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2019年3月 4日 (月)

タジキスタンの東西の音楽

ゼアミdeワールド150回目の放送、日曜夕方に終りました。6日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。キング盤と同じ音源のyoutubeはないのではと思いますので、バダフシャンのファラクだけ、演奏者は違いますが、見た中では最も私の持っているイメージに近い演奏を上げておきました。

今回からタジキスタンの音楽巡りになりますが、本放送が3月3日ということで、この曲「うれしいひなまつり」から始めたいと思います。作曲者である河村光陽氏の長女の河村順子さんの名唱です。昭和11年の少女歌手時代のオリジナルSP音源もありますが、これからおかけするのは昭和30年代の録音で、成人されてからの慈しみ溢れる歌唱がとにかく最高です。

<29 河村順子 / うれしいひなまつり 2分40秒>
SP、ステレオ共、youtubeは無しでした。

タジクの初回はウズベクの時と同じく、比較的入手しやすいキングのワールドルーツミュージックライブラリーに組み込まれている「タジクの音楽」からご紹介します。世界的な民族音楽学者・小泉文夫さん死去の後、その教え子の一人だった小柴はるみさんの監修で出た「遊牧の詩~中央アジア、ウズベクの音楽」の姉妹編のような一枚ですが、タジクの方は1987年民音の催しのための来日時の録音で、プロデューサーは故・星川京児さんです。
まずはこの盤からタジキスタンの4州の民謡を花として讃えた軽快な器楽合奏のグルホイ・タジキスタン (タジキスタンの花)と、アフガン・ルバーブ(タジク・ルバッブ)とドイラによる古典曲のチガルポラを続けておかけします。1曲目の楽器編成はルバーブ、擦弦のギジャク、ツィターに似たコーヌーン(カーヌーン)、横笛のナイ、枠太鼓のドイラです。

<1 タジクの音楽 / グルホイ・タジキスタン (タジキスタンの花) 2分2秒>

<2 タジクの音楽 / チガルポラ 2分40秒>

次に都市部のシャシュマカーム系の音楽と分かる例として、ウズベクの名曲「モナージャト」と同じリズムが4曲目のナブルジ・アジャムで聞けますので、こちらをおかけします。ギジャクとドイラによる演奏です。

<4 タジクの音楽 / ナブルジ・アジャム 3分45秒>

ウズベキスタンの南東に接するタジキスタンは、テュルク(トルコ)系の多い中央アジアの国々の中では唯一イラン系のタジク人が中心の国です。中世においては現在のイランよりもむしろこの辺りがペルシア文化の中心で、大詩人のハーフェズやルーミーに先立つペルシア古典詩人の最古参であるルーダキーが生まれたのも、現在のタジクになります。彼はブハラの宮廷に仕え、宮廷詩人として活躍しました。
これまでにウズベクの音楽で出てきましたように、北西部や首都のドゥシャンベなどの都市部ではウズベクと共通するシャシュマカーム系の音楽が多く聞かれるのに対し、東部のパミール高原の険しい山岳地帯にあるバダフシャン地方では、この地の厳しい自然を思わせるような峻厳な旋律が印象に残る独特な伝統音楽が演奏されています。その荒々しく峻厳な音楽を奏でる弦楽器は、名前からルバーブと同系統と分かるルボッブで、洗練されて大らかなシャシュマカームのルバーブとは、一味も二味も違います。形は北インドのサロッドにかなり似た感じになります。アフガニスタンの政治家マスードの出身部族として知られるアフガニスタン北部のタジク族の間でも似た音楽が聞かれます。

タジクの山間部の有名な民謡ファラクが、名歌手ムロドフ・ジュラベクの歌唱で入っていますので、バダフシャン音楽の典型としておかけします。ファラクは、1000年以上前からの古い民謡と言われています。

<7 タジクの音楽 / ファラク 4分18秒>
Гурухи "Само" - Фалак | Gr. "Samo" (Sky) - Falak


タジキスタンのムスリム(イスラム教徒)の間ではスンナ派が多数を占めるのに対し、東部のパミール高原ではシーア派のイスマーイール派の信徒が大部分を占めていて、そのグノーシス主義や新プラトン主義の流れを汲む神秘主義的な教義が、都市部と山間部の音楽の違いに影響しているのかも知れません。

この盤にはシャシュマカームの曲としてイランのセガーに対応するセゴフという曲もありますが、時間の都合で割愛しまして、もう一曲、バダフシャンらしいルボイヨト (四行詩)という曲をおかけしておきます。オマル・ハイヤームのルバイヤートをすぐ様思い出させるタイトルですが、恋人への思いを歌った歌でパミールで古くから知られている曲とのことです。女性歌手ディリドロヴァ・マイサラが歌っています。リズムパターンだけは、先ほどのシャシュマカーム系と思われるナブルジ・アジャムにも似ているのが面白いところです。

<10 タジクの音楽 / ルボイヨト (四行詩) 5分42秒 3分位>

では最後にタジキスタンのワルツという曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。ワルツとありますが、やはり胡旋舞を髣髴とさせるような感じがあります。ルーミーの詩に歌手のムロドフが3拍子の曲を付けています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<15 タジクの音楽 / タジキスタンのワルツ 3分59秒>

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