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2019年10月

2019年10月31日 (木)

アブドゥルカディル・メーラギとRast Nakis Beste

アブドゥルカディル・メーラギのラスト・ナキシュ・ベステですが、胸のすくような明るい曲調で、20年前後前にトルコのウードを独習していた頃からオスマンのレパートリーの中では特に好きな曲の一つでした。それだけに数年前にイランのBarbadからShowghnaameh(ショウグナーメ)が登場して、イラン音楽の古層とオスマン音楽が繋がっていることを証明したこの盤の冒頭にこの曲が出てきたことには、大変驚きました。
ペルシア音楽とトルコ音楽のどちらでも相当に古い時期の音楽家アブドゥルカディル・メーラギは、現在はイラン北西部のアザルバイジャン州のマラーゲ生まれのペルシアの音楽家でしたが、イランにあったイルハン国の後のモンゴル系のイスラム王朝、ジャライル朝の宮廷に仕え、その後ティムールによるバグダッド占領後はやはりモンゴル系のティムール朝のサマルカンドの宮廷に仕えたり、バグダッドとサマルカンドを行き来したようです。当時の複雑な政治情勢に翻弄された人生だったようですが、当時としてはおそらく長命ですし、各所で吟遊詩人~楽師として厚遇されていたようです。敵には残忍なことで知られるティムールですが、音楽を好み、アラブから中国に至る東西の楽士で混成された楽団が奏でる歌曲に耳を傾けたそうです。アブドゥルカディル・メーラギとオスマン宮廷との繋がりは、スルタン・ムラート2世に音楽論文を贈ったことが記録されていますが、ほぼこの事実のみのようです。と言う訳で、この曲もジャライル朝かティムール朝の宮廷で生まれて、オスマン朝の音楽に受け継がれたということなのではと推測しますが、どうでしょうか。
名曲だけに、youtubeも夥しい数が上がっています。1本目では音と映像のずれが気になりますが、左からケメンチェ、ネイ、ウード、歌の並びが興味深く、すっきりと美しい演奏です。2本目の演奏では、冒頭にウードによる高度な変奏が繰り広げられた後で、主題が現れます。Chant du mondeから出ていたAl Kindi アンサンブルのParfums Ottomans(オスマンの香り)のジャケットそのままの人形が出てくる3本目では、弦楽器奏者の首が時折くるくる回るのに笑いを禁じ得ませんでした(笑)ただしParfums Ottomansに、この曲は入ってなかったように思います。

RAST NAKIŞ BESTE- ''AMED NESİMİ SUBH(U) DEM''- Abdulkadir Meraği

Rast Nakis Beste 'Amed Nesimi Subhu Dem' - Abdülkadir Meragî / Mehmet E. Bitmez

ÂMED NESÎM-İ SUBH DEM - ABDÜLKÂDİR MERÂGÎ

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2019年10月30日 (水)

Abdulkadir MeragiのRast Nakis Beste トルコとイラン

Abdulkadir Meragi作曲のRast Nakis Besteとしてのオーソドックスな器楽名演はこちらです。トルコのKalanから2001年に出ました。編成は、ネイと枠太鼓ベンディールのSenol Filiz(シェノル・フィリス)、タンブールがBirol Yayla(ビロル・ヤイラ)、ウードがSamim Karaca(サミーム・カラジャ 名歌手キャーニ・カラジャと関係あり?)、カーヌーンがTaner Sayacioglu(タネル・サヤジュロウル)、ケメンチェはLutfiye Ozer(リュトフィイェ・オゼル)です。オスマン音楽らしい、すっきりと美しいユニゾンです。

Rast Nakış Beste [ Miras © 2001 Kalan Müzik ]

ペルシア音楽では、この曲をホマーユン・シャジャリアン以外にもセピデー・ライッサダト(Sepideh Raissadat)が歌っていました。フランスBudaのアンサンブル・モシュタークでの2枚以降、大注目のセタール弾き語りの女性歌手です。ネイはトルコのネイですが、ウードはどちらでしょうか?

Ensemble Maraghi: Amed Nesim-e Subh Dem (Rast Naks Beste)

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2019年10月28日 (月)

オスマンとペルシアに共通のAbdulkadir Meragiの名曲

ゼアミdeワールド184回目の放送、日曜夜にありました。30日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。放送でかけられなかったホマーユン・シャジャリアンのyoutubeがありました。今日はこの一本だけ上げておきます。

トルコの伝統音楽の3回目です。

スルタンの親衛隊「イェニチェリ」をタイトルに冠したクドゥシ・エルグネルのフランスAuvidis Ethnicのオスマン軍楽の盤から、冒頭のMedley: Ceremonial des Janissaires / Elci Peshrevi / Rast Kar / Air des Mehtersを前回の最後にかけましたが、肝心のアブドゥルカディル・メーラギの曲が出てくる前に時間切れになってしまいました。

今回はオスマン名曲選の1回目ということで、14、15世紀のアブドゥルカディル・メーラギが書いたこの有名な旋律のRast Karを、幾つかの演奏で聞き比べたいと思います。まず前回のイェニチェリの一曲目のメドレーからおかけします。

<1 Medley: Ceremonial des Janissaires / Elci Peshrevi / Rast Kar / Air des Mehters 6分5秒>

アブドゥルカディル・メーラギですが、イランのBarbadから出た「情熱の書  Showghnaameh ショウグナーメ (3CD)」では、「ティムール朝期の音楽家Abdulkadir Meragi(1350または1360-1435)の文献を、音楽研究家・Mohammad Reza Darvishiが解釈し、トンバク奏者兼歌手のHomayun Shajarianが歌ったプロジェクト」という紹介をされていました。冒頭に、オスマン古典音楽の非常に古いレパートリーとして有名なAbdulkadir Meragi作曲のRast Nakis Besteが出てきますが、これは明らかにRast Karと同じ曲に聞こえます。

オスマン古典組曲をファスル(Fasil)と言いますが、ファスルの中ではカールの後にベステが演奏されるので、同じ曲の前半と後半のようにも聞こえるように思います。歌詞は通常はペルシア語で歌われていますが、イランの音楽家がペルシア音楽の古層を辿って行く内に、ティムール時代の音楽に行きつき、それがオスマン音楽と共通していたということで、Showghnaamehは大変に興味深い盤でした。

そのRast Nakis Besteをかけられれば良いのですが、例によって大好評につき売り切れで残ってなくて、更にデータも行方不明のため、2枚目に入っている同じラスト旋法の他の曲をおかけしておきます。同じマカームですから、似た雰囲気は感じられるかと思います。Rast (Mohtasham)という曲です。

<2-6 Showghnaameh ~Rast (Mohtasham) 6分43秒>

Homayoun Shajarian - Amed nesîm-i subh-dem tersem ki âzâreş küned (Abdülkâdir-i Merâgi)


歌のホマーユン・シャジャリアン以外は、Samer Habibi, Ehsan Zabihifar : キャマンチェ、Siyamak Jahangiri : ネイ、Ali Samadpur : ロバーブ、Sirus Jamali : ベース・ロバーブ、Arash Shahriari : タンブール(チャールタール)、Negar Buban : ウード、Sanaz Nakhjavani : カーヌーン、Behzad Mirza`i : ダーイェレという編成でした。曲調は確かにオスマン音楽ですが、それをペルシア音楽の音楽家が演奏しているところが非常にユニークに聞こえました。

Abdulkadir Meragi作曲のRast Nakis Besteとしてのオーソドックスな名演が、トルコのKalanから出ていますので、おかけしておきます。編成は、ネイと枠太鼓ベンディールのSenol Filiz(シェノル・フィリス)、タンブールがBirol Yayla(ビロル・ヤイラ)、ウードがSamim Karaca(サミーム・カラジャ)、カーヌーンがTaner Sayacioglu(タネル・サヤジュロウル)、ケメンチェはLutfiye Ozer(リュトフィイェ・オゼル)で、それらのすっきり静謐なユニゾンがとても美しいです。

<1 Rast Nakis Beste 5分10秒>

この曲はトルコの初回にかけましたウルヴィ・エルグネル・アンサンブルによるオスマン宮廷音楽のEnderunにも入っておりますので、おかけしておきます。タイトルがまた違っていて、Makam Rast: VI. Amed Nesimiとなっています。多くは器楽で演奏されるこの曲ですが、この演奏では歌詞が出てくるので、Amed Nesimiはその作詞者かも知れません。

<18 Makam Rast: VI. Amed Nesimi 3分57秒>

では最後に、余った時間でShowghnaamehの唯一見つかった2枚目のデータから、もう一曲のRastを時間まで聞きながら今回はお別れです。ホマーユン・シャジャリアンは、ペルシア古典声楽の大御所で父のモハマド・レザ・シャジャリアンにそっくりな歌声になってきたなと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<2-7 Showghnaameh ~Rast (Mohtasham) 3分33秒>

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2019年10月24日 (木)

トルコ行進曲

17世紀まで何度かウィーンまで迫って来ましたが、18世紀頃にはトルコの脅威はひとまず落ち着いていたのでしょうか。その頃西洋ではトルコ趣味が大流行したそうです。敵国のはずなのに、不思議です。流行ったものに、アラビアンナイト、トルコ行進曲、トルココーヒーなどがありますが、オスマン軍楽を聞いてどう思ったのか、どういう風に創作意欲を刺激されたのか、出来るものならモーツァルトにインタビューしてみたいものです(笑)

トルコ行進曲の入っている11番のピアノソナタは彼のピアノソナタで一番ポピュラーになっています。ヴァイオリン協奏曲もトルコ行進曲付きが5曲中一番の傑作でしょう。ベートーヴェンには、『アテネの廃墟』のトルコ行進曲以外に、交響曲第3番の第4楽章の一部と交響曲第9番の第4楽章の一部にも影響があるそうですが、これは初耳。要確認の大ニュースです。

オスマン軍楽(メフテル)が、逆にモーツァルトのトルコ行進曲を演奏している映像がありました。これには受けました(笑) ヴァイオリン協奏曲第5番は、アンネ・ゾフィー・ムターの名演で。24分頃からが第3楽章のトルコ風の部分です。

トルコ軍楽隊のトルコ行進曲

ANNE SOPHIE-MUTTER - Mozart Violin Concerto # 5 ~ Camerata Salzburg

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2019年10月23日 (水)

ジェッディン・デデン 阿修羅のごとく

トルコ軍楽の名曲、ジェッディン・デデンは、もっとオーソドックスな映像が色々ありました。月曜は急いでいたので、取り急ぎロシアの赤軍合唱との共演を上げましたが。1本目などは、98年に葛飾で見た通りの演奏風景です。表参道でのパレードは最近のようですが、是非見てみたかったです。目の前で見たら鳥肌が立ちそうです。向田邦子の「阿修羅のごとく」の年は高校2年だったので、余り見た記憶はないのですが、この曲は鮮烈に印象に残っていました。

ジェッディン・デデン(Ceddin Deden)

トルコ・オスマン軍楽隊 表参道パレード



動画の解説から

トルコは親日国として有名ですが、そのきっかけとなった「エルトゥールル号遭難事件」から9月で125年を迎えます。
これを記念した在日トルコ大使館文化部企画の、トルコ・オスマン軍楽隊パレードが2015年6月6日(土)に行われ、こんな機会は滅多にないので勇んで参加してきました。

土曜ドラマ『阿修羅のごとく』OP (向田邦子シリーズ)

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2019年10月21日 (月)

オスマン・トルコの軍楽(行進曲)

ゼアミdeワールド183回目の放送、日曜夜にありました。23日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。動画は今日はジェッディン・デデンだけにしておきます。何と、ロシアの赤軍合唱団との共演です。何でこういう共演が実現したのか、大分前にもブログに書いたことがありました。

トルコの伝統音楽の2回目です。前回はオスマン朝時代の古典音楽を少し聞きましたが、トルコの音楽と言えば、おそらく向田邦子原作のTVドラマ「阿修羅のごとく」に使われたオスマンの軍楽が一番知られていると思いますので、今回はキングのWRMLのシリーズにも入っている「トルコの軍楽~オスマンの響き」と、トルコ軍隊の先頭に立つスルタンの親衛隊「イェニチェリ」をタイトルに冠したクドゥシ・エルグネルのフランスAuvidis Ethnic盤のオスマン軍楽を中心にご紹介したいと思います。

小泉文夫氏とその弟子の小柴はるみさんの現地録音の「トルコの軍楽~オスマンの響き」ですが、テレビドラマの影響もあって、一時は最もよく売れた民族音楽音源だったようです。1979年のドラマですから、若い方は知らない人が多いのではと思います。さっそくその向田邦子原作のTVドラマ「阿修羅のごとく」に使われた古い陸軍行進曲「ジェッディン・デデン」(祖先も祖父も)からおかけします。

<1 古い陸軍行進曲「ジェッディン・デデン」(祖先も祖父も) 2分29秒>

Ottoman Military Band & Red Army Choir: Ceddin Deden Neslin Baban (Ottoman Janissary March).flv


ジェッディン・デデンの作曲者は、アリ・ルザ・ベイで、旋法はヒュセイニー、リズム型(ウスール)は4拍子のソフィアです。

私は98年にトルコの軍楽、メフテルのグループが来日した際に東京でのコンサートに行きましたが、軍楽のベースにあるのは、オスマン古典音楽やイスラムの宗教音楽であることがよく分かりました。作曲者にはオスマン古典音楽の作曲家の名前がかなり見つかります。楽器編成は、トランペット系のボル、オーボエ系のズルナ、打楽器は大型対太鼓のケス、小型のナッカーレ、両面太鼓のダウル、シンバル系のジルなどです。コンサートでは、コーラン朗誦をするムアッジンを兼ねているのでは思われる歌い手もいて、歌も非常に素晴らしかったのをよく覚えています。

バルカン半島はほぼ全域手中に収め、一時ハンガリーまでオスマン・トルコの版図に入り、ウィーンのすぐそばまで来ていたのですが、トルコ軍楽の行進曲は18世紀のヨーロッパで大流行し、ヨーロッパの軍楽やブラスバンド、ひいてはオーケストラの基礎になったとさえ言われています。色々な作曲家がトルコ行進曲を残していますが、その代表曲として、モーツァルトのトルコ行進曲をおかけします。オスマン軍楽と同じ所にアクセントが入っているのがよく分かります。パウル・バドゥラ=スコダ、フリードリヒ・グルダとともに「ウィーン三羽烏」と呼ばれたイェルク・デームスのピアノ独奏です。

<モーツァルト トルコ行進曲 イェルク・デームス 3分20秒>

キングの「トルコの軍楽~オスマンの響き」から、12曲目にはオスマン古典音楽の作曲家イスマイル・ハック・ベイの書いたマカーム・マーフールの軍隊行進曲が入っています。彼の曲はこの盤に数曲ありますが、古典の曲でも好きな曲が多いので、またいずれ取り上げたいと思っております。

<12 軍隊行進曲 2分16秒>

一つ戻って11曲目には、チャルメラをもっとけたたましくしたような同属のダブルリード管楽器ズルナのタクシームと、続いてエステルゴン城という曲が入っています。旋法はどちらもエキゾチックなヒジャーズで、リズム型は4+5のアクサクという9拍子です。エステルゴン城はヨーロッパ前線のトルコ占領下のハンガリーの古い民謡から取られた旋律とのことです。

<11 ズルナ・タクシーム~エステルゴン城 4分49秒>

このキング盤には、古い陸軍行進曲「ジェッディン・デデン」がもう1トラック入っていて、こちらは小泉文夫氏による1971年の現地録音です。この演奏では、軍楽の祈りが後ろに付いています。

<17 古い陸軍行進曲「ジェッディン・デデン」~軍楽の祈り 2分20秒>

次に、スルタンの親衛隊「イェニチェリ」をタイトルに冠したクドゥシ・エルグネルのフランスAuvidis Ethnic盤のオスマン軍楽から、ジェッディン・デデンと同じ曲のEski Ordou Marshiと、冒頭のMedley: Ceremonial des Janissaires / Elci Peshrevi / Rast Kar / Air des Mehtersを時間まで聞きながら今回はお別れです。メドレーの方で出てくるRast Karは、14、15世紀のアブドゥルカディル・メーラギが書いた有名な旋律で、ウードなどの古典楽器でも盛んに演奏されています。先週取り上げたウルヴィ・エルグネルの息子で、80年代のワールドミュージックブームの時に大きくクローズアップされたネイ奏者クドゥシ・エルグネルがオスマン軍楽を入れたということで、この盤は1990年のリリース当時に一部で大きな話題になりました。現在はフランスAuvidis Ethnicは活動停止しているので、おそらく入手不可の盤になります。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<6 Eski Ordou Marshi 2分3秒>

<1 Medley: Ceremonial des Janissaires / Elci Peshrevi / Rast Kar / Air des Mehters 6分5秒>

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2019年10月18日 (金)

アカ・ギュンデュズ・クトバイとネジデト・ヤシャル

ネイのアカ・ギュンデュズ・クトバイと、タンブールのネジデト・ヤシャルが共演した貴重な映像がありました。1974年と言うことで、残念ながらウルヴィ・エルグネルの姿はありませんが。右手奥がアカ・ギュンデュズ・クトバイ、その前がネジデト・ヤシャル、左の手前がドーアン・エルギン、奥のタンブールがアブディ・ジョシュクンです。これはお宝映像と言って良いのでは。西洋のクラシックでもそうですが、最近の演奏とは何かが違うように思います。アカ・ギュンデュズ・クトバイが、ピーター・ブルック監督の作ったロシア(現在はアルメニア)の神秘思想家グルジェフの伝記映画「注目すべき人々との出会い」に出たのが、1979年。その5年前です。実に美しい演奏です。

Ney ve Tanbur ile Saz Eserleri - Aka Gündüz Kutbay, Doğan Ergin, Necdet Yaşar ve Abdi Coşkun

曲目

Hicaz Peşrev - Katip Çelebi

Bayati Ayin-i Şerifi, 1. Selam (Terennüm) - Mustafa Dede

Bayati Ayin-i Şerifi, 3. Selam (İlk Terennüm) - Mustafa Dede

Bayati Ayin-i Şerifi, 3. Selam (İkinci Terennüm) - Mustafa Dede

Bayati Ayin-i Şerifi, 3. Selam (Son Terennüm) - Mustafa Dede

Bayati Ayin-i Şerifi, 3. Selam (Üçüncü Terennüm) - Mustafa Dede

Karcığar Ayin-i Şerifi, 2. Selam (Terennüm) - Bolahenk Nuri Bey

Nühüft Ayin-i Şerifi, Son Yürük Semai - Eyyubi Hüseyin Dede

Segah Saz Semaisi - Nayi Osman Dede

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2019年10月16日 (水)

トルコのネイ クツィ・エルグネルの路

ウルヴィ・エルグネルは1974年に亡くなっているので、ネイのタクシーム(即興)の音源はありますが、さすがに動画はないようです。トルコのネイはこんな笛ということで、息子のクドゥシ・エルグネルの名演を上げておきます。FBで繋がっているので迂闊なことは書けないのですが(笑)、彼の名前の表記は、90年頃はクツィと聞くことが多かったのですが、その後クドゥシが多くなっています。クツィという発音も聞きますが、どちらがあっているのでしょうか? この動画の「ヨル」と言うのは、昔のトルコ映画にもありましたが、「路」であっているのだろうと思います。PIERRE RIGOPOULOSのイランのトンバクとダフなどの伴奏です。実はイランのネイは持っていますが、トルコのネイのように歌口がなく、真鍮の筒を嵌めたただの筒なので、容易に音は出ませんが、トルコのネイは少し鳴り易そうにも見えます。

YOL - Sufî by Kudsi Erguner

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2019年10月14日 (月)

ウルヴィ・エルグネルのアル・スール盤

ゼアミdeワールド182回目の放送、日曜夜にありました。16日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。動画は今回Gazi Giray Hanのマーフールのペシュレヴのみにしました。やはりウルヴィ・エルグネルでは見当たらないので、比較的似た演奏で上げておきました。

今回からトルコの伝統音楽を聞いて行きたいと思います。トルコの伝統音楽は、大きく分けて、ペルシア・アラブの優れた伝統を受け継いだオスマン朝時代の古典音楽と、これまで聞いてきました中央アジアのテュルク(トルコ)系諸民族とも繋がるアシュク(吟遊詩人)のサズ弾き語りなどの民俗音楽、スーフィー(イスラーム神秘主義)の音楽では旋回舞踏で有名なメヴレヴィー教団の音楽などがあります。

トルコの音楽と言えば、おそらく向田邦子原作のTVドラマ「阿修羅のごとく」に使われたオスマンの軍楽や、江利チエミが1954年に日本語で歌ったイスタンブール民謡のウスクダラが最も有名かと思いますが、その前に、まずは個人的に一番好きなトルコ古典音楽の盤で、1992年にフランスのAl Surからリリースされたネイ奏者ウルヴィ・エルグネル・アンサンブルによるオスマン宮廷音楽のEnderunという盤からご紹介したいと思います。ネイとは、葦で出来た長い縦笛で、ペルシアの大詩人ジャラールッディン・ルーミーが神秘主義詩の中で読み、メヴレヴィー教団を興して以来、スーフィーの音楽で最も重要な楽器とされています。アル・スールのメーカー自体活動停止してしまいましたので、現在はおそらく入手不可で、アップルミュージックなどストリーミングでも聞けないようです。

ウルヴィ・エルグネルは、メヴレヴィー音楽やオスマン古典音楽の現代最高のネイ奏者の一人であるクドゥシ・エルグネルの父で、この演奏には有名なネイ奏者アカ・ギュンデュズ・クトバイやタンブール奏者のネジデト・ヤシャルも参加しています。ウルヴィ・エルグネルは、1924年生まれ1974年没ですから、録音は晩年でしょうか。若き日の息子クドゥシ・エルグネルもメンバーにいるのではと思います。この盤の解説はクドゥシ・エルグネルです。アルバムタイトルになっているエンデルンとは、オスマン宮廷の中に作られた学校で、そこではスルタンお抱えの楽師や詩人、神学者、歴史家、書家などが活躍していたそうです。

「パクス・ロマーナ」(ローマの平和)にちなんだ「パクス・オトマニカ」 (Pax Ottomanica)を連想させる、太平のオスマン時代を思わせる大らかなマカーム・マーフールのペシュレヴ(器楽合奏の前奏曲)からおかけします。

<1 Makam Mahur: I. Pesrev 3分6秒>

Mahur Peşrev- Gazi Giray Han


この曲は、現在はロシア領のクリミア半島出身で、チンギス・ハーンの末裔と言われるGazi Giray Han(ガズィ・ギレイ・ハーン)の作曲です。クリミア・ハン国は16世紀頃はオスマン帝国の属国で、彼はクリミアの12代目ハーンでしたが、勇敢な戦士であるだけでなく偉大な作曲家としても知られ、色々な楽器を演奏し、アラビア語、ペルシア語、オスマン語など多言語で詩も残しています。Mutlu Torunのウード教本にも入っているこのマーフール旋法の明るく親しみやすいペシュレヴは、作曲されたのが16世紀ということでオスマン音楽の中でもかなり古い曲ですが、長らく口承で伝えられ、ウルヴィ・エルグネルが記譜したとのことです。

この盤にはマーフール、ペンジガー、ラストという3つのマカームの演奏が合計19曲で入っていますが、6曲のマカーム・マーフールを続けて聞いて行きます。2曲目には更に古い14、15世紀のアブドゥルカディル・メーラギが書いたとされるMakam Mahur: II. Karが続きます。男性のコーラスと、ネイ、タンブール、ウード、カーヌーンなどの器楽合奏は穏やかな表情を持った音楽で、トルコ帽と白く長い衣装に身を包んで旋回舞踏する、メヴレヴィーのセマーの儀礼を髣髴とさせる感じもあります。

<2 Makam Mahur: II. Kar 6分32秒>

マーフール旋法の6曲で大体24分ですので、続きの4曲を聞きながら今回はお別れです。続けて聞くことで、オスマン音楽の大らかで洗練された深い表情が味わえると思います。III. Agir Semai(作者不詳)、IV. Ney Taksim(アカ・ギュンデュズ・クトバイによるネイのタクシーム=即興)、V. Yuruk Semai(エブベキル・アア作)、VI. Saz Semaisi(再びガズィ・ギレイ・ハーン作)と続きます。多分6曲目の途中までになると思いますが。それぞれの用語については、また追々解説を入れたいと思いますが、サズ・セマーイだけ説明しておきますと、弦楽器のサズとは関係なく、3+2+2+3の10拍子の楽曲形式です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3 Makam Mahur: III. Agir Semai 3分>

<4 Makam Mahur: IV. Ney Taksim 53秒>

<5 Makam Mahur: V. Yuruk Semai 5分5秒>

<6 Makam Mahur: VI. Saz Semaisi 5分23秒>

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2019年10月10日 (木)

ケティックのモルゲンラント音楽祭のライブ

ケティックのドライエルガイド盤の録音は2010年と2012年でしたが、2014年のモルゲンラント音楽祭のライブ映像がありました。最初に出てくるのが、ドラン・ムカームをテーマにした同名曲で、放送では番組の最後に少しだけかけて終わりました。CDと同じで、このインパクトの強い曲をライブの最初に持ってきているのかなと思いました。87分の映像の中には、例の3曲の内、何曲か出てきますし、カザフの倍音唱法を披露する部分、ドタールなどの民族楽器の演奏など、放送でかけられなかった音源が色々と出てきます。
2本目はCDで共演していた女性歌手かどうか不明ですが、タリム(労働者の歌)のライブ映像で、ピパの伴奏付きです。
3本目は、ドラン・ムカームの楽師たちがパリを訪れた際の映像。イネディ盤の録音の際の映像でしょうか? 音楽同様、味のある叔父さん達です。バックの音楽はケティックのドラン・ムカームです。

Perhat Khaliq`s Qetiq live at Morgenland Festival Osnabrück 2014

Qetiq - Tarim (concert)

Dolan in Paris (Dolan Muqam group from Mekit) Music Perhat Khaliq (Qetiq)

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2019年10月 9日 (水)

Qetiqの沁みる歌

ウイグルのロックバンド、ケティックの「タクラマカン砂漠からのロック Rock from Taklamakan Desert」は、もちろん沁みる曲だけでなく、ストレートなロックの方が多いのですが、それだけに奇数番号に入った例の3曲の哀愁が際立ちます。リーダーのぺルハト・ハリクの作曲のTughulghan kunum(私の誕生日)はケティックでは見当たらず他の歌手でありましたが、Tarim(労働者の歌)はケティックの演奏でありました。Iskender Seypullaの作曲、Malike Ziyavudun作詞で、タリム川に沿って出稼ぎに出た世代の、故郷を思う歌とのことでした。カザフ族のアック・バヤンも良かったですが、このタリムとTughulghan kunumも堪らないものがあります。タリムは放送ではフェイドアウトになってしまいましたので、今回はフルで。

Qetiq - Tarim

Adil --- Tughulghan Künüm { Uyghur Guitar Song }

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2019年10月 7日 (月)

Ayshigul MamatとQetiq

ゼアミdeワールド181回目の放送、日曜夜にありました。9日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。Ayshigul Mamatは、おそらくモルゲンラント音楽祭のライブそのものですが、2曲目のIli Xalq Naxshisi-Bir Yurushです。この人の動画は、これと先日のタシケントのライブのみのようです。Qetiqの沁みる3曲の内、今日はAq bayanのみ上げておきます。

テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の8回目です。ドイツのDreyer Gaidoから出ている2枚をご紹介して、今回でウイグルを締めたいと思います。

ゼアミブログにも書きましたが、4回目にかけました「ウイグルの音楽 イリとカシュガルの伝統」に出てきた女性歌手Ayshamgul Mamatで検索したら、イネディの音源以外にウズベキスタンのタシケントでの割と最近のコンサート映像がありました。この人の名前はAyshigul Mamat (aka Ayshamgul Muhammad)など、色々綴りがあるようで、ドイツのDreyer Gaidoから出ていた「女声によるウイグルのムカームと民謡/エィシングル・メメット The female voice of Uyghur muqams and folk songs/Ayshemgul Memet」と同一人物でした。イネディ盤では解説をよく読まないと出てこない名前だったので、今回検索して初めて気が付きました。

この盤から、一曲目のSigah-Muqamをおかけします。タンブールの伴奏でしっとり語りだすこのムカームの冒頭のムカッディマに始まり、ジュラ、チョンサリカと続く内に、フレームドラムのダプも入って、賑やかに展開します。2010年8月、ドイツのオスナブリュックでのモルゲンランド音楽祭のライブ録音です。

<1 Sigah-Muqam 8分44秒>

Ayshemgul Memet (traditional Uyghur folk songs)


Dreyer Gaidoからのもう一枚は、「タクラマカン砂漠からのロック/ケティック Rock from Taklamakan Desert/Qetiq」という盤です。ケティックはウイグルを中心に活動するロックバンドで、カリスマ的リーダーのぺルハト・ハリクは北ドイツ放送の老舗ビッグバンド、NDRビッグバンドやオスナブリュック交響楽団との共演も行っていて、今作では民族音楽とロックのクロスオーヴァーを見事に成し遂げています。

カザフの倍音唱法を取り入れた演奏もありますが、カザフとウイグルのノスタルジックな哀愁の名旋律がありましたので、まずその3曲を続けておかけします。

<3 Aq bayan(カザフの伝統歌曲) 5分37秒>

Qetiq - Akh Bayan


 
おそらくウイグル内の少数民族、カザフ族の民謡で、カザフスタンの時に聞いたアック(白鳥)を思い出させるタイトルです。

<5 Tughulghan kunum(ウイグル/私の誕生日) 4分11秒>
 
リーダーのぺルハト・ハリクの作曲

<7 Tarim(ウイグル/労働者の歌) 4分45秒>
 
Iskender Seypullaの作曲、Malike Ziyavudun作詞で、タリム川に沿って出稼ぎに出た世代の、故郷を思う歌

では最後に、ドラン・ムカームをロック化したという1曲目のDolan muqamを聞きながら今回はお別れです。スチールギターのような音色のカロンの音が出てくるので、最初からドランをイメージ出来ます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Dolan muqam(南ウイグル地方の伝統音楽) 6分51秒>

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2019年10月 4日 (金)

サヌバル・トゥルスンのドゥタール弾き語り

私の番組では、一応次の回でウイグルのシリーズを終える予定です。南コーカサスのアゼルバイジャンから、トルクメン、カザフ、キルギス、ウズベクと続いてウイグルまで、間にペルシア系のタジクとアフガニスタンを挟みながら、中央アジアのテュルク(トルコ)系の国々の音楽を巡ってきましたが、最後はいよいよトルコです。クルドも交えて少なくとも3か月はかける予定です。その後は、ギリシアからバルカン半島~東欧を北上、クラシックも交えてヨーロッパ中を巡り、スペインから北アフリカのモロッコに出る頃には、早くても3年は経っていると思います。

毎回思うことですが、8~10回を各国の音楽にかけていると愛着が深まり、後ろ髪を引かれる思いで次の国に行くのですが(笑)、今回もサヌバル・トゥルスンの歌声に深く魅了されることで、もっと詩の内容から掘り下げたい思いにも駆られますが、先は長いので名残惜しさを覚えながらも先に進みたいと思います。この歌姫の無事の帰還を何よりも強く祈願して、素晴らしいドタール弾き語りを何本か上げておきます。なお、ウイグルではドゥタールと発音するようです。来週はドライエルガイドの2枚で、ブログ上ではもう少しウイグルが続きます。

[Uyghur Song] Senuber Tursun - Didar ghenimet

[Uyghur Song] Senuber Tursun - Xeting keldi ozeng kelmiding

[Uyghur Song] Senuber Tursun - Tot qulaq

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2019年10月 3日 (木)

ウイグル・ポップスを歌うサヌバル フシタール

サヌバル・トゥルスンは、ムカームや自作曲、ウイグル民謡の歌唱だけでなく、ウイグルのポップス界でも活躍しているようです。市丸さんのような邦楽の歌い手が歌謡界に出てきていた戦中戦後の日本と似た状況と言えるでしょうか。タンブールなどウイグルの伝統楽器が見えますが、昔の日本の歌謡界でも、伝統楽器である三味線がよく出てきました。動画はかなり上がっていますが、伴奏楽器にフシタールが出ているので、この一本を選びました。西洋のヴァイオリンのルーツは、中東の擦弦のラバーブにあるらしいのですが、その流れの擦弦楽器が東の方にもあって、ケマンチェやギジャクはその代表ですが、ウイグルのフシタールはヴァイオリンに似た外見と、4本の調弦も全く同じ(下からGDAE)だそうで、中央アジアにもあった擦弦楽器が、ヴァイオリンの操作性とアイデアを取り入れた新楽器ということでしょうか?

Sanubar Tursun:-Ha'ting kaldi o'zang ka'lmading

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2019年10月 2日 (水)

Wu Man and Sanubar Tursun

先日の動画では、現代最高の語り部であるサヌバルの歌声に耳を傾けるウイグルの人々の姿にも胸を打たれるものがありました。彼女は常に用心深く、当局によって設定された制限を超えないようにしたそうですが、彼女の歌が聴衆に語りかけることは望んだので、その結果「拘束」という事態になってしまったのでしょうか。名前の表記ですが、アラビア文字でも先日の動画のロシア語表記でも「トゥルスン」ですので、以後サヌバル・トゥルスンとします。

今日の動画ですが、スミソニアン・フォークウェーズのコンピ盤『MUSIC OF CENTRAL ASIA, VOL. 10: BORDERLANDS』で共演していた中国の琵琶(ピパ)奏者、ウー・マンとの映像で、もしかしたらこの盤のメイキング映像でしょうか。まだこのDVDは見てないもので。わずか6年後のこの事態、ウー・マンさんも悲しんでいるのでは。

Wu Man and Sanubar Tursun

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