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2019年7月

2019年7月30日 (火)

PANFILI & FRIENDS

「パリからカルカッタへ」関連は他に見当たらないようですので、先週の話題に戻ります。ルーマニア系の国モルドヴァ出身の女流ヴァイオリニスト、ルザンダ・パンフィリは、PANFILI & FRIENDSでは地元モルドヴァの曲からピアソラまで、実に華やかな活動を展開していました。ルーマニアのホラ(ディニクではありませんが)も、ハイフェッツもびっくりかものテクニックを見せています。東欧の音楽シーンの情報はほとんど日本まで来ないので、youtubeを見てびっくり仰天することになりますが、またまたびっくりでした。さすが往年のヴァイオリンの大家エネスコを生んだルーマニアで教育を受けただけあって、完璧なテクニック!(2本目のようなラウタルをテーマにした独奏曲をエネスコが書いていたとは知らなかった)元弓に来てダウンになる直前に、これみよがしの指弓にならず、右手人差し指がちょいと上がるところが素晴らしい。真似したいものですが(笑)
彼女はチャイコフスキーなどのオーソドックスなヴァイオリン協奏曲も弾いているようですので、そちらも気になります。
明日31日は、加藤さんのウード・ソロ・ライブのため、ブログはお休みします。まだ若干残席あります!

PANFILI & FRIENDS - MUSICAL TEASER

Rusanda Panfili playing Lautaru (The Fiddler) composed by George Enescu

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2019年7月29日 (月)

パリからカルカッタへ バッタチャリアの旅

ゼアミdeワールド171回目の放送、日曜夜にありました。31日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

今回もインドの世界的な民族音楽学者のデベン・バッタチャリアのフィールド・レコーディングをかけながら、当番組でその地域に回っていく大体の予測をして行きます。1953年から、彼が80歳で亡くなる2001年までに録り溜めてていた未発表音源からなるSUBLIME FREQUENCIESの「Paris to Calcutta: Men and Music on the Desert Road」の4枚組から気になる音源を選んで、30分に入るだけご紹介します。現物は手元にないので、今回もアップルミュージックからの音出しです。youtubeはベドウィンとシーク教の2本のみのようです。

ギリシア北部のサロニカの教会音楽に始まり、トルコのチフテテリとスーフィーを含む宗教歌、吟遊詩人の歌が6曲続き、その後に砂漠の遊牧民ベドウィンの音楽が入っています。ヨルダンかサウジアラビアかどちらかではと思います。ベドウィンらしい擦弦楽器ラバーバの弾き語りの音源は、VDE盤くらいしかなかったので、まずこちらをおかけします。当番組でサウジ辺りに回るのは、5年後くらいになりそうです。

<1-8 Performer unknown - Folksong from Outebeh, vocals and rababa (one stringed fiddle) 4分29秒>

もう一曲ベドウィンの音楽から、女性の歌の入った踊りの音楽です。

<1-10 Performer unknown - Bedouin dance from Katana 2分31秒>


その後は、おそらくシリアの古都アレッポ辺りのイスラム神秘主義の音楽と、アンダルシア系の古典音楽ムワッシャハの長尺の演奏が聴けます。これらシリアの音楽は2年ほど前に取り上げました。

2枚目はイラクと思われる音源から始まりますが、音の動きが小さく不思議な4曲目をおかけします。擦弦楽器レバーブの伴奏で男性が掛け合うように歌っていますが、馬に乗って歌うラブソングだそうです。この後サントゥールや擦弦楽器ジョザの入ったイラキ・マカーム系の音源が入っています。イラクも2年ほど前に取り上げました。

<2-4 Suleiman and friends, accompanied by rebab - Hijeni (A love song often sung while riding away on a horse) 6分17秒 抜粋>

イラクの後にイランのタール独奏が入っていて、演奏者がザッリンパンジェとあるので、録音時期も考慮すると、もしかしたら小泉文夫氏の弟子筋で東京芸大名誉教授の柘植元一氏が教わったタール奏者かも知れません。10分余りありますので、冒頭の辺りだけおかけします。ペルシア音楽はこの番組の始まった頃にごくごくかいつまんでですが、取り上げました。

<2-9 Ostad Zareen Panje Bel - Tar solo in humayun dastgah 10分45秒 抜粋>

3枚目もペルシア音楽で、トンバクの独奏から始まりますが、3曲目にアボルハサン・サバーのセタール独奏が入っていますので、そちらをおかけします。よく聞くダルヴィーシュ・ハーンの曲です。

<3-2 Ostad Abol-Hassan Saba - Setar improvisation in mahour dastgah 2分40秒>

その後はシャーナーメの勇壮なトンバク、ダリウシュ・サフヴァトの美しいサントゥール演奏など、ペルシアの音楽で終わりますが、ラストのホマーユン旋法のEskandare Ebrahimi and Orchestraの演奏がライトクラシカルな感じでも、かなり異色で面白いので、16分の中から少しだけおかけしておきます。

<3-7 Eskandare Ebrahimi and Orchestra - Humayun 16分7秒 抜粋>

4枚目もEskandare EbrahimiのSetar演奏から始まりますので、イランの音源が続いています。

2曲目からアフガニスタンの音楽になりますが、ここも当番組では終わったばかりですので、予告にはなりません(笑) 4曲目のヘーラートの愛の歌は、アーゴ盤と同じ音源のように思いました。5曲目の謎の鼻笛がアフガンなのかインドなのかは現物がないので不明です。

4枚目の6曲目から終わりの14曲目までがバッタチャリアの故郷であるインドの音楽になりますが、まず最初に入っているのが、北西部のパンジャブ地方に多いシーク教の音楽です。ヒンドゥー教とイスラム教の融合した宗教で、インドの人口のわずか2パーセント程なのに、シーク教徒の男性のきっちり巻いたターバンと髭のイメージは、印僑の活躍もあって広く知られています。冒頭だけおかけします。当番組でインドに回ってくるのは、6年後くらいになるかも知れません。

<4-6 Performers unknown, harmonium, tabla - Sikh song on Hindu/Moslem unity 11分45秒 抜粋>


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今回はライブ情報を十分に入れる時間がなくなりましたが、7月31日(水)の加藤吉樹さんの「アラブ音楽ライブ ~ウードソロ~」のご予約受付は、再放送では当日になってしまいますが、本放送の時はまだ継続中です。開場 18時00分   開演 19時00分  会場 Cafeトーク・トーク 今治市北高下町2-1-7ハイツ近藤2の1階  です。

*駐車場は限定5台ですので、出来るだけ公共交通機関等をご利用下さい。

定員:25名限定      珈琲か紅茶のワンドリンク付き 2000円


ご予約:メール VYG06251@nifty.ne.jp

   
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この盤は「パリからカルカッタへ」というタイトル通り、ギリシアの1曲だけですがバッタチャリアの活動拠点だったヨーロッパから始まり、彼の故郷であるインドの音楽が終点になっています。シーク教の次は、北部のヒマーチャル・プラデーシュ州の州都シムラーの女性の民謡歌唱、Jyotish CH. Choudhury, sitarのRaga zilaなどが続きますが、バッタチャリアの故郷であるインド東部ベンガル地方のカルカッタ(コルカタ)辺りの音楽は、演奏者の名前から推測するにBhona, sitar; Mangal Mukerjee, ghara (claypot drum) - Raga kafi位かも知れません。もう少しバウル辺りの音源を聞きたかった気もします。

最後はヒンドゥー教の宗教歌バジャンとヒンドゥー寺院の鐘と太鼓で締められています。12曲目のJai Chand Bhagat and Babu, vocals, cymbals, ektara - Bhajan (devotional song)を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4-12 Jai Chand Bhagat and Babu, vocals, cymbals, ektara - Bhajan (devotional song) 4分15秒>

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2019年7月25日 (木)

ツィゴイネルワイゼンの謎

「何でスペインの作曲家のサラサーテが、遠く離れたハンガリーのジプシー音楽を書いたのか? スペインのジプシー音楽と言えば、フラメンコがあるのに。」と長年不思議に思っていたものですが、先日書きましたように、「19世紀にチャールダッシュがヨーロッパで大流行した経緯があって、ジプシーではない作曲家のサラサーテのツィゴイネルワイゼンやモンティのチャールダッシュ、ブラームスのハンガリー舞曲、リストのハンガリー狂詩曲などが生まれた。」と分ってから謎が氷解しました。
そのツィゴイネルワイゼンですから、音楽自体の地元に近い場所の人が弾くのが一番似合うのかも、と思います。この女流ヴァイオリニストRusanda Panfiliは、モルドヴァの首都キシニョフ出身だそうです。ルーマニア系の国で、音色もどこか東欧の色彩を感じさせます。

Pablo de Sarasate - Zigeunerweisen Gypsy Airs Melodii Lautaresti

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2019年7月24日 (水)

ハンガリーのジプシー・ヴァイオリンの技巧

先日のGypsy Primasで聞いたような音は、どうやって出しているのだろうかと思うことがよくありました。今日の一本目など見ると、左手の技がよく分かります。火花を散らすような速弾きだけでなく、ポルタメント(音程のすり上げ、すり下げ)を多用するフリーリズム部分での即興演奏に一番特徴があるように思います。独特な装飾音の動きと、深くメランコリックなヴィブラートも魅力です。2本目はブラームスのハンガリー舞曲4番で始まります。有名な5番や1番はよく聞きますが、4番をジプシー楽団で聞くのは稀なように思いました。(ギターが入ってくると、マヌーシュと境が曖昧になるような気もします)

Gypsy music,Buganka,Jozsi Kotlar primas

Rare Hungarian Slovak Gypsy Concert in Detroit, MI

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2019年7月22日 (月)

Gypsy Music from HungaryとZingariから

ゼアミdeワールド170回目の放送、日曜夜にありました。24日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

アフガニスタンの次は、パキスタン北部に位置するカラコルム山脈のフンザとギルギットの予定でしたが、6日~9日まで宮古島と那覇に行っていたので準備の時間が十分に取れなかったのと、カラコルムのノンサッチ盤のライナーノーツが行方不明で調べるのに少し時間をかけたいので、今回はデベン・バッタチャリアのフィールド・レコーディングから、エリアを先回りしてご紹介したいと思います。世界的な民族音楽学者のデベン・バッタチャリアが、1955年と70年にカブールで録音してきたアフガニスタンの音源を、166回目と167回目で取り上げておりました。今日ご紹介するのはイギリスARCの2枚ですが、現在のカタログからは消えているようですので、アップルミュージックからの音出しになります。そのため演奏者情報は不明です。

彼の録音の数々を見ると、自身のルーツであるインド東部とその周辺の音楽に強く目が向いているように思います。それと、ジプシー(ロマ)のルーツの地と言われる、西インドのラジャスタン州からヨーロッパまでのジプシー音楽の軌跡にも熱い視線が注がれているように思います。
日本の民族音楽学者の小泉文夫氏が日本と西洋の音楽の関係性を考える際に、間に位置するシルクロード(東洋から中洋)の音楽に着目したのと、方法的に少し似ているようにも思いますし、対極と言えるかも知れません。バッタチャリアが西洋のクラシックをどう見ていたかが気になるところです。

今回はハンガリーのジプシー音楽の音源を取り上げますが、私自身が1977年頃にハンガリーやルーマニアの音楽から民族音楽の広大な世界に入ってきたので、とても馴染みのある音楽です。ハンガリーの音楽には、今回おかけする都会ブダペスト中心に演奏されてきたチャールダッシュ(あるいはチャルダッシュ、正確にはチャールダーシュ)やヴェルブンコシュなどの洗練された舞曲と、そのルーツの一つである泥臭い農村ジプシーの音楽、そのどちらとも異なる、かなりアジア寄りとも言えるマジャール民族本来の音楽があります。カラコルムの後は、ウイグルからトルコ系繋がりでトルコに飛んで、ギリシアから北上してヨーロッパを回りますので、ハンガリー音楽を取り上げるのは、1,2年は先になるかと思います。

19世紀にチャールダッシュがヨーロッパで大流行した経緯があって、ジプシーではない作曲家のサラサーテのツィゴイネルワイゼンやモンティのチャールダッシュ、ブラームスのハンガリー舞曲、リストのハンガリー狂詩曲などが生まれました。よく誤解されているようですが、チャールダッシュはモンティの曲の固有名詞ではありません。

レストランか酒場でのチャールダッシュの臨場感溢れる演奏がバッタチャリアの音源にも入っておりますので、ツィンバロムなどの伴奏でヴァイオリンやクラリネットが名人芸と妙音を聞かせるGypsy Primasと、Czardas and Gypsy Tentsを続けて17分ほどどうぞ。

<3 Gypsy Music from Hungary / Gypsy Primas 8分57秒>


<4 Gypsy Music from Hungary / Czardas and Gypsy Tents 8分4秒>


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ここでライブ情報を入れます。

一昨年、去年と加藤吉樹さんのウード・ソロ・ライブを2年連続で催しましたが、今年も加藤さんがいらっしゃってライブを行うことになりました。関西から熊本までのソロ・ライブ・ツアーの一環です。宜しければ是非お越し下さい。

アラブ音楽ライブ ~ウードソロ~

7月31日(水)

開場 18時00分   開演 19時00分

 
会場 Cafeトーク・トーク 今治市北高下町2-1-7ハイツ近藤2の1階

*駐車場は限定5台ですので、出来るだけ公共交通機関等をご利用下さい。

定員:25名限定      珈琲か紅茶のワンドリンク付き 2000円

演奏:加藤吉樹(ウード)


ご予約:VYG06251@nifty.ne.jp   または 携帯090-8044-8535

携帯に出られないことも多いので、出来るだけメールでのご予約をお願い致します。

バックでかけているのは、Bint El Baladという3分余りの曲です。時間までお楽しみ下さい。

以上、ライブ情報でした。

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では最後にバッタチャリアの別のジプシー音楽コンピレーション盤「ツィンガリ」から、スペインのフラメンコを聞きながら今回はお別れです。曲名はセギリージャ・ヒターノで、ジプシーのセギリージャの意味です。セギリージャ(あるいはシギリージャ)はフラメンコの代表的なレパートリーの一つです。このARC盤ではヨーロッパの東西のジプシー音楽を収めていますから、フラメンコも入ってきます。

ゼアミdeワールドでは、ギリシアから入ってクラシックも交えながらヨーロッパ中を巡りスペインに辿り着くのは、ハンガリーが1、2年後だとしたら、それから更に2年前後経っているのではと思います。その後は北アフリカに渡りモロッコから東に進み、アラビア半島、インド、東南アジア、日本を含む東アジアと回る予定です。その後は北アジア、ブラック・アフリカ、南北アメリカ、オセアニアも控えています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Zingari / Seguiriya Gitana 5分23秒>

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2019年7月19日 (金)

ホマーユン・サキのライブ映像 モハンマド・オマル&ザキール・フセイン1974 Vagabunden Karawane

現代のルバーブ名人だけあって、ホマーユン・サキの映像は選びきれない程ありました。どれも凄い演奏ばかりです。出来ればゼルバガリの伴奏で弾いているのが見てみたいものですが、大体がタブラ伴奏です。この演奏は、共鳴弦をハープのように弾いている部分がかなり長くあります。

それと、モハンマド・オマルのプロフィールが分かりました。1905年生まれで1980年没と言うことで、思った以上に昔の人でした。1974年にアメリカのワシントン大学で教える機会が出来て、その年の11月18日に初めて西洋人の前で演奏。若き日の名タブラ奏者ザキール・フセインと共演しているのがその時の演奏で、その録音が例のSmithonian Folkways盤でした。今日の2本目は、その時のフィナーレの曲です。(もしかしたら、ホマーユン・サキの1本目と同じ曲でしょうか? 曲のデータはKeliwali In the Melodic Mode of Kastoriとあります)1978年には、何とドイツのロックグループ、エンブリヨにカブールのゲーテ・インスティトゥートで出会い、その演奏がWerner Penzelによって映画「Vagabundenkarawane」に残されているそうです。丸々上がっていますので、3本目に上げておきました。週末にでも見てみます。

Rubab -e Homayouni

Ustad Mohammad Omar & Zakir Hussain 1 - Rabab & Tabla - Kliwali

Vagabunden Karawane: A musical trip through Iran, Afghanistan and India in 1979

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2019年7月17日 (水)

モハンマド・オマルのルバーブ

「死後30年以上経過した現在でもアフガン・ルバーブの歴代最高の演奏者とされているウスタード・モハンマド・オマール」(Smithonian Folkwaysの「アフガン音楽の神髄」の解説帯)ということでしたが、アフガン・ルバーブの紹介で今日の2本目を大分前にアップした時には、映像とそのCDの情報が一致しておりませんでした。1本目はゼルバガリのマラン・ネジラビと両面太鼓ドーラク奏者との演奏ですが、ネジラビが1942年生まれでしたから、モハンマド・オマルはご存命なら90歳前後以上でしょうか。若手打楽器奏者二人も巨匠からインスパイアされたプレイを見せています。入手し損なったコロムビアのアフガニスタン音楽5枚組LPには、彼の演奏も入っていたのでしょうか。

Gul Alam on Dohlak, Malang Nejrabi on Zerbaghali, Ustad Mohammad Omar on Rubab

Ustad Mohammad Omar - Raag Bihag

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2019年7月16日 (火)

Homayun SakhiとMohammad Omar

ゼアミdeワールド169回目の放送、日曜夜にありました。17日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

アフガニスタンの音楽も9回目になりました。手元に資料がありますのは、そろそろ後数枚ですので、今回でアフガニスタンはラストにしたいと思います。

最後はやはりアフガニスタンの国民楽器のルバーブです。その最高峰とも言える人だと思われる、ホマーユン・サキの演奏からおかけします。パーソナリティ名と同じだから選んだのではなく(笑)、イラン語派の民族では男性によくある名前です。

アメリカの民族音楽レーベルの雄、スミソニアン・フォークウェイズから出ている中央アジア音楽シリーズの3作目「ホマユン・サキ/アフガン・ルバーブの芸術(DVD付)」では、長大な30分を越えるラーガ演奏の2曲の後、3曲目に入っている小曲Kataghaniは「往年のアフガニスタン(Afghanistan Untouched)」の1枚目のタジク族の音楽でドンブラとギチャクの二重奏で入っていたのと同じ曲です。Kataghan地方では最もポピュラーな曲とのことでした。まずこの曲からどうぞ。

<3 Homayun Sakhi / Kataghani 4分1秒>


長大な30分を越えるラーガは、Raga Madhuvantiと、北インドのラーガ演奏でもよく聞くRaga Yamanの2曲です。インド音楽色の中にアフガンらしさが感じられるRaga Madhuvantiから冒頭の10分ほどをおかけします。

<1 Homayun Sakhi / Raga Madhuvanti 34分32秒から10分ほど抜粋>


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ここでライブ情報を入れます。

一昨年、去年と加藤吉樹さんのウード・ソロ・ライブを2年連続で催しましたが、今年も加藤さんがいらっしゃってライブを行うことになりました。関西から熊本までのソロ・ライブ・ツアーの一環です。宜しければ是非お越し下さい。

アラブ音楽ライブ ~ウードソロ~

7月31日(水)

開場 18時00分   開演 19時00分

 
会場 Cafeトーク・トーク 今治市北高下町2-1-7ハイツ近藤2の1階

*駐車場は限定5台ですので、出来るだけ公共交通機関等をご利用下さい。

定員:25名限定      珈琲か紅茶のワンドリンク付き 2000円

演奏:加藤吉樹(ウード)


ご予約:VYG06251@nifty.ne.jp

バックでかけているのは、Bint El Baladという3分余りの曲です。時間までお楽しみ下さい。

以上、ライブ情報でした。

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北インドの古典音楽で使用されるサロードの先祖と言われているアフガン・ルバーブですが、死後30年以上経過した現在でもその歴代最高の演奏者とされているウスタード・モハンマド・オマールの演奏を聴きながら今回はお別れです。シタールのルーツと言われるタンブールとのデュオで、アフガンの民謡旋律なのでインド色は比較的薄い曲です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<7 Ustad Mohammad Omar / Robab - The Sound of Soul ~Robab and Tambur (Folk) 11分45秒>

Rag Ahir Bairow



Robab and Tambur (Folk)は見当たらないので、朝のラーガ、アヒル・バイラヴですが。

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2019年7月12日 (金)

マフワシュの古い録音

女性歌手マフワシュは、60年代にラジオでデビューして、たちまち人気を博すも、ソ連のアフガーン侵攻で活動をストップ。91年にアメリカに移住して、音楽活動を再開したという人です。なるべくインド色が控えめで、アフガン色が出た演奏を探してみました。どちらもおそらく1979年のアフガン侵攻以前では。アフガン・ルバーブが入って、リズムはザルサンガの歌唱でも聞いた8分の6拍子のような、おそらくパシュトゥーンに特徴的なノリ。やはりこういう歌唱を聞きたいです。女性歌手でイスラム圏の敬称であるウスタッドが付いている人は、インドでは見たことがないように思います。

ustad Mahwash gule sab

Farida Mahwash - Come to Me in the Morning [ Pashto Folk Music ]

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2019年7月11日 (木)

ザルサンガ

パシュトゥーンの名女性歌手ザルサンガは、有名な人だけに沢山youtubeがありました。スタジオで録音をバックに歌っているものよりも、やっぱり生楽器の演奏をバックに歌っている一本目が素晴らしいです。音が小さいですが、砂漠に絨毯を敷いて座っている図だけで、絵になります。伴奏楽器にはアフガン・ルバーブと両面太鼓ドーラク、枠太鼓、口琴などが見えます。解説にZarsanga,Pashto folk singer's Pashto song in documentary "The Music of Baluchistan"by Director :Yves Billon,1989とある通り、バルチスタンの名が見えるので、地域的にはアフガニスタン南部に当たるのでしょう。2本目も生演奏を従えての歌唱ですが、カッワーリを想起させるノリで、リズムは8分の6拍子に聞こえますが、どうなのでしょうか。バックのセットは何となく浪曲も思い出させます。3本目も同じリズムですが、パンジャーブ地方のスィクの歌姫グルミート・バワにも少し似た感じに聞こえます。

Zarsanga Pashto waravi lasoona

Zarsanga Pashto Old is Gold Song

Zarsanga Best Tape

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2019年7月10日 (水)

ZarsangaとMahwash

ゼアミdeワールド168回目の放送、日曜夜にありました。10日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

アフガニスタンの音楽も8回目になりました。手元に資料がありますのは、そろそろ後数枚ですので、それらを組み合わせてご紹介し、今回と次回でアフガニスタンはラストにしたいと思います。

まずは「ザルサンガ/パシュトゥーン人の歌」という盤です。アフガニスタンの最大の人口を誇る民族であり、国名の由来となったパシュトゥーン人の民謡を歌う女性歌手です。伴奏は弦楽器のルバーブと打楽器はタブラまたはドーラクです。1曲目のRo Ro Kedaと言う曲ですが、どこか遠く東インドはベンガルの放浪吟遊詩人バウルの歌に似て聞こえるのは私だけでしょうか。

<1 Zarsanga / Ro Ro Keda 7分44秒>


もう一曲Naghma Giitをおかけします。日本の民謡を聞いているような錯覚も覚えるラバーブのみの器楽曲です。

<3 Zarsanga / Naghma Giit 3分3秒>


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ここでライブ情報を入れます。

一昨年、去年と加藤吉樹さんのウード・ソロ・ライブを2年連続で催しましたが、今年も加藤さんがいらっしゃってライブを行うことになりました。関西から熊本までのソロ・ライブ・ツアーの一環です。宜しければ是非お越し下さい。



アラブ音楽ライブ ~ウードソロ~

7月31日(水)

開場 18時00分   開演 19時00分

 
会場 Cafeトーク・トーク 今治市北高下町2-1-7ハイツ近藤2の1階

*駐車場は限定5台ですので、出来るだけ公共交通機関等をご利用下さい。

定員:25名限定      珈琲か紅茶のワンドリンク付き 2000円

演奏:加藤吉樹(ウード)


ご予約:VYG06251@nifty.ne.jp   または 携帯090-8044-8535

携帯に出られないことも多いので、出来るだけメールでのご予約をお願い致します。

バックでかけているのは、Bint El Baladという3分余りの曲です。時間までお楽しみ下さい。

以上、ライブ情報でした。

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今日ご紹介するもう一人の女性歌手マフワシュは、60年代にラジオでデビューして、たちまち人気を博すも、ソ連のアフガーン侵攻で活動をストップ。91年にアメリカに移住して、音楽活動を再開したという人です。伊Accords Croisesから出た「ラジオ・カブール」に続く2007年の「アフガンのガザル」では、更にインド色が強く出ていて、愛の歌〈ガザル〉で歌われるのは、故郷への変わらぬ愛と郷愁のようです。伴奏は、Ghalil Gudaz(Sitar, Harmonium), Daud Khan(Sarod, Rubab), Gholam Nejrawi(Zirbaghali), Henri Tournier(Bansuri), Prabhu Edouard(Tabla)です。1曲目のDokhtar E Baghという曲をどうぞ。

<1 Mahwash / Dokhtar E Bagh 7分51秒>


1曲目はインド色濃厚でしたが、2曲目のKhuye Atashinはゼルバガリのソロに始まり、アフガンらしい音色のラバーブが目立っています。この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<2 Mahwash / Khuye Atashin 4分22秒>

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2019年7月 4日 (木)

Ethnomusicology of Afghanistan

来週の月火は沖縄・宮古島にいますので、ブログアップは不可能ですが、金曜夜も準備で書けないかも知れません。
若いアフガン女性の民族音楽学者セミラ・アザゾイがアフガニスタン音楽を講じている映像がありました。場所は米国マサチューセッツ州のニュートンノース高校で、ルバーブなどのデモ演奏もあります。youtube解説にあるように、アフガン音楽はどこから来たか? アフガン音楽に影響を及ぼしたのは何か? アフガン音楽に対する意識は、アフガニスタン人(若い世代を中心とする)と非アフガニスタン人の両方でどうやって増やせるか? が主な議題。3つ目の問いは、日本を含め、どこの国でも大きな課題だと思います。

Ethnomusicology of Afghanistan (Semira Azadzoi)

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2019年7月 3日 (水)

アフガン・ルバーブ

アフガン・ルバーブの実物は見たことがないので、よく見える映像を探していました。1本目は楽器もよく見えるし、4フレットより上にはフレットが見えないので、フレットレスらしいというのが分かるし、演奏もすっきり良い感じです。

2本目は「往年のアフガニスタン(Afghanistan Untouched)」の1枚目のタジク族の音楽でドンブラとギチャクの二重奏で入っていたのと同じ曲です。Kataghan地方では最もポピュラーな曲とのことでした。動画だったら良かったのですが、なかなか良い演奏です。

Robab Afghan - Ay Negare Man

Afghan music - Khatagani or Qataghani on Afghan Rubab

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2019年7月 1日 (月)

Inside Afghanistan - Recordings by Deben Bhattacharya

ゼアミdeワールド167回目の放送、日曜夜にありました。3日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

167回目の放送になりました。アフガニスタンの音楽の7回目になります。イギリスのARCから出ているInside Afghanistan - Recordings by Deben Bhattacharyaにもインドの世界的な民族音楽学者のデベン・バッタチャリアが、1955年と70年にカブールで録音してきた音源がありますが、アーゴ盤にはなかった録音がありますので、今回はそれらをおかけします。



7曲目にゼルバガリ名人のマラン・ネジラビの演奏が入っています。バッタチャリアの前でも演奏していたのだなと分かりました。まず彼の独奏からどうぞ。



<7 Zeir Baghali 4分28秒>





弦楽器ではアーゴ盤にはなかったルバーブとタンブールの音源が2曲ありますが、特に驚いたのが11曲目のタンブール独奏で、ウズベク音楽の巨匠トゥルグン・アリマトフの演奏のような、中央アジア的な音揺れの妙が聞けます。音揺れと共に、少し遅れるような絶妙なタイミングで入る装飾的な前打音が味です。こういう演奏を聞くと、インドやイランの音楽よりも、日本の三味線音楽に近いものを強く感じます。共鳴弦の音が聞こえないので、アフガン・タンブールではないなと思っていたら、おそらく北部のウズベク族のタンブール演奏のようです。



<11 Dambura 1分59秒>





ラバーブの演奏も入っていて、アーゴ盤とは別音源ですので、おかけしておきます。タンブール共々、演奏者が分からないのが残念です。アフガニスタン北部の民謡に基づく演奏です。



<10 Rabab 2分51秒>





前回アーゴ盤でかけようと思っていて時間切れでかけられなかったナグメーという華やかな曲が、ARC盤でもラストに入っていますので、かけておきます。音楽会や集会の開催の曲として演奏される器楽曲とのことです。ギチャクとゼルバガリの演奏者はMuhammad Naim Mazariとマラン・ネジラビです。



<14 Naghma 3分6秒>


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ここでライブ情報を入れます。

一昨年、去年と加藤吉樹さんのウード・ソロ・ライブを2年連続で催しましたが、今年も加藤さんがいらっしゃってライブを行うことになりました。関西から熊本までのソロ・ライブ・ツアーの一環です。宜しければ是非お越し下さい。



アラブ音楽ライブ ~ウードソロ~



7月31日(水)



開場 18時00分   開演 19時00分


 
会場 Cafeトーク・トーク 今治市北高下町2-1-7ハイツ近藤2の1階



*駐車場は限定5台ですので、出来るだけ公共交通機関等をご利用下さい。

定員:25名限定
     
珈琲か紅茶のワンドリンク付き 2000円

演奏:加藤吉樹(ウード)



ご予約:VYG06251@nifty.ne.jp   または 携帯090-8044-8535



携帯に出られないことも多いので、出来るだけメールでのご予約をお願い致します。



バックでかけているのは、Bint El Baladという3分余りの曲です。時間までお楽しみ下さい。



以上、ライブ情報でした。

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アーゴ盤で7曲目に入っていた1955年録音のダリー語の恋歌は、アブドゥル・カーデルによる切々とした男性の独唱でしたが、同じ歌い手によるとても似た曲がARC盤でも 8曲目に「ヘーラートの歌」として入っています。歌詞はペルシア語とありますが、ダリー語かも知れません。

<8 Song from Herat 3分14秒>


アーゴ盤と丸々ダブっているのは、14曲中、終わりの3曲だけのようです。

このARC盤の冒頭を飾っているAtan - National Dance Musicと、次のAtan - Nomad Danceを時間まで聞きながら今回はお別れです。1970年録音の1曲目はMuhammad Naim Mazariとマラン・ネジラビのギチャクとゼルバガリの演奏で、1955年録音の2曲目はスルナイとドールの演奏です。おそらく後者が原曲だと思います。Pashtun系nomad(遊牧民)のコチ族の曲だそうですが、丸くなって踊る風景が髣髴とされる曲です。インド西部のグジャラート州西部の遊牧民カッチ族と名前は似ていますが、関係はなさそうです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Atan - National Dance Music 2分51秒>


<2 Atan - Nomad Dance 3分59秒>

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