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2019年4月 1日 (月)

露Kailasのパミール音源

ゼアミdeワールド154回目の放送、日曜夕方に終りました。3日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。カイラス盤と同じ動画は全くなしのようです。ラポだけ前に上げた映像ですが、貼っておきました。パミール・セタールも別な奏者です。次回の4月7日から、夜10時の放送に変わります。



タジキスタンの音楽の5回目になります。今回はロシアのKailasというレーベルから2003年に出た「パミールの伝統音楽」の2枚組からご紹介します。これまでに聞いた中では、オランダのPanの数枚やフランスのBudaのパミールの盤などに並ぶ本格的なバダフシャン音源です。その中でも特に本格的で、曲によっては霊気が漂うような演奏と言っても過言ではないかも知れません。Aryan Memoryという意味深な副題がありまして、これはイラン系アーリア人のルーツの地という意味合いかなと思いました。このレーベルからは、他にはカスピ海北部のロシア連邦内のモンゴル系の共和国、カルムイクの音源もありまして、カルムイクを取り上げた際にかけました。分厚い解説のほとんどがロシア語で、しかも字が非常に小さいので、解読が進んではおりませんでした。



独吟のファラクも冒頭に出てきます。類似の音源は何度もかけていますが、バダフシャンの音楽と言えば、やはりまずファラクですので、今回もこの曲から始めます。ファラクについての「soul cry」という解説の形容がぴったりです。パイシャンベ・ジョルボフの歌唱とありますが、これは僅かな綴りの違いで、前回のトピック盤にも入っていたパンジシャンベ・ジョルボフと同一人物だと思います。



<1-1 Be Parvo Falak 7分17秒>



Smithsonian Folkwaysのバダフシャン・アンサンブルの盤にも入っていたRapoという古い舞踊曲が3テイク入っていて、これが秀逸ですので2曲おかけします。イスマイル派のスーフィー音楽のように、段々とテンポが上がっていく演奏です。ギジャクで演奏されることの多い曲ですが、2枚目の4曲目では笛から始まります。



<2-4 Rapo 3分7秒>

Мадина Акназарова - Памирская (Рапо) | Madina Aknazarova - Pamiri (Rapo)





1枚目の9曲目は、同じラポのギジャクによる演奏です。



<1-9 Rapo (Take 1) 6分46秒>



Badakhshan Ensembleも演奏していたメロディの印象的なAy Pariもありまして、段々テンポの上がる素晴らしい演奏ですが、長いので今回は飛ばしまして、アラブ世界の「ロミオとジュリエット」とも呼ばれる「ライラとマジュヌーン」によるファラク、Falak "Layli & Majnun" (Nasir-i Khosrow)がありますので、そちらをおかけします。イスラム圏の各地に「ライラとマジュヌーン」を題材にした曲がありますが、そのタジク版ということになります。スーフィー(イスラム神秘主義)の教科書とも言われるこの悲恋物語の真髄を表現したような、バダフシャンらしい音楽です。神の比喩である恋人ライラを探し求めて沙漠を彷徨う狂人マジュヌーンを髣髴とさせるものがあります。曲名にイスマイル派の思想家としても知られるナースィル・ホスローの名が見えているので、有名なニザーミー版ではなく、N.ホスローによる「ライラとマジュヌーン」が歌詞かも知れません。



<2-3 Falak "Layli & Majnun" (Nasir-i Khosrow) 7分36秒 ~4分位>



では最後にパミール・セタールの即興演奏を時間まで聞きながら今回はお別れです。イランのセタールとインドのシタールの合いの子のような構造の楽器で、セタールのような繊細な音なのに共鳴弦が付いていて、北インドのラーガ音楽に近い雰囲気を醸し出しています。



今回が今年度最後の放送になります。来年度から本放送のみ日曜の夜10時に変わります。来年度も宜しくお願いします。ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<1-8 Setar Improvisation 8分35秒 抜粋>

Ustad Shavkmamad Pulodov plays the Pamiri Setar

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