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2020年1月

2020年1月31日 (金)

タンブーリ・ジェミル・ベイのシャドアラバン旋法のサズ・セマーイ

シャドアラバンのサズ・セマーイは、同旋法のペシュレヴよりよく知られている名曲ですので沢山動画がありますが、タンブールの独奏はほとんどないようです。と言う訳で、タンブールがよく見える演奏を一本目に。2本目は、タンブールの名手オゼル・オゼルと、ケメンチェ奏者は彼の奥さんでしょうか。
3本目は大分前に上げた動画ですが、ここで男性が弾いているのが4コースのラウタで、6分過ぎから出てくるのがタンブーリ・ジェミル・ベイのシャドアラバン旋法のサズ・セマーイです。女性の弾いているのは、イスタンブールのリラとありますが、クレタのリラやトルコのケメンチェにそっくりです。ウードよりは棹の長いラウタは、フレットレスですから、演奏が難しいのではと推測されます。この動画の前半は、イスマイル・ハック・ベイのフェラフェザ旋法のペシュレヴで、この曲を取り上げた際にアップしたと思います。
ファスルの中で冒頭のペシュレヴよりも、ラストを飾ることが多いサズ・セマーイは、3+2+2+3の10拍子というおそらく把握しにくい拍子で書かれていても、名曲は数多いです。(来週取り上げるNihavend Saz Semaisi (Mesud Cemil)の方がポピュラーな気はしますが)

şedaraban saz semaisi tanburi cemil bey


Özer Özel & Aslıhan Özel - Şedaraban Saz Semaisi (Tanburi Cemil Bey)


Lyrian Modus - Ferahfeza pesrev - Sed araban saz semaisi (Charis Laurijsen - Chrysanthi Gkika)

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2020年1月30日 (木)

チェロのタクシーム

100年前のタンブーリ・ジェミル・ベイやその息子メスード・ジェミルのチェロ演奏を見ることは不可能ですが、現代のトルコのチェリストの映像は結構あります。まず思うのは、「歌の模倣」の面が大きいのだろうということです。メリスマ(こぶし)は、明らかに歌の節を真似ていると思います。器楽奏者の腕前を披露するタクシーム(即興)でも同じでしょう。ポルタメントの多様など西洋の奏法にない柔軟なフィンガリングが見られます。トルコの現代作曲家サイグンなどにもチェロの独奏曲がありますが、こういうオスマン音楽の伝統を踏まえて書かれた曲なのでは。(1枚あるので再確認してみます)
2本目はヒジャーズ旋法に則ったウードとチェロの二重奏で、チェリストはドイツ人のようです。凄腕ですが、現地の演奏家の「歌の模倣」の側面は薄い様に思います。チェロは演奏弦の下に共鳴弦を付けているのが気になります。

mükhemmel çalıyor çello taksim


Hijaz - Maria Magdalena Wiesmaier (cello) and Nabil Hilaneh (oud)

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2020年1月29日 (水)

トルコのチェロ

ペルシア音楽では見た記憶がありませんが、トルコでもアラブでもチェロはよく使われます。特にトルコでは合奏だけでなく独奏も盛んなようです。これがタンブーリ・ジェミル・ベイの頃からなのかどうか不明ですが。彼の息子のメスード・ジェミルの方が残っている音源も多いようです。(来週の放送でかけます)トルコ音楽特有のメリスマをどうやって弾いているのか、映像で確認したくなる演奏です。今日の1本が、放送でかけたタンブーリ・ジェミル・ベイのムハッイェル旋法のタクシームです。

Tanburi Cemil Bey - Muhayyer Taksim [ Külliyat © 2016 Kalan Müzik ]

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2020年1月27日 (月)

タンブーリ・ジェミル・ベイのタンブールとケメンチェ

ゼアミdeワールド197回目の放送、日曜夜にありました。29日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今回はタンブールとケメンチェの音源のみです。他の動画はまた後日。

トルコの14回目になります。今回はトルコ音楽史上最高のタンブールの名手と言われるタンブーリ・ジェミル・ベイ(Tanburi Cemil Bey)の演奏を聞いて行きたいと思います。タンブールは、中央アジアやクルドの同名楽器と異なり、トルコ音楽の9分の1の微分音を表現するために、長い棹にびっしりフレットが付いている弦楽器です。

ジェミル・ベイはタンブール名人を表すタンブーリの称号を頭に付けて呼ばれるのが常ですが、他にも擦弦のケメンチェ、チェロ、ヤイリ・タンブール、撥弦ではウードに似た4コース復弦のラウタも弾くというマルチプレーヤー振りです。生没年は1871または1873年~1916年ですから、オスマン帝国時代末期の音楽家になります。

前回のウーディ・フラントと同じく彼の音源もアメリカのTraditional Crossroadsから第5集まで出ておりまして、このシリーズは1910~14年にブルーメンタル・レコードとトーキング・マシーン・カンパニーによって行われたアコースティック録音からのCD復刻でした。タクシーム以外の形式ではペシュレヴやサズ・セマーイが中心で、前にかけましたが、おそらく一番よく知られている彼の曲、ケメンチェによるチェチェン・クズ(チェチェンの娘)は第2集に入っています。100年前の録音のため、ノイズが入っております点はご了承ください。

まずタンブールの演奏は、第2集からシャドアラバン旋法のサズ・セマーイをおかけします。ムトゥル・トルンのウード教本にも載っている名曲です。

<2-15 Setaraban Saz-Semai 3分19秒>

Tanburi Cemil Bey - Şedâraban Saz Semâisi (Tanbur) [ Külliyat © 2016 Kalan Müzik ]


次は同じシャドアラバン旋法のペシュレヴです。演奏の順番としてはこちらが先ですが、タンブールの音をまずお聞かせしてからと思いましたので、逆になりました。ペシュレヴはケメンチェで演奏していて、珍しくピアノの伴奏が付いています。

<5-1 Setaraban Pesrev (Kemence) 3分33秒>

Tanburi Cemil Bey - Şedaraban peşrev.. Piyanist Cemal Bey ile


チェロの独奏も数曲ありまして、Muhayyer Taksim (Violoncello)をおかけしておきます。チェロまで弾いていたのには驚きますが、息子のメスード・ジェミルもタンブールとチェロの名手として知られています。音源がありますので、次回かける予定です。

<4-16 Muhayyer Taksim (Violoncello) 3分43秒>

ウードに似たラウタの演奏として、ムトゥル・トルンのウード教本に採譜が載っているUssak Taksim (Lavta)をおかけしておきます。

<5-13 Ussak Taksim (Lavta) 3分18秒>


ここで催しの告知を入れます。

2/2に今治総合芸能祭の13回目がありますが、その4番目の演目「星巡りの歌」にチェロで出ることになりました。宮沢賢治の有名な自作曲を林光が編曲した曲です。その他「昴」など星に関する曲をメドレーで演奏します。女声合唱、クラリネット、ピアノ、トーンチャイムとの共演です。場所は今治中央公民館4階、開催時間は13時から、入場無料です。

次に2/20の方です。

2017年の12月から毎偶数月に開催し、13回続きました終活カフェ@Cafe トーク・トークですが、セミナー担当者の多忙のため、今後は12月のみになりました。

今後は木曜公開練習の本来の目的に立ち戻って、弦楽四重奏の研鑽の場にしたいと思います。早速、第一回目の発表会を2月20日の同じ17時から開催致します。こちらでは私は主にヴァイオリンを担当しております。(毎偶数月にするかどうかは検討中です)

宜しければ是非お越し下さい。入場無料ですが、駐車場に限りがありますので、ご一報頂けましたら幸いです。

Cafe トーク・トーク

今治市北高下町2-1-7ハイツ近藤2の1階

以上、催しのお知らせでした。


先ほどかけましたタンブーリ・ジェミル・ベイのシャドアラバン旋法のペシュレヴとサズ・セマーイを、現代のクドゥシ・エルグネルのアンサンブルが演奏した盤がドイツのCMPからありましたので、比較でかけておきます。これらを聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Peshrev & Semai of Tanburi Djemil Bey  Seddiaraban Peshrev 4分47秒>

<3 Peshrev & Semai of Tanburi Djemil Bey  Seddiaraban Saz Semai 6分55秒>

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2020年1月24日 (金)

キャーニ・カラジャとジヌチェン・タンルコルル

2001年に<東京の夏>音楽祭で来日公演を行った、故・キャーニ・カラジャとジヌチェン・タンルコルルの演奏がありました。盲目の大歌手をウードでしっとりと伴奏しています。形式はシャルク、マカームはスズナーク、作曲はキャーニ・カラジャ自身で、メヴレヴィー関連の詩を歌っているようです。確か2001年7月27日浜離宮朝日ホールと7月28日東京ジャーミ文化センターの両方を聞きに行きましたが、ジヌチェン・タンルコルルが亡くなったのは、その前年の2000年でした。もう少し長生きしていたら、この素晴らしい共演が見れたのでしょうか。

Kânî Karaca - Zahme-i Sevdâ-nisârın (Ud: Cinuçen Tanrıkorur)

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2020年1月23日 (木)

ジヌチェン・タンルコルルのウード

ジヌチェン・タンルコルルの演奏のように、無伴奏で自作曲を弾き語るスタイルは、古いトルコの伝統で 'ozan'と呼ばれるそうです。トルコ音楽では9分の1の微分音と細かい装飾音が入るので、トレモロはかえって邪魔になるのでしょうか。アラブ音楽では頻繁に聞かれる奏法が余り出てこないように思います。一本目のムハッイェル・キュルディのタクシームでは、アラブ音楽とは一味違う華麗な奏法が目に浮かぶようです。2本目のタクシームは短いですが動画付きで妙技を確認できます。指板の上を舞うように左手が動き、出てくる音は正に「歌うウード」。3本目はレクチャーとウード演奏、4本目はTV番組の映像のようです。気になる情報としては、3本目の自己紹介の所で、自らの名のルーツが中央アジアのカザンにあると話されている箇所です。と言うことは、タタールスタン・オリジンなので、それでどことなく日本人に似ているのかもと思いました。

Muhayyer Kürdî Taksim, Cinuçen Tanrıkorur


Oud Taksim - Cinucen Tanrikorur


2/11 TAKSIM: Oud Hüzzam taksim+ şarkı by Tanrıkorur


"1995" Cinuçen Tanrıkorur

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2020年1月22日 (水)

ウーディ・フラントとアルメニア

今日の曲が放送の2曲目にかけたUrfa Havasiで、この曲はどうしてもアルメニア的に聞こえますが、どうでしょうか。ヴァイオリンと歌の節回しはもちろんですが、特に低音の持続音ドローンがアルメニアのドゥドゥクなどの伴奏を思わせます。彼はトルコ語だけでなく、アルメニア語でも作曲と演奏をしたそうですから、十分にありうると思います。生没年は1901~1978年ですから、意外に最近までご存命だった人です。彼の両親はアルメニア人大虐殺から逃れて1915年にトルコ中西部のコンヤに移住、この地でフラントはウードを学び始めたそうです。彼の弟子には、アルメニア系アメリカ人のウード奏者に、John Berberian, Chick Ganimian, Richard Hagopian, George Mgrdichian, Harry Minassianがいて、特にリチャード・ハゴピアンとの関係で、トラディショナルクロスローズの音源が残されたようです。(同じトルコでも、コンヤではアルメニアン・ジェノサイドの嵐は吹き荒れてなかったことが、プロフィールから分かりました。)

Udi Hrant - Urfa Havası

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2020年1月20日 (月)

トルコのウード ウーディ・フラントとジヌチェン

ゼアミdeワールド196回目の放送、日曜夜にありました。22日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。他の動画はまた後日。

トルコの13回目になります。今回はトルコのウード独奏を色々聞いて行きたいと思います。

オスマン音楽のウード奏者と言えば、オスマン朝末期から活躍したギリシア系のヨルゴ・バジャーノス、アルメニア系のウーディ・フラントやウーディ・マルコ・メルコンが特に有名で、ずっと後の世代では、何故かまとまった盤が仏Ocora盤くらいしか無かったジヌチェン・タンルコルルがいます。

まずはウーディ・フラントですが、アメリカのトラディショナル・クロスローズの盤について、

「トラディショナル・クロスローズ社のヴィンテージ・トルコものの一連のリリースの中で初期に出た94年盤。アルメニア系の盲目のウード奏者兼歌手(作曲家でもある)の名演集。「トルコ節」の絶妙な節回しと渋い歌声、ウードのメズラブさばきが見事に調和した、現代ではもう聞くことの難しいホンマモノのオスマン芸能。」

と、こんなコメントをゼアミHPに入れていました。フルネームはウーディ・フラント・ケンクリアンで、アルメニア系であることが分かるイアンが名前の最後に入っています。

トラディショナルクロスローズから出ていた3枚の盤が手元にありますので、その中からEarly Recordings Vol.1の数曲を中心にご紹介したいと思います。

8曲目はスズナーク旋法のタクシームですが、後半はウード弾き語りになります。この旋法はタトヨス・エフェンディを思い出します。どちらも絶妙にこなしていて凄い演奏です。

<8 Udi Hrant / Early Recordings Vol.1  Suzinak taksim 6分>

Suzinak taksim


この人はヴァイオリンも弾くようで、ドローンの入ったアルメニア的な数曲では見事なヴァイオリンと歌を披露しています。11曲目のUrfa Havasiと言う曲をおかけします。

<11 Udi Hrant / Early Recordings Vol.1  Urfa Havasi 3分8秒>

先ほどスズナーク旋法はタトヨス・エフェンディを思い出すと言いましたので、タトヨス・エフェンディのスズナーク旋法のサズ・セマーイをおかけしておきます。タトヨス・エフェンディのスズナークと言えば、あのエキゾチックなペシュレヴが耳について離れないものがあります。この演奏はトラディショナルクロスローズからの1枚目のUdi Hrant Kenkulianの5曲目に入っています。

<5 Udi Hrant Kenkulian / Suzinak Saz Semai (Kemani Tateyos Efendi) 4分55秒>

日本のウード奏者の常味さんなどから評価の高いジヌチェン・タンルコルルのオコラ盤の録音は1983年でした。CDで再発されたのは1994年で、その6年後の2000年に62歳の若さで亡くなっています。CDの出た当時は「現在トルコで人気、実力ともトップクラスのウード奏者/歌手」という人でしたから、亡くなったのを知った時は驚きました。彼は500以上のウードと歌の楽曲を書いて、現代トルコの最も偉大な作曲家の一人とされています。トレモロを多用しないオスマンスタイルのしなやかなウード演奏は、正に「歌うウード」と言っても良さそうです。彼はマカーム・シェッド・イ・サバー(Makam Sedd-i saba)と言う新しい旋法を作って、ファスルの中で披露しています。

このオコラ盤には、25分を越えるバヤーティアラバン旋法の長い弾き語り、ベステニガール旋法の即興演奏、ネイの名手故アカギュンデュズ・クトバイへの哀歌などが入っておりまして、まずは「アカギュンデュズ・クトバイへの哀歌」をおかけしたいと思います。前回の最後にかけたネイ奏者ですが、アカギュンデュズとジヌチェンとはほぼ同世代になります。1979年に45歳の若さで亡くなったネイ名人を追悼し、彼のネイを模倣するかのようなエレジーになっています。

<3 Cinucen Tanrikorur / Elegie a Akagunduz Kutbay 5分10秒>

Elégie À Akagündüz Kutbay - Cinuçen Tanrikorur


では、最後に25分を越えるバヤーティアラバン旋法の長い弾き語りを時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Cinucen Tanrikorur / Bayatiaraban "Ayin-i-Serifi" 25分38秒>

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2020年1月17日 (金)

「注目すべき人々との出会い」でのAka Gündüz Kutbay

トルコ・シリーズなのにイランのネイばかり紹介していました。トルコのアカギュンデュズ・クトバイですが、ピーター・ブルックの映画「注目すべき人々との出会い」に出ていました。20世紀ロシア(現在はアルメニア)の神秘思想家グルジェフの伝記映画で、誰が巨岩を共鳴させるか各地の語り部が争う前半の一種の「歌合戦」のシーンが強く印象に残っています。優勝するホーミー歌手のほか、セタール弾き語り、ヤイリ・タンブール(立てて弓奏するタンブール)演奏、トルコのネイは若き日のクドゥシ・エルグネルと、若くして亡くなった名手アカ・ギュンデュズ・クトバイは、おそらく亡くなる直前の出演だったと思います。プラヤ盤のラスト旋法を思い出させる吹奏でした。彼が子羊を抱いていたので、優勝者は姿を見せないホーミー歌手ではなく、アカギュンデュズだったのでしょうか? 余談ですが、イディッシュ・ソングの名歌手ベン・ズィメットらしき人も出ていましたが、彼が歌っていたのは、ユダヤではなくアルメニアの歌に聞こえました。

Evcara Ney Taksimi - Aka Gündüz Kutbay

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2020年1月16日 (木)

ムーサヴィーとキャサイー

今日の1本目もハッサン・キャサイーで検索して出てきましたが、この人は彼の弟子のモハンマド・ムーサヴィー・シューシタリーだと思います。年老いたキャサイーは心配そうに?客席で見守っています。4分過ぎにムーサヴィーがトンバク奏者に一瞬見せる厳しい表情が気になります。トンバク落とせ、のサインでしょうか? ムーサヴィーも素晴らしいネイ奏者で、パリサーなど現代の名人との共演もたくさんあります。2本目はキャサイーのネイ独奏。何でこんな音が出せるのか、本当にいつまでも見ていたい位、素晴らしいです。

1384.wmv


Ney: Hassan Kassai

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2020年1月15日 (水)

ハッサン・キャサイーのダストガー・シュール

無いと思っていたハッサン・キャサイーのダストガー・シュールのyoutubeがありました! この演奏を初めて聞いたのは、1980年の柘植元一氏のNHKFM「世界の民族音楽」でした。確かイランから帰られてすぐの放送だったように記憶しています。まだ当時の録音カセットを持っていて、ペルシア古典音楽2回に加えて、イランの地方の民謡、流行歌までありました。各番組のトップにキャサイーのシュールとマーフールが当てられていました。何度も書いていますが、この放送と70年代のユネスココレクションのLPでアスガール・バハーリーのケマンチェとホセイン・テヘラーニのトンバクを聞いたことが、民族音楽に向かわせる大きなきっかけになりました。当時は小泉文夫さんも盛んにTVやラジオに出ていました。

Hassan Kassai ~ Dastgah-e Shour (1973) [Iran]

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2020年1月13日 (月)

ネイの聞き比べ イランとトルコ

ゼアミdeワールド195回目の放送、日曜夜にありました。15日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。キャサイーのプラヤと同じ音源はなさそうですので、今日は彼の生映像を上げておきます。旋法は同じシュールだと思います。アカ・ギュンデュズはまた後日。

正月の定番曲「春の海」に続いてとなると、どうしても詫び寂び感が欲しい気がしますので、最近回っているトルコ音楽なら、やはり尺八に似た音色のネイだと思います。トルコの12回目は、トルコとイランのネイの聞き比べをしたいと思います。トルコの初回に言いました通り、ネイとは、葦で出来た長い縦笛で、ペルシアの大詩人ジャラールッディン・ルーミーが神秘主義詩の中で読み、メヴレヴィー教団を興して以来、スーフィーの音楽で最も重要な楽器とされています。

まずは、イランのネイの名人ハッサン・キャサイーのプラヤ盤について、音楽之友社から2002年に出た「世界の民族音楽ディスクガイド」に書いた拙稿を読み上げます。

ネイは葦で出来ていて、吹き口は切ったままの状態に真鍮の筒をはめた、極めてシンプルな縦笛。構えは大概髭で見えにくいが、歯の隙間と舌を有効に利用している模様。トルコのネイと似ているが吹き口が違う。丸い筒のままなので、音を出すだけでも至難の技。そしてこのシンプルさが手伝って、イランではとてつもない名人芸が生まれた。この盤はイスファハーンの往年の巨匠の唯一のまとまった録音。苦悩のパッションを描き出すシュールと、雨後の虹のように美しく晴れやかなマーフールの対照的な組み合わせがまた良い。拍節のある部分では一部トンバク(ザルブ)伴奏が入る。現代のネイの名手にはこの人の影響を受けた奏者が非常に多い。余りに凄演!
 

それでは、シュール旋法のピシュダルアーマドと、チャハールメズラブ、ケレシュメを続けておかけします。片面太鼓トンバクの伴奏は、ジャハンギール・ベヘシュティです。

<1 Hassan Kassa'i / Le Ney Pishdaramad-shahnaz tshahamezrab 3分3秒>

<2 Hassan Kassa'i / Le Ney Kereshme,kutsh-bagh, hosseini, hazin 6分12秒>

Ostad Hasan Kasaie


ハッサン・キャサイーのマーフール旋法の一部も少しだけおかけしておきます。

<6 Hassan Kassa'i / Le Ney Safi-name,saghi-name,beste-negar,tasalsol 2分余り抜粋>

次にトルコのネイですが、前に一曲かけました往年の名人アカ・ギュンデュズ・クトバイの、プラヤサウンドから90年代に出ていた独奏盤から、前にNihaventをかけましたので、13分のラスト旋法のタクシームを時間まで聞きながら今回はお別れです。明るいイメージのあるラスト旋法ですが、年末にかけたミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの大曲のように、いかようにも変容する奥深い旋法のように思います。変調する旋法として、Segah, Mustear, Beyati, Saba, Ussakが上がっています。因みに、今日の2枚はプラヤサウンドの活動停止のため、いずれも現在は入手不可の盤です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 AKA Gunduz Kutbay / Le Ney - Rast 13分10秒>

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2020年1月10日 (金)

Gazzelloni

フルートのガッゼローニと言えば、ジャズの鬼才エリック・ドルフィーのフルートの師匠としても知られ、ドルフィーのアルバムOut to LunchにGazzelloniと言うオマージュ曲が入っていたことを真っ先に思い出します。そのガッゼローニが宮城道雄の「春の海」を入れていたというのは、新鮮な驚きがありました。(と言う話を3年前にも書いたかも知れません。ダブっていたら済みません。)

ガッゼローニはヴィヴァルディのフルート協奏曲など古典的な曲も入れていますが、何よりも現代音楽の演奏家として有名で、ルチアーノ・ベリオ、ピエール・ブーレーズ、ブルーノ・マデルナ、ストラヴィンスキーなど錚々たる大御所達から献呈された作品を初演。エドガー・ヴァレーズの《密度21.5》を普及させ、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会での活躍により、フルート教師としても著名でした。

しかし「春の海」と現代音楽とドルフィー。何と奇抜な組み合わせでしょうか。ドルフィーは師匠よりずっと早くに、若くして亡くなりますが、ガッゼローニはその後70年代にジャズに近づいたこともあったようです。

Eric Dolphy - Gazzelloni


Berio Sequenza per Flauto solo - Gazzelloni

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2020年1月 9日 (木)

都山流尺八の「春の海」

ゼアミdeワールド194回目の放送、水曜夜にありました。宮城道雄の自作自演の動画は何度も上げていますので、これまでに上げたことのなかった山本邦山の音源のみにしておきます。虚無僧尺八のカラーが強い古風な琴古流に対し、都山流は明治以降確立された関西ベースの新しい流派なので、早くから新日本音楽と提携し、新様式を積極的に開拓して演目を広げて来ました。「春の海」も、新日本音楽に入るでしょうから、都山流尺八はぴったりなのでは。山本邦山さんは、80年代にジャズやインド音楽との共演などもされていたように記憶しています。

明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

8日の再放送枠のみありますので、正月関連の特番に致します。これまで3回「春の海 大響演」という2枚組からご紹介していましたが、今年は3年前の最もオーソドックスな音源に戻ってご紹介します。

お正月と言えば、宮城道雄の「春の海」を思い出す方が多いのではと思います。正月中はどこに行っても耳にする曲ですが、この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組が出ておりますので、こちらからご紹介して行きます。

まずは、宮城道雄の自作自演で、尺八は初演を勤めた吉田晴風です。

<1 春の海(オリジナル) 6分30秒>

宮城道雄の父の出身地である広島県鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれていますが、吉田晴風との1930年の初演の評判は芳しくなかったそうです。

この曲が一躍有名になったのは、1932年に演奏旅行で来日していたフランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと共演してからと言われています。日本音楽に触れるために宮城道雄を訪ねた彼女が一番感動したのが、この「春の海」で、早速尺八パートをヴァイオリン用に編曲して宮城道雄とコンサートで演奏したら、大喝采を受けたそうです。会場で聞いていた小説家の川端康成が、その感動の光景を小説「化粧と口笛」に記しています。その宮城道雄とルネ・シュメーの演奏を次にどうぞ。

<2 春の海(箏とヴァイオリンによる) 6分13秒>

次にフルートのガッゼローニと三代目宗家の宮城数江の1972年録音をかけてみましょう。1956年の宮城道雄の没後では、最初のこの曲の録音です。ガッゼローニと言えば、ジャズの鬼才エリック・ドルフィーのフルートの師匠としても知られ、ドルフィーのアルバムOut to LunchにGazzelloniと言うオマージュ曲が入っていました。

<7 春の海(箏とフルートによる) 7分1秒>

では、最後に宮城道雄にも師事した作曲家でもある唯是震一と都山流尺八の山本邦山の録音でおかけします。去年の正月に予告していた音源です。琴古流と都山流の尺八の芸風の違いが感じられて興味深いものがあります。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<8 春の海 唯是震一と山本邦山 6分39秒>

『春の海』

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2020年1月 6日 (月)

宮城道雄&ルネ・シュメー

もうお屠蘇気分も抜けた頃だと思いますが、まだ辛うじて松の内ですので、やはりこの曲です。名演は何度聞いても良いものです。

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。今日からCafeトーク・トークも営業しております。

今週の水曜20時半からの放送用にかけた音源です。今回は日曜にはなかったので、8日水曜のみです。(以下ほぼ放送原稿の転載です)

宮城道雄の父の出身地である広島県鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれていますが、吉田晴風との1930年の初演の評判は芳しくなかったそうです。

この曲が一躍有名になったのは、1932年に演奏旅行で来日していたフランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと共演してからと言われています。日本音楽に触れるために宮城道雄を訪ねた彼女が一番感動したのが、この「春の海」で、早速尺八パートをヴァイオリン用に編曲して宮城道雄とコンサートで演奏したら、大喝采を受けたそうです。会場で聞いていた小説家の川端康成が、その感動の光景を小説「化粧と口笛」に記しています。

宮城道雄 Michio Miyagi(Koto),Renée Chemet(Vn)_"春の海 Haru no Umi"


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