« Σαβίνα Γιαννάτου - Τα παιδιά κάτω στον κάμπο | トップページ | カルメンへの電報 »

2020年8月24日 (月)

ハリス・アレクシーウのTa Tsilika

ゼアミdeワールド222回目の放送、日曜夜10時にありました。26日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画はBarbagiannakakisのみにしておきます。タベルナと思しき場所での30代のアレクシーウは美しく歌唱も最高。バックの演奏も最高です。この一連の動画、当ブログでは13年間に3回はアップしていると思いますが、一日一本ずつ味わいたいと思います(笑)

ギリシアの3回目になります。前回「本丸的な」と予告しましたハリス・アレクシーウのTa Tsilikaを取り上げます。この盤は六本木の某店にいた94年前後に盛んにかけていて、かなり売った記憶があります。確かこの年にアレクシーウが来日していて、それを後で知って非常に悔しい思いをしました。それから15年近く経って、ゼアミブログで取り上げる頃には、80年代のアレクシーウの素晴らしい歌声とタベルナと思しき場所で歌っている姿をYouTubeでも見られるようになっていました。

Ta Tsilikaという2枚組ですが、この盤について2002年の音楽之友社「世界の民族音楽ディスクガイド」に書いた拙稿をまず読み上げます。

ギリシアを代表する女性歌手アレクシーウが83年にリリースしたオーソドックスなレベティカとライカの名曲集2枚組。1900~45年の著名な大衆歌謡作家の曲からのセレクション。トゥーンダス、ドラガツィス、パラドシアコなどの名曲がオーソドックスな編成の新しい録音で聞けるのはとても有り難い。いかにもレベティカらしい哀愁の名旋律も数多く、この世界が好きな人は愛聴盤になりうるのでは。トルコ風なエキゾチシズムと変拍子も目立つが、シルトスの快活なリズムの内にも宿る、地中海的明るさと背中合わせの哀しさがこよなく美しい。ギリシア盤で原語解説のみだが、一緒に唱和してしまうような親しみやすい、また彼女の魅力満開の充実作。

レベティカとは、1920年代にギリシアとトルコの住民交換で旧オスマントルコ領内からギリシアへ移住させられたギリシア人たちによって始まり、1960年代の民主化の時代に再興があったとされるギリシアの大衆歌謡で、再興後はライカと呼ばれるようです。ギリシアの港町の下層階級の間で、19世紀末から20世紀へ変わる頃成立したと言われ、「ギリシアのブルース」とも形容されます。音楽的にはオスマン時代以来のエキゾチックな側面も豊富に見られます。

この2枚組に入っている曲ですが、ほぼ100年前のスミルナ派レベティカの古い録音にもありますので、また後日取り上げる予定です。私がTa Tsilikaを初めて聞いた94年頃からとても惹かれてきたレベティカの作曲家は、パナヨティス・トゥンダスですが、今でもレベティカ最大のメロディーメーカーの一人のように思います。という訳で、トゥンダスの曲を中心に取り上げたいと思いますが、まず1曲目はYouTubeでも素晴らしい歌唱を聞けたパラドシアコのBarbagiannakakisという曲からおかけします。

<1-1 Haris Alexiou / Ta Tsilika ~Barbagiannakakis 3分47秒>

ΜΠΑΡΜΠΑΓΙΑΝΝΑΚΑΚΗΣ - ΧΑΡΙΣ ΑΛΕΞΙΟΥ


これから後はトゥンダスの曲が続きます。特に個人的に好きなのが1枚目の最後12曲目を飾っているTilegrafima Stin Karmenという曲で、こちらから先におかけします。哀愁の先にカタルシスを感じる名旋律だと思います。

<1-12 Haris Alexiou / Ta Tsilika ~Tilegrafima Stin Karmen 3分>

戻りまして、7曲目のAman, Katerina Mouもyoutubeでタベルナでの名演を見れる曲です。演歌的な感じが少しあります。この曲はクルド系のトルコの女性歌手チーデム・アスランが、バルカン音楽やクレズマー音楽などを歌ってきた後で辿り着いたアルバム、Mortissaで冒頭で取り上げていました。

<1-7 Haris Alexiou / Ta Tsilika ~Aman, Katerina Mou 3分24秒>

10曲目のLili I Skadaliaraは、オルターポップから出ていたベスト・オブ・ハリス・アレクシーウにも入っていた曲で、「リリはスキャンダルメーカー」と邦訳されていました。この盤はタ・ツィリカ初め、アレクシーウの1970、80年代のミノス・レコードの音源からのコンピレーションでした。

<1-10 Haris Alexiou / Ta Tsilika ~Lili I Skadaliara 3分36秒>

戻りまして1枚目3曲目のAeroplano Tha Paroもトゥンダスの歌で、男性歌手アガトナス・ラコヴィディスとのデュオです。

<1-3 Haris Alexiou / Ta Tsilika ~Aeroplano Tha Paro 3分19秒>

2枚目の終わりから2曲目のPagratiotissaも、トゥンダスらしい、やや演歌的なやるせない感じの旋律ですが、途中オスマン音楽風な音の動きと転調が入って、おっ!と思う曲です。この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<2-12 Haris Alexiou / Ta Tsilika ~Pagratiotissa 2分51秒>

|

« Σαβίνα Γιαννάτου - Τα παιδιά κάτω στον κάμπο | トップページ | カルメンへの電報 »

ギリシア」カテゴリの記事

ゼアミdeワールド」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« Σαβίνα Γιαννάτου - Τα παιδιά κάτω στον κάμπο | トップページ | カルメンへの電報 »