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2019年11月18日 (月)

デデ・エフェンディのYine Bir Gulnihal

ゼアミdeワールド187回目の放送、日曜夜にありました。20日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。Yine Bir Gulnihalですが、色々ありますが今日はジョシュクンのケマル・ギュルセスの楽団の演奏のみにしておきます。

トルコの伝統音楽の6回目です。今回はオスマン古典音楽名曲選の4回目としまして、オスマン・トルコ古典音楽の大作曲家の一人、イスマイル・デデ・エフェンディの曲をご紹介したいと思います。トルコCoskunから20年余り前に出ていた「トルコ古典音楽のファスル Vol.5~デデ・エフェンディ」から始めますが、この盤について、今治中央図書館に寄贈していて何度も引き合いに出している本ですが、2002年に音楽之友社から出ていた「世界の民族音楽ディスク・ガイド」に書いた拙稿を読み上げます。

ファスル(古典組曲)は爛熟期オスマン文化の粋のような形式である。混声合唱の陰影に富んだ表情が実に素晴らしい。ユニゾンで動くメリスマティックな合唱(西洋的では絶対にない)を中心に、トルコ古典楽器の総出演。間に各楽器ごとのタクシーム(即興)も挿まれる。このジャンルは欧米盤ではUnesco位にしか見当たらないが、トルコでは10枚位のシリーズで幾つも出ている。まだまだオスマン帝国時代に生まれた人も多いトルコでは、年輩を中心に根強い人気があるのだろう。この盤は作曲家別シリーズの1枚で、19世紀の大作曲家イスマイル・デデ・エフェンディの作品。優美で感傷的な3拍子の佳曲Yine Bir Gur Nihalを初め、極めつけの名演。

このように書いておりました。そのイネ・ビル・ギュル・ニハールは、例のムトゥル・トルンのウード教本にも、キーが変わって何度も出てくるラスト旋法のシャルク(古典歌曲の一種)で、とても親しみやすい3拍子の曲なので、ゼキ・ミュレンやネスリン・シパヒなど、サナート(古典歌謡)やシャルクの名歌手もよく歌っています。

古典音楽としての音源は手元に3種類ほどありますが、まず先ほどのジョシュクン盤のケマル・ギュルセス楽団の演奏からおかけします。2曲目に入っていますが、最初のシャドアラバン旋法のエキゾチックな曲からの流れが素晴らしいので、2曲続けておかけします。

<1 Gozumden Gonlumden Hayalin Gitmez 3分20秒>

<2 Yine Bir Gulnihal Aldi Bu Gonlumu 4分22秒>

Dede Efendi - Yine Bir Gülnihal Aldı Gönlümü (Rast)


同じ曲をトルコKent(EMI)から出ている「トルコ古典音楽 5~デデ・エフェンディ」では、ビザンツ風な混声合唱で聞けます。この盤についてはゼアミHPに次のように書いていました。

混声大合唱による作曲家別古典音楽の10枚シリーズの1枚。ビザンティン音楽にも似た柔らかく幽玄な音の動きを、民族オーケストラ(西洋楽器、トルコ楽器混成)がユニゾンで静かに支えています。なんとも言えず「トルコ的」としか言い様のない微妙な美しさ。どんどん旋法が移り変わる歌唱の内に、それぞれの旋法の名前(Rast~Pencugah~Mahur~Bayati~Nihavend等)を詠み込んでいく一曲目や、ラスト旋法の美しいシャルク「Yine Bir Gur-Nihal」は特に聞きどころ。

旋法が移り変わる曲は、また次回にでもかける予定です。官僚だった父親が晩年に銭湯を買い取って生計を立てたため「風呂屋の息子」の意味のハマーミザーデとあだ名されたイスマイル・デデ・エフェンディですが、メヴレヴィー教団の修行場に通って音楽を習い、歴代のスルタンに愛され、多くの弟子を育成した音楽家でした。デデとエフェンディは、どちらも「巨匠」のような意味の尊称ですが、単にデデ・エフェンディと言えば普通は彼を指すほど偉大な作曲家です。この人の生没年は1778~1846年で、ベートーヴェンと近い時期になりますので、両国の大作曲家と言うことで、どこかイメージがダブるように常々思っていました。

<3 Yine Bir Gul Nihal Aldi Bu Gonlumu 3分4秒>

もう一つのこの曲の音源は、トルコのUzelliから出ている「デデ・エフェンディのファスル」ですが、男性合唱と太鼓はクデュムが目立つため、メヴレヴィー的な色彩を感じる演奏です。

<7 Yine Bir Gul Nihal 3分12秒>

この曲について、20年近く前に当時キルギス在住だったトルコ語の堪能なネット上の知人のFさんに歌詞を訳して頂いたこともありました。かなりストレートなラブソングらしいこと、3拍子の美しい旋律は西洋音楽の影響もあるのではという意見があったように記憶しています。

では最後に、最初にかけたジョシュクンのケマル・ギュルセス楽団の演奏で、イネ・ビル・ギュル・ニハールの次の曲から後の数曲を、時間まで聞きながら今回はお別れです。オリエンタルな躍動感と共に、オスマン音楽の高雅な香りが漂ってくるようなこの演奏は、本当に素晴らしいと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3 Gonul Adli Bulbulum Var 2分59秒>

<4 Ey Gul-i Bagi Eda 3分6秒>

<5 Keman Taksimi 37秒>

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