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2019年1月14日 (月)

Music of the Bukharan Jewish Ensemble Shashmaqam

ゼアミdeワールド143回目の放送、日曜夕方に終りました。16日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

久々にウズベキスタンの音楽に戻りまして、その8回目になります。7回目には1991年にアメリカのSmithsonian Folkwaysから出ました「ブハラ:アジアの音楽の十字路  Bukhara: Musical Crossroads of Asia」をご紹介しましたが、今回は同じレーベルから出ている「ブハラ系ユダヤ人のウズベク古典音楽 アンサンブル・シャシュマカーム」からおかけします。
シャシュマカームとはペルシア語で6つのマカーム(旋法)を意味しますが、ウズベクのブハラやタジクの旋法体系や、旋法ごとの長大な一連の曲の集まり、あるいはその組曲自体を指します。このシャシュマカームを名乗るブハラ・ユダヤ・アンサンブルは、ソ連崩壊後ニューヨークに移住し活動しているようです。ソ連時代までの中央アジアでは、ユダヤ人とムスリムの音楽家が共存し、伝統文化を花開かせていたそうですが、ユダヤ人音楽家が減ったらしい現在どうなっているのかが気になるところです。

まずは、1983年の創立以来のメンバーである女性歌手Fatima Kuinovaの冒頭のアカペラ歌唱からおかけしますが、ブハラではムスリム、ユダヤ人を問わず特別な歌とのことです。男性歌手アブハイ・アミノフとのデュエットです。

<1 Obloim 3分52秒>
Obloim


2曲目はペルシアの大詩人ジャラールッディン・ルーミーの恋愛詩(ガザル)を基にした曲のようですが、ユダヤ人音楽家による演奏らしく、ユダヤ教の聖典トーラーの詩句も読み込んでいるようです。ヨシフ・アブラモフのタール弾き語りにドイラの伴奏が付いています。

<2 Ghairi Khudo Yar Nadoram (We Have No Friend But God) 2分31秒>
Ghairi Khudo Yar Nadoram (We Have No Friend But God)


この盤の中間部にはUshshaq-i SamarkandやTalqin-i Bayatなどの、これまでに取り上げたシャシュマカームの主要曲が出てきますが、30分という限られた時間ですので、フェイドアウトしたくない終わりの2曲から先にご紹介します。
2曲ともアゼルバイジャンの音楽なのですが、カスピ海の向こう側のアゼルバイジャン音楽というのはエキゾチックな音楽としてウズベクやタジクでポピュラーになっていて、結婚式の音楽としても演奏されるそうです。
2曲目で出てきたヨシフ・アブラモフが見事なアゼルバイジャン・スタイルのタール演奏を聞かせる舞踊曲Yalliからおかけします。本来はダブルリードのズルナと打楽器のダウルで演奏される曲を、タールとドイラで演奏しています。

<12 Yalli 3分28秒>
Yalli


次の13曲目Azerbaijani Segahがこの盤のラストですが、こちらはクラリネットとアコーディオン、ドイラによる演奏です。これがウズベクの音楽家による演奏だろうかと思ってしまう程、見事にアゼルバイジャン音楽になっています。

<13 Azerbaijani Segah 4分31秒>
Azerbaijani Segah


ウズベク音楽を演奏している方に戻りますが、Fatima Kuinovaとタールのヨシフ・アブラモフの素晴らしいデュエットから始まる一種の数え歌Biyo Yak (Come Once)という曲をおかけします。クラリネット、アコーディオン、ドイラも加わって華やかに演奏しています。

<6 Biyo Yak (Come Once) 3分12秒>
Biyo Yak (Come Once)


次の7曲目は結婚式のレパートリーのメドレーですので、この盤の中心と言える曲だと思います。賑やかな合奏が聞けますが、先ほどのアゼルバイジャン・スタイルではない、ブハラの伝統的な結婚式の光景が髣髴とされるような音楽です。

<7 Medley Of Songs From Wedding Repertory 5分40秒>
Medley of Songs from Wedding Repertory: Yar-Yar / Abru Kosh Dumi Mor / Shastu-Shastu Chor /...


では、最後にTalqin-i Bayatを聞きながら今回はお別れです。先ほどタールの妙技を聞かせたヨシフ・アブラモフが、変拍子のこのシャシュマカームのレパートリーを、往年の名手トゥルグン・アリマトフを思わせるようなタンブールで弾き語っています。Ushshaq-i Samarkandは、前にかけましたオコラの古い録音と並べて、また次回以降にかけられたらと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<8 Talqin-i Bayat 5分11秒>
Talqin-i Bayat

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