ウズベキスタン シャシュマカームの伝統 Tajikistan-Uzbekistan : Erudite Shash Maqam Tradition」から聞いて行きたいと思います。録音はオコラの2枚組が90~93年でしたが、このブダ盤もリリースがその後位でしたから、おそらく同じ頃の録音かと思います。最近の状況は変わってきているかも知れませんが、当時この二人は高度に洗練されたシャシュマカームの代表的な名歌手として知られていました。タールやラバーブを弾き語る写真が載っているマスターネー・エルガショヴァは、ふくよかで眉毛の繋がった姿からして、いかにも中央アジア的に見えます。この人はウズベク人ですが、テュルク系のウズベク語とペルシア系のタジク語の両方で歌っています。
この盤にはシャシュマカームのレパートリーから全8曲入っていますが、短い曲で5分、長いと13分を越えますので、今回は二人の歌唱の特徴がよく分かる5分前後の曲を選んでみました。伴奏楽器は、撥弦楽器のタンブール、ラバーブ、ドタール、枠太鼓のダイェラ、横笛のナイ、サントゥールや揚琴(ヤンチン)に似た打弦楽器のチャング、擦弦楽器のギチャクです。

長い一曲目を飛ばして、まずは2曲目のタルキン・チャハールガーという曲ですが、変拍子に聞こえる拍節のある部分で、旋法としてはイランのものと紛らわしいチャハルガーとありまして、これはシャシュマカームの一つであるドガーと関係があるそうです。シャシュマカームですが、ここで6つの名前を列記しておきます。ブズルク(Buzruk) - 「大旋法」の意。ラースト(Rost) - 「真の旋法」の意。ナヴァー(Navo) - 「旋律的旋法」の意。ドゥガーフ(Dugokh) - 「第2旋法」の意。セガーフ(Segokh) - 「第3旋法」の意。イラーク(Irok) - 「イラクの旋法」の意。となっております。ではタルキン・チャハールガーをどうぞ。

<2 Mastaneh Ergashova / Talqin Chaharga 6分28秒>

3曲目のノウルーズ・サバーというのはタイトルからしてイラン歴の正月関連と思われますが、長いので飛ばしまして、4曲目のニム・チュパニという曲に行きます。この曲はセガー・マカームに属し、タルキンチャの後で演奏されるそうです。これも6分ほどの曲です。

<4 Mastaneh Ergashova / Nim Chupani 6分6秒>

5曲目のウファル・サヴト・カランという曲は、リズミカルで旋律も素晴らしく一番受けそうな気がします。この曲もドガー・マカームに属するそうです。

<5 Mastaneh Ergashova / Ufar savt kalan 4分50秒>
Ufar savt kalan


6~8曲目はジュラベグ・ナビエフの歌唱になりますが、今回は6曲目のオシャーク・コーカンドだけおかけします。これもウズベク南東部の街、コーカンドのウッシャークかな、とすぐに推測出来るタイトルです。オシャークとは「恋に落ちる」という意味があるようです。この曲はラスト・マカームの中で演奏されるとのことです。

<6 Jurabeg Nabiev / Oshaq Kokand 6分57秒>
Журабек Набиев 13.01.2016.

違う曲ですが、最近の映像です。

では、最後にMastaneh Ergashovaの歌う13分を越えるSar Akhbarを時間まで聞きながら今回はお別れです。この曲はシャシュマカームのレパートリーとは関係がない5つのタラーナと呼ばれるライト・ソングからなっていて、詩も洗練されたペルシア古典詩ではないそうです。その内の2曲が13分の中で歌われています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Mastaneh Ergashova / Sar Akhbar 13分7秒>

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2019年1月18日 (金)

Lekha Dodi (Traditional Bukharan Jews-Uzbekistan) 他

アンサンブル・シャシュマカームに限らず、ユダヤ的な曲を演奏している映像を探している内に週末になりました。大体はブハラ系ユダヤ人楽士のウズベク古典音楽ですが、中に結婚式の音楽や、シャバト(安息日)の歌、レハー・ドディーなどがありました。特にレハー・ドディーは、他のユダヤ・コミュニティーでもよく知られているシャバトのヘブライ語の歌で、聞き比べをすると興味深いと思います。2本目のタンブールとダイェラだけの伴奏での女性歌手の歌と踊り、4本目のラバーブ弾き語り、どれも味わい深いもので、後者の演奏は語り口や旋律がユダヤ的と言えるかも知れません。

Shashmaqam: Sokl Nomai Safty Kalon and Bukhary Jewish Wedding Songs

Bukharian Jewish songs at Queens College, History 200

Lekha Dodi (Traditional Bukharan Jews-Uzbekistan)

Yahudi Buhorio (Bukharian Jews)

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2019年1月14日 (月)

Music of the Bukharan Jewish Ensemble Shashmaqam

ゼアミdeワールド143回目の放送、日曜夕方に終りました。16日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

久々にウズベキスタンの音楽に戻りまして、その8回目になります。7回目には1991年にアメリカのSmithsonian Folkwaysから出ました「ブハラ:アジアの音楽の十字路  Bukhara: Musical Crossroads of Asia」をご紹介しましたが、今回は同じレーベルから出ている「ブハラ系ユダヤ人のウズベク古典音楽 アンサンブル・シャシュマカーム」からおかけします。
シャシュマカームとはペルシア語で6つのマカーム(旋法)を意味しますが、ウズベクのブハラやタジクの旋法体系や、旋法ごとの長大な一連の曲の集まり、あるいはその組曲自体を指します。このシャシュマカームを名乗るブハラ・ユダヤ・アンサンブルは、ソ連崩壊後ニューヨークに移住し活動しているようです。ソ連時代までの中央アジアでは、ユダヤ人とムスリムの音楽家が共存し、伝統文化を花開かせていたそうですが、ユダヤ人音楽家が減ったらしい現在どうなっているのかが気になるところです。

まずは、1983年の創立以来のメンバーである女性歌手Fatima Kuinovaの冒頭のアカペラ歌唱からおかけしますが、ブハラではムスリム、ユダヤ人を問わず特別な歌とのことです。男性歌手アブハイ・アミノフとのデュエットです。

<1 Obloim 3分52秒>
Obloim


2曲目はペルシアの大詩人ジャラールッディン・ルーミーの恋愛詩(ガザル)を基にした曲のようですが、ユダヤ人音楽家による演奏らしく、ユダヤ教の聖典トーラーの詩句も読み込んでいるようです。ヨシフ・アブラモフのタール弾き語りにドイラの伴奏が付いています。

<2 Ghairi Khudo Yar Nadoram (We Have No Friend But God) 2分31秒>
Ghairi Khudo Yar Nadoram (We Have No Friend But God)


この盤の中間部にはUshshaq-i SamarkandやTalqin-i Bayatなどの、これまでに取り上げたシャシュマカームの主要曲が出てきますが、30分という限られた時間ですので、フェイドアウトしたくない終わりの2曲から先にご紹介します。
2曲ともアゼルバイジャンの音楽なのですが、カスピ海の向こう側のアゼルバイジャン音楽というのはエキゾチックな音楽としてウズベクやタジクでポピュラーになっていて、結婚式の音楽としても演奏されるそうです。
2曲目で出てきたヨシフ・アブラモフが見事なアゼルバイジャン・スタイルのタール演奏を聞かせる舞踊曲Yalliからおかけします。本来はダブルリードのズルナと打楽器のダウルで演奏される曲を、タールとドイラで演奏しています。

<12 Yalli 3分28秒>
Yalli


次の13曲目Azerbaijani Segahがこの盤のラストですが、こちらはクラリネットとアコーディオン、ドイラによる演奏です。これがウズベクの音楽家による演奏だろうかと思ってしまう程、見事にアゼルバイジャン音楽になっています。

<13 Azerbaijani Segah 4分31秒>
Azerbaijani Segah


ウズベク音楽を演奏している方に戻りますが、Fatima Kuinovaとタールのヨシフ・アブラモフの素晴らしいデュエットから始まる一種の数え歌Biyo Yak (Come Once)という曲をおかけします。クラリネット、アコーディオン、ドイラも加わって華やかに演奏しています。

<6 Biyo Yak (Come Once) 3分12秒>
Biyo Yak (Come Once)


次の7曲目は結婚式のレパートリーのメドレーですので、この盤の中心と言える曲だと思います。賑やかな合奏が聞けますが、先ほどのアゼルバイジャン・スタイルではない、ブハラの伝統的な結婚式の光景が髣髴とされるような音楽です。

<7 Medley Of Songs From Wedding Repertory 5分40秒>
Medley of Songs from Wedding Repertory: Yar-Yar / Abru Kosh Dumi Mor / Shastu-Shastu Chor /...


では、最後にTalqin-i Bayatを聞きながら今回はお別れです。先ほどタールの妙技を聞かせたヨシフ・アブラモフが、変拍子のこのシャシュマカームのレパートリーを、往年の名手トゥルグン・アリマトフを思わせるようなタンブールで弾き語っています。Ushshaq-i Samarkandは、前にかけましたオコラの古い録音と並べて、また次回以降にかけられたらと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<8 Talqin-i Bayat 5分11秒>
Talqin-i Bayat

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2019年1月11日 (金)

「鹿の遠音」と「この道」

そろそろお屠蘇気分も完全に抜けた頃でしょうが、今週は6日のお正月放送の関連動画で行きます。今回「春の海」について調べていて、青木鈴慕さんが去年の8月に亡くなられていたことを初めて知りました。20年余り前、邦楽ジャーナル誌上でよく拝見したのをつい先日のように思い出しました。追悼として横山勝也さんとの虚無僧尺八の名曲「鹿の遠音」を上げておきます。
スコットランドとのハーフのテノール歌手、藤原義江の蓄音機動画もたくさんありますが、山田耕筰の「この道」を選びました。1928年録音のようです。

鹿の遠音(青木鈴慕・横山勝也)/Shika No Tohne(Aoki Reibo&Yokoyama Katsuya )

藤原義江 Yoshie Fujiwara - この道 (1928)

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2019年1月 9日 (水)

松竹梅

月曜のラストに上げました生田流二代目宗家の宮城喜代子と琴古流尺八の青木鈴慕の「春の海」も非常に素晴らしかったのですが、そのリンクに松竹梅という曲がありまして、オールスターキャストのような演奏者の豪華さにまず驚きました。米川敏子、藤井久仁江、川瀬白秋、矢崎明子、深海さとみ(以上・三弦)米川文子、中島靖子、後藤すみ子、野坂恵子、吉村七重、米川文清(以上・箏)尺八・青木鈴慕と、大御所が揃っています。筝、三味線、尺八という編成ですので、三曲かと思ったら、筝曲と出ています。どちらでしょうか? (皆さん暗譜というのにも驚いてしまいますが)

『松竹梅』

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2019年1月 7日 (月)

今年も春の海と六段から

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。結局ブログアップは大晦日以来になりました。ゼアミdeワールド142回目の放送、日曜夕方に終りました。9日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。放送されるのは本放送が6日と言うことで、辛うじて松の内です。

お正月と言えば、宮城道雄の「春の海」を思い出す方が多いのでは、と言う風に一昨年と去年も始めましたが、これまでにかけてない音源を中心に選んでご紹介します。1930年の宮中歌会始の勅題として公示されていた「海辺巌(かいへんのいわお)」に因んで、前年の暮れに作曲した筝と尺八の二重奏曲で、宮城道雄の父の出身地である広島県の鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれています。正月中はどこに行っても耳にする曲ですが、この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組が出ておりまして、その盤からのご紹介です。

一昨年もかけましたが、まずは宮城道雄の自作自演でどうぞ。正月中はどこでもかかっている曲ですが、意外に自作自演を耳にする機会はほとんどないと思います。尺八は初演を勤めた吉田晴風です。
<1 春の海(オリジナル) 6分30秒>
春の海 宮城道雄自作自演


一昨年の正月は、宮城道雄の演奏で、筝の代表的名曲として有名な六段もかけましたが、今回はこの曲を米川文子さんの演奏で聞きたいと思います。初代米川文子さんは著名なロシア文学者の米川正夫氏の妹で、1894年生まれ1995年没の生田流箏曲家です。初代の録音はなかなか珍しいのではと思います。この侘び寂感溢れる美しい曲を書いたのは、江戸時代前期の近世筝曲の祖、八橋検校とされています。

<米川文子 / 六段 6分33秒>
OTAKARA発見隊 筝曲家 米川文子さん

こちらは二代目米川文子さんの紹介番組

「春の海」に戻りまして、1898年生まれの往年の名テノール歌手、藤原義江の管弦楽伴奏歌曲版もありますので、こちらをどうぞ。山田耕筰の歌曲の名唱などで知られるスコットランド人とのハーフの歌手です。

<4 春の海 藤原義江 3分16秒>
藤原義江 Yoshie Fujiwara(Ten.) - 春の海 Haru no Umi (1933)


「春の海」の琴と尺八の組み合わせは他に、宮城道雄の後を継いだ生田流二代目宗家の宮城喜代子と琴古流尺八の青木鈴慕の79年の録音と、宮城道雄にも師事した作曲家でもある唯是震一と都山流尺八の山本邦山の録音などが入っておりまして、特に尺八に芸風の違いが聞こえて興味深いのですが、今回は2018年8月21日に亡くなった二代目青木鈴慕氏の方をおかけしたいと思います。唯是震一と山本邦山の方は、また来年にでもおかけします。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<6 春の海 宮城喜代子と二世青木鈴慕 6分44秒>
”Haru no Umi” 「春の海」

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