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2019年8月

2019年8月29日 (木)

拉麺とラグマン

ラーメンのルーツだけでなく、西洋のパスタのルーツも、ウイグルのラグマンにあるという説があるそうです。私は2002年の音楽之友社「世界の民族音楽ディスクガイド」刊行後の打ち上げで、新宿のウイグル料理店で食べた記憶があります。例の新松戸祭りでは、カバブだけで、ラグマンがなかったように思います。またルーツを感じながら食べてみたいものですが、伊予にはウイグル料理店は無さそうです。そういえば、ラーメンはどこか西方シルクロードの味がしますね。(以下拉麺のウィキペディアから)

中国国家食糧局(中國國家糧食局 / 中国国家粮食局)によると、拉麺は小麦粉・塩・水を用いた麺で、陝西省・甘粛省から新疆ウイグル自治区にかけての中国西北部で伝統的に食されるラグマンに由来するとされる。

ラグマンの作り方【ウイグル麺料理】

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2019年8月28日 (水)

Uyghur Rawap

ウイグルのレワーブは、ラワープの呼び名の方が多くヒットするようです。この楽器の特徴は、一度聴いたら忘れられない中央アジア的な明るく乾燥した音色だと思います。ドタールがベースだとすれば、ラワープはギターでしょうか。棹が短い分、かなりの速弾きが可能なようです。タンブールはハイポジで弾けば、ベースとギター両方兼ねるようにも思います。ルバーブとラワープの名前の類似はもちろん、アフガン・ルバーブにもあった胴のくびれは、胴の上の羽のような飾りに痕跡が残っている通り、親戚楽器です。このくびれは、元は弓奏もしていた名残のようです。

Uyghur Rawap - Tashvay / Tashway 塔率依 / 塔什瓦依

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2019年8月26日 (月)

ウイグルのレワーブ

ゼアミdeワールド175回目の放送、日曜夜にありました。28日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。放送と同じ演奏者と曲の動画はおそらくないと思いますので、他の演奏者ですが、ウイグルのレワーブ(あるいはラワープ)独奏を上げておきます。タンブールと同じく、アブドセミ・アブドラハマンさんの演奏です。

中国ウイグル ラワープ 『ヤール』


テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の2回目です。今回はまずキングのワールドルーツミュージックライブラリーの一枚である、3枚組の「中国/シルクロードの音楽」から、ウイグルの音楽の部分をご紹介します。漢族を中心に、中国の少数民族であるウイグル族、キルギス族、モンゴル族、朝鮮族、苗(ミャオ)族、チベット族の音楽が繋がって登場する盤です。この音源は1980年代前半に「民音シルクロード音楽の旅」公演のために来日した中国音楽舞踊代表団の演奏で、一部は最初に企画された世界的な民族音楽学者の小泉文夫氏晩年の録音で、監修は小泉さんの教え子の一人である小柴はるみさんです。

ウイグルの音楽が入っている3枚目の旧タイトルは「絲綢之路III~中国少数民族の音楽」でした。ウイグルの音楽は3曲入っていて、1981年録音ですから、小泉文夫氏がまだお元気で、NHKFM「世界の民族音楽」などを担当されていた頃だったと思います。

2、3枚目には名前からルバーブと同系統と分かるレワーブの独奏が入っています。タンブールに似た明るい音色ですが、タンブールのような低音は入らず、より軽やかな感じの音色です。

まずは4曲目の「私のレワーブ」ですが、解説に以下のようにあります。「ウイグル族の楽器レワーブに寄せる愛着を示す曲。楽器を胸高にかかえるようにして素早くトレモロで奏する。楽器は7本の金属弦と27個のフレットを持ち、ザハメックと呼ぶ小さなバチでかき鳴らされる。」
演奏者のダーウット・アーウット氏は1938年カシュガル出身の名人で、南方派の調弦を用い、剛と柔が入り混じった演奏を聞かせます。

<4 Dawut Awut(Rewab) 私のレワーブ 5分53秒>

5曲目の「シャディヤーネ」は、祭りや祝い事のある日に必ず演奏される喜ばしい曲で、人々にこの上なく愛されているウイグルの伝統曲とのことです。

<5 Dawut Awut(Rewab) Shadiane(Festive Music) 3分52秒>

6曲目は「ラク・ムカームの間奏曲」です。ラク・ムカームは12ムカームの最初のムカームで、この録音ではラク・ムカームのチョンラクマン部分の一部であるテーズメルグーレが演奏されています。

12の各ムカームは、各ムカームを大きく1曲と考えれば、12の組曲とも考えられ、それぞれのムカームは、チョンナグマ(チョンラクマン)、ダスタン、マシュラップの3部で構成されています。

<6 Dawut Awut(Rewab) Rak Tezmerghuli(Interlude On Rok-Mode) 4分48秒>

ウイグルの音楽が入っている2枚目の旧タイトルは「絲綢之路II~漢族とウイグル族の音楽」でした。この録音は小泉文夫氏が亡くなられた後の1985年のものです。レワーブ演奏は弾き語りも巧みに聞かせるミジット・イブライム氏です。

まず3曲目の「ラク・マカームの第1ダスタン・マルゴレ」からおかけします。ラク・マカームは最初のムカームで、この演奏は、短い序のついた第一ダスタン・マルゴレ(間奏曲)です。

<3 Mijit Ibrahim レワーブ独奏「ラク・マカームの第1ダスタン・マルゴレ」 5分31秒>

4曲目の「美しい国土~トゥルファン民謡」は、1960年代に作られた曲で、祖国の山河の美しさを歌いあげています。この曲を聞きながら今回はお別れです。続き2曲は、また次回かけたいと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4 Mijit Ibrahim レワーブ独奏「美しい国土~トゥルファン民謡」 5分33秒>

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2019年8月23日 (金)

ウイグルのドタール

ウイグルのドタールと言えば、このAbdurehim Heyitの演奏がYouTubeでは一番のように思います。もう10年も前の動画で、何度も上げていますが。右手のストロークの複雑な動き、しびれる低音、やっぱりウイグルのドタール独奏では彼の演奏一択です。弦が2本しかないとは信じられない音響が生まれています。12ムカームの合奏にも参加しているとしたら、どんな演奏をしているのか、見れたら最高ですが。3本目は、1本目の曲を弾き語りで演奏しています。

Uyghur Dutar Song "Kizlar" by Abdurehim Heyit

Uyghur Dutar Player Abdurehim Heyit in Kashgar

Abdurehim Heyit - Sultan Kızlar

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2019年8月22日 (木)

各国のタンブール(トルコ、クルド)

西アジアから中央アジアに広く見られるタンブールの、各国の演奏を見比べ聞き比べしてみます。ウイグルは上げたばかり、ウズベクやアフガンも前に取り上げましたので、外します。トルコでは、主にオスマン朝の繊細な古典音楽で使われていて、4分音より更に細かい9分の1音を表現するための微細なフレットが、長い棹にびっしり付いています。有名なオスマン末期のタンブーリ・ジェミル・ベイなど、多くの名手が生まれた楽器です。タンブール奏者にはタンブーリ、ウード奏者にはウーディ、ケメンチェ奏者にはケマニの称号が名人の名前の最初に付されています。
イラン西部などのクルドのタンブールは、形は若干トルコのサズやシリアやレバノンのブズクにも似ているでしょうか。オスタッド・エラーヒや現代のシャハラーム・ナーゼリー、アリ・アクバル・モラディのタンブールを用いたヤルサンの儀礼音楽の凄演で、一部ではお馴染みでしょう。フラメンコのラスゲアードの逆回しのような右手のストロークがとても印象的です。

Tanbur - Traditional Music of Turkey with Wooden Instruments

Tanbur Solo by Kourosh Moradi

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2019年8月21日 (水)

ウイグル・タンブールの奏法

月曜の動画でウイグルのタンブールを弾いていたアブドセミ・アブドラハマンさんに、どこでお会いしたか思い出しました。2004年にホセイン・アリザーデさんが来日した際、公演以外に東京藝大と早稲田大学でワークショップがありまして、両方行きました。(と言うか、アリザーデさんご一行の来日中、アリオンの担当者に付いて「金魚のフン」のように同行していました(笑))アブドラハマンさんは、藝大で柘植先生の助手?をされていたように記憶しています。ウイグルの音楽には、ペルシア音楽の影響も入っているので、大変に興味深かったのではと拝察しました。
更に他の動画も上がっていましたが、右手のテクニックの紹介映像がありました。音色だけでなく、イランのセタールの奏法に似た面も少しありますが、かなり自由自在なストロークで驚きました。

中国ウイグル タンブール 奏法 「マルグル」

中国ウイグル タンブール 奏法 「チキップチェリシ」1

中国ウイグル タンブール 奏法 「「チキップチェリシ」2

中国ウイグル タンブール 奏法 「アダッティキチェリシ」

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2019年8月19日 (月)

ウイグルのタンブール

ゼアミdeワールド174回目の放送、日曜夜にありました。21日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。放送と同じ演奏者と曲の動画は見当たりませんので、他の演奏者ですが、タンブール独奏を上げておきます。東京芸大の柘植先生の関係だったと思いますが、この方にもお会いしたことがあります。

中国ウイグル タンブール 『ムダンハン』


フンザの次は、中国西部に位置するテュルク系の新疆ウイグルの音楽です。ウズベクの辺りが西トルキスタン、ウイグルは東トルキスタンで、トルキスタンはシルクロードの中心に位置し、東西音楽文化の結節点でもあります。

ウイグルと聞くと、近年の政情不安がまず気になるところですが、個人的に思い出すことがあります。2005年まで住んでいた千葉県の松戸市で毎年夏に開催されていた新松戸祭にウイグルの屋台が出ていました。確かシルクロード倶楽部の人たちが運営していたと思います。2004年ころ毎年のように顔を出して、カバブを食べたのを思い出しますが、その時によく来ていたのが、日本在住のウイグル人タンブール奏者、アブライティ・ムハメドニヤズさんでした。祭りでも生演奏を何度か見ましたが、コジマ録音から彼のCD「ウイグル・タンブールの音色」が出たのは、私はUターンして祭りに顔を出せなくなった後の2006年でした。コジマ録音からサンプル盤を頂いて、懐かしく彼のCDを聞いた次第です。

ウズベクのブハラの「6つのマカーム」を意味するシャシュマカームに対し、ウイグルには「12のマカーム」を意味するオンイッキ・ムカームの壮大な体系があります。ウイグル音楽は中央アジア音楽の重要な位置にありますが、当店でのCDの売れ行きはとても良くて手元に資料がほとんど残っていないため、余り回数は出来ないと思います。実はオンイッキ・ムカームの12ムカーム毎のVCDというレアなウイグル盤が手元にあるのですが、放送でかけることは難しそうです。中東の多くのマカーム音楽と同じく、演奏される旋法だけでなく、旋法に属するレパートリーの集合体で、それぞれの楽曲が独自のストーリーや背景などを持っているようです。

ウイグル・タンブールの棹は非常に長く、おそらく低いポジションには手が届かないように思いますので、アブライティ・ムハメドニヤズさんは、ほとんどハイポジションのみで弾いていたように記憶しています。

では、アブライティ・ムハメドニヤズさん(ニックネームはニヤズさん)の演奏を順に抜粋して聞いて行きます。典雅な12ムカムのレパートリーと、ウイグル民謡を披露していますが、中央アジアを強く感じさせながら、仄かな中華風味もある所がウイグル音楽の特徴で、タンブールとドタールのソロを中心に、歌も聴かせます。まず一曲目のチャビャトムカムからどうぞ。

<1.チャビャトムカム 第一ダスタンメルグリ 4分24秒>

12の各ムカームはチョンナグマ、ダスタン、マシュラップの3部で構成され、チョンナグマ、ダスタンにはメルグルを言う優美な間奏曲が多い。12ムカム全曲の演奏には24時間を要する。この曲はその2番目であるチャビャトムカムの一部で、ウイグル民族の深い悩みを表した内容で、どのようにその悩みや困難を克服し、希望を見出すかを、テンポの速い演奏で表現した曲。とありました。

2曲目は、自分が愛する女性に自分の心を伝える、恋人を褒め称えた曲。とありました。

<2.アミレキム(私の恋) 3分24秒>

3曲目は、遠く離れた所で恋人を想い、深く愛する気持ちを緩急のあるメロディで表現したウイグル民謡の名曲。とありました。

<3. ヤル(恋人) 4分56秒>

少し飛んで7曲目は、緑の芝の中から湧き上がるオアシスのチムブラク(緑の泉)を見ながら、緑と水は人間が生きるために大切だと歌い、明るい未来に希望を託した曲。とありました。

<7.チムブラク(芝生の泉) 5分40秒>

8曲目は低音豊かな2弦のドタールの曲です。亡くなって初めて分かる親の有難さ。父親が子供を育てるのにどのくらい苦労したか。大人になった子供が父親の役割の大きさ、大切さを理解し、愛や尊敬の気持ちを歌い上げた曲。とありました。

<8. アタム(私の父) 1分52秒>

もう一曲ドタールの曲を聴きながら今回はお別れです。9曲目のデルクイという曲は「心の響き」と訳されています。タンブールの方は、中央アジアのルバーブと中国の琵琶のちょうど間のように聞こえる曲も多いですが、ドタールでは西域のカラーが明確に出ているように思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9. デルクイ(心の響き)4分4秒>

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2019年8月17日 (土)

スケッチ・オブ・ミャーク 長田孫太郎

ペロッグ音階は日本の沖縄音階と、スレンドロ音階は律・民謡音階と、マドゥンダ(旧称?ソロッグ)音階は都節音階と似ている例を上げようかとも思いましたが、何年か前に当ブログで書いてますし、本筋からずれますので、宮古島の歌に戻ります。第64回ロカルノ国際映画祭〈批評家週間賞 審査員スペシャル・メンション2011〉を受賞した「スケッチ・オブ・ミャーク」(DVD有り)のトレイラー映像と、「南嶋シリーズ Nisumura 宮古西原 古謡集」に出てきた演歌歌手・島和也(本名・奥原初雄)の遠縁に当たるという村一番の唄者、長田孫太郎(ながたまごたろう)の生映像です。来週はウイグルに移りますから、宮古島の音楽を締めるのに相応しい素晴らしい2本です。

スケッチ オブ ミャーク Sketches of MYAHK Trailer

長田孫太郎 不世出の唄者、宮古民謡 Magotaro Nagata MIYAKOJIMA

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2019年8月15日 (木)

宮古西原 古謡集

昨晩の風はすごかったですが、台風の目に近いのか今は割と落ち着いています。しかし「台風銀座」の宮古・八重山などの先島諸島では、この位の風は何でもないことでしょう。あちらの建築の堅牢さには驚きました。
実は宮古島についた7月6日の夜に、屋台で沖縄料理を食べた後、すぐ横で三線弾き語りのライブをやっていて、一曲だけ宮古の民謡を聞けました。「豊年の綾語」という曲で、例の「南嶋シリーズ Nisumura 宮古西原 古謡集」でも8曲目に入っています。
宮古西原 古謡集のYouTubeが一本だけ上がっていました。Yusuma no Shu ( 四島の主 )、Tabihae no Ayagu ( 旅栄えの綾語 )、Nisugatou ( 西が沖 ), Komuriuta ( 子守り唄 )、Myahkzutsu no Aag ( 宮古節の綾語 )、Kuichaa Aag ( クイチャー綾語 )がメドレーで出てきます。これらもかけたかったのですが、神が舞い降りるような絶品の「御前風」は絶対外せないので、「宮古節の綾語」だけ入れて他は割愛しました。
ライブでその他に歌っていたのは、安里屋ユンタ、てぃんさぐの花、島唄(ブームのヒット曲)、涙そうそう、などお決まりの曲でしたが、なかなか良い演奏でした。そういえば、谷茶目節も昔よく聞いたものですが、最近は定番曲から漏れているようにも思います。昭和28年の映画「ひめゆりの塔」にも出てきました。沖縄本島中西部、恩納村(おんなそん)の海岸「谷茶前(たんちゃめ)」での漁を題材とした沖縄民謡とのことで、沖縄音階の民謡名曲です。
「ハイサイおじさん」でお馴染みの沖縄音階は、琉球王国時代にジャワから沖縄本島に伝わったという説がありますが、そういえば先島諸島で聞くことは少なく、奄美で聞くことは皆無のように思いました。ジャワやバリの、ペロッグ音階は日本の沖縄音階と,スレンドロ音階は律・民謡音階と,マドゥンダ(旧称?ソロッグ)音階は都節音階(新内節などの江戸音曲によく聞かれる)に似ていると言われます。

from NISUMURA 宮古西原 古謡集より [ABY-004]

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2019年8月12日 (月)

宮古島の神歌

ゼアミdeワールド173回目の放送、日曜夜にありました。14日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

フンザの次は、ウイグルの予定でしたが、毎年お盆と正月には日本の音楽をご紹介していますので、今年も一回だけ日本に戻ります。

長男の結婚式で7月初旬に沖縄の宮古島に行ってきまして、17年前に奄美大島に行って、南の島の明るい風光と島民の気さくな人柄に触れて「移住したい」と思う程気に入ったのを思い出す旅になりました。手持ち音源から2枚おかけしたいと思います。Alchemyから出ている「南嶋シリーズ Nisumura 宮古西原 古謡集」と、キングの「沖縄・宮古の神歌」の2枚です。

アルケミー盤は、1974年に宮古島西原地区の村立100周年の記念として、池間出身の演歌歌手・島和也、本名・奥原初雄氏と村一番の唄者、長田孫太郎氏によって録音、制作された2枚組のレコードから編集し、プロデューサーの久保田麻琴氏がリマスターして復刻した2009年の盤でした。

キング盤は150枚のワールドルーツミュージックライブラリーの一枚で、同じく久保田麻琴氏の録音とプロデュースで、アルケミー盤と同じ曲を含む2008年録音です。「宮古・池間地区の島の繁栄を祈願する儀礼の中で、女性達が島内の霊場を廻りながら唱える神歌が収録されています」と解説にはありますが、池間島からの移住者が宮古島の中心に近い西原という所に住んでいるので、西原(アルバムタイトル通り方言ではNisumura)に残る池間の伝承ということになるようです。

解説は後で入れることにしまして、まずは、アルケミー盤の一曲目「御前風」をお聞き下さい。穏やかな序曲のようなグディンブー(御前風)という11分余りの歌唱です。

<1 南嶋シリーズ Nisumura 宮古西原 古謡集 ~御前風 11分6秒>

宮古島に行ってみて不思議に思ったのは、本土にある寺社仏閣や墓地が見当たらないように見えたことですが、これは本土では失われた「神の世界観」が今なお沖縄では息づいているからかなと思いました。観光タクシーの運転手さんから色々話を聞きましたが、祖先崇拝が強いからでしょうというお返事でした。聖なる地、ウタキ(御嶽)は、宮古島には何と千以上あるそうです。

面積は小豆島くらい、人口6万ほどの宮古島の中で、池間や西原の方言で話されると、同じ島民同士でも全く通じないそうです。これには驚きました。北の方にある池間島は遠いので行けませんでしたが、西の来間島と5キロ近い長い橋の向こうの伊良部島には渡りました。

今回かけているような古い伝承の歌を現地で聞きたかったのですが、大体の民謡酒場では一般的な沖縄民謡がほとんどのようですので、初めての土地の夜道をレンタカーで走ってまで行かなくて良かったかなと思っています(笑)

本土の都節とは違いますが、短調に聞こえる「宮古節の綾語」という曲をおかけします。奄美民謡に少し似た感じですが、短調の沖縄民謡はほとんど記憶がありません。

<21 南嶋シリーズ Nisumura 宮古西原 古謡集 ~宮古節の綾語 2分36秒>

アルケミー盤とキング盤共通で入っている曲は、他に「出産祝いの歌」がありますが、現在ではこの歌の歌い手は数えるほどという貴重な歌です。アルケミーの方は三線付きですが、キング盤の無伴奏歌唱の方でおかけします。

<5 沖縄・宮古の神歌 ~マイグムイマウヤハ(出産祝) 4分51秒 から2分ほど>

では最後にアルケミー盤でも冒頭に入っていた「御前風」を時間まで聞きながら今回はお別れです。キング盤の録音年はアルケミー盤の34年後ですので、キング盤の90歳前後の「オバァ」の一人、長崎トヨさんは、もしかしたらアルケミー盤のジャケットの女性と同じ人かと思いましたが、どうも違うようです。祭祀を行う女性の歌い手を七杜(ナナムイ)と言いますが、七杜の現役は47~56歳なので、アルケミー盤のジャケットの女性は、1974年当時現役だったのではと思いました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 沖縄・宮古の神歌 ~グディンブー(御前風) 12分12秒>

宮古島神歌古謡 2007年12月の録音



高良マツさん、長崎トヨさん、村山キヨさんによる、キング盤リリース前年の同曲の歌唱

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2019年8月10日 (土)

カラシュとフンザ

金曜に書けなかったので、土曜ですがアップしておきます。
フンザでは系統不明のブルシャスキー語の他に、ゴジャール地域ではイラン系のワヒー語も使われています。こちらは印欧語系です。(10年ほど前にワヒーの映像も色々探しました)
フンザのあるギルギット・バルティスタン州の西隣のカイバル・パクトゥンクワ州北部のチトラルの近くには、少数民族カラシュ族が住んでいて、カラシュ語はインド・イラン語派ダルド語群ですが、アレクサンダー大王の帝国以来の古代ギリシア人の末裔とも言われています。フンザのノンサッチ盤も入手困難だと思いますが、カラシュ族のフランスPLAYA SOUNDの音源も、レーベル自体が活動停止してしまったので、同じく難しそうです。カラシュの独特な地声合唱は、この番組(ナレーションはウルドゥー語でしょうか)からもかすかに聞こえています。アフガニスタン北東部のヌーリスターン人も、カラシュ族と同じく金髪、紺碧目で色白というヨーロッパ人のような風貌の人が多いそうですが、カラシュに比べるとマイナーで音源等は記憶にありません。

店は10~18日まで夏休みです。ブログも飛び勝ちになると思いますが、ビルの経理作業とZeAmiの作業は進みそうです。弦楽合奏の練習と収録はいつも通りあります。

chilam josh festival Dance in Kalash Valley chitral Report sherin zada

Burushaski: Mystical Music Colors of Karakoram

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2019年8月 8日 (木)

ブルシャスキー語の話

フンザと言えば、白い肌と青い目の人が多いけど印欧語族ではなく、ブルシャスキー語という系統不明の言語が話されている、というのが一番の関心の的です。一部でエニセイ語族との関係が議論されていたり、仮説段階の大語族であるデネ・コーカサス語族にも含まれているそうです。デネ・コーカサス大語族(Dené–Caucasian languages)とは仮説段階の大語族で、シナ・チベット語族、北コーカサス語族(北東コーカサス語族、北西コーカサス語族)、バスク語、シュメール語、ブルシャスキー語、デネ・エニセイ語族、(ナデネ語族、エニセイ語族)などが入るそうです。北コーカサス諸語とか、シュメール語とか、これまで引っかかってきた言葉が見えます。バスクもいずれヨーロッパで取り上げます。しかし、西シベリアのエニセイ語まで射程に入るとは驚き。音楽を聴いている分には、ルバーブやダフがあったり、メロディも印パの音楽にやはり近く感じるのですが。

Assay Takht | Burushaski (Hunza Valley) Spiritual poetry and Mystical Music of Northern Pakistan

Brushaski New Song 2018

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2019年8月 5日 (月)

フンザとギルギット

ゼアミdeワールド172回目の放送、日曜夜にありました。7日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

アフガニスタンの次は、パキスタン北部に位置するカラコルム山脈のフンザとギルギットの音楽です。カラコルムのノンサッチ盤が、おそらく唯一の音源です。YouTubeには同じ音源はなさそうですので、参考動画を上げておきました。

PEOPLE OF HUNZA


「不老長寿の国」「地上の楽園」「桃源郷」として関心を集めてきたフンザは、パキスタン北西部ギルギット・バルティスタン州のフンザ=ナガル県に位置する地域ですが、1974年まではフンザ藩王国の版図でした。デヴィッド・ルイストンによるこの録音はその頃の記録です。

7000m級のパミール高原の山々が迫る辺境にあり、幅2キロ長さ160キロの「垂直の砂漠」と形容されるフンザ渓谷は絶景を誇り、「風の谷のナウシカ」のモデルになったとも一時言われていました。100歳を越えても心身ともに健康な男女が多く、90歳になっても子供を作れる男性、80歳になってもヨーロッパ人の40歳のように見える女性、癌や心臓病も少ないなどのエピソードが知られています。

中国世界とインド世界の境に位置するフンザでは、白い肌と青い目の人が多いけど印欧語族ではなく、ブルシャスキー語という系統不明の言語が話されています。宗教面は、仏教以前のチベットやネパールと共通するシャーマン的な土着のボン教の時期があって、紀元後数世紀は仏教を信仰、その後イスラム化し、シーア派が多いのがパキスタンの他地域と異なります。

まずは1曲目のバズムという曲ですが、男たちが集まりアラック酒を飲み、歌い踊る楽しい行事の音楽で、伴奏しているのは5弦の擦弦楽器チィケネネです。ハシム・シャーのチィケネネと友人たちの録音です。

<1 カラコルム 中央アジアの響き ~バズム 2分48秒>

2曲目はビレゴという「春の歌」ですが、ロロという悲恋の歌でもあるそうです。テュテックという横笛を吹くのはカブールという人です。

<2 ビレゴ(春の歌) 1分16秒>

3曲目はブルシャスキー語の歌で、ジェアイ・スルという曲名は「わが魂の糸」の意味です。「肉体と魂は生きている間は直接結びついているが、死期が迫るにつれて、たった1本の糸によってのみ支えられるようになり、死に及んでは、もはや耐え難い状態になる」と歌っています。ハシム・シャーのチィケネネ弾き語りです。

<3 ジェアイ・スル(わが魂の糸) 6分39秒>

7曲目の「ギルギットのポロの音楽」という曲は、ダブルリードのスルナイと打楽器のドールとナガラの勇壮な音楽ですが、ポロというのは騎馬の意味で、この地で発祥したと言われる騎馬の競技の風景が髣髴とされる録音と音楽です。

<7 ギルギットのポロの音楽 2分17秒>

Hunza Music | Ustad Ali Gohar Ensemble


10曲目もハシム・シャーのチィケネネ弾き語りによるブルシャスキー語の歌で、男女の会話形式による悲恋歌ロロで、曲名はハマレイ・ダシン(隣の娘さん)です。

<10 ハマレイ・ダシン(隣の娘さん) 4分2秒>

11曲目がシャーマニズムの歌で、曲名のビッタン・イブラヒームのビッタンというのが、フンザのシャーマンのことです。「イブラヒームはジャンプールの燃え殻の煙を吸うことによって、忘我の境地へと入った。間もなく彼はテュテックと太鼓の音楽に合わせて踊り始めた。次いで、彼は頭を太鼓の一つに近づけ、一心に聞き入る。それから預言者のような方法で、一連の詩を歌った。踊り聞き歌うという行為が、何回も繰り返された。儀礼全体は約15分間続けられた。その後シャーマンの介添えの人々が彼の顔に水をかけて、忘我の境地から引き戻す。 それから音楽家たちが、ビッタンの足跡を掃き去るために、掃除の踊りを演奏する。」という内容で、「我は行きたり、我は行きたり、桃源郷に至る道。~」と歌い出される歌詞の部分は、インド語派ダルド語群の一つ、ギルギットのシナー語で歌われます。

<11 ビッタン・イブラヒームの音楽(抜粋) 4分26秒>

では最後に終曲の「ウヌィ・アサタイ(あなたの記憶の中に)」という曲を聞きながら今回はお別れです。やはりハシム・シャーのチィケネネ弾き語りによるブルシャスキー語の歌です。

「夜明けの明るき星よ、我が運命をいずこに定める気かは知らねど、大切なものよ、かくも愛しきものよ、汝を我が胸に呑み下すには、我が喉あまりに狭し、恋して我は汝を獲得せり、我が恋人シタールを。おお神よ、なにゆえ貧しくなりたる我より彼女を奪いしか。」このような内容の歌です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<12 ウヌィ・アサタイ(あなたの記憶の中に) 4分27秒>

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2019年8月 2日 (金)

6つのルーマニア民族舞曲

行きつ戻りつしますが、この曲が原点ということで上げておきます。先日のモルドヴァ出身のヴァイオリニスト、ルザンダ・パンフィリの演奏です。このバルトークの名曲「6つのルーマニア民族舞曲」を、ミシェル・ベロフのピアノで聞いたのが1977年。ちょうどコマネチ旋風で、ルーマニア音楽がTVからも聞こえていた頃です。これ以降、本格的に民族音楽に目が向きました。逆にこの曲を聞いてなかったら・・と想像しなくもないのですが(笑)ZeAmiも存在しなかったかも知れません。
弦楽合奏でもやってみようとメンバーに提案しましたが、特に後半が難しく、蔵入りしたままです。余談ですが、80年代に京都のバンド、アフター・ディナーもこの曲の一部をステージで演奏していました。ハコさんの歌声が耳に残っています。そういえば、2000年に初来日を果たしたタラフ・ドゥ・ハイドゥークスも、「仮面舞踏会」でこの曲を披露してくれました。彼らのライブには、以後4回通いました。

Bela Bartok - 6 Romanian Dances for Violin and Piano

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2019年8月 1日 (木)

ベドウィンのラバーバ

バッタチャリア音源のベドウィンが出た所で、大分前にも上げたことがありますが、ラバーバの演奏を少し見てみます。ラバーバは1弦の擦弦楽器で、あたかも砂漠の風紋のように音の動きが少ないのが、逆にとても印象的です。相当音量がありそうに聞こえます。一本目がヨルダンのペトラの遺跡、2、3本目がヨルダンのワディ・ラムでの映像。「アラビアのロレンス」を思い出す場所です。
昨日の加藤さんのライブは2年ぶりに大盛況。オスマン朝末期のアルメニア系作曲家Bimen Senの曲や、マケドニアの16拍子の曲も出てきて、ヴァラエティに富んでいました。終わった後の歓談から、打ち上げへの流れも毎回の楽しみです。

Petra Bedouin singing and playing the Rababa!

Bedouin Musician in Wadi Rum

Wadi Rum dessert in Jordan , Bedouin tea and Music played on the traditional one stringed

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