バッタチャリア録音のアフガニスタン argo
ゼアミdeワールド166回目の放送、日曜夜にありました。26日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。
アフガニスタンの音楽の6回目になります。今回はイギリスのargoから出ていたアーゴ民族音楽シリーズの11枚目「アフガニスタンの音楽」からご紹介します。手元にあるのは、98年リリースの同内容の日本ポリグラム盤です。インドの世界的な民族音楽学者のデベン・バッタチャリアが、1955年と70年にカブールで録音してきた音源です。大変お世話になった明治大学教授の故・江波戸昭先生監修のシリーズで、インド周辺だけでなく世界中の伝統音楽が網羅されています。これまでかけた中では一番古い音源で、伝統音楽がしっかり根付いていた頃の、より生々しい演奏が記録されています。一部重なるバッタチャリアの音源は、イギリスのARCからも出ておりまして、次回補足でかけると思います。
まずは、一曲目のギチャク弾き語りとゼルバガリの伴奏で、アフガン・ペルシア語とも言われるダリー語の恋歌「Goftamash Ai Nazaneen」をどうぞ。録音は1970年で、ギチャクは1914年生まれの名手Muhammad Naim Mazari、ゼルバガリは色々な盤でもうお馴染みのマラン・ネジラビです。彼は1942年生まれのようです。
<1 Goftamash Ai Nazaneen 6分16秒>
2曲目のBattle Tune(戦闘の音楽)は1955年の録音で、アフガニスタン北部のトルクメンやウズベクと同一系統の民族が伝えた非常に古い歌の旋律による曲とのことです。けたたましいダブルリード管楽器のスルナイと、両面太鼓ドールによる勇壮な音楽です。
<2 Battle Tune 2分13秒>
5曲目は1970年録音のルバーブの独奏です。やっぱりこの楽器の音色が、一番アフガニスタンらしいように思います。演奏はルバーブがウスタッド・ムハンマド、ドール伴奏がグル・アラームです。
<5 Rubaba 2分8秒>
6曲目はパシュトゥー語の恋歌で、これも1970年の録音で、ギチャクとゼルバガリの演奏者は1曲目と同じMuhammad Naim Mazariとマラン・ネジラビです。バッタチャリアの解説によると、パシュトー語はインドのサンスクリット(梵語)起源になっています。現在も支持される説かどうかは分かりませんが、例のパシュトゥーンのルーツに当たるサカ族と釈迦族が元は同じ民族という、ビックリ仰天の説を思い出します。この曲はアフガニスタン南部のカンダハールに住んでいたパシュトゥー人が伝えた民謡が元ではないかと言われているそうですが、そのカンダハールという地名も古代のガンダーラに由来する説があるようです。
<6 Pashto Love Song 5分36秒>
7曲目は1955年録音のダリー語の恋歌で、アブドゥル・カーデルによる切々とした男性の独唱です。
<7 Dari Love Song 2分50秒>
では最後に4曲目のパシュトー語の「遊牧民の歌」を聞きながら、今回はお別れです。ギチャクとゼルバガリの演奏者は、これまでの数曲と同じMuhammad Naim Mazariとマラン・ネジラビです。
「娘は結婚して、この種族から去る時に、母に“さよなら”を言いました。それから、彼女は母親から贈ってもらいたいと思っていた贈り物について語ります。そして遠くに去って行きます。」と連綿と歌われています。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<4 Tribal Song 8分33秒>
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