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2019年5月20日 (月)

ヘーラートのルバーブと

ゼアミdeワールド161回目の放送、日曜夜にありました。22日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。Mohammad Rahim Khushnawazはオコラ盤(入手出来てなくて無念)もある有名なルバーブ奏者ですので、youtubeも色々あります。VDEの1曲目はライブ動画がありました。3曲目は入らなかったので、また次回かけたいと思います。プラヤ盤の方は解説が簡素なのもありますが、録音も古いので出てくるかどうか分かりませんが、また演奏者名で検索してみます。



アフガニスタンの音楽の2回目になります。今回もフランスのプラヤサウンドの盤「アフガニスタンの器楽と歌」の残りの2曲からご紹介したいと思います。



6曲目に出てくるのは、弦楽器タンブールの演奏ですが、タブラの伴奏付きです。先週の終わりころにかけたアフガン・ラバーブが北インドのサロッドの親なら、アフガニスタンのタンブールは北インドのシタールの直接の親に当たるようです。ペルシアのセタール系の弦楽器と中央アジアのタンブールがアフガンの地で融合したとされています。棹は先まで手が届かない程長いのに対し胴が小さく、共鳴弦が多いので、演奏が非常に難しく若手後継者がほとんどいないそうで、これは貴重な録音になるようです。北インドの音楽の序奏のアーラープに当たる部分はここでは短く、すぐにタブラが入ってリズミカルな部分に移ります。



<6 Solo de tumbur accompagne de tabla 5分32秒>



7曲目は再びアフガン・ラバーブの演奏で、タブラ伴奏付きです。前回は2曲ともフェイドアウトになってしまいましたので、今回は6分余り全ておかけします。アフガニスタンのラバーブは、横から見ると胴が分厚く、船のような形をしています。この形からあの柔らかく幽玄な音が生まれるのだろうと思います。胴のくびれは、かつて弓でこすって演奏していた名残と言われます。中央アジア各地のラバーブでは、胴のくびれの痕跡は残っていますが、棹がぐんと長くなりフレットも増えて、完全に撥弦楽器の形に変わります。アフガン・ルバーブの演奏する弦は3本ですが、他にドローンを鳴らす2本の弦と15本位の共鳴弦が張られています。



<7 Musique du nord jouee au rabab 6分19秒>



ラバーブの演奏比較と言うことで、この後はスイスのVDE-Galloから出ていた「ヘーラートのラバーブ」からご紹介します。90年代には日本のクラウンから国内盤としても出ておりました。アフガニスタンの音楽は、西はイランとの類似性が多く、東と南はインド~パキスタンの影響が濃厚で、北はタジクのバダフシャンとほとんど同じの場合が多いですが、ヘーラートは西部に位置するので、イラン色が色濃い地域と言うことになります。と言うよりも、この辺りは元はイラン東部のホラサーン地方の東側に入っていて、「ホラサーンは宇宙のかきの殻で、ヘーラートはその真珠である」とまで古い諺に言われた程のホラサーンの中心地でした。アレクサンダー大王が建設したとされるヘーラートは、ティムール朝の時代にはサマルカンドと並ぶ大都市でした。

この盤のラバーブ奏者モハンマド・ラヒム・ホシュナワーズは、ヘーラートに住む代々の音楽家の出身で、1974年の録音当時にはヘーラート最高のラバーブ奏者と言われる存在でした。プラヤ盤のモハンマド・オマルとは、明らかに芸風が違うことがよく分かるかと思います。タブラ伴奏をしているのは、彼の弟のモハンマド・ナイムです。



まずは1曲目のSheikh Ahmad-e Jamですが、ホラサーン地方のスーフィー聖者Sheikh Ahmad-e Jamの墓にまつわる曲で、ヘーラートではよく知られた曲とのことです。このシェイフは、スルタンのお気に入りの象を生き返らせた後、熱狂的な神学者の扇動によって処刑されたそうです。曲の旋法はバイラミ・カンダール(カンダハール?)、韻律はダードラとあります。インド音楽での旋律とリズムの体系のラーガとターラを想起させますが、ターラと言わずに韻律と呼んでいるように、「楽器による歌詞のない詩の朗誦」ということを強く感じさせる美しいラバーブ演奏です。



<1 Mohammad Rahim Khushnawaz / Sheikh Ahmad-e Jam 3分34秒>

RAHIM KHUSHNAWAZ 2 AFGHAN RUBAB





Rahim Khushnawaz - raag Ahir Bhairav



もう少し音が大きくしっかり聞こえる映像です。朝のラーガの一つ、アヒル・バイラヴを演奏しています。



この盤では西部のヘーラート調の曲と、東部の首都であるカブールの器楽の両方を演奏しています。その違いは自由リズムの導入部分と、与えられた特定のリズムの曲との差にありまして、導入部分はシャクルと呼ばれ、これは「顔」を意味します。この即興的に演奏されるシャクルの部分で、音楽家は曲の旋法の主要な特徴を表現しようと努めます。モハンマド・ラヒム・ホシュナワーズはシャクル演奏の名手ですから、彼の演奏はヘーラート様式の典型例と言えます。ヘーラート調の曲は、元はドゥタール演奏と結びついた曲が多いようです。

この録音のカブールのレパートリーでは、弟のタブラ伴奏が入りますが、彼はカナリアの籠を携えてきたので、鳥の鳴き声が入っています。ヘーラートでは鳥の声は音楽の美しさを頂点にまで導くと考えられているそうです。



解説が長くなりました。この後は2曲目のGol-e zardと3曲目のHeina be karhaを時間まで聞きながらお別れです。2曲目はヘーラートの詩人トゥラビによるヘーラート訛りの曲、結婚式にヘンナで手を染める習慣を歌った3曲目はアフガニスタンで広く知られている結婚の歌です。余談ですが、ヘーラートでは主にイラン系のダリー語が話され、ホラサーンのタジク人であることを強調するそうです。

鳥の鳴き声が入る後半の曲は長いので、次回おかけしたいと思います。



ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週



<2 Mohammad Rahim Khushnawaz / Gol-e zard 4分28秒>

<3 Mohammad Rahim Khushnawaz / Heina be karha 2分42秒>

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