イラク系クルド Al SurとUnescoの音源
ゼアミdeワールド216回目の放送、日曜夜10時にありました。15日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画はGroupe Musical du Kurdistanの2曲だけにしておきます。
クルドの音楽の5回目です。今回はフランスのAl Surから90年代に出ておりました3枚のクルディスタンの音楽シリーズと、1989年のユネスコ盤から抜粋してご紹介します。いずれも廃盤アイテムになります。
まずはAl Surのクルド・シリーズ1枚目で、グループ名はGroupe Musical du Kurdistan、タイトルがDe Soran a Hawramanという盤から、3曲目のギュル・アマンという曲です。邦訳するなら「おお、私の川よ」となります。編成はサズ、ネイ、バラバン、キャマンチェ、ダフで、ダフ奏者が叩き歌いをしています。全編柔らかいダブルリードのバラバンの曇った音色が目立っていますが、特にギュル・アマンという曲はリズムと旋律、更には曲の雰囲気まで実にクルドらしく、「剣の舞」を連想させる曲調に最初聞いた時から特に驚いた一曲です。
<3 Groupe Musical du Kurdistan / Gül Aman [Ô mon fleuve] 4分22秒>
Gül Aman
この3枚シリーズは、1枚目がイラク系クルド人メンバー中心に1982年にイタリアで立ち上げたグループの演奏、2枚目もやはりイラク系クルドのグループの演奏で、ヴァイオリンやウードがフロントに出てかなりアラブ風な印象が強くなり、3枚目もイラク北部のクルドの歌ですが、自由に間を崩して歌う「長い歌」系の歌唱が目立っています。
2枚目からも一曲かけますが、アラブ風な中にいかにもクルド的な曲が一曲ありますので、その4曲目のNârine- Kyas zardéという曲をおかけします。演奏はEnsemble Zalmで、編成はヴァイオリン、ウード、サントゥールとトンバクやダラブッカなどの打楽器です。
<4 Ensemble Zalm / Nârine- Kyas zardé 4分24秒>
3枚目はLawk と Hairanという二つの詩のジャンルを歌い分ける名歌手Tânia Arabの歌唱をフィーチャーしていて、伴奏はサントゥール、ウード、トンバクです。アラブのマウワルに似た「長い歌」系がラウク、リズミカルな曲もある方がハイランになるようです。ラウクは10分余りのDotman (Cousine) Mêwan (L'hôte)という曲がラストを飾るように入っていますので、最初の4分程をおかけします。マウワルに少し似ていますが、音の動きがいかにもクルド風です。
<7 Tânia Arab / Musique Du Kurdistan 3 : Lawk U Hairan ~Dotman (Cousine) Mêwan (L'hôte) 10分18秒~4分>
1989年にフランスのオーヴィディスからCD化されたユネスコのクルド音楽の録音は、70年代後半にはオランダのフィリップスからユネスコ・コレクションのシリーズとしてLPで出ていた音源で、日本では日本フォノグラムからLPで出ていました。当時このシリーズでは大分前にかけたイランや南インドのLPを持っていましたので、サンプラーLPでクルドの音源も聞いたことがありました。トルコ東部のクルディスタンの音楽のようです。そのMawal Wa Raqsaという曲をおかけします。編成は2本のピクという笛と、打楽器のトゥンバラク、フィンガー・シンバルのジルです。タイトルは「マウワルと踊り」という意味だと思います。
<3 Kurdish Music ~Mawal Wa Raqsa 7分1秒>
では最後に、最初にかけたGroupe Musical du Kurdistanの演奏で、Siatchamanaという曲を聴きながら今回はお別れです。「黒い瞳」という意味のこの曲でも、バラバンの曇った音色と独特なリズムと雰囲気などが何ともクルド色濃厚に聞こえる一曲です。アルバムタイトルのDe Soran a Hawramanは、「ソランからハウラマンまで」という意味ですが、クルド語の主要方言である、クルマンジーとソラニーの両方が見られるイラク北部のクルディスタン一帯かその一部を指しているのではと思われます。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<2 Groupe Musical du Kurdistan / Siatchamana (Les yeux noirs) [Poème de Goran] 6分2秒>
Siatchamana
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