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2019年2月18日 (月)

カラカルパクの伝統音楽

ゼアミdeワールド148回目の放送、日曜夕方に終りました。20日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

ゼアミブログの方で、ウズベクとタジクのポップスで橋渡しをして、タジクに移るような予告をしておりましたが、カラカルパクスタンを忘れておりました。フランスのBudaからDVD付きの盤「カラカルパクスタン~祖先の歌声 Karakalpakistan: The Voice of Ancestors」が出ておりますので、今回はこちらからご紹介します。
カラカルパクスタンは、ウズベキスタン内の自治共和国で、カラカルパクとはカラカルパク語などのトルコ系の言葉では「黒い帽子」の意味になります。カラが黒、カルパクが帽子の意味で、因みに黒海はトルコ語でカラ・デニズです。この国はウズベキスタン西部のアラル海南岸に面する乾燥地帯にありますが、ペルシア文化の影響の色濃いウズベクよりは、カザフやトルクメンの遊牧系文化とのつながりの深い場所で、シャーマニックな吟遊詩人の歌声には明らかに倍音唱法が入っている部分があります。浪曲のようにも聞こえる倍音の入ったダミ声の発声は、明らかにカザフやトルクメンのバフシーなどの吟遊詩人の歌に酷似しています。同じくブダから出ている「アルジェリアのガスバ」と同じく、ボーナスDVD付で、各楽器のデモ演奏的内容の映像が入っています。

まずは浪曲に似て聞こえる倍音の入ったダミ声の例として、一曲目のエディゲをどうぞ。エディゲというのは、カラカルパクの叙事詩語りのようです。擦弦楽器のコビュズを弾き語るのはBakbergen Syrymbetovで、ジャケットのカラ・カルパク(黒い帽子)を被ってコビュズを弾いているのは、この人でしょうか?

<1 Bakbergen Syrymbetov / Edige 2分56秒>
Edige 1


2曲目は女性のドゥタール弾き語りですが、やはりコビュズも伴奏で出てきます。ウズベクのドタールよりも、カザフのドンブラの方に近く感じられます。カラカルパクのバクシー(吟遊詩人)Ziida Sheripovaの演奏です。

<2 Ziida Sheripova / Bolmasa 3分31秒>
ZIYADA SHERIPOVA, INJEGUL SABUROVA, KARAKALPAKSTAN

曲は違いますが、同じ歌い手です。

前半は男性のコビュズ弾き語りと女性のドゥタール弾き語りが交互に入っています。男性のコビュズ弾き語りは、BaksyではなくJyrawというようです。3曲目はBaxtiiar Esemuratovのコビュズ弾き語りですが、本当に浪曲そっくりに聞こえます。

<3 Baxtiiar Esemuratov / Terme 2分49秒>

4曲目はQaraqalpaqtaという曲で、タイトル通り母国についての内容のようです。女性バクシーのOrynbaeva Ulbosyn Alymbaiのドゥタール弾き語りです。

<4 Orynbaeva Ulbosyn Alymbai / Qaraqalpaqta 2分45秒>

5曲目は1曲目のエディゲの2つめの抜粋で、3曲目と同じジロウのBaxtiiar Esemuratovのコビュズ弾き語りです。

<5 Baxtiiar Esemuratov / Edige2 1分57秒>

少し飛びまして9曲目から3曲はベテラン女性歌手Biibiraba Otpberenovaの独唱で、英雄叙事詩のAlpamysや子守歌などが入っています。

<9 Biibiraba Otpberenova / Ne Ko'rdin'kara At, Ne Ko'rdin'? 2分26秒>

後半はドゥタールやコビュズの独奏が続きますが、終わりの方で口琴とシングルリードのクラリネットのような笛、Sybyzgyが出てきますので、3曲続けます。

<20 Xojamuratov Ikram A`bdig`afur / Shashbawli Alti Qiz Namasi 2分18秒>

<21 Esenova Hinjigu`l / Shin'qobiz namasi 57秒>

<22 Xojamuratov Ikram A`bdig`afur / Torg'aj namasi 58秒>

では最後に13曲目のSaparova Tamara Jaqsybaiの歌う子守歌Hawjarを時間まで聞きながら今回はお別れです。何曲か子守歌がありますが、この曲はメロディラインにロシアの影響があるようにも思いました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<13 Saparova Tamara Jaqsybai / Hawjar 2分42秒>
A Karakalpak lullaby with English subtitles (from the book: La steppe musicienne, example 61)

曲は違いますが、これは付録DVD収録の映像です。

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