トルコの18回目になります。今回は何枚かのトルコの古い録音から抜粋しておかけしますが、音源は仏OcoraからのSP復刻の「トルコ音楽の記録」の2枚、米Rounderからの「トルコ音楽の巨匠たち」の2枚、米Traditional Crossroadsからの「イスタンブール1925」辺りです。割と最近にHONEST JON'S RECORDSから出た「To Scratch Your Heart Early Recordings From Istanbul」の2枚組は現物が手元にないので、今回は見送るかも知れません。
<18 Mes'ud Cemi Bey Tel / Taksim Au Tanbur, Makam Suznak 2分44秒>
1集の音源が続きましたが、このArchives de la musique turqueの2集からも2曲ほどかけたいと思います。ギリシア系の女性歌手には、スミルナ派のレベティカと区別がつかないような歌唱もありますが、特に珍しいのがラストを飾っている「ペリヴァンの踊り」という曲で、ズルナとケトルドラムのナッカーレがレスラー(ペリヴァン)を鼓舞する曲とのことです。歌っているヤクーミ・エフェンディは、ジプシーの血を引くそうです。トラキアとルメリアのグレコ・ローマンのレスリングとありますので、もしかしたらギリシアとローマの文化が混交しているこの辺りがレスリングの発祥地でしょうか? グレコ・ローマンと言うのは、現在のオリンピックなどでも普通に聞く用語です。同じトルコでも東アナトリアのイランの近くになると、この種の音楽もイランのズルハネに近くなるようです。
4曲目のZarbi é Shustariではトンバクが華々しく古典的フレーズで伴奏しますが、サントゥールとセタールの名人のモハマド・レザ・ロトフィが書いたと思しきこの曲は、往年のセタールとヴァイオリンの名人アボルハサン・サバーの音楽を思わせるものがあり、ヴァイオリン(ここではリラですが)の演奏は、イランと言うよりトラキア風に聞こえる、と解説にはあります。
<4 Zarbi é Shustari 6分14秒>
では最後にトンバク(あるいはザルブとも)の妙技をじっくり聞ける8曲目のDast é Kyanを時間まで聞きながら、今回はお別れです。「トンバクの神様」ホセイン・テヘラーニの意思を受け継ぐシェミラーニ兄弟による超絶のトンバク・デュオです。
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