今年も春の海と六段から
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。結局ブログアップは大晦日以来になりました。ゼアミdeワールド142回目の放送、日曜夕方に終りました。9日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。放送されるのは本放送が6日と言うことで、辛うじて松の内です。 お正月と言えば、宮城道雄の「春の海」を思い出す方が多いのでは、と言う風に一昨年と去年も始めましたが、これまでにかけてない音源を中心に選んでご紹介します。1930年の宮中歌会始の勅題として公示されていた「海辺巌(かいへんのいわお)」に因んで、前年の暮れに作曲した筝と尺八の二重奏曲で、宮城道雄の父の出身地である広島県の鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれています。正月中はどこに行っても耳にする曲ですが、この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組が出ておりまして、その盤からのご紹介です。 一昨年もかけましたが、まずは宮城道雄の自作自演でどうぞ。正月中はどこでもかかっている曲ですが、意外に自作自演を耳にする機会はほとんどないと思います。尺八は初演を勤めた吉田晴風です。 <1 春の海(オリジナル) 6分30秒> 春の海 宮城道雄自作自演 一昨年の正月は、宮城道雄の演奏で、筝の代表的名曲として有名な六段もかけましたが、今回はこの曲を米川文子さんの演奏で聞きたいと思います。初代米川文子さんは著名なロシア文学者の米川正夫氏の妹で、1894年生まれ1995年没の生田流箏曲家です。初代の録音はなかなか珍しいのではと思います。この侘び寂感溢れる美しい曲を書いたのは、江戸時代前期の近世筝曲の祖、八橋検校とされています。 <米川文子 / 六段 6分33秒> OTAKARA発見隊 筝曲家 米川文子さん こちらは二代目米川文子さんの紹介番組 「春の海」に戻りまして、1898年生まれの往年の名テノール歌手、藤原義江の管弦楽伴奏歌曲版もありますので、こちらをどうぞ。山田耕筰の歌曲の名唱などで知られるスコットランド人とのハーフの歌手です。 <4 春の海 藤原義江 3分16秒> 藤原義江 Yoshie Fujiwara(Ten.) - 春の海 Haru no Umi (1933) 「春の海」の琴と尺八の組み合わせは他に、宮城道雄の後を継いだ生田流二代目宗家の宮城喜代子と琴古流尺八の青木鈴慕の79年の録音と、宮城道雄にも師事した作曲家でもある唯是震一と都山流尺八の山本邦山の録音などが入っておりまして、特に尺八に芸風の違いが聞こえて興味深いのですが、今回は2018年8月21日に亡くなった二代目青木鈴慕氏の方をおかけしたいと思います。唯是震一と山本邦山の方は、また来年にでもおかけします。 ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週 <6 春の海 宮城喜代子と二世青木鈴慕 6分44秒> ”Haru no Umi” 「春の海」
| 固定リンク
「純邦楽」カテゴリの記事
- 初代篠田実の「紺屋高尾」(2024.09.13)
- 伊丹秀子、国本武春の「紺屋高尾」(2024.09.12)
- 落語版「紺屋高尾」 圓生、歌丸、圓楽、談志(2024.09.11)
- 浪曲「紺屋高尾」(2024.09.09)
- 文弥さん座談会、稀音家浄観、鶴千代師匠(2024.09.06)
「ゼアミdeワールド」カテゴリの記事
- 浪曲「紺屋高尾」(2024.09.09)
- お雪~月夜の題目船(2024.09.02)
- 岡本文弥さんの新内 風物詩「お雪」(2024.08.26)
- 高尾懺悔(2024.08.19)
- 能登の節談説教(2024.08.12)
「筝曲」カテゴリの記事
- ヴァイオリンによる「春の海」(2024.01.10)
- 春の海 宮城道雄自作自演(2024.01.08)
- 沢井忠夫、沢井一恵、山本邦山の「春の海」(2022.01.07)
- 「春の海」自作自演、謡曲「高砂」、民謡、瞽女唄、新内(2021.01.07)
- 都山流尺八の「春の海」(2020.01.09)
コメント