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2020年2月

2020年2月28日 (金)

トルコのスペイン系ユダヤ人のカントール

スペイン系ユダヤ人(セファルディー)が15世紀のレコンキスタ前後にスペインで迫害を受け離散して、主に移住した先はオスマン帝国内でした。対岸のモロッコ、アルジェリア、チュニジア、もちろんトルコ本国、ギリシア、ブルガリア、旧ユーゴスラヴィアなど、全て当時はオスマントルコの版図でした。これらの国から、スペイン語(実際はユダヤ・スペイン語のラディノ語)が聞こえてくるのは何とも不思議です。(「柔らかい専制」のおかげ)
トルコなどのセファルディー音源はまたいずれ取り上げますが、23日の放送でAbraham Caracach Efendiと言う歌い手が出てきたので、調べてみました。この1本目の歌唱がユダヤ宗教歌のカントールになるかどうかは不明ですが、ユダヤ系であることはOcoraの「トルコ音楽の記録」に明記されています。Abraham Caracach Efendiで検索して出てきた中には、次回Rounderの「トルコ音楽の巨匠たち」第1集でSP音源をかける予定のイサーク・アルガズィがありました。この人の音源は、ドイツのWergoやトルコのKalanからCDがありました。
イブラヒームではなくアブラハム、ユースフではなくヨセフとヘブライ名で書かれていたら、ほぼ間違いなくユダヤ系で、イサーク(イツハーク)はアラビア語名は思い出せませんが、あったでしょうか。3本目のSP盤が映っているものは、葡萄酒を聖別するユダヤ教の祈祷歌キドゥーシュで、そのトルコ・セファルディー版です。カーヌーンの伴奏ですが、オスマン風こぶしの中で確かにヘブライ語が聞こえます。

Abraham Caracach Efendi - Kanto


Izak Algazi Efendi-Bayati gazel Sana Dil Verdimse....


Ladino (Judeo Spanish) KIDOUSCHE by Haim Effendi

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2020年2月27日 (木)

ハーフズ・ブルハン・セスィユルマズの「クルドの山歌」

ハーフズ・ブルハン・セスィユルマズも有名な歌手のようで、クルドの山歌以外にも沢山の音源がありました。おそらくオーソドックスなシャルクかガゼルが多いのだろうと思いますが、クルドの歌も歌えるのは、彼がジプシーの血を引いているからでしょうか。(ニュートラルな立場と言う意味で) 以下放送原稿を再度上げておきます。

7曲目で歌っているハーフズ・ブルハン・セスィユルマズは、ジプシーの血を引く歌手で、宗教歌から世俗音楽に転向し、イスマイル・ハック・ベイにもついたそうですが、ここで歌われるのは、ヒュセイニ旋法のクルドの山歌(Daghi Song)です。クルドの歌らしいフリーリズムから始まる高く張った歌声を聞かせます。この人は1943年演奏中に心臓発作を起こし、46歳の若さでなくなりました。

<7 Hâfiz Burhân Sesyiklmaz / Chant Populaire Daghi, Makam Huseyni 2分6秒>

Hâfız Burhân Sabahtan kalktım güneş parlıyor Hüseynî Gazel


Hâfız Burhân - Nâr-i hasret yakdı mahvetdi dil ü cân ü seri (Nevâ - Rast Gazel)

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2020年2月26日 (水)

ギュリスタン・ハヌム

オコラのアーカイブ2枚で特に引っかかったのが、女性歌手ギュリスタン・ハヌムが古典音楽の歌い手なのかどうかという点で、そう思うのは、通常はトルコ古典音楽には使わないズルナとナッカーレを使っているからと言うのが、まずあります。どちらも軍楽ではメイン楽器ですが、地方の民謡的な歌で、しかも内容が猥歌の類となると、更に謎が深まります。この人のプロフィールを調べても、ほとんど何も分かりませんが、SP時代の音源は意外に多く、3月1日放送分でかけるラウンダーの「トルコ音楽の巨匠たち」にもありましたので、再度取り上げました。こういうタイプがオスマン古典音楽に入るのだとしたら、どういう場で演奏されたのか、気になるところです。この人の音源はトルコのKalanからも出ているようなので、それを見れば分かるようにも思います。ラウンダーの音源では、太鼓は組太鼓ナッカーレではなく、ドゥンベクでした。ダラブッカに近い片面太鼓ですから、これも余りオスマン古典音楽には使わないと思います。今日の動画でもズルナの伴奏がメインで、太鼓はおそらくドゥンベクです。

Gülistan Hanım - Seni Gördükçe Titriyor Yüreğim - 1908

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2020年2月24日 (月)

オコラのArchives de la musique turqueから

ゼアミdeワールド201回目の放送、日曜夜にありました。26日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。Ocora盤そのものの音源は見つからず、Gulistan Hanimのみ該当曲がありました。

トルコの18回目になります。今回は何枚かのトルコの古い録音から抜粋しておかけしますが、音源は仏OcoraからのSP復刻の「トルコ音楽の記録」の2枚、米Rounderからの「トルコ音楽の巨匠たち」の2枚、米Traditional Crossroadsからの「イスタンブール1925」辺りです。割と最近にHONEST JON'S RECORDSから出た「To Scratch Your Heart  Early Recordings From Istanbul」の2枚組は現物が手元にないので、今回は見送るかも知れません。

オコラの「トルコ音楽の記録」に入っているのは、ハーフズ・メフメト・ベイ、アブラハム・カラカフ(あるいはジャラジャフ)・エフェンディ、メスード・ジェミル・ベイ、グリスタン・ハニム、カーヌーニ・ハジ・アリフ・ベイ、ヴィクトリア・ハニム、フェルヤディ・ハーフズ・ハック・ベイ他で、オスマン朝の古典音楽から、軍楽、クルドの歌などがあります。録音は1904~30年頃です。

まずは1曲目で、コーラン朗誦者ハーフズの称号を持つ男性歌手メフメト・ベイの歌唱で、サバー旋法のガゼルをどうぞ。最初を飾る素晴らしい歌声です。

<1 Hâfiz Mehmet Bey / Gazel, Makam Saba 2分57秒>

多くのオスマン音楽家がそうですが、ハーフズ・メフメト・ベイも、まず軍楽の中で鍛えられたようです。次は3曲目のオスマン軍楽のファンファーレですが、管楽器のみで打楽器抜きの演奏は、現代では珍しいように思います。演奏はゴールドベルク・オーケストラです。

<3 Orchestre Goldberg / Kanto 3分1秒>

7曲目で歌っているハーフズ・ブルハン・セスィイルマズは、ジプシーの血を引く歌手で、宗教歌から世俗音楽に転向し、イスマイル・ハック・ベイにもついたそうですが、ここで歌われるのは、ヒュセイニ旋法のクルドの山歌(Daghi Song)です。クルドの歌らしいフリーリズムから始まる高く張った歌声を聞かせます。この人は1943年演奏中に心臓発作を起こし、46歳の若さでなくなりました。

<7 Hâfiz Burhân Sesyiklmaz / Chant Populaire Daghi, Makam Huseyni 2分6秒>

10曲目はズルナとナッカーレだけの伴奏で女性歌手グリスタン・ハニムが歌っていますが、こういうタイプは現在は聞けない珍しい音楽のようです。地方の大衆歌謡になるようです。(エロティックな猥歌の類かも)

<11 Gulistan Hanim / Kanto【粉屋さん粉屋さん、ほら私の黒髪、あなたにあげる】(Gulistan hanim/ 1905) 3分7秒>

Gulistan Hanım - Değirmenci Kantosu [ Kantolar © 1998 Kalan Müzik ]


主にオリエンタル・ダンス(あるいはベリーダンス)の伴奏に使われるチフテテリもありまして、100年前の音源と言うのは貴重だと思います。クラリネット奏者を初め、演奏者名は伏せられています。

<15 Anonyme / Cifte Telli 3分11秒>

このオコラの2枚シリーズが出た95年頃は、まだ珍しかったメスード・ジェミルのタンブール独奏の音源も一曲入っています。タクシームの旋法はスズナークで、敬称の「ベイ」が名前の後に付いています。

<18 Mes'ud Cemi Bey Tel / Taksim Au Tanbur, Makam Suznak 2分44秒>

1集の音源が続きましたが、このArchives de la musique turqueの2集からも2曲ほどかけたいと思います。ギリシア系の女性歌手には、スミルナ派のレベティカと区別がつかないような歌唱もありますが、特に珍しいのがラストを飾っている「ペリヴァンの踊り」という曲で、ズルナとケトルドラムのナッカーレがレスラー(ペリヴァン)を鼓舞する曲とのことです。歌っているヤクーミ・エフェンディは、ジプシーの血を引くそうです。トラキアとルメリアのグレコ・ローマンのレスリングとありますので、もしかしたらギリシアとローマの文化が混交しているこの辺りがレスリングの発祥地でしょうか? グレコ・ローマンと言うのは、現在のオリンピックなどでも普通に聞く用語です。同じトルコでも東アナトリアのイランの近くになると、この種の音楽もイランのズルハネに近くなるようです。

<21 Yakumi Efendi - Pehlivan havasi (1903) 1分57秒>

では最後にユダヤ系の男性歌手アブラハム・ジャラジャフ・エフェンディの歌唱を時間まで聞きながら、今回はお別れです。この人の歌は1集にも入っていましたが、2集の8曲目が少しトルコのカントール風にも聞こえ、興味深いものがありました。8分の9拍子のアクサクのリズムで書かれた、ラスト旋法のシャルクです。
アメリカ盤の3枚の古い録音は、次回に取り上げたいと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<8 Abraham Caracach Efendi / Şarkı, Makam Rast 3分59秒>

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2020年2月21日 (金)

「トラキアの音楽」プロジェクト

カルシラマもあればと思いましたが、youtubeはないようですので、ハサピコのライブバージョンと、おそらくその同じ時のライブの全映像を上げておきます。日本にも2016年に「トラキアの音楽」プロジェクトで来日して大好評だったようですが、地方にいると全く疎くなっていて知りませんでした。チェロもトンバクもいじる者としては、大変に残念です。特にケラスの妙技を見てみたかったです。
昨日のブログに一つ訂正があります。ハサピコのルーツが11世紀以前に辿れると書きましたが、コンスタンティノープルだけは15世紀にオスマン帝国によって征服されるまではビザンツ帝国(東ローマ帝国)が死守していたので、15世紀まで可能性はありました。が、ハサピコのルーツとしては「中世」と明記されているので、やはり11世紀以前だろうと思われます。

Música mediterrânica - Socrates Sinopoulos, com Jean-Guihen Queyras


28/09/2012: ARTE Concert (Jean-Guihen Queyras, Σωκράτης Σινόπουλος, Bijan & Keyvan Chemirani)

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2020年2月20日 (木)

ハサピコ

ソクラテス・シノプーロスが中心になって弾いていたハサピコはこちらです。聞けば聞くほど、先日ハリス・アレクシーウの歌唱で上げたガルソナに音階、リズム、雰囲気などがそっくりです。ハサピコは元々東ローマ帝国のコンスタンチノープル(現在のイスタンプール)の肉屋たちの踊りだったとのこと。当時はトルコの場所がトルコ化する前。セルジュク朝を起こしたテュルク人が中央アジアから今のトルコの場所に来たのが11世紀ですから、それより前の古い古い踊りと言うことになります。ハサピコは、ギリシアの踊りで最も有名なシルタキに繋がって行くようです。このハサピコのメロディ・ラインは、ユダヤのクレズマーにもそっくり。と言うかハサピコが本家本元なのでしょうか?

Hasápiko

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2020年2月19日 (水)

Nihavent Semai

先日のプロモーション映像にも少し出てきましたが、この曲が200回目の放送で最初にかけたNihavent Semaiです。リラ奏者のソクラテス・シノプーロスの作曲ですが、レヴァント(東地中海地域)の伝統の中にその雛形はあると見ていいようです。例の10拍子のサマーイの形式がレヴァントとエジプトのアラブ音楽でとてもポピュラーなことと、旋法面ではニハーヴェントがトルコ、ペルシア、ビザンティン、アルメニア、ユダヤ、ボスニア、ロマにも共通しているものがあるのがその理由で、更に西洋では和声的短音階に当たり馴染みがあるので、チェロとリラの旋律を組み合わせ、対位法的にも演奏を構築するという新しい試みと見ることも出来そうです。ただ10拍子と言うのはペルシア音楽にはないので、トンバク奏者が合わせるのは難しいのではと推測します。

Σωκράτης Σινόπουλος Νιαβέντ σεμάι

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2020年2月17日 (月)

トラキアの伝統音楽(THRACE - Sunday Morning Sessions)

ゼアミdeワールド200回目の放送、日曜夜にありました。19日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日はとりあえずプロモーション映像(だと思います)だけ上げておきます。

トルコの17回目になります。記念すべき200回目と言うことで、今回はトルコ周辺の音楽で最近特に驚いた一枚をご紹介したいと思います。
世界的名チェリスト、ジャン=ギアン・ケラスがイランやギリシアの音楽家と共演した「トラキアの伝統音楽(THRACE - Sunday Morning Sessions)」と言う盤ですが、似たようなアプローチで思い出すのは、NHKの新シルクロードでお馴染みのヨーヨー・マとシルクロード・アンサンブルで、クラシックの音楽家で非西洋の音楽に目を向けるのは、今回もチェリストだったという印象を強く持ちました。

ジャン=ギアン・ケラス(Jean-Guihen Queyras)は、カナダのモントリオール出身でフランスのチェリストです。フランスの現代作曲家ピエール・ブーレーズが創設したアンサンブル・アンテルコンタンポランの首席チェロ奏者を1990年から2001年まで務め、バッハなどバロックの作品から現代作品までの名演を数多く残しています。

共演しているのは、ペルシア音楽だけでなく東地中海諸国の伝統音楽とコラボを重ねている、イランのトンバクとダフの奏者ケイヴァン・シェミラーニ、ビジャン・シェミラーニの兄弟と、偶然にも前回取り上げたギリシアのリラ奏者ソクラテス・シノプーロスも参加しています。

まずは、チェロとトンバクの重厚な音色がよくマッチしている2曲目のNihavent Semaiをおかけします。旋法名になっているニハーヴェントは、ササン朝ペルシアがアラブに敗れた古代イランの地名として名高く、それがオスマン古典音楽の楽曲形式サズ・セマーイと結びついた、悲しくも美しい旋律を聞かせる曲です。

<2 Nihavent Semai 7分9秒>

Thrace - Sunday Morning Sessions inaugura temporada musical 2016/17 na Gulbenkian


トラキアと言うのは、バルカン半島南東部の歴史的地域名で、現在は3か国に分断され、西トラキアがブルガリアの南東部とギリシア北東部の一部に、東トラキアがトルコのヨーロッパ部分になっています。いずれもオスマン帝国の版図に入っていましたから、今回取り上げるのはとてもタイムリーなように思います。

ユダヤのクレズマーに似ているギリシアの舞踊ハサピコは今回初登場ですが、ギリシアのカルシラマースと関係のあるトルコのカルシラーマの話は先週出たばかりです。こういう舞曲がトラキアの土地ととても関係が深いため、アルバムタイトルが「トラキア」になったようです。その2曲ハサピコとカルシラーマという曲がありますので、続けておかけします。

<10 Hasapiko 5分57秒>

<11 Karsilama 3分15秒>

トラキア周辺は古代においてはギリシアとペルシアが争っていた辺りで、現在もヨーロッパとアジアの接点に位置します。世界でも稀なほど複雑で洗練された奏法と重厚な音色が特徴のトンバクは、現代トンバク奏法の父、ホセイン・テヘラーニの意思を継ぐ一人、ジャムシド・シェミラーニとその息子ケイヴァン・シェミラーニ、ビジャン・シェミラーニの二人がメインストリームにいると言っていいと思います。少し和太鼓にも似て聞こえるこの片面太鼓の音は、東地中海諸国の様々な伝統音楽に上手く溶け込み、この盤以外にも注目作を連発してきました。

余談ですが、ゼアミdeワールドのテーマ曲として最初にかけているアブドルワハブ・シャヒーディーの曲の冒頭に出てくるのが、ホセイン・テヘラーニのトンバクです。実は95年にイラン人の先生から少し教わったことがあるので、トンバクの難しさと素晴らしさはよく知っているつもりです。

4曲目のZarbi é Shustariではトンバクが華々しく古典的フレーズで伴奏しますが、サントゥールとセタールの名人のモハマド・レザ・ロトフィが書いたと思しきこの曲は、往年のセタールとヴァイオリンの名人アボルハサン・サバーの音楽を思わせるものがあり、ヴァイオリン(ここではリラですが)の演奏は、イランと言うよりトラキア風に聞こえる、と解説にはあります。

<4 Zarbi é Shustari 6分14秒>

では最後にトンバク(あるいはザルブとも)の妙技をじっくり聞ける8曲目のDast é Kyanを時間まで聞きながら、今回はお別れです。「トンバクの神様」ホセイン・テヘラーニの意思を受け継ぐシェミラーニ兄弟による超絶のトンバク・デュオです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<8 Dast é Kyan 7分7秒>

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2020年2月14日 (金)

Μανταλένα (Σαμοθράκη) マンタレーナ(サモトラキ島)

メスード・ジェミルやタリプ・オズカン、ソクラテス・シノプーロスのゼイベクとゼイベキコの映像も見つかっていますが、今週のテーマで言えば、一番の驚きは、タンブーリ・ジェミル・ベイの弾くゼイベクとハリス・アレクシーウのΜαntalio (Mantalena)が、全く同じ旋律だったことですから、その線で終えようと思います。
マンタレーナと言うのがどういう曲なのか、またギリシアに入った時に調べますが、Μανταλένα (Σαμοθράκη)という映像がまず気になりました。このギリシア語は「マンタレーナ(サモトラキ島)」と訳せますので、エーゲ海北東部に位置するサモトラキ島の民族舞踊のようですが、2+2+2+3の9拍子と言うよりシンプルな8拍子(あるいは4拍子)に聞こえますから、ゼイベキコとは別の舞踊なのでしょう。
2本目は、ハリス・アレクシーウの大先輩パパギカ・マリカの歌うマンタリオ・マンタレーナです。カッコかと思ったら、Μανταλιώ και Μανταλέναとあるように、και (そして)が付いているので、マンタリオーとマンタレーナと訳すのが正しそうです。タンブーリ・ジェミル・ベイは、もしかしたら彼女の歌を聞いてあのゼイベクを弾いたのでしょうか?

Μανταλένα (Σαμοθράκη).''Πευκαδίτικα 2018''Ενηλ.Χ.Ακαδημίας Πεύκων 20-6-18


Μανταλιώ και Μανταλένα - Παπαγκίκα Μαρίκα

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2020年2月13日 (木)

カルシラマスの例 カモマトゥ

カモマトゥはタ・ツィリカの音源とライブ映像の2つがありました。中間部の声を張って歌う所は独特で、とても印象的です。カルシラマスについては、またギリシアに回ってきた時に探したいと思います。(以下放送原稿を再度)

ハリス・アレクシーウがレベティカやライカを歌った名盤タ・ツィリカには、2+2+2+3の9拍子とはっきり分かるカモマトゥと言う曲がありますので、併せておかけしておきます。これもゼイベキコになるのかと思いましたが、アレクシーウのベスト盤の中村とうようさんの解説によると、トルコのカルシュラーマがギリシアに根付いたカルシラマスの踊りのリズムのようです。

<1-2 ハリス・アレクシーウ / カモマトゥ 2分56秒>

Kamomatou


Alexiou Kamomatou

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2020年2月12日 (水)

ガルソナとΜΠΑΡΜΠΑΓΙΑΝΝΑΚΑΚΗΣ

今週は放送でかけたゼイベクとゼイベキコ、カルシラマスについての調査が残っていますし、トルコ・シリーズではこの後、トルコの古録音、トルコのセファルディー、サフィイェ・アイラとネスリン・シパヒ、ハーレムの音楽、ドニゼッティ・パシャ、ハルク(トルコの民謡)、トルコのブルガリア系少数民族ポマック族の伝統音楽などが控えていて、最後にはトルコのクルドを大々的に取り上げる予定ですが、ギリシア関連を見ている内に、一足飛びにギリシアの音楽に目が行ってしまいました(笑)
今日のガルソナと言う曲は、レベティカの大御所パナヨティス・トゥーンダスの作曲で、私が最初に聞いたのはアンナ・ヴィッシの映像でしたが、76年にハリス・アレクシーウを有名にした曲の一つだそうです。タ・ツィリカなどは手元にありますが、ガルソナ入りは持ってなかったもので。今日の収録でトラキアの音楽を取り上げますが、その中にハサピコがあります。この曲、リズム的にはハサピコになるのでしょうか? ハサピコは元々東ローマ帝国のコンスタンチノープル(現在のイスタンプール)の肉屋たちの踊りだったそうで、ゼイベクもその頃のギリシア系舞踊にルーツを辿れるのかも知れないという推測もあながち間違いでないかも知れません。しかし、理屈は抜きにして何と魅力的なアレクシーウの歌声でしょうか! 2本目はタ・ツィリカの1枚目の1曲目です。何度かブログに上げましたが、こちらも最高です。

HARIS ALEXIOU - GARSONA / ΧΑΡΙΣ ΑΛΕΞΙΟΥ - ΓΚΑΡΣΟΝΑ (1976)


ΜΠΑΡΜΠΑΓΙΑΝΝΑΚΑΚΗΣ - ΧΑΡΙΣ ΑΛΕΞΙΟΥ

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2020年2月10日 (月)

ゼイベクとゼイベキコ

ゼアミdeワールド199回目の放送、日曜夜にありました。12日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

トルコの16回目になります。今回はオスマン音楽の曲名によく出てくるゼイベクと、ギリシアの舞踊ゼイベキコの関係を探ってみたいと思います。今日の2本以外は、また後日。

オスマン古典音楽を聞いていて、曲名にギリシアの舞踊と関連のあるゼイベク(あるいあはゼイベキ)とか、ベリーダンスと関連する舞踊チフテテリの名が出てくるのが、少々意外に思われる方もいらっしゃるのではと思います。

ギリシアのZeibekiko(ギリシア語:Ζεϊμπέκικο)は、オスマン大衆音楽の影響を強く受けたギリシアにおける貧民層のサブカルチャーだった音楽、レベティカとともに踊られた踊りと言われます。

一方、ゼイベクはトルコの西アナトリアに特有の踊りで、ギリシアのゼイベキコはトルコ・アナトリア西部のゼイベクに由来する踊りです。リズムが特徴的で、ゆっくりとした9拍のリズム・パターンが多く、多くは4分の9拍子=2+2+2+3拍ですが、3+2+2+2拍の変化形も見られます。

これは推測ですが、今のトルコの場所が「トルコ化」するのは、オスマン朝以前のセルジュク朝が興った11世紀頃からで、セルジュク朝以前のトルコの場所は、長らくビザンツ帝国でしたからギリシア系住民が多かったはずなので、ゼイベクもその頃のギリシア系舞踊にルーツを辿れるのかも知れません。

まずは、タンブーリ・ジェミル・ベイのTraditional Crossroadsからの1枚目に入っているZeibek Havasiからおかけします。2+2+2+3の9拍子がはっきり分かる踊りの曲です。

<7 Zeibek Havasi 3分39秒>

Tanburi Cemil Bey - Zeybek Havası - Kemençe – Ud [ Külliyat © 2016 Kalan Müzik ]


タンブーリ・ジェミル・ベイがケメンチェで弾いていたZeibek Havasiと全く同じ旋律を、現代ギリシアの歌姫ハリス・アレクシーウが歌っていますので、続いておかけします。伴奏のギリシアの代表的弦楽器は、明るい音色のブズーキで、トルコのサズ、レバノンやシリアのブズクと兄弟楽器になります。

<1 Xaris Alexiou / 23 Tragoudia ~Μαntalio (Mantalena) 3分>

Μανταλιώ ( Μανταλένα ) Χάρις Αλεξίου


ハリス・アレクシーウがレベティカやライカを歌った名盤タ・ツィリカには、2+2+2+3の9拍子とはっきり分かるカモマトゥと言う曲がありますので、併せておかけしておきます。これもゼイベキコになるのかと思いましたが、アレクシーウのベスト盤の中村とうようさんの解説によると、トルコのカルシュラーマがギリシアに根付いたカルシラマスの踊りのリズムのようです。

<1-2 ハリス・アレクシーウ / カモマトゥ 2分56秒>

タンブーリ・ジェミル・ベイの息子メスード・ジェミルの2枚組にも、ゼイベクと付く曲がありますので、2曲続けておかけします。最初がタンブールの独奏で、2曲目は民謡歌唱のような合唱で、どちらも1932年録音です。2曲とも2+2+2+3の9拍子とはっきり分かります。

<1-8 Nikriz Taksim Nikriz Zeybek (1932 Kahire Arap Musıkisi Kongresi Kayıtları) 2分45秒>

<1-10 Muhayyer Aksak Zeybek - Sarı Zeybek (1932 Kahire Arap Musıkisi Kongresi Kayıtları) 3分19秒>

1938年生まれのサズやタンブールの名手タリプ・オズカンのオコラ盤にもゼイベクがありましたので、一曲おかけします。タリプ・オズカンと言えば、サズの名人の印象が強いので、古典楽器のタンブールを弾いてもどうしても民謡系のニュアンスを感じてしまいますが、そこが面白い点でもあります。

<13 Talip Özkan / Makam Nikris: Taksim / Kordon Zeybeği (Açış) 6分3秒>

では最後に東地中海各国の擦弦楽器(フィドル)を集めたギリシアFMのコンピレーション盤から、ソクラテス・シノプーロスのリラ演奏でゼイベキコを時間まで聞きながら、今回はお別れです。リラは音と形共にトルコのケメンチェにそっくりの楽器です。

もし時間が余りましたら、ギリシア南部に浮かぶクレタ島のリラもおかけします。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<10 Sokratis Sinopoulos / Zeibekikos 3分>

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2020年2月 7日 (金)

サマーイ・ナハーヴァンド(アラブ音楽の場合)

サマーイ・ナハーヴァンドと言った場合、メスード・ジェミルの曲以外にもあるようですが、彼のこの曲は一聴で忘れられない印象を残す哀愁の名旋律だと思います。父であるタンブーリ・ジェミル・ベイの曲でチェチェン・クズは特によく知られていますが、メロディ・メーカーという点では、息子メスード・ジェミルの勝ちかも知れません。3+2+2+3の10拍子という、難しい拍子で書かれていることも忘れてしまいそうです。懐かしい音源のブスタン・アブラハムを含め、今日はアラブ音楽での好演をいくつか上げておきます。

Samaii nahawad - Masoud Jammil


Nihâvend Saz Semâî - Mesut Cemil Bey


Nihavend Saz Semaisi (Mesut Cemil Bey


Bustan Abraham - Sama'i Nahawand (1997)

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2020年2月 6日 (木)

Necdet Yaşar / Göksel Baktagir "Nihavend Saz Semâi "

メスード・ジェミルが書いたSama'i Nahawandは、アラブ音楽としての名演は数多いですが、今回はトルコ音楽として見ておきたいので、探していたら、ネジデト・ヤシャルとゲクセル・バクタギルの演奏がありました。タンブール奏者のネジデト・ヤシャルは、1930年生まれ2017年死去ですから、メスード・ジェミルとはちょうど親子のような年の差でしょうか。アカギュンデュズ・クトバイなどと同世代で共演も多く、ミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの伴奏もしていた盤がありました。カーヌーン奏者のゲクセル・バクタギルは名前をよく聞くようになった頃でしょうか。1989年頃はまだ若手だと思います。

Necdet Yaşar / Göksel Baktagir "Nihavend Saz Semâi " 1989

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2020年2月 5日 (水)

チェロ、ヴィオラ、ケメンチェのオスマン・トリオ

メスード・ジェミルのカランからの2枚組は、2枚目では長尺の演奏が並んでいて、その中でサウンド的に一番驚いたのが、放送でラストにかけたタンブーリ・ジェミル・ベイのこのイスファハン旋法のペシュレヴです。メスード・ジェミルのチェロに、ヴィオラ奏者ジェヴデト・チャーラ、ケメンチェ奏者ファヒレ・フェルサンが加わったトリオの演奏は、チェロとヴィオラに高音のケメンチェが合わさることで、冒頭で特に女性が歌っているかのような不思議な音響が生まれています。トルコ音楽特有のメリスマをチェロでどうやって弾いているのか、映像で確認したくなる演奏ですが、さすがに1963年に亡くなっているメスード・ジェミルの生映像はないのでしょう。この1952年の演奏、中間部はチェロのタクシームのようです。(映像はチェロではなくタンブールを構えるメスード・ジェミルです)

Mesut Cemil - İsfahan Peşrev [ Mesut Cemil Arşiv © 2004 Kalan Müzik ]

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2020年2月 3日 (月)

Sama'i Nahawandとメスード・ジェミル

ゼアミdeワールド198回目の放送、日曜夜にありました。5日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。Gilles Andrieux & Kudsi Ergunerのサマーイ・ナハーヴァンドは見当たらないので、今日は一本だけにしておきます。

トルコの15回目になります。今回はトルコ音楽史上最高のタンブールの名手と言われるタンブーリ・ジェミル・ベイ(Tanburi Cemil Bey)の息子のメスード・ジェミル(Mesut Cemil)が書いたSama'i Nahawandから始めたいと思います。190回目の最後に少しだけかけたアラブ音楽の音源です。

演奏はパレスティナのウード名手シモン・シャヘーンで、90年代にドイツのCMPから出ていました。前にも言いましたが、シャヘーンは、シモンという名前の通り、パレスティナのキリスト教徒と思われます。

<6 Simon Shaheen / Turath - Masterworks of the Middle East Sama'i Nahawand 8分16秒>

Simon Shaheen - Sama'i Nahawand (Turath)


メスード・ジェミルのSama'i Nahawandはアラブ音楽でよく演奏される名曲で、トルコ音楽としての楽譜は持っていますが、何故かオリジナルのトルコ音楽の音源は余り聞いた記憶がありません。

一つだけ手元にあったのが、ネイのクドゥシ・エルグネルとフランス人のタンブール奏者ジル・アンドリューが共演した1992年のフランスAlSurのオスマン音楽の盤で、ネイとタンブールによるしっとりとしたオスマン音楽らしい好演ですので、こちらをおかけします。70年代からパリに拠点を置いていたクドゥシ・エルグネルと、Ocoraなどから音源のある巨匠タリプ・オズカンからサズ、バーラマやタンブールを教わったフランスの名手の共演です。

<3 Gilles Andrieux & Kudsi Erguner / Ottoman Classical Music  Nihavend Saz Semai 8分>

タンブールとチェロの名手にして作曲家でもあったメスード・ジェミル(1902-63)の音源は、20世紀に入って1930年代以降ですから意外にありまして、米Golden Horn Recordsの2枚や、30~50年代録音をセレクションした土Kalan Muzikからの2枚組などがあります。後者だけ手元に残っていますので、こちらからおかけしていきます。

タンブールの演奏では、父タンブーリ・ジェミル・ベイのヒジャズカルのサズ・セマーイがありますので、こちらをおかけします。

<1-6 Hicazkar Saz Semaisi Tanburi Cemil Bey (1932 Kahire Arap Musıkisi Kongresi Kayıtları) 3分9秒>

ここで催しの告知を入れます。

2017年の12月から毎偶数月に開催し、13回続きました終活カフェ@Cafe トーク・トークですが、セミナー担当者の多忙のため、今後は12月のみになりました。

今後は木曜公開練習の本来の目的に立ち戻って、弦楽四重奏の研鑽の場にしたいと思います。早速、第一回目の発表会を2月20日の同じ17時から開催致します。こちらでは私は主にヴァイオリンを担当しております。(毎偶数月にするかどうかは検討中です)

宜しければ是非お越し下さい。入場無料ですが、駐車場に限りがありますので、ご一報頂けましたら幸いです。

Cafe トーク・トーク
今治市北高下町2-1-7ハイツ近藤2の1階

以上、催しのお知らせでした。

では最後にメスード・ジェミルのチェロと、ヴィオラ奏者、ケメンチェ奏者がトリオで演奏している2枚目のイスファハン旋法のペシュレヴを時間まで聞きながら、今回はお別れです。チェロとヴィオラに高音のケメンチェが合わさることで、冒頭で特に女性が歌っているかのような不思議な音響が生まれています。このペシュレヴを書いたのも、メスード・ジェミルの父タンブーリ・ジェミル・ベイで、録音は1952年です。トルコ音楽特有のメリスマをチェロでどうやって弾いているのか、映像で確認したくなる演奏です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<2-2 Isfahan Peşrev: Tanburi Cemil (30 Eylül 1952 Kayıdı) 14分26秒>

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