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2019年9月

2019年9月30日 (月)

Sanubar Tursunの歌声

ゼアミdeワールド180回目の放送、日曜夜にありました。2日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。動画はドタール弾き語りのAdemler Ulughがまず目につきまして、大変に素晴らしいので、今日はこの一本だけ上げておきます。

テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の7回目です。今回はイタリアのFelmayから2013年に出ていた「サヌバール・トゥルサン / ウイグルの歌 SANUBAR TURSUN / Arzu - Songs Of The Uyghurs」をご紹介したいと思います。米国スミソニアン・フォークウェーズのコンピ盤『MUSIC OF CENTRAL ASIA, VOL. 10: BORDERLANDS』でも取り上げられていた女性歌手です。

ドタールやタンブール中心の小編成の伴奏で、たっぷりと独唱を聞かせる盤で、売り切れで現物が残ってないので解説は参照できませんが、おそらく12ムカームのレパートリーを中心に歌っているのではと思います。動画を見てみると、弾き語りもかなりありますので、もしかしたら弾き語りの曲もありそうです。

まずは1曲目のYar Ishigide Tursaという曲からおかけします。英題がIf My Love stood at the Door[feat. Nur Muhemmet Tursun]となっています。伴奏はタンブールとギジャクでしょう。

<1 Yar Ishigide Tursa (If My Love stood at the Door) [feat. Nur Muhemmet Tursun] 3分7秒>

ウィキペディアには、「彼女はウイグルの女性シンガーソングライターであり、有名なドタール奏者でもあり、ウイグルムカームの研究者です。トゥルスンは2000年に最初のアルバムをリリースしました。10年以上にわたり、彼女の声は町のバザールを満たし、新疆ウイグル自治区の地元のタクシーや長距離バスから鳴り響きました。」とありますので、ドタールやタンブールを弾き語っているのかも知れません。それと、ウイグル語のアラビア文字をそのまま読めば、トゥルサンではなくトゥルスンになると思います。気になるのが2018年11月に中国当局に拘束され、5年の刑を宣告されたという情報で、それ以来音楽活動が出来なくなっているようです。この歌姫の無事を祈るばかりです。

2曲目はKurd Nakhshisi (Song of the Kurds) [feat. Nur Muhemmet Tursun]となっていて、訳すと「クルドの歌」になりまして、トルコには多いですがウイグルにクルド人はいないと思うので、おや?と思いました。旋法名にはバヤーテ・コルド(クルドの詩または歌の意味)の形でペルシア音楽に入っているので、そういう意味かも知れません。

<2 Kurd Nakhshisi (Song of the Kurds) [feat. Nur Muhemmet Tursun] 4分19秒>

次は7曲目に飛びまして、ドタールの素晴らしい導入で始まるAdemler Ulughという曲です。英題はPeople Are Gloriousになっています。

<7 Ademler Ulugh (People Are Glorious) 4分47秒>

Sanubar Tursun:-Adamlar ulug'


全11曲の中に14分と22分近い長尺の曲がありまして、4曲目の14分を越えるIshchan Yigityurushi: IshchanYigit / Koydum Diding / Yerket / Gul Bolsam (Hard-working Lad Suite) [feat. Nur Muhemmet Tursun]という曲が、12ムカームの壮大さを思わせる素晴らしい演奏ですので、この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4 Ishchan Yigityurushi: IshchanYigit / Koydum Diding / Yerket / Gul Bolsam (Hard-working Lad Suite) [feat. Nur Muhemmet Tursun] 14分4秒>

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2019年9月26日 (木)

ムシャーヴラクとセガー

先日のシンセサイザー中心と思われる演奏での女性のボウルダンスの原曲はないか、探していましたが、今の所は見当たりません。ムシャーヴラクと増二度音程の目立つセガーが、エキゾチックな短音階系で惹かれるものがありました。イランのセガーは複雑で玄妙な動きをしますが、ウイグルのセガーは割と分かり易く聞こえます。この二本を上げておきます。1時間の長尺の中に、女性の群舞のシーンがそれぞれ出てきます。

11- Mušavräk muqam (Uyghur 12 Muqam)

3- Segah muqam (Uyghur 12 Muqam)

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2019年9月25日 (水)

Rak muqam (Uyghur 12 Muqam)

明るいラーク・ムカームは、ペルシア音楽で言えば、イメージ的にはマーフール旋法でしょうか。12ムカームの第一のムカームとして、まず最初に出てきます。イランのMahoor Institutから、Muqam Rak (Tradition of Uyghur 12 Muqams) Yarkend Dance and Song Ensemble& Sanam Ensembleが出ていましたが、おそらく抜粋だったのだろうと思います。この映像の45分過ぎには、例の女性の群舞、ボウルダンスのラーク版が出てきますが、あのエキゾチックな曲調とは一味違って、また面白いです。

以下、萩田麗子さん翻訳・解説の「ウイグル十二ムカーム」のラークから、チョンナグマの冒頭のサタールが出てくる詩の一節です。擦弦のサタールが正に映像にも出てきます。アラビア文字が分かる方は、是非ウイグル語字幕も追ってみて下さい。音楽と一緒に詩を味読することで、よりムカームが分かると思います。この労作は、全てのムカームの演奏に対応しているので、超お薦めです。

この命撚(よ)りて 我がサタールの絃と成さん

その音色 不幸なる者が心 慰め癒さん



ムカームに深く身を沈め 心にムカームの魂 留め置かん

天 我をして愛の道に導きたれば あの人の前にて奏でん

1- Rak muqam (Uyghur 12 Muqam)

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2019年9月24日 (火)

Nava muqam (Uyghur 12 Muqam)

ゼアミdeワールド179回目の放送、日曜夜にありました。25日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。2014年オコラの動画は見当たらず別の演奏ですが、同じナヴァーなので、今回かけた3曲も出てくると思います。

10- Nava muqam (Uyghur 12 Muqam)


テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の6回目です。前回取り上げたドランのムカームは、やはり傍流だと思いますので、主流である12ムカームの演奏をもっとおかけしたいところですが、歌と器楽、胡旋舞的な女性の踊り、演劇的な部分まで、見る要素も多いので、ラジオでお伝え出来るのは限界があるように思います。YouTubeには、12ムカームごとの映像も沢山上がっていますので、ゼアミブログの方ではそれらも取り上げております。是非併せてご覧頂ければと思います。

CD音源は他に、古くはフランスOcoraの名盤「中国のトルキスタン~新彊ウイグル自治区の音楽(2CD)」がありますが、入手しない内に90年代には廃盤になってしまいました。キングWRMLシリーズの「ウイグルの音楽~ムカームと民謡」の3枚組の元音源があるはずですが、リフォーム最中で行方不明になっておりまして、イランMahoorにも2枚は合奏がありますが、売り切れで手元に残ってないので、何とも重要音源が歯抜けの状態ですが、データからかけられる音源から抜粋して行きたいと思います。

今回は合奏の入っている演奏として、フランスOcoraから2014年に出ました「中国 / ウイグルの音楽~マカーム・ナヴァー China / Uyghur Music - Muqam Nava」からご紹介したいと思います。爽やかな女性ヴォーカルを中心に、Abdukerim Osman Chimani, "ghijak"  Amatjan Muhamat, chorus  Ghali Sidiq, "dap"  Munijan Yusup, "ravab"  Abduvali Satar, "dutar"  Tayir, "chang"  Abdushukur Muhamat Imin, "ghijak"  Muyasar Nurmamat, "satar" 他、という多彩な編成で、12ムカームの一つ、マカーム・ナヴァーの抜粋と思われる演奏が67分収録されています。その名の通り、ペルシア音楽の旋法の一つ、ダストガー・ナヴァーが語源と思われます。

解説はこれ位にして、素晴らしい演奏から最初の2曲を続けて22分ほどおかけします。続けて聞くことで、ウイグルのムカームの流れも感じ取ることができるかと思います。ドランのカルーンに似たツィター系弦楽器チャングの音色が、ここでも異彩を放っています。女性歌手の名前はSharizat Abdurahimでしょうか? 擦弦のサタールかギジャクのみの伴奏によるフリーリズムのBash Muqamに始まり、2曲目はTaza (Taza Marghuli)という合奏伴奏で男女歌手のデュオが15分余り続きます。

<1 Bash Muqam (feat. Sharizat Abdurahim, Amatjan Muhamat, Ghali Sidiq, Munijan Yusup, Abduvali Satar, Patima Tayir, Abdushukur Muhamat Imin & Muyasar Nurmamat) [Muqam Nava] 6分37秒>

<2 Taza (Taza Marghuli) [Muqam Nava] [feat. Sharizat Abdurahim, Amatjan Muhamat, Ghali Sidiq, Munijan Yusup, Abduvali Satar, Patima Tayir, Abdushukur Muhamat Imin & Muyasar Nurmamat] 15分14秒>

では最後に、終曲のマシュラプを時間まで聞きながら今回はお別れです。3曲目からは物語、叙事詩を意味するダスタンなどが入って、12曲目の最後に、ウイグルの祭りや収穫の時期などに単独で演奏され、踊られることも多いマシュラップが出てきます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<12 Mashrap (feat. Sharizat Abdurahim, Amatjan Muhamat, Ghali Sidiq, Munijan Yusup, Abduvali Satar, Patima Tayir, Abdushukur Muhamat Imin & Muyasar Nurmamat) [Muqam Nava] 7分56秒>

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2019年9月19日 (木)

日本のウイグル音楽合奏団

今日の一本目で初めて、日本初のプロ・ウイグル音楽合奏団があることを知りました。表記はドランではなくドーランとなっていたり、カルーンもカロンと呼んだり、若干?の違いがありました。ドラン・ムカームだけでなく、ウイグル伝統音楽の集大成「12ムカーム」も演奏しているそうです。2004年結成ということで、最近はどんな活動をされているのでしょうか。
ドラン・ラワープの音が、浪曲か何かの放浪芸の三味線風に似て聞こえてしまうのですが、素晴らしいドキュメンタリーの2本目の1分過ぎなど見ていると、スーフィー音楽風にも聞こえたり、モンゴル的な顔立ちの人ばかりでもなかったり、頭の中が混乱して来ました(笑)

ウイグル音楽 ウイグルの文化 Traditional music of Uyghur

UYGHUR Muqam Dolan Muqami

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2019年9月18日 (水)

マキットのドラン・ムカーム

ドランのムカームと言えば、マキットのグループの台湾盤を確かドイツのお客様からご注文頂いて海外発送したことがありました。結構動画が上がっていて、海外の愛好家や研究者がいらっしゃるのではと思いました。言語面でテュルク化する前はアーリア系が多いようにも思える彫りの深い人の多いウイグルで、モンゴル的な容姿のドランの人々は、テュルク族のルーツを探る上で見逃せないのかも知れません。生映像ですから、やはりカルーンの奏法を興味深く見ましたが、驚いたのがドラン・ラワープ。確かに棹に共鳴弦のペグを確認できますが、演奏が浪曲の三味線にそっくりに聞こえます。形はパミールのラバーブに似ていますが、浪曲のようにダイレクトにびしびし伝わって来るものがあります。そこにギジャクも加わった伴奏で、ダプを叩き歌う男性たちの熱いこと! どうしてもカッワーリを思い出してしまいますが。

Dolan Muqam with Dancing in Xinjiang, China

Makit Dolan Muqam Troupe performing in Makit, Xinjiang

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2019年9月16日 (月)

ドランのムカーム

ゼアミdeワールド178回目の放送、日曜夜にありました。18日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。YouTubeは、一本で台湾Wind Music盤全曲です。

テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の5回目です。今回は、先週の終わりにかけました仏Inedit「中国のトルキスタン ドランのムカーム」以外に、もう一枚、台湾のWind Musicからもドランのムカームの録音が出ておりますので、同じムカームで聞き比べをしてみたいと思います。ドランのムカームは、各2時間を要するウイグルのムカームよりずっと短く、各6~10分位で合計9つなので、イネディ盤には全てのドラン・ムカームが入っていましたが、Wind Music盤にも全て入っているようです。演奏はMakit Dolan Muqam Troupe of Makit Countyとなっています。Kavichandran AlexanderによるMakitでの24bitの録音です。今回も売り切れで手元にないので、アップルミュージックからの音出しになります。


ドランはモンゴル起源とも言われるウイグル内の少数民族で、その音楽はどこか東アジア的だったり、コーラスする辺りはパキスタンやインドのカッワーリにも似ていたり、本当に同じウイグルかと思う程でもあります。楽器では何よりも楊琴(ヤンチン)型ツィターのカルーンの音色が独特で、この音揺れがどこか中国風に聞こえる秘密かと思います。ドランのラワープは他の地域のこの楽器にはない共鳴弦が付いているようです。演奏者の顔立ちは、確かに日本人と見紛うような東洋的な風貌の人が多いのですが、ウイグルの辺りは古代にはインド系やイラン系のいわゆるアーリア系の人々が住んでいて、テュルク系の侵入後に彼らが言語的にテュルク化したようですので、ドランの方が元はモンゴル高原に西からテュルク、モンゴル、トゥングースと並んでいた内の、テュルク族の直系なのかも知れません。

ドラン・ムカームでは常に踊りを伴い、解釈は極めて自由で、即興的にパラフレーズして演じられるということでした。前回2曲予定していましたが、イネディ盤の最初のBash Bayawanのみで終わりましたので、2曲目のZil Bayawanからおかけします。

<2 中国のトルキスタン ドランのムカーム Zil Bayawan 6分39秒>

次にWind Music盤のZil Bayawan Muqamをおかけします。

<2 Zil Bayawan Muqam 5分45秒>

次に、演奏の際に必ず最後に演奏されるというJulaをおかけします。イネディ盤の方では、通しで聞くと、確かに何か終止形に近いものを感じます。

<9 中国のトルキスタン ドランのムカーム Jula 6分35秒>

次にWind Music盤のJulaをおかけします。こちらではDugamet Bayawan MuqamとHudek Bayawan Muqamを後に回して7曲目に入っています。何か理由があるのでしょうか? この盤の方がカルーンの響きや弦楽器のフレーズも、一部でより中国風にも聞こえます。

<7 Jula Muqam 5分46秒>

では最後に、Wind Music盤でも冒頭を飾っているBash Bayawanを時間まで聞きながら今回はお別れです。9曲のドラン・ムカームの内、3曲を2枚の音源から並べて比較しましたが、芸風の違いは聞き取れましたでしょうか。私が思うには、イネディ盤の方が総じてカッワーリのようなヘテロフォニックとも形容されるコーラスが強力に展開し、Wind Music盤の方はどこか中国風な少し涼しげな器楽の音色が目立っているようにも思いました。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Bash Bayawan Muqam 5分11秒>

Uyghur Makit Dolan Muqam - Bayawan Full Album

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2019年9月15日 (日)

ウイグルのボウルダンスと12ムカーム

いよいよリフォームの終わり間近で、家の片づけに追われ、ブログは書けない日が続きました。月曜だけは放送内容をアップしますが、この状態が後1,2週間は続きそうです。という訳で、異例の日曜アップです。
今日の一本目の大変に美しい「ウイグルのボウルダンス」は、10年程前から何度か上げたように思いますが、2本目の12ムカームの中間部に類似の箇所(おそらく同じ曲)が出てきているように、どれかのムカームの一部のようです。例の12ムカーム(オンイッキ・ムカーム)のウイグル盤VCDは、各2時間、合計24時間ほどありますから、この1時間23分の演奏も抜粋ではと思います。しかし、一つのムカームの中に、器楽独奏、美しい舞踊、合奏など、何と見せ場が多いことでしょうか!

Beautiful Uyghur Dance

uygur 12 muqam

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2019年9月11日 (水)

女性歌手Ayshamgul Mamat

「ウイグルの音楽 イリとカシュガルの伝統」に出てきた女性歌手Ayshamgul Mamatで検索したら、イネディの音源以外にウズベキスタンのタシケントでの割と最近のコンサート映像がありました。この人の名前はAyshigül Mämät (aka Ayshämgül Muhämmäd)など、色々綴りがあるようで、ドイツのDreyer Gaidoから出ていた「女声によるウイグルのムカームと民謡/エィシングル・メメット The female voice of Uyghur muqams and folk songs/Ayshemgul Memet」と同一人物のようです。イネディ盤では解説をよく読まないと出てこない名前だったので、今回検索して初めて気が付きました。併せて放送でかけられなかったイリの歌を上げておきます。イリ地方はウイグル北部とカザフスタンに跨っているようで、これも話を複雑にしています。Ayshamgul Mamatがドタールを弾き語っているDreyer Gaido盤は、次回の放送で取り上げる予定です。こうしてライブ映像を見ると、改めてウイグルとウズベクの音楽の類似性に驚きます。全く違和感がありません。

ayshigul in Tashkent (3)

Chants d'ili/ili songs

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2019年9月 9日 (月)

イリとカシュガル ドランのムカーム

ゼアミdeワールド177回目の放送、日曜夜にありました。11日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日はとりあえず「イリとカシュガル」から、ドランはまた探してみます。ニヤズさんの動画と曲は、やはり見当たらずです。

テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の4回目です。

今回はウイグルの初回にかけましたアブライティ・ムハメドニヤズの「ウイグル・タンブールの音色」の後半にも、なかなかいい曲がありますので、それらを少しおかけしてから、12ムカームの合奏の例としてフランスIneditの2枚からご紹介したいと思います。

「ウイグル・タンブールの音色」の10曲目のゾフラジャニム(私の命ゾフラ)と言う曲ですが、解説に以下のようにあります。「1945年に22歳でアクスで殺害されたイリ生まれのウイグルの革命家リ・ムタリブがアクスの獄中で作った曲。彼はウイグルの自由を取り戻すため戦ったが、思いを果たせず囚われた。いつの日かウイグル社会に目覚めて欲しいと、自分の恋人ゾフラを思いながら、自由への希望を詩に込めている。」こういう曲です。

<10. Zohrajanim 3分50秒>

15曲目のヘスレトという曲は、ウイグル語で傷心とか悲哀を意味し、遠く離れて暮らしている愛する母が亡くなったとの知らせで、込み上げる悲しみを表した曲。とのことです。

<15. Hasrat 4分37秒>

12ムカームの歌と合奏の方に移りますが、先ほどの曲に出てきたイリの街が出てくる音源で「ウイグルの音楽 イリとカシュガルの伝統」という仏Inedit盤からいくつかご紹介します。前に言いました通り、ウイグルの盤は売り切れで手元にないものが多いので、iPhoneのデータからの音出しになります。まずこの盤についてゼアミHPに書いた拙文を読み上げてみます。

*中国西部のトルコ系ウイグル族の音楽で、タクラマカン砂漠周辺の代表的オアシス都市の伝統音楽演奏。演奏者は名前を見る限りロシア名が多く、隣国のウズベクを中心に活動している音楽家のようで、彼等のような言わばディアスポラ・ウイグルの音楽家の方が、ウイグル音楽本来のスピリットをより良く保っていると言われる。どんなに長い腕でも低いフレットにはまず届かない超長棹のタンブールを中心としたアンサンブルやソロを伴奏に、悠久の中央アジア節がたっぷりと堪能でき、ウズベク音楽との比較でも興味が尽きない。弦楽器のゆったりとくゆらすような音が中央アジアしていてたまりません。

この録音から、女性歌手Ayshamgul Mamatがフロントに出たMuqam Rokhsari : muqam bashiと2曲目のChants de Kachgar(カシュガルの歌)の途中まで続けておかけします。これまでソロで聞いた撥弦楽器のタンブール、ラワープ、ドタールの他に、擦弦のギジャクが活躍しています。

<1 Muqam Rokhsari : muqam bashi 4分20秒>

Muqâm rokhsari


<2 Chants de Kachgar 10分14秒 抜粋>

Chants de kachgar/kashgar songs


もう一枚、2000年代に入って「中国のトルキスタン ドランのムカーム」という盤も仏Ineditから出ておりまして、こちらはモンゴル起源とも言われるウイグル内少数民族のドラン族の音源です。どこか東アジア的だったり、コーラスする辺りはカッワーリにも似ていたり、本当に同じウイグルかと思う程でもあります。この盤についてゼアミHPに書いた拙文を読み上げてみます。

*タクラマカン砂漠の新疆ウイグル自治区(=東トルキスタン)の音楽。行政区分としては中国に含まれるが、独自の文化を保持し、ムスリムのウイグル人が多くを占める新疆ウイグル自治区。キルギス、カザフ、インド、パキスタン等と接しており、その音楽の様相も中央アジアのそれと近いものがあります。本作はなかでも辺境の、ドラン地区のムカームを収録。楊琴型ツィターのカルーン、弓奏弦楽器のギジャック、ラワープといった弦楽器の伴奏に、枠太鼓ダップをもった歌い手、という編成。繊細な弦の音と、コブシをきかせながら野太い声を張り上げて歌う男たちの合唱とのコントラストが印象的。

では最後に、この「中国のトルキスタン ドランのムカーム」から、Bash BayawanとZil Bayawanを時間まで聞きながら今回はお別れです。最後の9曲目以外の全ての曲のムカーム名の終わりにBayawanという言葉が付いています。(意味は今のところ不明です)

各2時間を要するウイグルのムカームよりずっと短く、各6~10分位で、合計9つなので、このCDには全てのドラン・ムカームが入っているということになります。それらは常に踊りを伴い、解釈は極めて自由で、即興的にパラフレーズして演じられるそうです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Bash Bayawan 5分47秒>

<2 Zil Bayawan 6分39秒>

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2019年9月 6日 (金)

ミャオ族 芦笙舞~トラジ~チベットの仮面劇

最初に上げた動画のサムネイルが入るので、インパクトのある苗族の映像から上げておきます。中国南部各地に住む少数民族、苗(ミャオ)族の音楽から、日本の雅楽に用いられる笙のルーツに当たる蘆笙(ろしょう)を吹きながら踊る曲「楽しい蘆笙舞」という曲を番組でかけましたが、この映像は近いように思います。苗(ミャオ)族と同系統のモン族などが、タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナムなどの山岳地帯に住んでいて、笙のルーツに当たる楽器は、ラオスなどインドシナの方にも見られるので、苗(ミャオ)族もタイ系などインドシナ系統の民族かと長年思っていましたが、どうも独立した語族のようです。

ミャオ族舞踊 芦笙舞を舞う



朝鮮の曲では、何といってもアリランが一番有名だと思いますが、その次がトラジだと思います。「トラジとは桔梗の花の意味で、純朴な山の花ではあるが、他の花よりずっと強い生命力を持ち、どんな悪条件にも負けず育つ姿は、朝鮮族の象徴とも考えられている。」と言うのは、「シルクロードの音楽」の解説で初めて知りました。擦弦のヘーグムと両面太鼓のチャンゴの演奏を探してみました。東日本大震災チャリティコンサートの奈良朝鮮初中級学校卒業生の演奏では、右側に琴が見えますが、これは伽耶琴(カヤグム)だと思います。崔勇(ツィ・イョン)の演奏が見当たらないので、こちらを上げておきます。ヘーグムは以前胴の形が違っていたと思いますが、こういう丸い胴の胡弓に似た形の楽器が増えているようです。

110508-03 도라지/トラジ


チベット族の歌舞劇の音楽、ウンパドンという曲の映像は見当たりませんが、チベット僧院での宗教的な踊りの映像が一番多く見つかりました。それらとは違いますが、この映像は番組でかけたのと、似たイメージがあります。有名な超低音の仏教声明ではなく、独特なヴィブラートを伴った歌唱を聞けます。

Masked tibetan dance Ngonpa - Rigna by TIPA

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2019年9月 5日 (木)

Urtin Duuと江差追分

高娃という人は、新疆生まれのモンゴル族の歌手で、蒙古民謡だけでなく、漢族、ウイグル族、タタール族、カザフ族、チベット族の民謡を歌い分けるそうです。是非それらも聞いてみたいものですが、YouTubeは見当たりません。Gao Waというピンイン?も、ガオ・ワと読んでいいものか不明です。

と言うわけで、モンゴルのオルティンドーと言えば、やはり大歌手ノロヴバンザドでしょうと言うことで、大分前から見かける一本を上げておきます。馬頭琴はチボラグでしょうか? 二人ともキング盤で昔からお馴染みです。江差追分など日本の追分のルーツとも言われるオルティンドー(「長い歌」の意味)と、「草原のチェロ」の形容があった馬頭琴の、最高の名演です。

2本目は北海道民謡の江差追分ですが、私が聞いた中で最高と思う、初代浜田喜一さんの名唱を上げておきます。

Amazing voice: Norovbanzad

江差追分 / 初代 浜田喜一 Kiichi Hamada "Esasshi Oiwake" Japanese Traditional Folk Song

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2019年9月 4日 (水)

寒鴉戲水 - 潮州箏曲

キングの「シルクロードの音楽」から、まずは少数民族ではなく、漢族の音楽です。1本目はスチール弦、2本目は絹弦ではと思います。どちらも素晴らしい演奏ですが、やはりスチールの方が潮州らしい音色のように思います。潮州料理と言えば、フカヒレやアワビの料理が有名ですが、もっと安い料理も色々あったように思います。(以下先日の内容のペーストです)

漢族の中国の伝統音楽は、二胡、高胡、笛子(ティズ)、筝、琵琶のそれぞれ独奏曲が入っています。レワーブとの比較で琵琶をかけたいところですが、時間オーバーしそうですので、広東省潮州の筝名曲「寒鴉戯水」をおかけします。刺繍で有名な汕頭(スワトウ)や隣の潮州の辺りは、海の幸を生かした潮州料理の本場で、その味はあっさりしていて、日本人の口に合うものが多いのですが、香港に旅行した際に食べて、どれも美味しい南中国の広東料理の中でも忘れられない料理の筆頭になっています。
音楽もあっさりしていて、筝は絹ではなくスチール弦の涼しげな響きがあり、水と戯れる寒鴉(カンア 冬のカラス)の姿を音で描く水墨画のようなこの曲には、スワトウの刺繍を連想させる繊細な趣きがあります。

guzheng 19弦鋼線古箏 - 寒鴉戲水 - 潮州箏曲

寒鴉戲水

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2019年9月 2日 (月)

中国の少数民族の音楽 ウイグル族、モンゴル族、朝鮮族、苗族、チベット族

ゼアミdeワールド176回目の放送、日曜夜にありました。4日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の3回目です。Mijit Ibrahimの演奏は見当たらないので、6曲目のテーマと少しイメージが重なる?ウイグル美人のラワープ弾き語りを一本上げておきます。ラワープ、タンブール共にポピュラーな音楽でも用いられている例をかなり見ますが、これは折衷的な範囲です。他の民族の音楽は水木金に上げる予定です。

まずは、キングのワールドルーツミュージックライブラリーの一枚である、3枚組の「中国/シルクロードの音楽」から、ウイグルの音楽が入っている2枚目から、弦楽器レワーブ独奏の続き2曲からおかけします。

この盤の旧タイトルは「絲綢之路II~漢族とウイグル族の音楽」で、録音は小泉文夫氏が亡くなられた後の1985年のものでした。レワーブ演奏は弾き語りも巧みに聞かせるミジット・イブライム氏です。

5曲目の「春の喜び(カシュガル民謡)」は、「冬が去り、すべてのものが息を吹き返し、生命が大地に躍動する春の情景を描いた音楽。序の部分に古典音楽の12ムカームの中の間奏曲が使われている」と解説にあります。

<2-5 Mijit Ibrahim / レワーブ独奏「春の喜び(カシュガル民謡)」 3分58秒

6曲目「カシュガル民謡「アトシュ」」ではMijit Ibrahimのレワーブ弾き語りが聞けます。アトシュ地方の民謡をもとに編曲された叙情的な踊り曲で、ウイグルの美少女が恋人を訪ねて旅する心を表しているそうです。

<2-6 Mijit Ibrahim / カシュガル民謡「アトシュ」 3分4秒>

The Beautiful Uyghur singer paly uyghur musical instruments-Rawap


この「中国/シルクロードの音楽」には、漢族を中心に、中国の少数民族であるウイグル族、キルギス族、モンゴル族、朝鮮族、苗(ミャオ)族、チベット族の音楽が入っていますので、今回は残りの時間で一通りかいつまんでおかけしてみたいと思います。これまでに取り上げていない東アジアのそれぞれの音楽に回っていくのは、早くて5,6年後にはなると思います。

漢族の中国の伝統音楽は、二胡、高胡、笛子(ティズ)、筝、琵琶のそれぞれ独奏曲が入っています。レワーブとの比較で琵琶をかけたいところですが、時間オーバーしそうですので、広東省潮州の筝名曲「寒鴉戯水」をおかけします。刺繍で有名な汕頭(スワトウ)や隣の潮州の辺りは、海の幸を生かした潮州料理の本場で、その味はあっさりしていて、日本人の口に合うものが多いのですが、香港に旅行した際に食べて、どれも美味しい南中国の広東料理の中でも忘れられない料理の筆頭になっています。

音楽もあっさりしていて、筝は絹ではなくスチール弦の涼しげな響きがあり、水と戯れる寒鴉(カンア 冬のカラス)の姿を音で描く水墨画のようなこの曲には、スワトウの刺繍を連想させる繊細な趣きがあります。

<1-14 紅蓮 / 寒鴉戯水 3分3秒>

次はモンゴル族の音楽です。日本の追分のルーツとも言われるオルティンドー(「長い歌」の意味)の伴奏を、「草原のチェロ」の形容があった馬頭琴で伴奏している蒙古民謡の「広々とした草原」という曲をおかけします。

<2-7 Gao Wa / 広々とした草原 3分57秒>

次は中国東北部の吉林省に住む朝鮮族の音楽から、日本でも広く知られている朝鮮民謡トラジの編曲版です。トラジとは桔梗の花の意味で、純朴な山の花ではあるが、他の花よりずっと強い生命力を持ち、どんな悪条件にも負けず育つ姿は、朝鮮族の象徴とも考えられているそうです。擦弦のヘーグムと両面太鼓のチャンゴの演奏です。

<3-9 崔勇(ツィ・イョン) / トラジ 1分45秒>

次は中国南部各地に住む少数民族、苗(ミャオ)族の音楽から、日本の雅楽に用いられる笙のルーツに当たる蘆笙(ろしょう)を吹きながら踊る曲「楽しい蘆笙舞」という曲です。苗(ミャオ)族と同系統のモン族などが、タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナムなどの山岳地帯に住んでいて、笙のルーツに当たる楽器は、ラオスなどインドシナの方にも見られるので、苗(ミャオ)族もタイ系などインドシナ系統の民族かと長年思っていましたが、どうも独立した語族のようです。

<3-13 金欧 / 楽しい蘆笙舞 2分>

では最後に3枚目のラストを飾っているチベット族の歌舞劇の音楽ウンパドンという曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。有名な超低音の仏教声明ではなく、独特なヴィブラートを伴った歌唱で、ウンパドンはチベット劇の最初に場を浄め、観客を集め、役者を紹介するために演じられるそうです。チベット自治区の首都ラサの唯一のプロ劇団であるテュムノ劇団の83年来日時の貴重な録音です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3-17 ウンパドン 10分44秒>

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