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2019年11月

2019年11月29日 (金)

キャーニ・カラジャで~キャール・ナートゥク

昨日の続きですが、~キャール・ウ・ナートゥクと付く曲は、マカームごとに色々な作曲家が書いているようです。ラスト・キャール・ナートゥクも、デデ・エフェンディ以外に複数存在していました。圧倒的にデデ・エフェンディの曲が美しく親しみやすいように思いますが、今日は2001年に来日した名歌手、故・キャーニ・カラジャで幾つか見てみたいと思います。
2001年の東京の夏音楽祭は、7月28日の東京ジャーミー文化センターの方を見に行きました。黒メガネのインパクトもありますが、もの凄い声の存在感と、整然とした伴奏陣の演奏には感動しました。日本最大のモスクでのシチュエーションも最高でした。
一本目がサバー・キャール・ナートゥク、二本目はデデ・エフェンディのと同じでラスト・キャール・ナートゥクで、後者は活動停止してしまった90年代フランスの名レーベルAl Surから出ていたCDの音源です。作曲は、前者がゼカイ・デデで、ゼカイという名前から推測するにユダヤ系でしょうか? 名唱を聞かせていますが、余りマカームが変わっているようには聞こえません。しかし、この頃のカラジャの若いこと!
後者のアル・スールの方の作曲は、ハティプザーデ・オスマン・エフェンディという人です。伴奏のネイがKudsi ErgünerとAka Gündüz Kutbayということで、超豪華です。楽譜も出てきますが、デデ・エフェンディの曲のように調号が頻繁に変わらず、マカームが鮮やかに変わっている感じはないように思いました。ハティプザーデ・オスマン・エフェンディは、デデ・エフェンディよりも前の人のようですので、もしかしたらこのスタイルの考案者でしょうか?

Kâni Karaca - Sabâ Kâr-ı Nâtık (Beste: Zekâî Dede)

Rast Kar-ı Natık - (Kani Karaca)

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2019年11月28日 (木)

ミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの生映像とキャール・ナートゥクについて

遂に名歌手ミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの生映像を見つけました! どちらも自作のシャルクでしょうか。1974年と言うことで、74歳頃の晩年の映像です。指揮しながら歌っていることがよく分かります。バックコーラスの女性も、声質などから判断すると4枚組ウスタッドと同じ頃のメンバーではと思います。
3本目はラスト・キャール・(ウ)・ナートゥクの別団体の演奏で、冒頭やはり短いペシュレヴが奏された後で始まります。最初の方は譜面を見ずに歌っている人が多いですが、後半に行くにつれて、見る人が増えます。本体はゆったりとした6拍子で、一行を大体2回歌っています。マカームが変わるところで、セカンド・ヴァイオリン?が二つくらい音を入れるのが特徴的です。本体が終わってから、最後の速いユリュク・セマーイでは、この大曲を歌い切ったぞ!と、言わんばかりに指揮者共々エキサイトしているように見えます(笑) なお、この~キャール・ウ・ナートゥクと付く曲は、マカームごとに色々な作曲家が書いているようです。ラスト・キャール・ナートゥクも、デデ・エフェンディ以外に複数存在しているようですが、圧倒的にデデ・エフェンディの曲が美しく親しみやすいように思います。また明日、2001年に来日したキャーニ・カラジャなどで上げる予定です。

Münir Nurettin Selçuk - (Unutulur ) Ey yârenler bu dünyada bir gün atlı da yaya da

Münir Nurettin Selçuk - Dök Zülfünü Meydana Gel

Rast Kâr-ı Nâtık Dede efendi - SELİM GÖNÜLDAŞ KÜLTÜR VE SANAT DERNEĞİ TÜRK MÜZİĞİ KONSER

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2019年11月27日 (水)

Rast kâr-ı nâtıkの生映像と歌詞、楽譜

デデ・エフェンディのラスト・キャール・ウ・ナートゥクは、名曲だけあって沢山動画がありました。セルチュク晩年の悠揚迫らぬ演奏は大変に素晴らしいのですが、さすがに生映像は見当たらないようです。ケントのネヴザード・アトリー指揮の方はまだ見つかっていませんが、別団体のステージでの演奏がありました。ペシュレヴの後、4分弱位からこの曲が登場します。合唱団の皆さん、何と暗誦しているようです。2本目は楽譜が非常に嬉しい一本です。ウードの教本などにはなかったので。1本目の後に歌詞を入れました。24のマカーム名の登場するこの歌詞の後で、最後にユリュク・セマーイの8分の6拍子の軽快な部分がハミング等で歌われてこの曲は終わります。

Cumhurbaşkanlığı klasik türk müziği korosu-Rast getirüp fend ile seyritdi hümayı/Kar-ı natık


Rast getirip fend ile seyretti hümayî

Düştü o dem hâtıra bir beste Rehavi

Şûle gerek nağme-i Nikriz'e girerken

Vardı gönül Pençgâh'e etti kararı

Anda durup eyledi Mahur'u temaşa

Düm de re lel lâ ile gösterdi Neva'yı

Şevk ile Uşşak'a varıp bu dil-i mecnun

Eyledi tanbur ile bir nağme Beyati

Sonra Nişabur'a kadem bastı o yerde

Semt-i Nihavend'den alıp ol mehitabı

Bu gece ah-u figanım çıktı Nühüft'e

Vakt-ı Saba'ya varınca sardı miyanı

Etti gönül çare eknun Çarigah okundu

Aldı ele nâyı hemen tuttu Dügâh'ı

Saydı Hüseyni'de tamam nağmeyi bir bir

Eyliyecek sazı eda devr-i Hisar'ı

Oldu Muhayye o güzel başladı cevre

Buselik için eyliyecek gizli niyazı

Küy-i Hicaz'e varı ben payına düştüm

Etti o Şehnaz ile bir kere nigâhı

Rahatülrevah ile kıldı bana manendi izzet

Bir kere koyvermedi ol Bestenigâr'ı

Şevk-i Irak'la verilen nağmeye revnak

Evç ile etti gönül tamam makamı

Rast kâr-ı nâtık I Yahya Soyyiğit

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2019年11月25日 (月)

24のマカームが移り行くRast Kar-i Natik

ゼアミdeワールド188回目の放送、日曜夜にありました。27日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。放送ではミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの方が途中までになりましたので、今日はそちらだけ上げておきます。セルチュクの自作曲の多いこの4枚組の中でも、白眉だったと思います。

トルコの伝統音楽の7回目です。オスマン古典音楽名曲選の5回目としまして、今回もオスマン・トルコ古典音楽の大作曲家イスマイル・デデ・エフェンディの、前回予告していた曲をおかけします。Rast Kar-i Natik(ラスト・キャール・ナトゥク)は、どんどん旋法が移り変わる歌唱の内に、それぞれの旋法の名前を詠み込んでいく異色の大作です。旋法はRast, Rehavi, Nikriz, Pencugah, Mahur, Neva, Ussak, Bayati, Nisabur, Nihavend, Nuhuft, Saba, Cargah, Dugah, Huyseyni, Hisar, Muhayyer, Buselik, Hicaz, Sehnaz, Rahatul-Ervah, Bestenigar, Irak, EVCと続きます。名前を見ると、Pencugah, Mahur, Neva, Cargah, Dugahのように、ウイグルなどとも共通するペルシア系の名前が目立ちます。ヒジャーズやニハーヴェントのように、アラブやペルシアの古い地名の付いたものもあります。

声楽でどんどん旋法が移り変わる曲と言えば、南インド古典音楽のメーララーガマーリカーを思い出します。カルナティック音楽の大歌手M.S.スブラクシュミの名唱で有名な曲で、前に放送で少しかけたように思います。この曲も猫の目のようにラーガが移り変わる中で、ラーガ名を歌詞の中に織り込んでいましたが、おそらくどちらも歌詞自体の中に旋法名がうまく嵌め込まれ、意味のある流れになっているものと思われます。作曲、演奏共に高度な技術の必要な曲と思われますが、漠然と聞いているだけでも、実にオスマン音楽らしい高雅で大らかな魅力のある曲です。時折はっきりと分かる微分音が出てきますので、是非注意して聞いてみて下さい。

この曲は、私の知っている限りでは音源が2種類ありまして、一枚は前回にビザンツ風な混声合唱として取り上げましたトルコKentの「トルコ古典音楽 5~デデ・エフェンディ」で、もう一枚は往年の名歌手ミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの4枚組「ウスタード」の3枚目です。演奏時間はケントの方が12分余り、セルチュクの方は16分近くありますので、解説は最小限にして出来るだけ長くかけたいと思います。まずは前者のビザンティン音楽にも似た柔らかく幽玄な音の動きの演奏の方からどうぞ。

<1 Rast Getirip Fend ile Seyretti Humayi 12分26秒>

続きまして、ミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの4枚組「ウスタード」の3枚目の方をおかけしますが、途中までになりますので、時間まで聞きながら今回はお別れです。最初にも言いましたが、オスマンスタイルの合唱を伴い、24のマカームをたおやかに渡り行く15分余りの大作で、歌詞の中にマカーム名を嵌め込んでそこで転調していくという、巨匠ならではの技巧を凝らした曲です。最初のラスト旋法の、オスマン音楽らしい明るく大らかな調子が曲の全体を象徴しているようにも思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3-1 Rast Kar-i Natik (Rest Getirup Fend Ile Seyretti Numayi) 15分59秒>

RAST KÂR-I NÂTIK (Rast Getirip Fend İle) -- Münir Nûrettin Selçuk

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2019年11月21日 (木)

ゼキ・ミュレン、ネスリン・シパヒ、ヤプラク・サヤルで

シャルクやサナートの歌手では、デデ・エフェンディのイネ・ビル・ギュル・ニハールで検索すると、上位にゼキ・ミュレンやネスリン・シパヒが上がっています。ネスリン・シパヒはドイツCMPのシャルクの音源をいずれかけようと思っていますが、ゼキ・ミュレンはどうしても厚化粧と癖の強い歌唱で遠ざけ勝ちでした。大歌手ミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの後輩の一人と言うのは分かっていますが。この写真はまだ若い頃でしょうか。比較的すっきりと歌っています。若手のヤプラク・サヤルも歌っていました。爽やかで良いです!

Zeki Müren | Yine Bir Gülnihal

Nesrin SİPAHİ-Yine Bir Gül Nihâl Aldı Bu Gönlümü (RAST)R.G.

Yaprak Sayar & Yine Bir Gülnihal Aldı Bu Gönlümü

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2019年11月20日 (水)

KEMAL GÜRSESの演奏

デデ・エフェンディのイネ・ビル・ギュル・ニハールの演奏で一番と思うのは、やはりジョシュクンのケマル・ギュルセスの楽団の演奏で、特に女性歌手の艶っぽい歌唱に惹かれました。現代のサナートの歌手で近い歌を聞けるのは、ウムット・アキュレク辺りかなと思っています。KEMAL GÜRSESについては、ずっとよく分からないままでしたが、ぐぐってみると1884年生まれの作曲家で、ご存命なら年齢が135歳ということになるようです。やはりかなり昔の人です。このジョシュクンの録音は、パチパチ針音が入っていますし、データはありませんが、1950年代くらいなのではと思います。とにかく、一曲目のシャドアラバンから引き込まれます。余談ですが、アラブ音楽でも70年代にユネスコ・コレクションのLPで聞いて以来、シャドアラバンは好きなマカームでした。ケマル・ギュルセスは指揮のみなのか、何か楽器を弾きながら演奏しているのかも、知りたいポイントです。

BÜYÜK BESTEKÂRLAR SERİSİ - 5- HAMMÂMÎZÂDE İSMAİL DEDE EFENDİ (DOYSAL)

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2019年11月18日 (月)

デデ・エフェンディのYine Bir Gulnihal

ゼアミdeワールド187回目の放送、日曜夜にありました。20日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。Yine Bir Gulnihalですが、色々ありますが今日はジョシュクンのケマル・ギュルセスの楽団の演奏のみにしておきます。

トルコの伝統音楽の6回目です。今回はオスマン古典音楽名曲選の4回目としまして、オスマン・トルコ古典音楽の大作曲家の一人、イスマイル・デデ・エフェンディの曲をご紹介したいと思います。トルコCoskunから20年余り前に出ていた「トルコ古典音楽のファスル Vol.5~デデ・エフェンディ」から始めますが、この盤について、今治中央図書館に寄贈していて何度も引き合いに出している本ですが、2002年に音楽之友社から出ていた「世界の民族音楽ディスク・ガイド」に書いた拙稿を読み上げます。

ファスル(古典組曲)は爛熟期オスマン文化の粋のような形式である。混声合唱の陰影に富んだ表情が実に素晴らしい。ユニゾンで動くメリスマティックな合唱(西洋的では絶対にない)を中心に、トルコ古典楽器の総出演。間に各楽器ごとのタクシーム(即興)も挿まれる。このジャンルは欧米盤ではUnesco位にしか見当たらないが、トルコでは10枚位のシリーズで幾つも出ている。まだまだオスマン帝国時代に生まれた人も多いトルコでは、年輩を中心に根強い人気があるのだろう。この盤は作曲家別シリーズの1枚で、19世紀の大作曲家イスマイル・デデ・エフェンディの作品。優美で感傷的な3拍子の佳曲Yine Bir Gur Nihalを初め、極めつけの名演。

このように書いておりました。そのイネ・ビル・ギュル・ニハールは、例のムトゥル・トルンのウード教本にも、キーが変わって何度も出てくるラスト旋法のシャルク(古典歌曲の一種)で、とても親しみやすい3拍子の曲なので、ゼキ・ミュレンやネスリン・シパヒなど、サナート(古典歌謡)やシャルクの名歌手もよく歌っています。

古典音楽としての音源は手元に3種類ほどありますが、まず先ほどのジョシュクン盤のケマル・ギュルセス楽団の演奏からおかけします。2曲目に入っていますが、最初のシャドアラバン旋法のエキゾチックな曲からの流れが素晴らしいので、2曲続けておかけします。

<1 Gozumden Gonlumden Hayalin Gitmez 3分20秒>

<2 Yine Bir Gulnihal Aldi Bu Gonlumu 4分22秒>

Dede Efendi - Yine Bir Gülnihal Aldı Gönlümü (Rast)


同じ曲をトルコKent(EMI)から出ている「トルコ古典音楽 5~デデ・エフェンディ」では、ビザンツ風な混声合唱で聞けます。この盤についてはゼアミHPに次のように書いていました。

混声大合唱による作曲家別古典音楽の10枚シリーズの1枚。ビザンティン音楽にも似た柔らかく幽玄な音の動きを、民族オーケストラ(西洋楽器、トルコ楽器混成)がユニゾンで静かに支えています。なんとも言えず「トルコ的」としか言い様のない微妙な美しさ。どんどん旋法が移り変わる歌唱の内に、それぞれの旋法の名前(Rast~Pencugah~Mahur~Bayati~Nihavend等)を詠み込んでいく一曲目や、ラスト旋法の美しいシャルク「Yine Bir Gur-Nihal」は特に聞きどころ。

旋法が移り変わる曲は、また次回にでもかける予定です。官僚だった父親が晩年に銭湯を買い取って生計を立てたため「風呂屋の息子」の意味のハマーミザーデとあだ名されたイスマイル・デデ・エフェンディですが、メヴレヴィー教団の修行場に通って音楽を習い、歴代のスルタンに愛され、多くの弟子を育成した音楽家でした。デデとエフェンディは、どちらも「巨匠」のような意味の尊称ですが、単にデデ・エフェンディと言えば普通は彼を指すほど偉大な作曲家です。この人の生没年は1778~1846年で、ベートーヴェンと近い時期になりますので、両国の大作曲家と言うことで、どこかイメージがダブるように常々思っていました。

<3 Yine Bir Gul Nihal Aldi Bu Gonlumu 3分4秒>

もう一つのこの曲の音源は、トルコのUzelliから出ている「デデ・エフェンディのファスル」ですが、男性合唱と太鼓はクデュムが目立つため、メヴレヴィー的な色彩を感じる演奏です。

<7 Yine Bir Gul Nihal 3分12秒>

この曲について、20年近く前に当時キルギス在住だったトルコ語の堪能なネット上の知人のFさんに歌詞を訳して頂いたこともありました。かなりストレートなラブソングらしいこと、3拍子の美しい旋律は西洋音楽の影響もあるのではという意見があったように記憶しています。

では最後に、最初にかけたジョシュクンのケマル・ギュルセス楽団の演奏で、イネ・ビル・ギュル・ニハールの次の曲から後の数曲を、時間まで聞きながら今回はお別れです。オリエンタルな躍動感と共に、オスマン音楽の高雅な香りが漂ってくるようなこの演奏は、本当に素晴らしいと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3 Gonul Adli Bulbulum Var 2分59秒>

<4 Ey Gul-i Bagi Eda 3分6秒>

<5 Keman Taksimi 37秒>

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2019年11月15日 (金)

ファスルの映像

ファスル(古典組曲)を大編成の合唱と器楽合奏で演奏している映像がありました。こういう映像は意外に少ない様に思いますが、これが最もオスマン古典音楽らしいスタイルだと思います。曲はデデ・エフェンディのフェラフェザー・アイニとあり、メヴレヴィーは抜けています。長いネイのタクシームのソロの後、合奏が入り、合唱が出てきます。言葉の問題があるので、日本ではまず見ることは難しいでしょう。この合唱が、どこかビザンツ風に聞こえて仕方ないのですが、いかがでしょうか。低音のチェロとタンブールが向き合い、チェロの内側にヴァイオリン(カマンあるいはケマンとも)、タンブールの内側にウード、カーヌーン、ネイ、ケメンチェなどが並ぶ編成がよく分かり、非常に興味深いものがあります。

Dede Efendi'nin Ferahfezâ Âyin-i Şerîfi

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2019年11月14日 (木)

フェラフェザー・メヴレヴィー・アイニと旋回舞踏

メヴレヴィー教団の典礼音楽としてのFerahfeza Mevlevi Ayiniを、ネイ、タンブール、ベンディールのトリオで演奏し、その前で旋回舞踏している映像がありました。最初のタクシーム部分のネイのソロ、実に美しいです。タンブールとベンディールが入ってゼキ・メフメト・アアのソン・ペシュレヴが3分前から始まるところで旋回舞踏の3人が登場、旋回が乗ってきたところで、急速な6拍子のユリュク・セマーイに変わります。この映像は韓国でのライブのようですが、韓国のシナウィなどシャーマンの巫楽系にもトランス的な3拍子が多いので、聴衆は通じる部分を感じたのではと思います。

FERAHFEZA MEVLEVİ AYİNİ SON PEŞREV-YÜRÜK SEMAİ/ MUHAMMED CEYLAN-HASAN KİRİŞ-FERİDUN GÜNDEŞ

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2019年11月13日 (水)

タトヨス・エフェンディのスズナークとヒュセイニ

トラディショナル・クロスローズの2枚が90年代に出た頃は、タトヨス・エフェンディと言っていましたが、2004年の例のライブではタチオスと表記されていたので、それからはタチオスかなと思って統一していました。しかし、2本目のウーディ・フラントのナレーションではタトヨスと言っているようです。やはり現地の人の発音が正しいと思います。
1本目が上記盤のスズナーク旋法のペシュレヴで、このエキゾな旋律を聞くと、80年代に人気のあった3ムスタファズ3を何故か思い出します。2本目もアルメニア系の演奏家で、往年の盲目のウード名人ウーディ・フラントによる例のヒュセイニ旋法のサズ・セマーイです。
ウーディ・フラントの名前は、後ろにケンクリアンという苗字が付くので、語尾にイアンが入るためアルメニア系と、すぐに分かります。タトヨス・エフェンディの本名は不明ですが、やはりイアンが付くのでしょうか? 器楽奏者の尊称ですが、ウード奏者の場合はウーディ、タンブール奏者はタンブーリ、ヴァイオリンやケメンチェ奏者の場合はケマニになります。ヴァイオリンは、トルコや確か北アフリカなど旧オスマン帝国圏内では、ケマンチェのチェが取れて、ケマンあるいはカマンと言われますので。余談ですが、カマンと言うのは、伊予弁では「いいです」「結構です」の意味なので、つい笑ってしまいますが(笑)

Suzinak Pesrev

Tatyos'un Hüseyni Saz Semaisi-Udi Hrant

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2019年11月11日 (月)

Ferahfeza Mevlevi Ayini

ゼアミdeワールド186回目の放送、日曜夜にありました。13日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。タトヨス・エフェンディの曲も見つかっていますが、Ferahfeza Mevlevi Ayini が長いので、今日の動画はこれだけにしておきます。

トルコの伝統音楽の5回目です。今回はオスマン古典音楽名曲選の3回目としまして、2曲を中心にご紹介したいと思いますが、どちらも2004年3月6日に日本のアラブ音楽ユニットのル・クラブ・バシュラフの恵比寿でのライブで聞いた曲です。

ゼキ・メフメト・アア(1776-1846)作曲の32拍子のソン・ペシュレヴは、やはりムトゥル・トルンのウード教本にあったので、帰ってからさっそく練習した思い出の曲です。最近は余りウードは弾いていませんが、たまに取り出すと決まって弾く曲です。

アラブ音楽のグループが何故トルコの曲を?と不思議に思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、これはアラブ世界の多くが長い間オスマン帝国領に入っていたので、14世紀のオスマン朝以後は、トルコ人の作曲家の曲が多く作られ、現在もトルコとアラブで共通した曲目が多くなっているためです。

これからおかけする音源はメドレーになっていますが、ライブで聞いたのは5分30秒辺りからのエヴフェルとソン・ペシュレヴ、ソン・ユルクセマーイのみだったようにも思います。この盤は、前々回にAbdulkadir MeragiのRast Nakis Besteをかけたシェノル・フィリス他によるMiras/Heritage(遺産)というトルコKalanの音源です。Ferahfeza Mevlevi Ayiniというのはメヴレヴィー教団の典礼音楽のことで、先ほど出てきた速いソン・ペシュレヴの前に演奏されるゆったりとした曲は、イスマイル・デデ・エフェンディ(1778-1846)作曲のエヴフェルという9拍子の曲です。ペシュレヴの後に出てくるソン・ユルクセマーイでは、6拍子が特徴的です。大作曲家デデ・エフェンディについては、次回以降特別に取り上げる予定です。因みに、アラビア語のバシュラフとトルコ語のペシュレヴは同じ意味です。

<9 Ferahfeza Mevlevi Ayini / Ferahfeza Son Pesrev 10分30秒>

Ferahfeza Mevlevi Ayini - Ferahfeza Son Peşrev [ Miras © 2001 Kalan Müzik ]


ル・クラブ・バシュラフのライブでは、オスマン朝末期のアルメニア系のヴァイオリニスト兼作曲家タチオス・エフェンディ(1855-1923または1858-1913)の曲も出てきました。この人の作品は、アメリカのTraditional Crossroadsからクドゥシ・エルグネル・アンサンブルの演奏で器楽合奏編と古典声楽編が出ていましたが、器楽合奏編の方にル・クラブ・バシュラフの演奏していたヒュセイニ旋法のサズ・セマーイが入っております。サズ・セマーイは前にも出てきましたが、アクサクセマーイと呼ばれる3+2+2+3の10拍子が特徴的な楽曲形式で、ファスルの最後に演奏されることが多いです。サズ・セマーイは、ペシュレヴと同じく4つのハーネ(楽章)とテスリム(リフレイン)から成り、最後の楽章はウスール(リズム)が変わってもいいというルールがあるので、この曲の4楽章は6拍子になっています。

<11 Kemani Tatyos Efendi  Huseyni Saz Semai 4分34秒>

タチオス・エフェンディと言えば、ムトゥル・トルンのウード教本にも入っていた、この盤の1曲目のスズナーク旋法のペシュレヴも有名なのではと思いますので、併せてかけておきます。エキゾチックな旋律がとても印象的な曲です。拍子は24拍子です。

<1 Kemani Tatyos Efendi  Suzinak Pesrev 4分2秒>

では最後に、ネイの名人アカ・ギュンデュズ・クトバイのプラヤサウンドから90年代に出ていたネイの独奏盤から、イスタンブールの有名な民謡「ウスクダラ」と同じ旋法のNihaventを時間まで聞きながら今回はお別れです。前回のラストにかけようと思っていて、かけられなかった曲です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3 AKA Gunduz Kutbay / Le Ney - Nihavent 4分20秒>

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2019年11月 8日 (金)

イスマイル・ハック・ベイのペシュレヴをギリシア人音楽家で

イスマイル・ハック・ベイのフェラフェザ旋法のペシュレヴについては、アラブ音楽でもよく演奏される曲ですので、また何回か後で放送でもパレスティナのウード名人シモン・シャヘーンの演奏でも取り上げる予定です。放送でかけたクドゥシ・エルグネルの演奏以外のyoutubeは意外に面白いものが少なく、今日のラウタとリラの演奏が一番いいように思いました。ラウタはウードより2コース少なく、4コースで7弦の楽器です。ケメンチェに似たリラも、おそらくギリシア南部クレタ島のもので、二人ともクレタの人のようです。2本目は完全にギリシア人音楽家による演奏で、クラリネットがバルカンぽい感じを醸し出しています。ここではウードとラウタが並んで演奏しています。右端はタンブールです。
3本目には、またまたヴェリ・デデのヒジャーズ・ホマーユンですが、ヤイリ・タンブール(弓で弾くタンブール)の名人エルジュメント・バタナイの独奏に驚きました。2分まではタクシーム、その後でこの曲が登場しますが、大分前にこの人のCDで聞いた通りの濃厚な音と表現力に驚きました。4本目は小編成のトルコ軍楽での演奏で、どこかチンドン風にも聞こえるでしょうか。楽器の奏法(特に2連太鼓のナッカーレ)もよく分かって、興味深い映像です。

Lyrian Modus - Ferahfeza pesrev - Sed araban saz semaisi (Charis Laurijsen - Chrysanthi Gkika)

Ferahfeza Peşrev İsmaîl Hakkı Bey ΚΕΣΑΜ

ercüment batanay yaylı tambur hicaz hümayun peşrevi

Hicaz Hümayun Peşrevi

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2019年11月 7日 (木)

トルコ軍楽によるヒジャーズ・ホマーユン

トルコ軍楽(メフテル)による演奏もありました。ヴェリ・デデのヒジャーズ・ホマーユンのペシュレヴは、この様に広く演奏されているようです。ズルナ(オーボエ系)とボル(トランペット系)にもよく馴染む旋律です。二つの管楽器は同種の洋楽器に比べてシンプルに見えるので、エキゾチックさの源であるシの♭とドの♯の増2度音程は取りにくくないのかなと思ったりもしますが。
ヴェリ・デデの生没年は、ムトゥル・トルンのウード教本の楽譜によると、1808?~1860?となっていますので、少なくとも18世紀に生きたモーツァルトがこの曲を聞いてないのは確かです。トルコ軍楽の代名詞のような、あのジェッディン・デデンの作曲者と言われるアリ・ルザ・ベイ(1881-1934)も19世紀以降の人ですから、モーツァルトが聞いたオスマン軍楽の曲が何だったのか、気になるところです。古い演目を探せば可能性はあるかも知れません。

HİCAZ HÜMAYUN PEŞREVİ

Hicaz Humayun Pesrevi

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2019年11月 6日 (水)

ヒジャーズ・ホマーユンをケメンチェ、ウード、ネイ、歌の独奏で

作曲者のヴェリ・デデのプロフィールについてはよく分からないままですが、この曲も名旋律だけあって、独奏の映像も色々あります。来日歴のある盲目の名歌手キャーニ・カラジャの独唱をラストにして幾つか上げておきます。各楽器の特徴がよく分かるかと思います。クドゥシ・エルグネル・アンサンブルのファスルのCDの出ていたオーヴィディス・エスニックは、大分前にこの盤は廃盤でレーベル自体なくなったのですが、youtubeにはデータが見当たりません。廃盤アイテムはよく出ていたりするのですが、90年は古すぎでしょうか。タイトルは、トルコ語に忠実に発音すれば、ヒジャーズ・ヒュマーユンになると思います。

Filiz KAYA-Hicaz Hümayûn Peşrev "Veli DEDE"

Gürsel Torun Hejaz Humayun Peşrevi Dr Cengiz Sarıkuş Oud

HİCAZ HÜMAYUN PEŞREV

Kani Karaca - TRT Peşrevi (Hicaz Humayun)

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2019年11月 4日 (月)

ヒジャーズ・ホマーユンとフェラフェザ

ゼアミdeワールド185回目の放送、日曜夜にありました。6日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。ヴェリ・デデの方は今のところクドゥシ・エルグネル・アンサンブルでは見つかっておりませんので、ペシュレヴの楽譜付きでウードとベンディールの演奏で上げておきました。フェラフェザの方は、タクシームとイスマイル・ハック・ベイのペシュレヴの両方ありました。

トルコの伝統音楽の4回目です。今回はオスマン古典音楽名曲選の2回目ということで、ヴェリ・デデのヒジャーズ・ホマーユン旋法のペシュレヴと、イスマイル・ハック・ベイのフェラフェザ旋法のペシュレヴをご紹介したいと思います。前回が長調でしたから、今回は短調の名旋律を取り上げました。

20年前後前にトルコのウードを独習していて、どちらもトルコの楽譜を見ながら弾いたことのある曲です。西洋ではドとレの間は2つですが、アラブやペルシアでは4つ、トルコの音楽では9つに分けるので、9分の1音下げる音ではフラットが180度反対を向いていたり、シャープの線が一本少なかったり多かったり等、旋法ごとに使われる微分音を表すために独自の記譜法で書かれています。

2曲で23分ほどありますので、解説は最小限にして、まず90年にフランスAuvidis Ethnicから出たクドゥシ・エルグネルの「Fasl - Musique de l`empire Ottoman (ファスル オスマン帝国の音楽)」から、1曲目のヴェリ・デデのヒジャーズ・ホマーユン旋法のペシュレヴと、歌が出て来るアブドゥルハリム・アアのベステを続けておかけします。多くのファスル(オスマン古典組曲)の演奏スタイル通り、混声合唱が付くところがとてもオスマン音楽らしく、これは西洋との音楽的交流もあったことに加えて、トルコの場所が元ビザンツ帝国だったことと無関係ではないと思いますが、どうでしょうか。ヒジャーズ・ホマーユンのエキゾチックで艶美な旋律が、とてもオスマンらしく素晴らしいです。この曲はMutlu Torunのウード教本に楽譜があります。拍子は4+4+6+6+4の24拍子です。

<1 Fasl - Musique de l`empire Ottoman Medley: Peshrev / Beste 10分38秒>

Hicaz - Humayun Peşrev - Veli Dede ( Karar:Kız Neyi)


次もクドゥシ・エルグネルの90年に出たUnescoコレクションの一枚ですが、こちらはアンサンブルではなく、枠太鼓ベンディールのみの伴奏で、メヴレヴィー音楽に比重を置いて彼のネイをたっぷり聞かせる内容になっています。冒頭がフェラフェザ旋法の演奏ですが、ネイのタクシーム(即興)が5分余り続いた後で、イスマイル・ハック・ベイ作曲のペシュレヴが出てきます。イルマイル・ハック・ベイはマカーム・マーフールの軍隊行進曲を前々回にかけた作曲家で、オスマン朝末期から20世紀初めの青年トルコ革命後も活躍した音楽家です。この曲も先ほどの教本とは違いますが、楽譜が手元にあります。拍子は4+4+4+4+4の20拍子です。4拍子のように聞こえますが、フレーズで切って数えるようですので、20という数になっています。オスマン音楽では、24とか32、20などの息の長い拍子になっていますが、おそらく詩のフレーズと関係があるのだろうと思います。タクシームで高揚してきてベンディールが入った後で、ペシュレヴに移る時のスリリングな瞬間をお聞き逃しなく。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Kudsi Erguner / Turkish Ney - Makam Ferahfeza-Taksim 5分40秒>

Kudsi Erguner: The Turkish Ney - Makam Ferahfeza: Taksim


<2 Kudsi Erguner / Turkish Ney - Makam Ferahfeza-Pesrev 7分25秒>

Makam Ferahfeza: Pesrev

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2019年11月 1日 (金)

Yaprak Sayarの歌唱で

イスタンブールに近いユスキュダール(ウスクダラ)で1987年に生まれたトルコの美人歌手Yaprak Sayarの歌唱でも、ラスト・ナキシュ・ベステがありました。上品でソフトな美声に聞き惚れます。サナート(古典歌謡)系の歌手になるのでしょうか、この人は最近ジャズと古典の融合に取り組んでいるようですが、今日の3本などは古典そのもの。600年近く前のアブドゥルカディル・メーラギの名曲が、若手の歌手によって蘇りました。
2、3本目はタンブールだけの伴奏で、しっとりとシャルク(オスマン古典歌曲)を歌っています。旋法は、彼女の故郷の名歌「ウスクダラ」と同じニハーヴェントです。4本目はラジオ番組での映像。チェロ(ベースの代わり)とカーヌーンの伴奏で何曲か歌っています。

Yaprak Sayar-Amed Nesîm-i Subh-Dem (Rast Nakış Beste)

Yaprak Sayar - Unut Onu Gönlüm İsmini Anma - HD

Yaprak Sayar - Kaderimde Hep Güzeli Aradım - HD

Yaprak Sayar ile Caz Alaturka Akustik Müzik Keyfi

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