« 2019年4月 | トップページ | 2019年6月 »

2019年5月

2019年5月31日 (金)

最近のラヒム・フシュナワーズと彼の息子のルバーブ

最近、と言っても2006年ですから13年前ですが、アフガン・ルバーブの名人Mohammed Rahim Khushnawaz が、イランのトンバク奏者Pedram Khavar Zaminiと共演している映像がありあした。VDEやOcoraの録音からは15年ほど経っているでしょうか。変わらず、歌うような揺るぎない美しいルバーブの音です。ギリシアのクレタ島で開催されたMusical Workshop Labyrinth in 2006のセミナーでの演奏です。そういえば、この頃トンバク奏者のケイヴァン&ビジャン・シェミラーニ兄弟(ジャムシド・シェミラーニの息子)の、色々な国の音楽家との共演盤が次々出ていました。クレタ音楽との共演もありました。
息子のナスィム・フシュナワーズも、父譲りの音色を聞かせていて、将来が楽しみです。

Mohammed Rahim Khushnawaz and Pedram Khavar Zamini

nasim khushnawaz

| | コメント (0)

2019年5月29日 (水)

Mohammad Rahim Khushnawazのオコラ盤

こちらがMohammad Rahim Khushnawazのオコラ盤です。出たのは95年と言うことでVDEの「ヘーラートのルバーブ」と余り変わらない頃でした。もう入手困難だと思いますから、小売店としてもyoutubeに載って一向に構わないです。ドゥタールは、ウズベクやカザフでは共鳴弦無しですが、アフガニスタンのものには先日もありましたように付いているようです。このジャケットを見ても、右のドゥタールのフレットの上側にペグが並んでいるのが確認できます。現物はかなり前に売り切って手元にないので、音は忘れておりました。久々に聞くと色々発見があるものです。解説がないので詳細不明ですが、カブールとヘーラートのどちらのレパートリーが多いのか、当ててみたくなりました。歌を聞かせるようなルバーブ演奏という点では不変です。

Ustad Rahim Khushnawaz & Gada Mohammad ~ Chahârbeiti Siâhmu Wa Jalali (1995) [Afghanistan]

| | コメント (0)

2019年5月27日 (月)

アフガン・ルバーブと鳥の囀り

ゼアミdeワールド162回目の放送、日曜夜にありました。29日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。



アフガニスタンの音楽の3回目になります。今回は前回予告しておりました通り、スイスのVDE-Galloから出ていた「ヘーラートのラバーブ」から、鳥の鳴き声が入る後半の曲をおかけしたいと思いますが、その前に前回ラストにかけられなかった3曲目からおかけします。結婚式にヘンナで手を染める習慣を歌ったアフガニスタンで広く知られている結婚の歌とのことです。



<3 Mohammad Rahim Khushnawaz / Heina be karha 2分42秒>



この盤では西部のヘーラート調の曲と、東部の首都であるカブールの器楽の両方を演奏していまして、後半のカブールのレパートリーでは、弟のタブラ伴奏が入ります。彼はカナリアの籠を携えてきたので、鳥の鳴き声が入って来る部分があります。最初知らずに聞いた時は非常にびっくりしたものですが、同時にとても感動的なシーンでもあります。ヘーラートでは鳥の声は音楽の美しさを頂点にまで導くと考えられているそうです。私も西条の風の丘墓地公園での樹木葬朗読会のチェロ伴奏で、鳥の囀りが合いの手のように入った時は、他では得難い感銘を覚えましたが、そのことを思い出します。

鳥の声が入ったトラックは何曲かありますが、まずは13分余りの9曲目からおかけします。ヘーラートの有名な悲恋物語のシャーハムとジャラーイに伴う旋律とのことですが、ラバーブ奏者のモハンマド・ラヒム・ホシュナワーズは、これにイランのポピュラーな歌アーミネと、ヘーラートの伝統的な舞踊のアウシャリを付け加えて演奏しています。タブラ伴奏は、彼の弟のモハンマド・ナイムです。



<9 Mohammad Rahim Khushnawaz / Chaharbeiti Siahmu wa Jalali ~ Amine ~ Aushari 13分22秒>

Chahârbeiti Siâhmu wa Jalâli / Âmine / Aushari





続いて12曲目のNaghma-ye kashal, Rag Bihagという曲ですが、ラヒムの父が1930年代にカブールの音楽家ナビ・ゴル師から教わった曲で、北インド古典音楽でお馴染みのラーガ・ビハグですが、カブールの古典音楽の様式を示しているとのことです。この曲も10分余りありますが、最初の辺りからカナリアが囀っています。

もし時間が余りましたら、11曲目のモゴル・ドクタル(モンゴルの娘)という曲を予定していましたが、時間切れのためカットします。

前回1曲目の旋法のバイラミ・ガンダール(カンダハールあるいはガンダーラ?)を、濁点を見落としてカンダールと読んでいました。お詫びして訂正いたします。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<12 Mohammad Rahim Khushnawaz / Naghma-ye kashal, Rag Bihag 10分6秒>

Naghma-ye kashâl, Râg Bihâg

| | コメント (0)

2019年5月24日 (金)

Mohammad OmarのRabab

プラヤサウンド盤のラバーブ奏者モハンマド・オマルですが、mohammad omar rababと検索すると色々と出てきました。この人で間違いないでしょう。プラヤ盤でタブラ伴奏になっていたように、ラーガに忠実な演奏のように思います。このRaag Bihagなどは、サロッドの演奏を聴いているのかと錯覚してしまいそうです。
このプラヤ盤のゼルバガリ奏者ですが、Malang Najrabiと名前の表記がありました。多分ここ数日見ていたゼルバガリ奏者だろうと思います。90年に初めて聞いたプラヤ盤の冒頭のインパクト強いゼルバガリは、彼だったようです。

Ustad Mohammad Omar - Raag Bihag

| | コメント (0)

2019年5月23日 (木)

サーズ、ドゥタール、タンブール

昨日の一本目のビワ形の弦楽器は、タンブールではなくてドゥタールかもと後で気付きまして、調べてみました。アフガンのタンブールのように共鳴弦はなく、ペグを見る限り弦は確かに2本のようでした。Saazという表記も見かけますが、どれが正しいのか、頭の中は?に。タイトルに「ホラサーンのナヴァー」とあったように、ヘーラートの音楽家のようです。一方でゼルバガリ奏者(Ustad Malang?)の妙技にも非常に惹かれまして、他の映像を調べたら、ドゥタールとの演奏と、ディルルバとの演奏がありました。ドゥタールの方は、共鳴弦がたくさん付いているようです。これがドゥタールなら、昨日の楽器は? これを見て、?が二個になりました(笑)
Saazという表記は、3本目にありました。ここに出ている楽器は、左から両面太鼓のドール(またはドホル)、タンブール、ルバーブ、件のビワ形弦楽器、ディルルバ、ゼルバガリ、タブラですから、やはりサーズと言うのが昨日の一本目の楽器名でしょうか。トルコのサズは3弦(復弦なので実際は6本)ですから、1本少ないようです。

Dutar & Zer baghali _ Ustad Malang & Herawi.

Afghan Music - Yaaran-e Mazari 2

Saaz e Dohl Tabla Zeer Baqali Tanbur Rabaab Va Delrobaa - Navaa e Xoraasaan

| | コメント (0)

2019年5月22日 (水)

タンブールとゼルバガリ

アフガンのタンブールとゼルバガリの組み合わせでは、1本目は大分前から見かける動画です。二人の熟練の掛け合いには唸ってしまいます。タンブールは映像が悪いせいかフレットレスに見えますが、どうなのでしょうか。VDE盤のカナリアの囀り入りは162回目でかけますが、鳥がいなければ、口笛で真似てみようという風にも見えます(笑)
2本目は、先日のハザラ人と思われる二人の演奏のようですが、3年経って少年が大分大きくなっています。二つ太鼓(ゼルバガリではなくジャンベ2つ?)を使って、タブラ的なテクニックを取り入れています。少年は少しアーリア的な感じですが、彼の父でしょうか、タンブール奏者ははっきりハザラ的に見えます。相変わらず、フラメンコのラスゲアード風な右手のテクニックが冴えています。

Ostaad Malang Va Ostaad Rahim Caahaabii - Qqataqani - Navaa e Xoraasaan

dambora and zerbaghaly by sena jan

| | コメント (0)

2019年5月20日 (月)

ヘーラートのルバーブと

ゼアミdeワールド161回目の放送、日曜夜にありました。22日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。Mohammad Rahim Khushnawazはオコラ盤(入手出来てなくて無念)もある有名なルバーブ奏者ですので、youtubeも色々あります。VDEの1曲目はライブ動画がありました。3曲目は入らなかったので、また次回かけたいと思います。プラヤ盤の方は解説が簡素なのもありますが、録音も古いので出てくるかどうか分かりませんが、また演奏者名で検索してみます。



アフガニスタンの音楽の2回目になります。今回もフランスのプラヤサウンドの盤「アフガニスタンの器楽と歌」の残りの2曲からご紹介したいと思います。



6曲目に出てくるのは、弦楽器タンブールの演奏ですが、タブラの伴奏付きです。先週の終わりころにかけたアフガン・ラバーブが北インドのサロッドの親なら、アフガニスタンのタンブールは北インドのシタールの直接の親に当たるようです。ペルシアのセタール系の弦楽器と中央アジアのタンブールがアフガンの地で融合したとされています。棹は先まで手が届かない程長いのに対し胴が小さく、共鳴弦が多いので、演奏が非常に難しく若手後継者がほとんどいないそうで、これは貴重な録音になるようです。北インドの音楽の序奏のアーラープに当たる部分はここでは短く、すぐにタブラが入ってリズミカルな部分に移ります。



<6 Solo de tumbur accompagne de tabla 5分32秒>



7曲目は再びアフガン・ラバーブの演奏で、タブラ伴奏付きです。前回は2曲ともフェイドアウトになってしまいましたので、今回は6分余り全ておかけします。アフガニスタンのラバーブは、横から見ると胴が分厚く、船のような形をしています。この形からあの柔らかく幽玄な音が生まれるのだろうと思います。胴のくびれは、かつて弓でこすって演奏していた名残と言われます。中央アジア各地のラバーブでは、胴のくびれの痕跡は残っていますが、棹がぐんと長くなりフレットも増えて、完全に撥弦楽器の形に変わります。アフガン・ルバーブの演奏する弦は3本ですが、他にドローンを鳴らす2本の弦と15本位の共鳴弦が張られています。



<7 Musique du nord jouee au rabab 6分19秒>



ラバーブの演奏比較と言うことで、この後はスイスのVDE-Galloから出ていた「ヘーラートのラバーブ」からご紹介します。90年代には日本のクラウンから国内盤としても出ておりました。アフガニスタンの音楽は、西はイランとの類似性が多く、東と南はインド~パキスタンの影響が濃厚で、北はタジクのバダフシャンとほとんど同じの場合が多いですが、ヘーラートは西部に位置するので、イラン色が色濃い地域と言うことになります。と言うよりも、この辺りは元はイラン東部のホラサーン地方の東側に入っていて、「ホラサーンは宇宙のかきの殻で、ヘーラートはその真珠である」とまで古い諺に言われた程のホラサーンの中心地でした。アレクサンダー大王が建設したとされるヘーラートは、ティムール朝の時代にはサマルカンドと並ぶ大都市でした。

この盤のラバーブ奏者モハンマド・ラヒム・ホシュナワーズは、ヘーラートに住む代々の音楽家の出身で、1974年の録音当時にはヘーラート最高のラバーブ奏者と言われる存在でした。プラヤ盤のモハンマド・オマルとは、明らかに芸風が違うことがよく分かるかと思います。タブラ伴奏をしているのは、彼の弟のモハンマド・ナイムです。



まずは1曲目のSheikh Ahmad-e Jamですが、ホラサーン地方のスーフィー聖者Sheikh Ahmad-e Jamの墓にまつわる曲で、ヘーラートではよく知られた曲とのことです。このシェイフは、スルタンのお気に入りの象を生き返らせた後、熱狂的な神学者の扇動によって処刑されたそうです。曲の旋法はバイラミ・カンダール(カンダハール?)、韻律はダードラとあります。インド音楽での旋律とリズムの体系のラーガとターラを想起させますが、ターラと言わずに韻律と呼んでいるように、「楽器による歌詞のない詩の朗誦」ということを強く感じさせる美しいラバーブ演奏です。



<1 Mohammad Rahim Khushnawaz / Sheikh Ahmad-e Jam 3分34秒>

RAHIM KHUSHNAWAZ 2 AFGHAN RUBAB





Rahim Khushnawaz - raag Ahir Bhairav



もう少し音が大きくしっかり聞こえる映像です。朝のラーガの一つ、アヒル・バイラヴを演奏しています。



この盤では西部のヘーラート調の曲と、東部の首都であるカブールの器楽の両方を演奏しています。その違いは自由リズムの導入部分と、与えられた特定のリズムの曲との差にありまして、導入部分はシャクルと呼ばれ、これは「顔」を意味します。この即興的に演奏されるシャクルの部分で、音楽家は曲の旋法の主要な特徴を表現しようと努めます。モハンマド・ラヒム・ホシュナワーズはシャクル演奏の名手ですから、彼の演奏はヘーラート様式の典型例と言えます。ヘーラート調の曲は、元はドゥタール演奏と結びついた曲が多いようです。

この録音のカブールのレパートリーでは、弟のタブラ伴奏が入りますが、彼はカナリアの籠を携えてきたので、鳥の鳴き声が入っています。ヘーラートでは鳥の声は音楽の美しさを頂点にまで導くと考えられているそうです。



解説が長くなりました。この後は2曲目のGol-e zardと3曲目のHeina be karhaを時間まで聞きながらお別れです。2曲目はヘーラートの詩人トゥラビによるヘーラート訛りの曲、結婚式にヘンナで手を染める習慣を歌った3曲目はアフガニスタンで広く知られている結婚の歌です。余談ですが、ヘーラートでは主にイラン系のダリー語が話され、ホラサーンのタジク人であることを強調するそうです。

鳥の鳴き声が入る後半の曲は長いので、次回おかけしたいと思います。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<2 Mohammad Rahim Khushnawaz / Gol-e zard 4分28秒>

<3 Mohammad Rahim Khushnawaz / Heina be karha 2分42秒>

| | コメント (0)

2019年5月17日 (金)

ハザラ ディルルバ

先日の超絶技巧のゼルバガリ奏者、何となく日本人にもいそうな感じでしたから、もしかしたらハザラ人かもと思いました。モンゴル帝国の末裔と言われる少数民族のハザラ人は、アフガニスタンの真ん中辺りに住んでいるようです。バーミヤンもハザラ人の居住地域でした。
1本目の弦楽器はダンボーラとありますので、ハザラのタンブール系弦楽器のようです。少年の叩いている太鼓はゼルバガリとあります。結構モダンな作りの楽器に見えます。
2本目はインド北部で弾かれる擦弦楽器のディルルバが、アフガニスタンでも弾かれていることが分かる古い映像です。主にベンガルで弾かれる小型のものはエスラジと呼ばれます。このタンブールとディルルバによる演奏は、1974年のイラン南部シーラーズでの映像。まだ今よりは平和だったこの頃は、こういう文化交流も盛んだったのでしょう。

Hazaragi old song by Sina Sultani jaghori

Afghan music at Shiraz Arts Festival, tambur & dilruba solos

| | コメント (0)

2019年5月15日 (水)

ゼルバガリ

1990年にCDで出たプラヤサウンド盤でzer-barhaliを初めて知ったので、ずっとゼルバルハリと思っていましたが、RをGに変えればzer-baghaliで、こちらのゼルバガリの方ではるかによく目にするので、プラヤ盤で単に綴りを間違えていただけでしょうか?(昔はよくありました)
zer-baghaliで検索すると、シタールのルーツと言われる超長棹のタンブールや、サロッドの親に当たるアフガン・ルバーブとの共演映像がたくさんありました。どちらの弦楽器の妙技・妙音も、それはそれは素晴らしいのですが、1本目のアフガン・ルバーブの方でのゼルバガリ奏者の超絶技巧に大変驚きました。イランのトンバクと北インドのタブラの両方のテクニックを取り入れている感じです。2本目のまるでチャイハネで聞いているようなタンブールの伴奏の方も、のどかで味があって、とてもいいです。ゼルバガリは、トンバクの口径の小さいものと、ほぼ同じ大きさのようです。

Duo Gholam Hussein & Ghulam Nejrawi / Afghanistan

Tanboor & Zerbaghali _ Bahawudin - Qataghani old taknawazi

| | コメント (0)

2019年5月13日 (月)

アフガニスタンの器楽と歌

ゼアミdeワールド160回目の放送、日曜夜にありました。15日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。プラヤサウンド、エアメイル共に活動停止していて、現在は入手困難です。youtubeはエアメイルの音源でありました。



Air Mail Music - Afghanistan





今回からアフガニスタンの音楽を聞いて行きたいと思います。アフガニスタンと聞くと政情不安のイメージが強く、西アジア、中央アジア、インドの3つの文化を中心に、古代の仏教が盛んな頃のギリシア系までもが重層的に重なるこの国の文化や音楽は、一般には余り知られてないように思います。主要言語のダリー語、パシュトー語、タジク語は、いずれもイラン系の言語という点も、ほとんど知られていないことかも知れません。少数民族として、モンゴル系のハザラ人がいて、おそらくモンゴル帝国時代の末裔と思われます。



アフガニスタン伝統音楽の音源と言えば、LP時代にコロムビアの5枚組がありまして、私は所有出来ていませんが、これは70年代の貴重録音で決定盤的な内容でした。1980年前後のソ連侵攻以後の政情不安から、ほとんど伝統音楽も聞こえてくることがなかったように思いますが、昔の録音を中心に、在外のアフガン人の最近の音源も徐々に増えてきて、22枚くらいはリリースを確認しています。今日おかけするフランスのプラヤサウンドの盤「アフガニスタンの器楽と歌」も70年代の録音で、この録音が再発されたエアメイルの盤について2002年に音楽之友社から出た「世界の民族音楽ディスクガイド」に書いた拙稿を読み上げてみます。



イランのトンバクやカシミールのトンバクナーリのように低音の豊かな片面太鼓ゼル・バルハリ(あるいはゼルバガリ)の独奏に始まり、北インドのサロッドの祖として名高いアフガン・ラバーブの演奏(タブラ伴奏)、サーリンダやギチャクのような夕焼け空のような音色の擦弦楽器リチャクの弾き語り(ゼル・バルハリ伴奏)等。今や貴重なアフガンの古典的名演が堪能できる貴重な盤の一つ。元のプラヤサウンドのLPは1980年リリースなので、ソ連のアフガン侵攻以前の平和な頃の録音と思われる。ラバーブ奏者はモハンマド・オマル、リチャクと歌はモハンマド・ナイム他。土産物的な装丁だが、エアメイルシリーズには、たまにこういう貴重音源があるので、要注意!



私の手元にあるのは、元のPLAYASOUND盤の方です。まずは片面太鼓ゼル・バルハリの独奏ですが、北インドの16ビートのターラである、ティーンタールに則った演奏です。音色はイラン、リズムパターンでは北インドを向いているということになります。



<1 Solo de zer-barhali-rythme tintal 4分5秒>



2曲目は擦弦楽器リチャクの弾き語りに、ゼル・バルハリの伴奏がつきます。リチャクの代わりにドゥタールの弾き語りもYouTubeでよく見かけますが、これらは典型的なアフガンの語り物のスタイルです。



<2 Chant accompagne par un ritchak et un zer-barhali 7分16秒>



3曲目のToolahという横笛は、音域から推測するに北インドのバンスリよりも短いと思われますが、爽やかな音色が印象的です。伴奏の太鼓は、北インドのタブラに代わりますが、リズムパターンは同じと言っていいようです。



<3 Solo de toolah accompagne de tabla 4分53秒>



4曲目でアフガニスタンの国民的な楽器ラバーブが登場します。北インドのサロッドの親に当たる弦楽器で、とても玄妙な音色を持った楽器です。



<4 Musique du nord jouee au rabab 5分44秒>



素晴らしい盤ですので、7曲全てかけたいと思いますが、今回は5曲目のラバーブ演奏を時間まで聞きながらお別れです。タブラと持続音のタンプーラの伴奏の、北インドのラーガ音楽のスタイルによるアフガニスタン古典音楽の演奏です。サロッドとタブラのラーガ演奏と比較すると面白いと思います。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<5 Musique classique afghane de la tradition de l'inde du nord 9分4秒>

| | コメント (0)

2019年5月10日 (金)

サトとヴァイオリンの対話

アブドゥヴァリ・アブドラシドフの演奏は、コラボ中心に他にも見れるようです。「Dialogue des Cordes(弦の対話)」と題する今日の一本は、正にサトとヴァイオリンの対話。素晴らしい演奏に耳が釘付けです。サトは、シタールや琵琶のようにフレットが高いので、深い音の揺れを表現できて、豊かな低音がたまに左手のピチカートで出てきます。解説によると、曲はペルシア音楽で、作曲はAbduvali AbdurashidovとShafaq Farrokhzad、楽器はサト(弓奏タンブール)とヴァイオリン、とあります。女性ヴァイオリニストは、Shafaq Farrokhzadという名ですから、イラン系の名前に見えますが、タジキスタンのウズベク人とタジク人のデュオでした。Shafaq Farrokhzad(Shafak Kasymovaが本名あるいは旧姓?)は首都ドゥシャンベ生まれで、タジキスタンで演奏活動と音楽大学での指導、その後フランスに留学し、教育の上級ディプロマと室内楽のディプロマを取得されたようです。

ツイッターではお知らせしましたが、水曜のゼアミdeワールド160回目収録の前に、番組紹介番組のインタビューを受けました。放送は来週月曜と土曜の朝7時25分からで、5分番組です。13日と18日の朝です。宜しければ是非お聞き下さい。

Dialogue des Cordes

| | コメント (0)

2019年5月 9日 (木)

Sirojiddin Juraevのドタールの妙技

youtubeのイメージと言うのは実に大きくて、イランMahour Instituteの「トランスオクシアナのドタール」で妙技を聞かせたゴザル・ムミノヴァのイメージが強いかも知れない、Qosh tar [Deux cordes 二本の弦]ですが、Sirojiddin Jurayevが50年前の音源からコピーし採譜した版による演奏で、ゴザル・ムミノヴァも彼の版で弾いていた、と言うのは、ほとんど知られていないことかも知れません。今日の一本はSirojiddin Juraevの、おそらく数少ない生映像です。フラメンコのラスゲアードにも似た細やかな右手のストロークが、2弦とは思えない微細な音を紡ぎだしています。最初のアルペジオのような弾き方は、欧米人にとっつきやすく感じられるようにと思ってのことでしょうか。

Sadoi Sharq - Sirojiddin Juraev

| | コメント (0)

2019年5月 8日 (水)

Abduvali Abdurashidovの生演奏

サトと聞くと、どうしても往年のウズベク音楽の巨匠トゥルグン・アリマトフのイメージで固定している感じですが、このタンブールの音のする擦弦楽器を操る名手が、現代にもいたことを確認できて嬉しい限りです。ピアノと合うかどうかはさておき、サトの枯れた味わいは最高です。この人は92年のオコラ2枚組「中央アジア 古典音楽の伝統」の頃は、まだ若手だったのでしょう。タンブールはそもそも、個人的にはラバーブやドタールと並んで最も好きな中央アジア~シルクロードの撥弦楽器です。どれが一番か甲乙つけがたいです。

Opening of the Dushanbe international jazz festival 2017

| | コメント (0)

2019年5月 6日 (月)

サトの名人

ゼアミdeワールド159回目の放送、日曜夜にありました。8日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。



令和に入っての初回は、タジキスタンの音楽の7回目になります。特にバダフシャン関係で他にも何枚かありましたが、いずれも品切れしてしまっておりますので、タジクのシリーズは一応今回でラストにします。何回か前にないないと言っていたタジクのシャシュマカーム関係の音源が、割と最近の2012録音のオコラ盤にありました。アブドゥヴァリ・アブドゥラシドフの「タジキスタンの古典的な音楽と歌」という盤で、弓で弾くウズベキスタンの弦楽器、サト(弓奏タンブール)の名手です。ウズベク族の出身ということですから、やはりタジクにおいてシャシュマカームを担っているのは、ウズベク人ということになるのだろうと思います。この人は93年のオコラの名盤「中央アジア 古典音楽の伝統」の2枚組にも出てきた人で、それから録音時期が20年ほど経っています。サトを弾いているのはアブドゥヴァリ・アブドゥラシドフですが、歌っているのはOzoda Ashurovaという女性歌手です。Sirojiddin JurayevのドタールによるQosh tar [Deux cordes]も出てきますので、後程おかけします。打楽器のdoyraは、Bekhruz Naimという人です。



まずは、一曲目のBiraqsam [Et si je dansais そして私が踊ったら]からです。サトの音色を聞くと、どうしても往年のトゥルグン・アリマトフを思い出してしまいますが、アブドゥヴァリ・アブドゥラシドフは最良の後継者の一人なのではと思います。



<1 Abduvali Abdurashidov / TAJIKISTAN:Classical Music and Songs ~Biraqsam 3分27秒>

Biraqsam (Et si je dansais)





2曲目のDugah khusainiでは、サトの他に女性歌手、ドタール、ドイラも入って、ぐっとシャシュマカーム色が濃厚に出てきます。



<2 Abduvali Abdurashidov / TAJIKISTAN:Classical Music and Songs ~Dugah khusaini 5分26秒>

Dugâh khusaini





少し飛んで5曲目がQosh tar [Deux cordes 二本の弦]というドタールの技巧的な独奏曲です。演奏しているSirojiddin Jurayevが50年前の音源からコピーし採譜した版による演奏で、イランMahour Instituteの「トランスオクシアナのドタール」で妙技を聞かせたゴザル・ムミノヴァも彼の版で弾いていました。



<5 Abduvali Abdurashidov / TAJIKISTAN:Classical Music and Songs ~Qosh tar 3分55秒>

Qosh Tar (Abduvali Abdurashidov Ensemble)





ウズベクの時に何度か取り上げましたUshoqi samarqandも14曲目に入っておりまして、前は確かラバーブが中心で、サトによる独奏は初めてだったように思います。シルクロードの古都サマルカンドを髣髴とさせる曲です。



<14 Abduvali Abdurashidov / TAJIKISTAN:Classical Music and Songs ~Ushoqi samarqand 6分34秒>

Ushoqi samarqand





では最後に、この盤のラストを飾っているYor gulsumane [Ma gulsuman bien-aimee 私の最愛のグルスマン]という曲を聴きながら、今回はお別れです。枠太鼓ドイラだけの伴奏で、おそらく演奏者全員が歌っている軽快な曲です。アンコールピースなのかなと思います。

もし時間が余りましたら、3曲目に戻ってNavruzi ajam [Le nouvel an persan]を時間までおかけします。オコラの「中央アジア 古典音楽の伝統」の2枚組では、ノウルーズ・サバーを弾いていましたが、旋法違いということかと思います。イラン歴の新年ノウルーズに因んだと思われる、サトとドタールのいかにも中央アジアらしい二重奏です。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<16 Abduvali Abdurashidov / TAJIKISTAN:Classical Music and Songs ~Ma gulsuman bien-aimee 2分33秒>

<3 Abduvali Abdurashidov / TAJIKISTAN:Classical Music and Songs ~Navruzi ajam 5分18秒>

| | コメント (0)

2019年5月 3日 (金)

イスカンダロヴァのパミール舞踊とアイ・パリ

GW中で今週はアップが二回になりました。タジクも5日放送分がラストになりましたが、もう少しパミール~バダフシャン関係を見ておきたいと思います。一本目はオランダPan「イスマイル派の詩と歌」のラストを飾っているDargilik / Lala'ikを歌っていたザラグル・イスカンダロヴァが、パミールの伝統舞踊を披露しているようですが、やはりこの人がジャケットを飾っていたダフを構えた婦人でしょうか? あの印象的な歌を歌っていた人の舞踊ということで、実に味わい深いものがあります。
二本目は何度かかけたアイ・パリ(あるいはエイ・パリ)のラバーブ弾き語りです。この旋律には激しくデジャビュ感を刺激されますが、確か10年前にブログでウイグルを回っている際にウイグル側のタジク人の歌で聞いたように思いますが、なかなか記憶が辿れなくなっています。パミールらしい美しい旋律だと思います。
放送では言及しましたが、イスカンダロヴァと聞くと宇宙戦艦ヤマトでお馴染みの「イスカンダル」との類似に気が付く人が多いかと思います。アラビア語でアレキサンドリアのことですと言いましたが、実はアレキサンダー大王のことで、エジプトの大都市アレキサンドリアのアラビア語はイスカンダレイヤでした。お詫びして訂正しておきます。

Zaragul Iskandarova - Pamiri Dance

Ey Pari (Pamir song) Ей Пари

| | コメント (0)

« 2019年4月 | トップページ | 2019年6月 »