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2020年6月12日 (金)

Bienvenida《Berta》Aguadoと Loretta《Dora》Gerassi

今回のセファルディ・シリーズの締めは、やはりイネディ盤のお二人、ビエンベニーダ・ベルタ・アグアドとロレッタ・ドーラ・ゲラッスィです。イネディ盤に写真が一枚ありましたが、小柄なお祖母ちゃんのアグアドさんのリリカルな歌声と、いかにもアルトの低い声が出そうな大柄なゲラッスィさんのエモーショナルな歌唱。とても対照的なお二人です。先日取り上げたセイレーンの歌は番組ではフェイドアウトしましたので、最初に持ってきました。アグアドさんのプンチャ・プンチャは見当たらないので、ライブ映像を代わりに上げておきました。オスマン音楽の微細な節が感じられます。(以下放送原稿を再度)

セファルディーの歌と言えば、まず筆頭に出てくる名盤で、「東地中海のスペイン系ユダヤ人の歌」というフランスIneditの盤から、Bienvenida《Berta》Aguadoと Loretta《Dora》Gerassiの独唱を少し聞きたいと思いますが、この盤について、2002年の音楽之友社「世界の民族音楽ディスクガイド」に書いた拙稿を読み上げます。

イスラエル在住のスファラディー系2婦人による東方に伝わっていたセファルディー(スペイン系ユダヤ)民謡集で、それぞれの出身地(トルコとブルガリア)に伝承されていた曲が選ばれている。この様な無伴奏の詠唱は他ではスペインのSaga盤位でしか聞けない。磨きあげられた二人の歌の節には、それぞれにトルコ古典声楽のデリケートな節回しとバルカン風旋律が現れている。細かい節回しの妙味は絶大で、よくある古楽からのアプローチの演奏には余りない「土の香り」が強烈に感じられる素晴らしい歌唱。特にゲラッスィの男声のような低い声で歌われるバルカン的な節は、マケドニアのジプシー女性歌手エスマに唸った人にも是非聞いて欲しい。

La serena(セイレーン)とは「サイレン」の語源ですが、ギリシア神話では、海の航路上の岩礁から美しい歌声で航行中の人を惑わし、遭難や難破に遭わせる、上半身が人間の美しい女性で、下半身は鳥の姿の海の怪物を指しますが、Voice of the Turtleの対訳歌詞では「もし海がミルクで出来ていて、私が漁師だったら、私は愛の言葉で不幸を釣るだろう」と、匂わせる所で終わっています。この歌のルーツはボスニアのサライェヴォにあるそうです。

<14 Loretta《Dora》Gerassi / La serena 2分44秒>

La serena..wmv


Loretta《Dora》Gerassiの低い美声をたっぷり堪能できる3曲目のタイトルを訳すと「呪われた兄弟」となるようです。

<3 Loretta《Dora》Gerassi / El Hermano Maldito 2分48秒>

El hermano maldito


Bienvenida《Berta》Aguadoの方は、El Punchon y la Rosaをおかけしますが、この曲は一般にプンチャ・プンチャと言う曲名で知られています。「チク、チク、薔薇は香り、恋はひどく苦しめる」と歌いだされるロマンセ(四行詩の物語り歌)です。

<16 Bienvenida《Berta》Aguado / El Punchon y la Rosa 2分7秒>

Romancero Sefardi -Coleccion Susana Weich-Shahak- BIENVENIDA AGUADO

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