年末にRast Kar-i Natik
ゼアミdeワールド193回目の放送、日曜夜にありました。放送されるのが29日で、1日の再放送枠は無しですので、1年の締めくくりの音楽として、これまで3回の年末のようにベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲にしようかとも思いましたが、トルコ音楽巡りの途中ですので、今年はトルコの音楽にしたいと思います。動画はRast Kar-i Natikとルバーイーのみにしておきます。番組関連のブログアップですが、次回は8日の放送後の9日になると思います。
188回目の放送でフェードアウトしてしまったオスマン・トルコ古典音楽の大作曲家イスマイル・デデ・エフェンディの、Rast Kar-i Natik(ラスト・キャール・ナトゥク)の音源からおかけします。
この曲は、どんどん旋法が移り変わる歌唱の内に、それぞれの旋法の名前を詠み込んでいく異色の大作です。旋法はRast, Rehavi, Nikriz, Pencugah, Mahur, Neva, Ussak, Bayati, Nisabur, Nihavend, Nuhuft, Saba, Cargah, Dugah, Huyseyni, Hisar, Muhayyer, Buselik, Hicaz, Sehnaz, Rahatul-Ervah, Bestenigar, Irak, EVCと続きます。作曲、演奏共に高度な技術の必要な曲と思われますが、漠然と聞いているだけでも、実にオスマン音楽らしい高雅で大らかな魅力のある曲です。時折はっきりと分かる微分音が出てきますので、是非注意して聞いてみて下さい。
音源は、往年の名歌手ミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの4枚組「ウスタード」の3枚目です。巨匠晩年の悠揚迫らぬ名唱を聞けます。
<3-1 Rast Kar-i Natik (Rest Getirup Fend Ile Seyretti Numayi) 15分59秒>
Münir Nurettin Selçuk-Rast Kar-ı Natık
この大作は1年の締めくくりに相応しいと思いまして、おかけしました。まだ時間がありますので、同じウスタードからセルチュクの自作曲を何曲かおかけします。この頃の彼の録音には、タンブールの名手ネジデト・ヤシャルの名が見えます。
1枚目3曲目のウッシャーク旋法のルバーイー「ビル・メルハレデン・ギュネシュレ・デリア・ギョリュニュル」は、その名の通り四行詩の歌で、シャルクという扱いではないセルチュク自作の中でも異色の一曲のように思います。
<1-3 Bir Merhaleden Gunesle Derya Gorunur 2分33秒>
Münir Nurettin Selçuk Bir merhaleden güneşle derya görünür
1枚目6曲目のセガー旋法のイラーヒ「ショル・ジェンネティン・ユルマクラル」は、ユヌス・エムレの詩につけられたセルチュクの自作曲です。
<1-6 Sol Cennetin Irmaklari 5分26秒>
1枚目14曲目のニハーヴェント旋法のシャルク「ヤル・センデン・カルンジャ・アイル」もセルチュクの自作曲で、ウスクダラと同じニハーヴェントらしい哀感があります。この曲を聴きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。
それではまた来年。 皆様、よいお年をお迎えください。
<1-14 Yar Senden Kalinca Ayri 4分13秒>
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